~最高のデザインを手に入れたアテンザ~
今回はアテンザ納車1ヶ月目前ということで、特別に自分の車であるアテンザのディーゼルMTグレードのレポートを載せます。一切ひいき目無し、今まで試乗してきた車と同じ目線で評価していきます。
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◆試乗車情報◆
車種:アテンザ
グレード:XD-Lパッケージ
排気量:2200cc
ミッション:6MT
車両重量:1490㎏
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◆エクステリアデザイン◆
ディーゼルばかりが目立って話題に上るアテンザですが、その外観も非常に高い評価を受けています。まず第一印象は、数値ほどの大きさを感じないという点です。そしてFFのセダンらしからぬ長いボンネットと、シャープなリアデザイン、そしてフロントフェンダーの張りが特徴的です。とにかく全体的なバランスが非常に優れていて、保守的なデザインの多いセダンの中では個性の強いデザインとなっています。若い層に敬遠されがちなセダンですが、アテンザにおいてはどの世代から支持されるデザインで、カラーもイメージカラーのソウルレッドプレミアムメタリックをはじめ、これまたセダンとしては珍しく定番カラーから鮮やかな色、個性的な色まで揃っています。ただ、ボディ形状、カラーともに、実車を直接見ないとその良さが伝わらない典型的な車種で、カタログや写真ではアテンザのデザインは評価できません。国産セダンというカテゴリでは近年でも稀に見るデザインです。
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◆インテリアデザイン◆
内装は意外にも無難にまとめてきているのがアテンザの面白いところ。はっきり言って、この外観を好む人には保守的すぎるのではないかというくらいシンプルなデザインになっています。悪く言うと先進性が全く感じられない車内です。そのかわり、好き嫌いはそれほど分かれない、飽きのこない内装とも言えます。ソフトパッドを多用していて質感は非常に高いので、もう少しデザイン面で目を引くものがあるとさらに良い車になると思います。メーターは前のモデルで賛否両論あった青や赤を多用したメーターから一転、白一色の文字盤になりました。これはこれでまた賛否両論起こるところですが、個人的には差し色で青くらいがあってもいいのかなと感じます。とにかくアテンザはメリハリの利いたエクステリアデザインに対して、真逆のインテリアを持っています。ただ、外観同様、内装も写真よりも実際実車を見ると質感は高いので、それほどガッカリするような内装ではありません。サンバイザーや収納スペースなど細かい点ではまだ荒削りな部分があり、改善の余地は残っていますが、平均レベルには達していると思います。
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◆動力性能◆
ディーゼルのアテンザの動力性能において最も目を引くのがその最大トルク。瞬発力こそ排気量相応ですが、力強さという点ではかなりのポテンシャルを持っています。山道などの登坂はもちろんですが、高架橋などの坂でもガソリン車との違いを明白に感じることができます。たいていの坂であればその車重からは考えられないくらい力強く上っていきます。表現が難しいですが、車重があるので軽快に上るというのではなく、底知れぬパワーで余裕を見せながら上っていくという感じです。坂の途中で停車し、そこから加速するなどという場面でもグイグイと押し出すような力強い加速を見せます。それも2000回転で最大トルクを発揮するため、タコメーターを見ていると、ガソリン車では考えられない針の位置とパワーの相関関係で、慣れないと気持ちが悪いくらい不思議な感覚になります。2000回転前後で非常に高いポテンシャルを発揮するディーゼルエンジンなので、0~100㎞/hまでの常用速度域での加速、再加速、登坂においては全く不満のない動力性能となっています。唯一気になる点を挙げるとすれば、MT車の場合、アイドリングストップのレスポンスやタイミングが悪いところ。右折待ちや渋滞などで、エンジンが止まった瞬間にクラッチを踏んで再始動させようとすると、1秒弱のタイムラグがあり、その間ギアを繋ごうと思っても、エンジンの再始動が間に合わないことがあります。マツダのMTという性格を考えると、こちらは今後、再始動をさらに早く、走りやすい人馬一体のMT仕様のアイドリングストップにしてほしいところ。
