
ロータリーエンジンの宿痾である「半端でなく扁平な燃焼室形状」と「無駄に長いシール長」に起因する問題を解決することの難易度は無茶高いよね。私の個人的意見としては無理だろうな、と思ってる。HCCIとかで解決、とか言ってる人もいるけど、それは実質的には未燃焼成分を抑制する程度しか意義はないんじゃないだろうか。やらんよりはやった方が良いけどさ。
スイフトの前にRX-8に乗ったのも、これが最後のロータリーエンジン(駆動)車になるだろうと思ったから。燃費と耐久性以外は、日常用途であっても乗ると楽しくて、積載性も意外と良くて、子供達には人気もあって、面白い自動車生活を送れる車だったと思う。
で、ロータリーエンジンをEVのレンジエクステンダーに、と言うのはありえるかも知れないけど、それは駆動はモーターだ。EVに乗るのならピュアEVに乗るよ。レンジエクステンダーは遠乗りしない日常用途だと無駄な重さ以外の何物でもないんだからさ。
また、水素ロータリーと言う話もあるけど、燃料電池と同様に水素供給と蓄積の問題はまだまだ大きい。なんと言っても燃料電池に比べると燃費悪すぎだし、コストもタンクや補機が高価だから水素ロータリーエンジンを使っても燃料電池車よりそれほど安くはならない。
いろいろな話はあるだろうけど、燃費を気にせぬスーパースポーツの領域にマツダが進出するとしたら復活はありえるよね。RX-VISIONってそんな車体だしさ。とは言えそんな500馬力超級のスポーツカーの領域ってマツダには似合わないよね。
それにマツダにはもっとカジュアルな領域でのロータリースポーツを提案して欲しいと思うんだ。ロドスタのちょっと上、と言う感じで。
何はともあれ、頑張ってくださいませ。
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ロータリー復活なるか 走りと環境で揺れるマツダ
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO95305750Y5A211C1X11000/
生産終了後もモーターファンをひき付けてやまないロータリーエンジン(RE)が再び日の目を見るかもしれない。マツダは東京モーターショーでRE搭載のコンセプト車を披露した。ここ数年業績は好調で、技術陣は復活に前向きだ。ただ浮沈の激しい過去があるだけに、慎重さを求める声も出ている。
「私たちの描いた将来の夢を形にした」。小飼雅道社長は10月28日、東京モーターショーでRE搭載のコンセプト車「RX―VISION」を披露した。チーターをモチーフにした道路にへばりつくような流線形のデザインは省スペースのREだからこそ実現できた。小飼社長は「FR(後輪駆動)スポーツの究極とも言うべきスタイリングだ」と説明する。
ファンの評価は高い。来場した会社役員の男性(63)は「学生の頃(RE搭載の)『サバンナ』に憧れていたが買えなかった。必ず買う」と興奮気味に話す。床に座り込んでRX―VISIONをじっと見つめていた会社員の男性(35)は「REは特別な存在。新型車が出たら乗ってみたい」と話した。交流サイトのフェイスブックでは発表から一晩で2万件を超す「いいね」がついた。
マツダの技術陣の鼻息は荒い。研究開発を統括する藤原清志常務執行役員は「技術的な課題をクリアする道筋はほぼ見えた」と自信をみせる。REの構造的な弱点である耐久性や環境性能を根本的に解決する技術開発にめどがついたという。
だが小飼社長は慎重な姿勢を崩さない。「強固なビジネス基盤確立のため構造改革に取り組む」と、あえて経営改革が道半ばであることを強調。市販の可能性を問う報道陣に「まだわからない」としか答えなかった。
■業績は好調続く
業績は好調だ。2015年4~9月期の連結営業利益は1259億円と前年同期比21%増。走りと環境性能を磨いた独自技術「スカイアクティブ」や一目でマツダと分かるデザインがヒットし、販売台数は過去最高の76万4千台を記録した。日本政策投資銀行産業調査部の塙賢治課長は「技術を極める戦略が当たり、今のマツダに死角は見当たらない」と話す。
