今日はお休みになったのですが、雨なので、
T50/26ブレーキブースターに発生している問題について
私なりの考察をしたブログを書こうと思います。
まずはブレーキブースターの透視図をば。
これ、左の補助マスターシリンダー内にスプリングが描かれているので、
図自体はT50/24の物なのですが、倍力作用原理自体は(多分…笑)同じです。
これがT50/24/1になると、補助マスターシリンダー内のスプリングが無くなるとともに、
その根元のバルブの構造が変わり、
さらに肝心なT50/26になるとディスクブレーキ対応に伴って倍力作用を強化すべく、
赤枠で囲った部分の中心のバキュームピストンの径が大きくなり、
という事は当然、この図の左側のお椀(バキュームシリンダー)に当たる部分の径も
大きくなっています。
で、このバキュームピストンを境に図中にあるように、
仮に左側をA室、右側をB室という事にすると、
ブレーキが何も作用していない時にはA室にもB室にも負圧が掛かっていて、
簡単に言うと、油圧が作用した時に、中のバルブが切り替わる事で
B室にだけ外気が入り込み、こんな感じに、、、
そのA室とB室の内圧の差でバキュームピストンが左側に移動して、
補助マスターシリンダー内のピストンもそちら側に押される事で、
ブレーキラインに制動の為の倍力された油圧が発生するのですよね。
んで、ブレーキの軽い引き摺りが発生する時には、必ずアイドリングの上昇が伴うので、
先ずは本体のエア吸いを疑ってみた訳ですが、
外側でエア吸いが発生する事が考えられるのは、
主に、一番上の画像中に矢印で示した4ヵ所だろうと思います。
黄色が補助マスターシリンダーとお椀の間の合わせ目、
赤色がバキューム取り出し口とお椀の合わせ目、
緑色がお椀同士の合わせ目、
青色が外気導入フィルター部とお椀との合わせ目です。
ブレーキペダルを踏んでいない状態ではA室もB室も繋がっている状態なので、
そのどこから漏れても、量が多ければアイドリング上昇に繋がるのですが、
ペダルの状況を無視して、ただ、A室、B室が隔てられた状態にあると考えた時には
前述の通り、通常はB室に外気が入り込んだ時に倍力作用が生じる物なので、
常にA室サイドになる黄色と赤色の箇所でエア漏れが生じたとしても、
それが直接の原因で勝手に倍力作用が働くような事はあり得ない筈です。
また、緑色の部分は面接触のシールですから、まず漏れは考えられませんし、
青色の部分は図からだとカシメなのかなんなのかが一寸微妙なのですけれども、
何かのタイミングにだけ、それもアイドリング上昇を伴うほどのエア吸いを生じるとは
一寸考えにくいところなのですよね。
製造販売サイドでは私の取り付けミスを考えていたようですが、
とりあえずここではブレーキブースター単体の取り付けのそれに限って考えてみましょう。
まずは作業の過程で私がお椀のどこかをブチ当てたかなにかで、それを凹ませ、
お椀上のバキュームピストンの摺動面に影響を与えて、
それでバキュームピストンの動きを妨げて引っ掛かってしまう事がある、、、
というのが考えられるかと思うのですが、
この場合、症状が出た時にアイドリング上昇が伴う説明が出来ませんし、
第一、その状態のまま、エンジンを停止させると、
症状が消えてしまう事についても説明が出来ません。
同様に緑色と青色の箇所をどこかにブチ当てて、
それでエア吸いが発生する状況を作っている可能性についても
それならば、常に同じ状況下で発生しなくてはいけませんから、
それもあり得ないように思います。
第一、税込み30万を遥かに超えるような部品を
1度どころか2度までそんな変形させるような無理くりな取り付け方なんて
出来ませんって(笑)。
私的に慎重に行ったと思う、その取り付けに問題があるとするならば、
箱の中に梱包材も入れずにただブレーキブースターをごろんと転がしてあるような状態で
