【エコロジーフロント】
「EVはタクシーには向かないわ」
売り上げ2〜3割減、運転手の切実な悩み
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121004/237633/
「いやあ、EVはタクシーには向かないわ」
こうつぶやいたのは、EV(電気自動車)を運転するタクシー運転手である。
たまたま乗ることになったEVタクシー
太陽の日差しが照りつける夏のある日。筆者は、EVタクシーに乗る機会があった。とある取材を終えて屋外に出たところにEVタクシーが停まっていたのだ。次の取材地まで徒歩で行こうと思っていたが、乗車してみることにした。
HV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)をはじめとするエコカーの中でも、走行時に排気ガスを一切出さないEVは、「究極のエコカー」と言われる。これまで、自動車メーカーにEVの乗り心地などを聞いたりしたことはあったが、実際の利用者に話を聞く機会はなかった。「EV初体験」である。
日ごろの不満が大爆発
車は日産自動車のEV「リーフ」だ。車内をのぞき込むと、口ひげを蓄えた運転手が「どうぞ」と言って扉を開けてくれた。「近くで申し訳ないですがノ」と言って行き先を告げると、運転手は「わかりました」と言ってアクセスを踏む。確かに、エンジン車の「ブルーン」という音がしない。なるほど。
「この車、EVなんですね。本当に静かだ」と私がつぶやくと、「そうなんですよ。この前、病院の先生を乗せたんだけど、騒音がないのでゆっくり眠れるって言われてね。よく指名してくれるようになったよ」と運転手。環境に良いという理由から、女性客にも好評だと言う。
「どのくらいの距離を走れるんですか?」と聞くと、「エアコンをつけて高速道路を走ったりすると120kmくらいかな」と運転手。経済記者の性か、とっさに「売り上げが落ちるのではないですか?」と聞いた。
この質問で、運転手の会話のスピードが上がった。
「売り上げは2〜3割は減ったね。だって長距離のおいしい客は断らなきゃいけないんだから。これはやるせないよ。だから会社の同僚はこれには乗りたがらない。そりゃそうだ、売り上げが減ることはわかってるんだから。だから会社でEVに乗ってるのは俺だけ。会社から多少の補助は出るけど、それでもトントンかな。それにこの車、色が青で目立たないんだよ。青い車なんて珍しくないし」
日ごろの思いが一気に噴出したのか、待ってましたとばかりにEVの不満を話し続ける。「そうなんですか」「それは大変ですね」と、聞いているうちに目的地に到着。
5分くらいのドライブだっただろうか。料金を払い、降りようとする私に運転手は言った。
「EVはタクシーには向かないわ。もう乗りたくないよ」
私は車を降り、次の取材に向かった。
極寒の車内、エアコンなしでの一夜
1時間後。取材を終えて、最寄り駅に向かって歩き出した。だが、気になることがあった。先ほど乗ったEVタクシー運転手の「もう乗りたくない」という言葉だ。乗りたくなければ「乗らない」という選択肢もあるように思える。しかし、あの運転手は現に今、EVに乗っている。
それに、運転手はいろいろと不満を述べてはいたが、悲壮感はなく、聞いていた私も不快感はあまり感じなかった。何というか、苦労しながらもどこか楽しんでいるような印象を受けた。去り際に見た運転手の表情もどこか柔らかだった。
乗りたくないEVに、今なぜ乗っているのか。その答えを運転手に聞きたい。EVタクシーに乗車した場所は、EV専用のタクシー乗り場だったような気がする。今戻れば、そこに車があるかもしれない。行き先を変え、最初の取材先に戻ってみた。
青いEVタクシーは、EVタクシー乗り場ではなく、近くの急速充電スペースにあった。しばらく待っていると、口ひげの運転手がやって来た。「先ほどはありがとうございました。お話の続きをうかがえませんか」と言って名刺を差し出すと、「EVの話ならたくさんある」と言って話し始めた。
以下が、運転手に聞いた話である。
EV導入を推進する地元自治体の勧めがきっかけで、彼の勤務するタクシー会社でEVを1台購入することになった。運転手の中では比較的若い方という理由で、社長に勧められてEVに乗り始めた。売り上げが減るので他の社員は乗りたがらないため、今は彼が事実上の「EV担当」になっているという。
EVタクシーの運転歴は、今年10月で丸1年。ガソリン車とEVは全く勝手が違うと言う。やはりEVの問題として、航続距離の短さと、充電できる施設の少なさを指摘する。
こんなエピソードも話してくれた。
ある冬の夜。都心から西東京市まで乗客を運び終えたら、戻るための電気がなくなってしまった。残り少ない電気を使って近所の充電ステーションまで車を走らせるも営業時間外。開店する翌朝まで待つ羽目になった。車に電気がないのでエアコンを点けることができず、寒い車内で一夜を過ごしたそうだ。
「あれはつらかった。それ以来、朝から夕方までの勤務シフトにしてもらっているよ」
苦労しながらも、なぜ乗るのか?
長距離の移動を希望する客は日中より夜間の方が多いため、売り上げは減少したという。今は、EVタクシー専用のタクシー乗り場を用意している市役所などを拠点に営業している。ガソリン車と違って並ばずに済むので、短距離の客でも回転率で勝負する。
最後に、聞きたかった質問をぶつけてみた。「先ほど、EVにはもう乗りたくないと言いましたよね。でも、今こうして乗っています。それはなぜですか?」
運転手は、少し考えてから言った。
「新しいものが好きだからかもしれないな。最新技術を搭載した車に乗れるのは誇らしいことだよ」
EVは今、「アーリーアダプター」と呼ばれる新しい技術や製品を好む人に受け入れられている段階だろう。一般消費者に受け入れられるには、充電インフラの整備はもとより、電池開発による航続距離の向上や、素材やデバイスによるコスト低減などが必要だ。
このEVタクシーの運転手の「愛」と「誇り」が尽きないうちに、普及支援や技術開発を急ぐ必要があると感じた。
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WebCGの「リーフタクシーの営業日誌」
http://www.webcg.net/WEBCG/essays/index.html?sc=103
のあっちとこっち、と言う感じの記事だな。お客が異常に電気自動車に詳しいと愚痴も出易いのかも知れない。
で、充電ステーションで夜明かしって、そんな所で夜明かしするくらいなら、ガソリンスタンドとかコンビニとかでお願いして100V充電を3時間くらいすれば、帰れるくらいの充電は出来るんじゃないかな。
それにインフラを整備するだけじゃぁ駄目だよ。完璧なインフラなんてのは、お馬鹿さんのための設備だ。どっちにしろお馬鹿さんは充実したインフラでも使いこなせないんだし、完璧を求めるのは無駄が多過ぎる状態になるから、そんなのはやめようよね。
オーナー教育が最終的には最も重要なんだと思うよ。発展途上な技術を使うには、オーナーの創意工夫も必要なんだ。
Posted at 2012/10/09 23:25:46 | |
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電気自動車 | 日記