「イプシロンS」燃焼試験で異常発生 けが人なし 秋田 能代
2023年7月14日 12時28分
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14日午前、秋田県能代市で行われた日本の固体燃料式の小型ロケット「イプシロン」の改良型、「イプシロンS」の燃焼試験の途中で異常が発生し、爆発音とともに炎が上がりました。JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、点火から57秒後に燃焼異常が発生したということで警察によりますと、けが人はいないということです。
「イプシロンS」は、日本の主力ロケットのひとつで、これまで運用されてきた固体燃料式の小型ロケット「イプシロン」の改良型としてJAXAが開発を進めていて、来年度に初号機の打ち上げが計画されています。
秋田県能代市にあるJAXA能代ロケット実験場で、14日午前9時から「イプシロンS」のエンジン部分にあたる二段目のロケットの燃焼試験が、行われました。
600メートルほど離れた場所から取材していたNHKの記者によりますと、試験の開始直後は、炎と共に煙が勢いよく噴射しましたが、およそ1分後にボンという爆発音が聞こえて、施設の一部が吹き飛びました。
そのあと、炎と黒い煙が上空に上がったということです。
JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、燃焼試験は2分間の予定でしたが、点火から57秒後に燃焼異常が発生したということです。
消防が消火にあたり、およそ2時間後に火は消し止められ、警察によりますと、これまでにけが人の情報はないということです。
「イプシロンS」ロケットとは
「イプシロンS」ロケットは日本の主力ロケットのひとつで、JAXAとIHIエアロスペースが開発中の小型ロケットです。
2013年から去年まで運用された小型ロケット「イプシロン」を改良した、全長およそ27メートルの固体燃料を使う3段式のロケットです。
打ち上げ能力が向上し、「イプシロン」と比べて200キロほど高い、高さ700キロ付近まで人工衛星を運ぶことができます。
小型衛星の打ち上げの需要が国内外で高まる中、ロケットの打ち上げビジネスで海外に対抗することを目指していて、初号機はベトナムの地球観測衛星を載せ、来年度打ち上げられる予定です。
これまでに1段目と3段目のロケットの燃焼試験などが行われていて、今回は2段目のロケットを横倒しにした状態で2分間の燃焼を行い、その間に、着火や燃焼の特性のほか、ノズル部分や断熱材の性能、それに、振動や衝撃などのデータを測定することが目的でした。
「イプシロンS」の前身にあたる「イプシロン」をめぐっては2013年に初号機が打ち上げ中止になり、そのあと、5号機までは成功したものの、去年10月、最終号機となった6号機が打ち上げに失敗していました。
今回の燃焼試験の結果で、「イプシロンS」の開発に遅れが出ることが懸念されます。
近くで見ていた人「今までと違うことが起きている」
神奈川県から小学3年生の娘と訪れていた40代の女性は、「ボンという爆発音がして今までと違うことが起きていると思いました。おそらく失敗かもしれませんが諦めずにロケットを完成させてほしいです」と話していました。
松野官房長官「さらなる情報収集に努めている」
松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「『イプシロンS』ロケットの2段モーターの燃焼試験を行っていたところ、着火後に爆発が生じたと承知している。現時点で人的被害に関する報告は入っていないと聞いているが、現場の状況を含め文部科学省でさらなる情報収集に努めている」と述べました。
永岡文科相「影響などを精査」
永岡文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「燃焼実験はあらかじめ実験管理をされた立ち入り規制エリア内において実施されており、現時点で人的被害の情報は入っていないが、引き続き情報収集を進めたい。研究開発の途中での爆発ということなので、まず影響などの精査をしていく」と述べました。
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Posted at
2023/07/14 12:37:33