供給・運搬されている方がよほど問題が生じる可能性が高いだろうと思う所です(苦笑)。
では、今度はバキュームピストンを動かす為に切り替えるバルブのお話をしていきましょう。
バキュームピストンの中央部の図解です。
図中で白丸が漂っている所が負圧が掛かっているエリア、
黒丸が漂っている所が大気圧が掛かっているエリアです。
右側の赤色で囲まれた部分の上のFと書いた矢印の先は
先述の外気導入フィルターに繋がっています。
青色で囲まれた部分が私が原因として散々このブログで述べてきている、
外気弁~制御弁ASSY.で、
その外気弁側が右側からスプリングで押されて閉じているので、
大気圧はこれ以上お椀側には入れなくなっています。
一方、バキュームピストンの中央部にはA室とB室を隔てるための膜(オレンジ色)が付いた、
緑色で囲まれた部品があり、これ自身も右側からスプリングで押されており、
その状態下では外気弁~制御弁ASSY.の制御弁側とそれとの間に隙間が出来ているので、
A室にもB室にも負圧が掛かっている状態というわけであります。
んで、お次はこの状態。
ブレーキが踏まれてくると、
マスターシリンダーから補助マスターシリンダーに伝わってきた油圧が
図の左の方から掛かって黒矢印の先のピストンを押すわけですが、
これが先ずは緑色で囲まれた部品を押します。
するとその部品の縁が制御弁(青で囲った部分の左側)に触れます(制御弁が閉じられます)。
ブレーキペダルが踏まれたことによってマスターシリンダーで発生した油圧は
お椀側の根本近くから補助マスターシリンダーに入って、一方はこちらに、
もう一方は補助マスターシリンダーの先端から出てマスターシリンダー先端に戻って、
そこから分散して四輪に伝わるようになっているのですが、
この制御弁が閉じられる時までにかかる油圧は同時に車輪側にも伝わっているのですよね。
つまり、初期制動は
マスターからの油圧だけ(つまりサーボ無し)で掛かっているという事であります。
で、この段階ではA室とB室は隔絶されていますが、
まだどちらにも同じ負圧が掛かっている状態です。
そして次の段階がこちら。
さらにピストンが動くことで、今度は外気弁~制御弁ASSY.が動き出すので、
この図のように外気弁が開き、
その前の段階で制御弁は閉じていますから、B室にのみ外気が流れ込み、
外気弁が開き続ける限り、段々大気圧に近づいていきます。
この時、流入する外気の量によってバキュームピストンの動く量が決まってくるというわけですね。
で、上から2番目の図のように赤で囲った部分の左側の先端が
補助マスターシリンダー内のピストンを左へ押すので、倍力作用の掛かった油圧が
先程書いたようにマスターシリンダー経由で各車輪に伝わるというわけであります。
因みに正常時にブレーキペダルを離す時に一瞬アイドリングが上がりますが、
(元々の空燃比セッティングがエア過多の場合は上がりませんけど)、
これは外気弁が閉じられた後にB室にあったエアが制御弁まで開いた段階で
A室に流れ込み、そのままインマニに流れ込むからなんですよね。
これで判ってもらえたか、またこれで私の理解が足りているのかすら判りませんが(笑)、
とにかく見かけの構造自体は込み入ってはいるんですけど、
その内容的には結構シンプルなものなんですよね。
だから、何が原因かと考えた時に、バキュームピストンを制御している、
この外気弁~制御弁ASSY.に根本的な問題がある位しか考えられないのですよね。
とりあえず要因はおいておいて、具体的には外気弁の気密が悪くて、
そこでエア漏れしているという事なのだろうと思うわけです。
平地での停止時の初期制動状態
(つまりブレーキペダルは踏まれているけど倍力作用が働いていない状態)
又はブレーキペダルを踏んでいない場合に、
この場所でエアを吸っていれば、当然外気がインマニに流れ込みますから、
私のような濃いセッティングだと、アイドリングが大きく上昇するという事になるわけであります。