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◆ステアリング・足回り◆
ステアリングフィールは軽すぎず重すぎず、このクラスのセダンとしてはどちらかというと重めな印象。車幅やホイールベースが大きいので、特段俊敏なステアリングではないものの、そのサイズを考えたら十分動きの良さを見せるステアリングフィールになっている。思い通りの素直な動きをするという点ではマツダらしいステアリングに仕上げられている。また、MTのクラッチは踏みしろは深めで、重さは平均的な重さよりもわずかに重いという程度、ほぼ平均的な反発力になっている。細かく言うと、踏み始めにやや重さを感じ、それ以降はスッと奥まで踏み込めるような感覚。また、クラッチペダルには動力機関の振動が伝わってきて、いかにも“運転している”、“MTを操作している”、“動力が伝わっている”という感覚になれる。シフトフィーリングはしっかりとした重さがある中で非常に優れた操作性も兼ね備えた絶妙なフィーリングに仕上がっています。ただスポーティーなフィーリングではありません。そこはセダンらしい扱いやすさのジェントルなシフトフィーリングです。足回りは嫌みのない心地よい硬さで、クラウンアスリートに近いが、それよりも軽快なフットワークといった感じの足回り。重心の低さもあり、カーブも安定して曲がっていきます。ただし、サイズゆえに小回りは利かないので、キツいコーナーなどはあまり得意ではありません。ロールに関しては、同サイズのアコードハイブリッドと比べるとアテンザの方が抑えられている。
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◆居住性・静粛性◆
居住性は当然ながらゆったりできるサイズが前席後席ともに確保されています。トランクルームも非常に奥行きがあり、さらにトランクスルーにもなるため、セダンとしては文句なしの積載量となっています。シートはしっかりとしたやや硬めもので、マツダらしい運転しやすいシートとなっています。長時間の運転でも疲れることのないシートです。そしてディーゼルでよく議論になるアテンザのディーゼルは静かか否かという点ですが、音は静かです。問題は静かかうるさいかではなく、耳に入ってくるディーゼルエンジンの音が好きか嫌いかの問題。アクセルを軽く操作している時に独特なディーゼルエンジンの音が聞こえてはくるものの、基本的に巡航している際はほとんど気になりません。走り出しのわずかな時間や再加速の瞬間にその音が車内に入ってきますが、この音が嫌いでなければ静粛性に関しては不満がでるレベルではありません。エンジンの音は賛否両論あるものの、車そのものの静粛性能は非常に高い車です。非常に大音量なホーンを鳴らしても、車内には小さい音しか入ってきません。エンジンルームはもちろんのこと、グローブボックス裏や各所に遮音材が多用されており、相当静粛性能は高められていると思われます。
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◆総評◆
アテンザは美味しいところ全部集めました的な車です。セダンとワゴンとが選べ、ガソリンとディーゼルとが選べ、ATとMTとが選べ、自分に合った仕様をチョイスできます。その中でディーゼルとMTの組み合わせは最もコアな層を受け持つグレードです。しかしながら、MTは低回転からその実力を発揮するディーゼルには最高の組み合わせで、エンジンの最も効率の良い部分を常に選択できるというメリットがあります。常用速度域では1000回転ほどで楽々走れてしまうため、静粛性にも一役買い、低燃費で走れる一石二鳥の仕様です。エコでパワフルで、デザインも走りも良い、それがディーゼルのアテンザの特徴です。ボディだけでなく、エンジンも最高のデザインを手に入れたアテンザ、非常に高いバランスで構成された至極の国産セダンとなっています。
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◆5段階評価◆
エクステリア:★★★★★
インテリア:★★★
動力性能:★★★★
足回り:★★★
静粛性:★★★
コストパフォーマンス:★★★★★
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試乗レポート | クルマ
Posted at
2014/01/13 00:55:42