
遅ればせながら昨日、東京の某ホテルを起点にして開かれたプレス試乗会で、ホンダ・インサイトに初乗りしてきました。
だって、随分前に乗ってブログや雑誌にインプレッションを発表している同業者はいるし、ディーラーの試乗会で乗っちゃっている熱心な一般ユーザーもいるしで、僕なんか完全に遅ればせながら、なわけですから。
で、その印象をひとことでいえば、“悪くなんじゃないの” となります。
「悪くない」というのは微妙な表現ですが、「凄くいい」わけじゃないけれど、「並みだね、こいつは」というのよりはいい、というニュアンスだと思ってください。
このスペシャルブログに書かれた同業者のインサイト評価に「普通のクルマ」というのがけっこうあったと記憶していますが、僕の印象はそれよりちょっと好かった、ということになるのかもしれません。
僕が主に乗ったのは、上の写真にCVTの7段マニュアルモードを操作するためのステアリングパドルが写っているように、僕が前にこのブログでホンダらしい車種設定だと評価した、スポーティモデルの「LS」でありました。
ということはタイヤも、ノーマル系の「G」と「L」が175/65R15なのに対して、185/55R16を履き、それに合わせてサスペンションも若干硬めに設定してある、という仕様ですね。
たしかこのページの誰かのブログに、プラットフォームはフィットと共用、という意味の表現があったのでそれで剛性は充分なのだろうかと心配していたのですが、乗ってみたらどうしてどうしてシャシー&ボディの剛性感は充分で、乗り味が実にスッキリしているじゃないですか。
そこで開発エンジニアにプラットフォームのことを尋ねてみたら、「いやいや、フィットと共用しているのはパワーユニットの周辺だけで、そこから後ろは専用に起こしてます」、とのこと、それなら納得の乗り味でありました。
一方、基本はフィットと共通というサスペンションはわりと硬めで、しなやかさに欠ける印象はあるけれど、先に書いた剛性のあるシャシー&ボディとの相性は悪くなく、そこそこフラット感もあって、意外や好感触を得たのでした。
それに加えて、ステアフィールがフィットより明確にあるのも予想以上だったポイントで、特にタイヤがワイドな「LS」では、軽めではあるものの路面感覚を不足なく伝えてきます。
しかも全体に重心が低い印象があってコーナリングも素性がよさそうなので、これはきっとワインディングに持ち込んでもそこそこ愉しめるエコカーではないかと実感した次第であります。
最後にちょっとだけノーマル系のモデルにも乗りましたが、こっちは乗り心地が「LS」より若干ソフトになる一方で、ステアフィールが少々希薄になるといったところで、味つけの違いが明確なところにも好感が持てました。
そうそう、例のリアのドラムブレーキですが、それによる効き味の不満というのは特に実感しませんでした。
ちなみにヨーロッパではドラムブレーキに拒否反応があるため、日米欧の3仕様のうち欧州仕様だけは4輪ディスクで出すとのこと。
というわけで、シャシー関係の印象は僕が想像していたのより良好なインサイトでしたが、逆にハイブリッドのパワーユニットに関してはあまり感動はなく、たしかにこの点に関しては「普通」でした。
初代インサイトや初代シビック・ハイブリッドの頃のホンダのハイブリッドエンジンは、モーターによるパワーアシスト感が明確で、思わず「電気ターボ」と表現してしまったものですが、ニューインサイトのエンジンはそういった「ターボ感」はもはやほとんど感じられず、1.3リッター4気筒エンジンを電気モーターが満遍なくアシストしている印象をうけます。
実はそれは、ハイブリッドのパワーユニットとしては好ましい進化を遂げたことになるのですが、driving fun という観点からいうと、ちょっとつまらないんですね。
首都高にも乗ってみて、動力性能自体は充分と感じましたが、例えばランプウェイからの流入で全開加速したときなどに奏でられるエンジン音も、いまいち好くないんですね、残念ながら。
つまり、ニューアコードに乗ったときにも感じましたが、近頃のホンダ、昔とは逆に、エンジンよりもシャシーの方が出来がよくなってしまったという印象を、新型インサイトからも感じたのであります。
それはさておき、リアシートのヘッドルームの余裕が少ないという弱点はあるにせよ、居住空間もラゲッジスペースもちゃんと確保されているようなので、実用性も良好ではないかと想像されます。
ただし、例えばナビを収めるダッシュのパネル、あれは何とかして欲しいと思いますが。
いずれにせよ、ニューインサイトに関する僕の第一印象はまずまず好ましいもので、プライスに見合う価値は確実にあるのではないかと思ったのでした。
Posted at 2009/02/25 19:00:08 | |
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