しかしわずか5年前には存続すら危ぶまれていた会社でもある。08年のリーマン・ショック後に販売台数が落ち込み、業績が悪化。09年に約1000億円の公募増資を実施した後、東日本大震災後の円高などで12年に再び1700億円の資金調達を迫られた。
あるマツダ幹部は「まだそんな余裕がある会社じゃない」と話す。一般的に新型車の開発には数百億円かかる。すでにスポーツ車「ロードスター」がある。エコカーブームでスポーツ車市場が縮小するなか、REを市販すれば2車種も展開することになる。同幹部は「期待が高いのは分かるが収益が上がらないことはできない」と言う。
販売現場からも懐疑的な声が上がる。「またマツダの悪い癖が始まった」。ある大手販社の首脳はこう指摘する。「悪い癖」とは業績回復後に投資を広げ、再び危機に陥るという、これまで何度も繰り返してきた失敗の歴史のことだ。
1967年、マツダは世界で初めて量産REを搭載の「コスモスポーツ」を発売した。高出力・低振動の走りに人気が沸騰するとマイクロバスにまでREを広げた。だが73年の石油ショックを機に燃費の悪いREは敬遠され、業績も悪化。「ファミリア」のヒットで乗り切るが、バブル期に販売系列を拡大して過剰投資に苦しみ、米フォード・モーターに支援を求めるなど激しい浮き沈みを経験してきた。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO95305750Y5A211C1X11000/?df=2
■技術がブランド
前出の販社首脳は「REは一部のコアなファンはいるが、大半の顧客のニーズは別にある」と指摘する。そもそも大量に売れる車ではない。稼げない分野に投資して、屋台骨が再び揺らがないか心配する。
12年に生産終了し、最後のREとなった「RX―8」の販売が振るわなかった背景には環境規制とエコカーブームがある。それでも復活を目指すのはなぜか。REをルーツとする走りの技術が今のマツダブランドをつくってきたからだ。
走りと環境の両立についてはエンジンや変速機、ボディーなど一体で技術革新するスカイアクティブに取り組み、ハイブリッドに頼らない低燃費を実現した。小型車「デミオ」のガソリンエンジンの燃費(排気量1.3リットル)は1リットルで24.6キロメートル。全車種平均で08年から30%以上燃費を向上させた。「ビー・ア・ドライバー」のキャッチコピーで展開するブランド広告には、マツダ車を運転する楽しさは人生を楽しくするという意味が込められている。エコカーブームの中で、環境と走りの両方を求める顧客ニーズをつかんできた。
スカイアクティブ第2世代では点火プラグを使わず、自己着火するHCCI(予混合圧縮着火)技術を使ったエンジンを世界で初めて実用化しようとしている。新型REは「スカイアクティブR」と名付けられ、環境規制の壁を乗り越えようと研究開発が進む。実現できればマツダの技術力の象徴として、ブランド価値を一段と向上させるはずだ。
技術主導の経営はもろ刃の剣でもある。スカイアクティブは大きな成功をもたらしたが、一つ間違えば過剰スペックやコスト増を招きかねない。新型REが課題を克服できたとしても、発売すべきかどうか、難しい経営判断を迫られる。
「無借金経営が1つの基準だ」。ある幹部はRE投入の判断についてこう話す。11年3月期末に約3700億円あったマツダの純有利子負債は15年3月期末には約1700億円まで減少。17年3月期には実質無借金になる見込みだ。17年はRE発売50周年に当たる。魅惑のREがマツダを試している。
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■ロータリーエンジン
気筒の中でおむすび型のローター(回転子)を回し、吸気や圧縮、爆発の工程を繰り返して動力を生み出すエンジン。通常のレシプロエンジンに比べ、小型で振動が少なく出力が高い。
マツダが開発したRE搭載のレーシングカーは1991年、ル・マン24時間レースで日本車として初優勝を果たした。一方で燃費性能の低さが課題で、マツダはエコカー人気や環境規制強化を受け2003年発売の「RX―8」を最後に生産を終えた。
Posted at 2015/12/27 23:22:13 | |
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