ただ、ここで問題になるのが制御弁が開いている事でして、
これってA室もB室も同じ圧力下にあるんでないの?という気がするのですが、
全くの抵抗なく、A室からB室に流れ込んでいるわけではなく、
小さな穴を介しての事なのでその両者に微妙な圧の差が生まれ、
それによってバキュームピストンが軽く左方向に動くことで
軽い引き摺りを起こすのだろうなぁと想像しています。
私は流体力学とか全く判っていないのでその辺りを論理的には説明できませんけどね。
また外気弁~制御弁ASSY.を制御しているピストンの
戻りが悪い時がある可能性も考えたのですけれども、
それならば制御弁は閉じている筈なので、アイドリングは上がらないし、
フルにブーストも掛かってしまいますから、
恐らく車にはもっと大きなストッピングパワーが発生してしまうものと思われます。
そんな具合で外気弁の気密の問題であるのだとしたならば、
今度はどういう要因でそれが起こるかという話になってくるのですが、
本来、外気弁~制御弁ASSY.を右から押しているスプリングの力だけで
外気弁が密着しなくてはいけない所を、それが出来ていないのだと思います。
それが外気弁のゴム材質の問題なのか、スプリングの力が弱いのかは
判断のしようがありませんけどね。
で、先日のブログにも書いた通り、今に至って私は
バキュームラインのエア吸いが元であの症状が出ていると思っているわけですが、
一番上の図で説明した通り、赤矢印の所でエア吸いをしても、
バキュームピストンが左方向にに動くように作用はしないわけですから、
それと同じことはバキュームラインのエア吸いでも言えるのですよね。
でもそれとは別の事を考えていまして、
恐らくですが、あのブレーキブースターでは外気弁をピッタリと閉めるのに、
お椀の中に発生する負圧がある程度必要になってしまっていて、
それが一定以下の値に落ちた時に外気弁を閉め切らなくなるのではないか、
と思っています。
これで思い出したのがW196の300SLRのデスモトロミックバルブでした。
バルブスプリングを用いずに機械的にバルブを閉じてやる機構なのですけれども、
この場合、熱膨張によるバルブの折損を防ぐ為に
カムシャフトはギリギリのところまでバルブを閉じてやるようにしてあり、
最後の所はシリンダー内のガス圧で閉まるようになっていたのだそうです。
故意にそうしているかしていないかの差はありますけれども、
その場合だって、高い圧力があるからこそ達成出来る話なので、
同じような事が意図せずに起こっているのかなぁ、、、なんて思ったりしたのですよね。
それから、極端な事を言うと、
負圧ゼロの場合、外気弁は100%密着しないのでは?と思っています。
以前、試運転に行った時に途中で引き摺りではない方の症状が出て、
念の為、ノンサーボ化キットぉ~Vol.1を装着して帰って来た時がありましたが、
後日、それを外して配管を元に戻し、もう一度試運転に出かけようとしたら、
最初からブレーキの引き摺りが生じていて、それもブログに書いてあったと思いますが、
その時はハッキリそうとは思わなかったものの、
エア吸い要因?と強く思い出してからは、
負圧ゼロの時には確実にそうなってしまうのかも?と思うに至ったのですよね。
それはともかくとして、とにかくブレーキを踏み込んだ後に必ず症状が出る事、
ブレーキを強く踏み込んで正常に戻ったことがあることなどから考えても
この外気弁の密着性の悪さから問題が生じている事は
ほぼ間違いないだろうと思う所なのですよね。
で、ここでまた考えなくてはいけない事はそれが私の取り付けや
他の部品の影響からそのような事になる可能性の事ですよね。
いずれにしても油圧が掛かって弁が動くことからすると影響するのは
ペダル踏力によって油圧を発生させるマスターシリンダーしか考えにくいところですよね。
取り付け上問題になる事と言えば、ペダルクリアランスがマイナスになっている事位なもので、
