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2023年02月25日

VGによる燃費検証から学ぶMX-30の知られざる空力的工夫

VGによる燃費検証から学ぶMX-30の知られざる空力的工夫
MX-30のアチコチにボルテックスジェネレータ(VG)を装着し、燃費改善効果を検証して遊びました。
結果は整備手帳に記載の通り、期待していたような劇的な効果は得られませんでした。




みんカラ諸先輩の輝かしい成果と比べイマイチなこの結果に疑念を抱き色々調べてみると、どうもMX-30のアチコチに施されている空力的な工夫が原因ではないかと思い至りました。

専門家でも何でもないニワカ雑魚素人の考察につき、話半分でお聞き下さいませ。



MX-30の見た目は他マツダ車の流麗な鼓動デザインと比べると些かずんぐりした印象を受け、空力が悪そうなイメージを抱いておりました。




それに対し同クラスSUVにおいて世界トップクラスの空力性能を誇るCX-30。





私が勝手に空力悪そうなイメージを抱いていたMX-30ですが、優秀なCX-30とシャシーを共にする兄弟車であり、実は要所要所で兄と同じ工夫が施され、さらには兄に無いオリジナルの工夫も見受けられ、兄ほどとはいかずともそれなりの空力特性になっていたのでした。(どっちが兄かは諸説あり)





以下、MX-30の空力的工夫とボルテックスジェネレータ(VG)との関連性の考察です。


【ドアミラー】

車体から横に飛び出ているこのパーツ、風切り音にフォーカスされがちですが燃費的にも影響しやすいパーツで、VG施工の定番箇所です。今回MX-30のドアミラーの上下左右にVGを貼ってみましたが有意な効果は見られませんでした。




何故か。それはマツダ第7世代商品群のドアミラー形状に施された空力的工夫にあると思われます。

左が第6世代、右が第7世代

マツダ技報によると第7世代のドアミラーは、ミラー後方の空気の速度を上下左右均等になるようにデザインすることで巻き込みを低減しているとのこと。
このデザインにVGを追加するとせっかくの上下左右均等というコンセプトが崩れ、VGによるプラス効果が相殺されると推測します。



【フロントタイヤ周り】

フロントタイヤハウス前側にVGを貼り、タイヤハウス内への空気の乱入防止を目論みましたが燃費改善効果無し。それどころか直進安定性が低下したように感じました。

その謎の答えもマツダ技報に。


フロントフェンダーの穴から取り込んだ空気をタイヤハウス外側に流すことでエアカーテンを張り、タイヤハウス内への空気の乱入を防ぐ設計になっています。
VGを貼らずともタイヤハウス周りの整流はなされていたということ。


【ルーフスポイラー】

屋根沿いに流れてきた空気がリアウインド付近で剥離し、大きな巻き込みが発生するこの場所も鉄板のVG施工箇所ですが、MX-30には効果無し。

調べてみると、MX-30のルーフスポイラーはほんのちょっと跳ね上がった形状になっており、これが空気の巻き込みを低減していたようです。

この記事を見るまでダックテール形状である事に気付きませんでした。それほど微妙な反り。
全体のデザインに影響を与えず、でも空力はちゃんと考えられている、心憎い工夫です。



【テールランプ】

最近のトヨタ車には必ずと言っていいほどテールランプにVGがついているド定番の施工箇所ですが、やはりMX-30には効果無し。
その理由はMX-30リアデザインのアイコンとも呼べる筒型のテールランプにあり。




テールランプの上から流れてきた空気と横からの空気を、このシリンダー形状で上手いことアレを何とかするナンタラ効果で整流させているようです。
詳しい理屈は分かりませんが、こんなイメージでしょうか↓


ここにVGを貼ってしまうと、筒型形状の利点を台無しにしてしまいそうですね。

この筒型テールランプ、お気に入りのデザインの一つですが、よもやこの特徴的な可愛らしい形状にそのような秘密が隠されていたとは・・・開発者の方々の創意工夫にはつくづく頭が下がります。


【リアフェンダー】

車体下を流れてきた空気がリアで空気の渦を作ります。如何に車体から離れた位置に渦をズラすかが燃費を左右するということで人気のVG施工箇所ですが、MX-30には糠に釘。

