
オースティン・ヒーリー・スプライト・マークⅡ、最後にもうひとつ別の姿をお見せしましょう。
これ、前回のアップとボディカラー以外は同じスプライト・マークⅡで、ホイールとタイヤなんかも同じ標準品を履いていますが、けっこう雰囲気が違いませんか。
いかにも軽快なロードスター風から、小さいながら、というより、全長3.5mに満たない極小のクルマとは思えないほどのエレガンスさえ感じさせますよね。
そう、この雰囲気の違いを演出しているのは、いうまでもなくハードトップですね。
スプライト用のハードトップというのは、メーカーのBMC製、社外品を含んで、様々な種類があったんですが、BMC製とはまったく別デザインのこのハードトップは、スプライトを生み出したヒーリー・モーター・カンパニー製。
このヒーリー製ハードトップのデザイン上の最大の特徴は、通常ハードトップには備わっていないリアクォーターウインドーがあることですね。
それによって、ハードトップとしては異例に斜め後方の視界がいいという長所を備えると同時に、まるでクーペのように流麗なルーフラインとウインドーグラフィックを実現しているわけで、これは実に秀逸なデザインだと思いますね、僕は。
ディタッチャブルハードトップというのは50年代に始まったものと考えられますが、それをオープンスポーツカーが変身するための極めて重要な備品として確立したのは、60年代のブリティッシュスポーツカーだといっていいでしょう。
ハードトップを被ると空気抵抗が減ってトップスピードが延びるのに加えて、ドライバーの疲労もオープンで走るより明らかに少なくなるので、オープンのスポーツカーがGTレースや長距離ラリーに出るときには、ハードトップを装着するのが一般的でした。
したがってハードトップというと競技用のアイテムというイメージがひとつありますが、それとは別にこのヒーリー製ハードトップのように、クルマをエレガントに見せる効果もあったというわけです。
ヒーリー・スプライトというこの小さなブリティッシュスポーツカー、レーシングフィールドでも実に興味深い戦いぶりを演じているんですが、それについてはまたどこかで、別の機会に・・・。
Posted at 2009/08/31 18:31:57 | |
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