今から10日ほど前のこと、自動車誌『LE VOLANT』7月号の新旧乗り比べ企画「C&C」の取材のために、伊豆スカイラインで懐かしのトヨタ2000GTと、最新のレクサスLFAをドライビングしました。
2000GTは前記型の1968年モデル、LFAは2012年のニュルブルクリンクパッケージ仕様ですが、互いにおよそ45年の時を隔てて生まれた、いずれもトヨタ渾身のスポーツカーだといえます。
僕はこれまで、トヨタ2000GTのスタイリングをあまり高く評価していなかったんですが、久しぶりに現物を目の当たりにし、それに触れてみたら、60年代半ばとしてはモダンで、オリジナリティにも溢れ、そいれでいてグラントゥーリズモの本質も突いたグッドデザインだと再認識したのでした。
4175×1600×1160㎜というサイズ、今の標準では充分にコンパクトだし、その低さも魅力的です。
クラウン用の2リッターSOHCストレート6を、ヤマハ発動機の技術協力でDOHC化したエンジン。
正直なところあまり高回転を好まず、同じ2リッターのポルシェフラット6のようなシャープな瞬発力も感じられないけれど、1120㎏といわれる車重には今も充分なパフォーマンスを与えています。
楽器のヤマハが仕上げた滑らかなローズウッドパネルが目につく高級感満載のダッシュボード。
シルバーかマットブラックのアルミパネル張りを望むのは、スポーツカー親爺の戯言でしょうか?
いずれにせよ2000GTのコクピットは、シフトレバーの位置、ステアリングのリーチ、前方視界などがすべて適正に仕上がり、ワインディングでも自然な感覚でコーナリングをエンジョイできました。
一方のこちらは、ウルトラモダンなゲーム感覚で迫るレクサスLFAのインストゥルメントパネル。
しかし、“天使の咆哮” と称される快音を奏でて9000rpmまで軽々と回り切る4.8リッターV10は、今日の世界のスーパースポーツのエンジンのなかで最も気持ちいいものの最右翼だといえます。
しかもLFA、ハンドリングもすこぶるナチュラルに躾けられていて、最高速325km/hという超高速車にもかかわらず、タイトベンドでもオン・ザ・レール感覚のコーナリングを愉しませてくれました。
敢えて苦言を呈させてもらえば、走るための機能を多々盛り込むうち基本デザインが曖昧になってしまったかのようで、スタイリングに2000GTのごときストレートさが感じられないのが惜しい。
LFAは標準型が3750万円、ニュルブルクリンクパッケージが+700万円で計4450万円という浮世放れしたプライスのクルマですが、今や2000GTもコンクールコンディションのクルマはそれに肉薄もしくは匹敵するゾーンに達しているという驚きの報告を得たこと、最後に書いておきましょう。
Posted at 2012/05/17 16:53:06 | |
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