
前回のブログでブーストコントロールの話の需要があったので、今回は純正ECUのブーストコントロールのお話でも。
といっても、主にGTO(3000GT)に関しての事なので、最近の車両は制御が変わってる可能性が高いことを前提にお願いします。
あと、ガソリンエンジン制御に関してはそこまで深い知識がないので間違いや抜け等あると思いますが、あくまで参考程度ということでw
では純正ECUの制御をみる前に社外ブーコンの制御から。
社外ブーコンは大体の物が、取得したインマニ圧を目標ブースト圧値に近づけるように制御しています。
なので、基本的に目標ブースト値とゲイン値を(変更可能な)制御値として持っています。
BLITZのブーコンは目標ブースト圧は単一値ですが、HKSのなんかはエンジン回転・アクセル開度等のマップとして設定できたりしますね。
それに対して純正ECUはどういったブースト制御をしているのか?
画像は3000GTのブーストコントロール関係のマップの一部。
基本となるのは「ターゲットロードマップ」と「基本WG流量」
「ターゲットロードマップ」はちょっと置いておいて、「基本WG流量」から。
「基本WG流量」とは回転毎のブーストコントロールソレノイドバルブの基本流量。
つまり、どれくらいWGアクチュエータに圧をかけるか?というマップ。
社外ブーコンでは触れない制御値ですね。
100%はソレノイド全開 = ブースト圧を最大にする制御。
最近の車両だと、このマップが回転・負荷の2軸マップになっていて、よりきめ細かい制御が可能になってるっぽいですね。
で次に「ターゲットロードマップ」について。
これは、回転毎の目標ロード値を指定するマップ。
ロードとは負荷率なんですが、吸入空気量と思ってもらっていいと思います。(単純イコールではないですが)
なのでこのマップは回転毎にどれ位吸気させるかを指定するマップと読めます。
つまり、社外ブーコンでいうところの目標ブースト値と同等ということですね。
これも最近の車両だと2軸マップになってるのかな?
上記2つのマップはそれぞれブースト圧を設定するマップなんですが、じゃあどっちがメインでブースト値を制御しているのか?
結論からいうと、メインは「ターゲットロードマップ」です。
ただ、実際の制御は「基本WG流量」と「ロードエラー」マップが行ってます。
どういうことかというと、現在のエンジンロード値とターゲット値を比較して、「ロードエラー」マップからその差分値に応じた値を「基本WG流量」値から増減させることでブースト圧を制御しています。
つまり、現在のロードが目標値以下の場合はWG流量を増やしてブースト圧を上げ、オーバーシュートしたらWG流量を減らして減圧するという制御をしているということです。
なので、「基本WG流量」と「ロードエラー」マップを変更するとブーストの立ち上がり~安定性、つまりゲインを変更することができます。
社外ブーコンではたかだか数行で説明できた制御が純正ECUではかなり長文になってしまったw
同じ制御ができてるなら簡単便利な社外品でいいじゃん?と思うかもしれませんが、純正の強みは一見分かりにくい「吸入空気量」制御になっていることです。
これはつまり環境条件が変化した場合でも同一量の空気を取り込める(取り込もうとする)ということです。
吸気圧力制御だと圧力が同一でも吸入される空気量が変化しますから。
つまり、PV=nRTで考えると、吸気圧制御は吸気温度と吸気量が比例しますが、吸気量制御の場合は吸気温度と吸気圧が比例します。
これは、吸気圧制御の場合は吸気温度によって出力が変化する可能性を示しており、吸気量制御の場合は吸気温度上昇によりインマニ温度・圧力が上昇してノッキングを誘発する可能性を示しています。
こう書くと吸気量制御の方が危なくみえますが、車両開発目線で考えるとインマニ温度はI/C効率で大体わかりますし、排気性能を確保する為には出力がコロコロ動かれる方が鬱陶しいってところなんでしょう。
さらに、純正制御だとハイオク・レギュラーでマップを持っていたりします。
GTOの場合は車速でもマップが切り替わるみたいです。
「ターゲットロードマップ」のAマップとBマップがそれで、「ターゲットロードマップ変更スピード設定」の設定値で切り替わるっぽいです。
純正では30mphなので、約48km/hでマップが切り替わるみたいですね。
【1/1修正】調べたところ、純正では車速でマップが切り替わる機能はないようです。
(Chrome ECUの独自機能らしい)
さらに、ここには載せてませんが水温やスロットル開度に応じて制御値を操作する(係数をかける)マップもあったりします。
そういえば、純正のブーストリミットもロード値(吸気量)で持ってるので、環境によって許容される最大ブースト圧は変化するということですね。
なので、安定した出力を出せて様々な環境に対応できる純正制御は使いこなせればかなり旨みがあるんではないかと。
ただ、問題は社外ブーコンみたいに分かり易い設定値じゃないんで、実際にセッティングしようとすると少々面倒な事ですかねw
という感じで内容がありそうであまりないブーストコントロールについてのお話でしたwww
因みに、「純正だと高回転でブーストがタレる」という人が居ますが、マップ値を見てもらうとわかりますがそういう制御になっているので当然ですw
発注してたソレノイドバルブが届いたので、次は純正ブースト制御のハード的な問題について書きましょうかね。