シャープ テレビ向け液晶パネル 大阪の工場での生産停止を発表
2024年5月14日 17時55分
「シャープ」は、不振が続いているテレビ向けの大型液晶パネルについて、大阪 堺市の工場での生産を、ことし9月末までに停止することを明らかにしました。スマートフォン向けなどの中小型の液晶パネルの生産も縮小し、業績の立て直しを急ぐ考えです。
シャープは14日、今後の経営方針について発表し、大阪 堺市にある子会社、SDP=「堺ディスプレイプロダクト」の工場で手がけているテレビ向けの大型液晶パネルの生産を、ことし9月末までに終了するとしています。
SDPをめぐっては、シャープが株式の一部を親会社のホンハイ側に売却したものの、2022年に再び株式を取得し、完全子会社化していました。
ただ、中国や韓国のメーカーとの競争の激化に加え、コロナ禍での買い替え需要の一巡などを背景に業績の不振が続く中、会社は、原材料価格や人件費の上昇などで損失がさらに拡大するおそれもあるとして、生産停止に踏み切った形です。
また、パソコンやスマートフォン向けの中小型の液晶パネル事業についても、足元で業績が急激に悪化していることから、三重県の工場の生産能力の縮小などによって固定費の削減を進めるとしています。
合わせて、シャープが発表した昨年度1年間の決算では、中小型の液晶パネル事業の採算悪化を踏まえて多額の損失を計上したことなどから、1499億円の最終赤字となりました。最終赤字となるのは2期連続です。
一方、今年度の業績については、最終損益が50億円の黒字になるという見通しを示しました。
シャープの呉柏勲社長兼CEOは、決算会見で「SDPは連結子会社化後の市場の変化により、当初の再生計画の遂行が困難になったことから、今年度上期中に大型ディスプレイの生産を停止することを決定した」と述べました。
「生産に関する人員は早期退職を募集」
呉社長兼CEOは、14日の会見で、SDPの工場をAIデータセンターなどに転用することを明らかにした上で、「生産に関する人員については早期退職を募集することになる。一方で、将来のトランスフォーメーションに必要な人材は配置転換を検討している」と述べました。
シャープによりますと、SDPではおよそ800人の従業員が働いています。
「『負のサイクル』からの脱却を図り 黒字化成し遂げたい」
また、呉社長兼CEOは「液晶パネルなどの『デバイス事業』では、工場への投資などが十分に行えず、徐々に競争力が低下して業績が低迷してきた。その一方、堅実に業績を上げている家電などの『ブランド事業』も、将来の成長に向けて十分な手を打つことができないという『負のサイクル』に陥っている。ブランド事業を中心とした事業構造を確立して、この『負のサイクル』からの脱却を図り、今年度こそ黒字化を成し遂げたい」と述べました。
シャープの液晶事業 2004年~「世界の亀山モデル」ブランド確立
シャープの液晶事業が注目を集めたのが、2004年に三重県の亀山工場で初めて出荷された液晶テレビでした。
亀山工場を前面に出す販売戦略で、「世界の亀山モデル」としてのブランドを確立しました。
シャープはその後も液晶パネル工場への大規模な投資を続け、2009年には大阪 堺市に4300億円を投じた、当時としては世界最大の液晶パネル工場が稼働します。
これが今のSDP=堺ディスプレイプロダクトが運営する工場で、当初は雇用の確保や地元企業との取り引きなど、地域経済の活性化への貢献が大きく期待されました。
しかし、韓国メーカーなどとの競争が激しくなり、採算が悪化していきます。
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2024/05/14 19:57:37