
箱根ではないですが、ほぼ一日おきに御殿場周辺に出かけてクルマに乗るという作業、まだ続いています。
昨日の月曜日は、須走りのオーベルジュ・ブランシュに出掛けて、Eクラスクーペを中心とするメルセデス・ベンツの試乗会にいってきました。
そこで最初に乗ったのが写真の3.5リッターV6搭載、E350クーペでした。
MBJ広報の I さんによれば、EクラスのクーペというのはW124以来14年ぶりなんだそうですね、意外にも。
で、E350クーペ、走り出してすぐに頭に浮かんだのは、<癒しのクーペ>というフレーズでした。
フィールは充分にあるけれど操舵力の軽いステアリング、あくまで当たりの柔らかいサスペンション、あまり騒ぎ立てずに充分なパワーを生み出すエンジン、高速でも安心感たっぷりの直進性、シレッとしているけれど猛烈に素直で思いのままに曲がるハンドリング、それにイザとなれば大人が4人乗れる居住空間・・・。
そういった、各時代のメルセデスのミドルクラスクーペが備えていた基本的要件のすべてを、E350クーペは現代的なレベルで見事に備えていたんですね。
最近はどのメーカーも、顧客層の若返りを果たそうと必死の様子ですが、メルセデスのクーペなんていうものはその昔、それなりに品のいい中年もしくは初老の親爺が、長年連れ添った奥方に違いないといった年格好のご婦人を横に乗せて走ったり、あるいは娘にしては顔が似てないけど一体あれは誰、といったルックスの若い女性を乗せて走ったりするのが似合うクルマで、しかもそれは日本だけでなくカリフォルニアあたりでもそうだったという記憶があるのですが、僕は今回のE350クーペにもそういった伝統的メルセデスクーペのイメージを感じ取ったのでありました。
ま、この新型クーペはスタイリングは必ずしも中年もしくは初老向きとはいえませんが、その癒しに満ちた乗り味には、まさに伝統的メルセデスクーペのそれが感じ取れたのであります。
一方、5.5リッターV8エンジン搭載のE550クーペは、E350とはまったく違うキャラクターを持っていて、いわば“アグレッシブ”を前面に押し出したクルマなので、ドライビングしても<癒し>はほとんど感じられません。
そういう意味では、伝統的メルセデスクーペの本道からは外れたクルマといえるかもしれませんが、これはこれでE350クーペのユーザーよりもっとアブラギッシュな人たちが乗ると似合う、むしろマッチョ系のクーペなんじゃないかと思いました。
というわけで、普段はもうちょい地味な色のE350クーペのステアリングを握って癒されながらの移動を愉しみ、週末にはガレージに収めた356カレラGS/GT、もしくはスピードスターなんかを引っ張り出して硬派なヒストリックカー爺に変身なんていうのも悪くないなと、E350クーペに乗って思ったのですが、モータージャーナリストなんていう仕事を生業としている限りそんな贅沢はできないだろうなと、ふと我に返ったスポーツカー親爺でありました。
Posted at 2009/08/11 21:41:38 | |
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