またまたマツダ技報より。


リアサス付近にカバーを配置し整流。
またマフラーサイレンサーは平らな形状で整流板の役割も兼ねている。
さらにサイレンサー表面に溝をつけて整流効果を増進。
さらにさらにサイレンサー後端にフィンを設けて整流という念の入れよう。




【リアピラー】

車体サイドを流れてきた空気がリアで境界剥離を起こすということで話題沸騰の施工箇所。ここだけは辛うじてMX-30にも効果が現れましたが、やはりここにもデザインと空力を両立させた工夫が。



上図矢印の辺りにわずかな折り目が施されており、これが空気の巻き込みに効いているんだそうな。これみよがしな形状は避けつつの空力的デザイン。そこに痺れ(以下略)。
一応VG施工による燃費改善は見られたものの、著しく景観を損なうため結局取り外しました。デザインと性能の両立の難しさを知り、改めて開発陣の情熱に胸を打たれました。



【その他、私見邪推】

ここからは記事や技報に見当たらない、完全に私の憶測の領域になりますが、他にもリアアンダー付近で空力的工夫と思われる造形がMX-30にありました。

↓の写真はリアフェンダーを地面から見上げた様子です。


矢印が示すパーツは小さな樹脂製の板で、板の裏は何もありません。機械が設置されているわけでもないことから、何らかの空力効果を狙ったパーツ、フェンダー裏側の空間に入り込んだ空気をイイ感じにホニャララするためのパーツと思われます。資料が見つからず全くの想像に過ぎませんが。四角く空けた穴の数々も意味有りげです。


また、フェンダーに刻まれた溝もよくよく考えると怪しい。



これまではただのデザインだろうと見過ごしていましたが、よくよく見ると意味有り気に思えます。

①の反射板の溝。反射板をつけるだけならここまで横に溝を延ばす必要はない。そういう意匠と言えばそれまでですが、横から来た空気の境界剥離を防止する狙いがあるようにみえます。

②の水平に長く伸びた溝、および③の四角い溝も怪しい。下から上がってきた空気に対して何らかの整流効果を狙っていそう。溝の中をよくよく観察すると、中には細かなギザギザが刻まれており、これはゴルフボールのディンプルのような小渦発生を意図しての造形と思われます。


またフロントの方にもこっそりボルテックスジェネレータ的な構造物がデフォルトセッティングされており、下腹部に対する異常なまでの執着が窺い知れます。




↓画像は運転席横から前方を見た様子。


矢印の箇所、ボンネットの立体的造形がサイドに流れて来て、Aピラー付近でスパっと切り落とされた意匠になっています。違和感は無いですが、他にデザイン的選択肢はあったはずなのになぜ?
もうお分かりですね。そう、これはボルテックスをジェネレートするためにわざとこのような意匠にしているに違いありません!
このパーツだけ見てもそんな発想には至りませんが、前述した工夫の数々を知ると、これもそうなのかと思えてなりません。




【まとめ】

以上のように、MX-30には元々隠された空力的工夫が施されており、中途半端なVG施工はそれら工夫を打ち消し、効果が薄いのだと結論付けました。


MX-30にボルテックスジェネレータ


もっと厳密にミリ単位で取り付け位置を変えれば、あるいは効果が出てくるかもしれません。しかし調べるうちに知る事となったデザインに隠された空力工夫の数々。それらを実装するまでの開発者皆様の創意工夫や怨念ともいえる情熱。それらを無碍にしてまでVGを貼るのは、この車のコンセプトに相応しくないと思い至り、VG遊びはこれにて終了とさせていただきます。


【所感】

MX-30開発主査のお方が仰られていました。
「MX-30は技術面をアピールしない。心地よい空間、心地よい走り、心潤うデザイン、そういった感性に響く車、がコンセプトなので」
「でも実は走行性能もかなり拘っていて、新技術・独自技術が採用され随所に散りばめられているんです」


この宣伝方針を知った当時は心配しました。優れたポイントをお客様に伝えないなんてもったいない、と。
憂慮は現実のものとなったか、MX-30の販売台数は鳴かず飛ばず。

MX-30に施された数々の工夫。
それを自然なデザインとして成立させ、車のコンセプトと喧嘩させない巧妙な設計。
それを敢えて言わない昔気質の職人的な心意気。
今回のVG遊びを通じてそれらを知るにつれ、MX-30が尚素敵な車であると思えてくるのです。
また最初から宣伝文句として知らされていたら、この気持ちはもう少し薄かったと思い、開発主査の方針に改めて敬意を覚え、愛着が追加されるのでした。

