ひの字さんがECV1とECV2のミニカーを揃えたと聞き及び、再びランチアECVへの尽きぬ興味と疑問が復活し、いくつかの動画を教えてもらい、いくつかは、自分でみつけました。
2010年にECV1はレストアされて実走したのですね。
驚きです。
ランチアECV1とECV2は幻のグループS規定に合致したランチアのラリーマシンです。S4と同じく、2シータのミドエンジンによる4WDラリーカー。
ECV1はデルタS4をベースとした暫定的なボディのマシンだったようで、ECV2の方が本命のボディスタイルだったのでしょうね。市販ランチアには全く関連が無い、ラリースペシャルというべき空力的な計算に基づくデザインだったようです。レーシングカーほど走行速度域は高くないので、主として低中速での冷却性能を重視し、冷却機器の小型化と、結果として車両全体の小型軽量化による運動性能の向上が狙いだったようです。同じホイールベースですが写真を見比べると、オーバーハングが明らかに短くなっています。
しかしこのECV2、白い色のせいもありますが、なにか無表情で不気味な雰囲気があります。
S4は鋼管スペースフレームでしたが、ECVはカーボンケブラー混成のモノコック構造だったようです(手元の本では材質は不明)。
このクルマの最もエキセントリックな部分は、1759ccの4気筒ツインターボエンジンで、トリフラックスという特殊なヘッド形状になっています。エンジンヘッドのツインカムシャフトの間にインテークマニホールドがあり、エキゾーストマニホールドはヘッド両側へ出ています。1気筒あたり4バルブですが、通常の4バルブの様に吸気バルブと排気バルブが向かい合っているのではなく、1シリンダーの中の吸気バルブと排気バルブが互い違いに配置されているのですね。これによりエンジンヘッド、ブロック周りの温度の不均等が無くなり、温度膨張差によるガスケット抜けのトラブルが起きにくくなるので、より高いブーストでの高出力が可能になったという、当時のランチアによる発表があったそうです。燃焼室の中の過流も効率と高出力に効果があったのではないでしょうか。このエンジンの最高出力は600bhp/8000rpm、最大トルクは55kgm/5000rpmという驚くべき発表値でした。
この動画の最初に、トリフラックスエンジンのヘッド本体を説明しているシーンがあります。これでもの凄く複雑なヘッドの形状が解かりますね。
走行しているこのECV1のシャシーフレームはS4のものなのだそうですが、搭載されているエンジンはこのトリフラックスというツインターボエンジンそのものです。
ベッテガ、トイボネンとクレストの事故、さらには87年のポルトガルでの観客を巻き込んだ事故により、過剰に速くなったラリーカーのグループB規定は廃止され、グループSも白紙撤回、88年からはグループAへ移行しました。しかし、この移行へ至るための代償は重かったです。
ECV2はランチア社の手により保存されているそうですが、現在ランチアミュージアムは閉館中で、一般公開されていないのだそうです。いずれ現物を見に行ける場ができるのを期待したいですね。
以上、受け売りと自分の資料半々ほどの日記でした。
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クルマ | 日記
Posted at
2012/01/20 01:33:43