この記事は、
【THS開発者への15の質問】なぜ欧米メーカーは近年になってハイブリッドカーを出すようになったのか?について書いています。
トヨタ自動車のハイブリッド車『プリウス』が12月10日で発売から15周年を迎えた。同日開催された「永遠の記憶に残るトヨタハイブリッド 15周年ミーティング」では、「トヨタハイブリッド開発者への15の質問」と題した質疑応答が行われた。
参加者による15の質問に回答したのは、トヨタ自動車製品企画本部小木曽聡常務理事、同豊島浩二チーフエンジニア、同岡部慎主査、同田中義和主査ら4名の開発陣。
◆欧米メーカーの環境対応への切り札は"クリーンディーゼル"
河合勝己さん:三重県津市から来ました河合と申します。私は初代アルファードハイブリッドに乗っており、大変気に入っています。質問は、欧米メーカーの多くは、なぜ近年になってハイブリッドカーを出すようになったのでしょうか。先ほど環境の話が出ましたが、欧米も環境意識は高いはずです。にもかかわらず、ハイブリッドの分野で遅れてしまった。そのあたりについてのお考えをお聞かせ下さい。
小木曽:欧米のメーカーは、環境対応への切り札として、クリーンディーゼルの開発に注力しました。それはディーゼルが得意だから、ディーゼルの市場が大きいからといった理由もあると思いますが、ハイブリッドの開発には、電気モーターはもちろん、それを制御するインバーターやトランジスタなど、いわゆるパワーエレキが重要になってくるという点も忘れてはなりません。
パワーエレキの分野は、以前から日本のメーカーが得意とするところで、性能だけでなくコスト競争力もあります。もし欧米メーカーが、そういったものを開発しようとしたら非常にコストがかかる、だったらディーゼルの方で環境対応しよう、となったのだと思います。
◆急激に変わりつつある世界の風潮
初代プリウスが出てからの5年ぐらいは「ハイブリッドは実用的ではない。環境対応車の本命はディーゼルだ」というのが世界の風潮でしたが、ここ5年でその考えが急激に変わりつつあることを欧米に行く度に実感します。技術革新によってモーターなどのコストが下がり、これからはもっとハイブリッド車の競争が激しくなるでしょう。僕たちは先行するアドバンテージをうまく活かして、よりいいクルマをつくり続けていきたいと思います。
http://response.jp/article/2012/12/14/187115.html
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いろいろな要素はあるけど、やっぱ特許切れが最大の要因じゃないのかな。
特許が切れたからと言ってノウハウとか加工技術とか関連特許とかで直ぐに追いつかれる訳じゃないけど、参入障壁が減る事は確かだよね。その前にどんどん研究投資を進めて先進性を確保して下さいね。
代替技術では性能出しにくいかも知れないけど、制御系の技術革新は早いからどうにかなるかも知れないし、味とか言う方向でセッティングすれば喜んでくれる自動車評論家はぞろぞろ居るよね。(笑)
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トヨタ2013年問題 HV特許切れは危機か機会か 産業部次長 中山淳史
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1301P_T10C12A8000000/
米国ではシェールガス革命が進行しているが、中東へのエネルギー依存状態を変えてしまうかもしれない動きがもう1つ起きつつあるのをご存じだろうか。
それは、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)技術の特許切れだ。実は、節目は来年やってくる。ハイブリッド技術といっても、何十種類と特許は存在するようだが、トヨタ幹部によれば、「最も大きい部分(技術)の特許が2013年中に切れる」という。
シェールガス革命とハイブリッド車。一見、無関係な2つだが、中長期的には世界各国のエネルギー政策や戦略にどちらも大きな影響を与えうる存在だ。例えば、シェールガス革命は天然ガス生産国としての米国やカナダの地位を一気に高めるきっかけをつくったが、ハイブリッド車も、みんなが買えるような状況になれば「リチウム」がとれる国や地域の位置づけを大きく変える可能性がある。
リチウムはハイブリッド車のモーター部分を動かすエネルギー源、すなわちリチウムイオン電池の原料となる資源である。まずはパソコン用の電池として普及が始まり、レアアースと同様、中国産などが使われるケースが多かったようだが、埋蔵量が最も多いと言われているのは実は、南米のアンデス山脈。とりわけアルゼンチンやチリに近いボリビアのウユニ塩湖だ。
ウユニ塩湖は3年ほど前から注目を集め、日本の総合商社ほか、中国、韓国政府がボリビア政府に対し、共同開発を申し入れている。
最近は動きが鈍っていたが、トヨタのハイブリッド特許が切れた後はどうなるだろう。米国や欧州、あるいは韓国の自動車メーカーがこぞってハイブリッド車に参入。市場がにぎわえば、リチウムの権益を目指して各国の政府・企業が再び動き出す可能性がある。
ハイブリッド車は車の燃費効率を高めるのに有効な技術だ。だが、世界で見ると、日本と米国以外で普及している国はあまりない。1つは、ガソリンエンジンにモーターを組み合わせる技術が難しく、トヨタの特許も複雑に入り組んでいるため。このため、「トヨタにライセンス料を支払ってまで」とあえて参入を避けてきたメーカーは、少なくなかった。
今後注目されるのは中国だろう。中国は世界最大のエネルギー消費国となり、ガソリン車からエコカーへの転換を経済政策の根幹に位置づけている。ハイブリッド車技術にはかねて関心を持っており、トヨタにも技術移転を何度か求めてきていた。
一時は自前で電気自動車を普及させ、世界に輸出していこうとした時期もあった。ハイブリッド車はトヨタの技術供与がなければ、中国メーカーには量産ができなかったからだ。
だが、電気自動車も結局はうまく行かず、最近になって再びハイブリッド車、とりわけ家庭の電源で充電できるプラグインハイブリッド車の技術導入に方針転換をしつつあるといわれている。
中国でハイブリッド車に力を入れたいトヨタの働き掛けもあっただろう。だが、中国側にとっては主要な技術でトヨタの特許が切れるとわかったことも大きかったはずだ。米欧メーカーが特許切れの技術で量産を始めれば、従来の提携関係を生かして、中国のメーカーもハイブリッド車の生産をスムーズに始められる可能性が高まる。
もっとも、トヨタの利益も大きい。中国は2030年にかけて世界の3割を占めようかという自動車市場だ。そこにハイブリッド車の市場ができあがれば、米欧勢に出遅れた同国で一気に巻き返せるチャンスが巡ってくる。ハイブリッド車革命は中国以外にももちろん、広がっていく。
米国では最近、シェールガスの大量採取を可能にした掘削技術が「21世紀最大のイノベーション(技術革新)」と言われ始めているという。単に天然ガスの価格が下がったというだけではない。革命を機に、石油メジャーが基礎素材のエチレン工場を建設するなど、製造業の米国回帰を促す効果が大きかったからだ。
日本もうまくすればハイブリッド車革命の恩恵に浴せる可能性がある。ボリビアがリチウムで注目されるなら、日本は一日の長があるハイブリッド車向けの制御技術や材料、ビジネスモデルで新たな成長産業の柱を打ち立てたいものだ。電機業界の再生にもきっとつながるはずである。
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でもライバルは欧州メーカーと言うか欧州連合のバックに居るのはZFとかのメガサプライヤーだよね。
メガサプライヤーがハイブリッドシステム機材を供給するから欧州の全メーカーが類似メカニズムでハイブリッドに参入出来てしまう、って感じかな。
Posted at 2012/12/16 22:56:34 | |
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電気自動車 | 日記