こうした「でも実は!」が詰まったマニアックな特性を鑑みるに、MX-30という車は20年後くらいに隠れた名車になる可能性を秘めているのではと少しだけ期待しつつ、他の車に隠された思いにも触れてみたい気持ちも強まる今日この頃。

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Posted at 2023/02/25 16:59:48

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この記事へのコメント

2023年2月26日 0:26
素敵な記事でした。

基本的には、EVベースの最高速140km/hを狙ったデザインなので、ずんぐりしていますが、やることは、ちゃんとやってるんですね。

技報見ると、いろいろ書いてあっておもしろいですが、マツダは、伝え方が下手ですよね。

コメントへの返答
2023年2月26日 9:59
素敵というお言葉、大変嬉しく頂戴いたしました。
記事を通してMX-30への愛着が少しでも増えたら幸いです。

人に何かを伝えるというのは大変難しく、それが価値や感性の分野になると尚更ですね。広告代理業の虚業とも呼べるほどの趨勢もあるいは納得。

2023年2月26日 20:16
こんばんは😄

後半のサウザーで一気に 全て持っていかれます(^◇^;)
北斗の拳ネタは リアル世代なのでズルいです(笑
コメントへの返答
2023年2月27日 0:18
北斗ネタに反応いただき喜び半分、安堵半分。

みんカラユーザーの年齢層を考え刺さると予想しコツコツ仕込んだネタではありますが、皆さん反応薄く、お付き合い頂いたのはこれまでわずかお一方のみという結果に、もはや愛など要らぬと自暴自棄、果てはみんカラユーザーはサンデーマガジンが多数派なのでは?次回はMMRネタで攻めようと迷走しておりましたが、狛いぬ様にお喜びいただけて一安心です。

2023年2月27日 15:06
荒胃荒さま
こんにちは。
研究肌、好奇心に探求心、理路整然な知徳、そしてユーモア。
これらは一子相伝でしょうか、お見逸れ致します。

外伝ジャギ氏(20)を一睨みでまずは落ち着かせ、さらには強烈な豪拳を静かに受け流す様は静水の如くな柔の拳を彷彿とさせ、まるでトキ殿(23)を厳しく鍛錬しているようにも見えてきましたが、今般の結果を受けサウザー殿(26)が次に戦う相手が誰なのか、今後の成り行きを注視したいと存じます。

コメントへの返答
2023年2月27日 18:48
ドライブへ行こう様 こんばんは

もったいないお言葉、恐縮です。
左様な素養が私にあるとすれば、それはこれまで私と良い関わりをもって頂いた人々の影響であることは間違いなく、心の中に息づく強敵(とも)たちの技をマルパクリする一子相伝伝承者のチート能力を当時はズルいと笑い飛ばしていましたが、こうして今振り返ると作者(武論尊先生か哲夫先生かわかりませんが)も同様に周囲の人々からの影響を感じたからこそのストーリー展開だったのだと思います。

ジャギ、サウザーとくれば次はやはり大御所の牙一族でご期待に添えたいと思います(嘘
2023年3月1日 15:47
き…きかぬ
きかぬのだ!!
コメントへの返答
2023年3月1日 16:47
お付き合いありがとうございます
そのネタは整備手帳の方で使ってしまいましたー
わぁおーーん(族長悲しみの咆哮
2023年3月2日 13:52
しまった…

荒胃荒さんがブログ内で使いやすい名台詞を網羅しすぎたがゆえに、いい感じのセリフ引用コメントを思いつかず控えていましたが…


わかりやすい引用ネタを思いついても敢えて使わずに網を張っておくと、私のような粗忽者が「よっしゃいいネタコメント思いついた!」とか思って書き込んでくるでしょう。

隙のある女が男を虜にするように…知らんけど
コメントへの返答
2023年3月2日 16:30
なるほど!
調子に乗ってネタを散りばめ過ぎてしまったが故、乗っかりづらくしてしまっていたのですね。
このリハクの目を持ってしても・・・ってスグにネタをぶち込む余裕のなさがよろしくないと。

敢えて隙を作り獲物を誘い込む手法、勉強になります。

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何シテル?   04/26 09:37
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