それは何度も確認しているから間違いないし、
その取り付け時に何かをぶっ壊すなどという事も考えにくいですから、
先ず問題はないと思われます。
例えばマスターシリンダーで発生した油圧が
何らかの要因で落ちないようなことがあったとしても、
前述の補助マスターシリンダー内のバルブの戻りが悪い事を疑った話のように
外気弁は開きっ放しにはなるかもしれませんが、
その前に制御弁が閉じている為、アイドリング上昇しない筈なのでこれもあり得ません。
第一、そんな状態があるならば、
今のノンサーボ化キットぉ~Vol.2装着状態でもブレーキの引き摺りを引き起こす筈ですが、
そういう傾向は皆無ですからね。
後は(そんなことがありうるかは私にはわかりませんが)油圧が掛かり過ぎて
この辺りの機構がぶっ壊れたって話になるかと思うのですが、
少なくとも品番上とマスターシリンダー上の数字から
このブレーキブースターに対応したマスターシリンダーなのは間違いないので、
少なくとも私自身には責任は無し。
尤も、マスターシリンダー上の数字が問題なくて
中身のピストンの規格が違うなんて事もまずありえないでしょうから、
恐らくこれに問題あること自体が考えられないだろうと思うんですよね。
これで一通り、ブレーキの引き摺りについての考察は終わったのですが、
もう一つの症状があったを忘れていました。
上り坂で強めにブレーキを踏み込んでいると、アイドリングが上昇する件ですね。
これは本来は強く踏んでいるから、元々外気弁が開いているべき領域なのですが、
その領域では制御弁は閉じていなくてはなりませんから、
アイドリングが上昇するのは制御弁の気密の問題と考えるのが妥当だろうと思います。
ただ、これがエア吸いに関連しているかは一寸判りません。
外気弁~制御弁ASSY.を考えた時に外気弁の気密不良がその傾きなどの問題であるならば、
制御弁を押す時にその気密が保たれない形になる事は十分考えられるとは思うので、
関連があるかも?とは思っています。
1個目のブレーキブースターは症状が出てすぐ外しちゃいましたから、
その症状は確認出来ていませんでした。
そして2個目のそれでは引き摺りの症状が出て、そのままの状態で暫く放置した後、
構造を考えてペダルを思い切り踏み込んだら
その踏んでいる間はアイドルが落ちるだろうと思ってやったところ、
確かにその通りになって、それからそのまま正常復帰したけれども、
今度は2~30キロ走行するとその第二の症状が出るという感じだったのですよね。
これ、最初の外気弁の開放が外気弁~制御弁ASSY.が傾いていて生じた物と仮定するならば、
放置していた時に制御弁のゴム側がどこかに接触していた事も考えられるので、
その状態で暫く放置したせいでそこに何らかの跡がついていて、
エンジンルーム内の温度が上がってくると、
そこからエア漏れが発生してくるとかなのかな?なんて風にも想像していました。
この辺りはあまり自信をもってこうだ、という話は出来ませんけれども、
制御弁のなんらかの異常であることは間違いなかろうという所であります。
というように以上のように考えて行った上で、
やはりブレーキブースターに問題があったのだろう、、、と私は判断したわけであります。
クラシックセンターでは
対応してくださったお二人の立ち位置(現場の人間か窓口業務のみの人間か)が判らないので
どうか判りませんけれども、
これの製作にあたった、パーツサプライヤー(マニュファクチュア?)では
この辺の構造は熟知している筈ですし、
しかもSさんを通じて私に対して寄こされた質問は的確(って、どっから目線や…笑)
かつ専門的でしたので、
物を見なくとも、話だけできっと同じような見解に至っているだろうと思うのですけどねぇ…。
どうか私の妄想が当たって、
今度来る第3のブレーキブースターがその問題点をクリアしている物でありますように…。