
昨日のブログに記した通り、有楽町の阪急メンズに展示してあるKE007を見て来ました。
現物は、現在の巨大で画一化されたF 1マシンよりも低くかつ軽量コンパクトなつくりで遥かにスタイリッシュです。
写真主体に並べていきます。

70年代【で、ロータス78⇒79以前】のF 1のリアスタイルは、巨大なスリックタイヤの間にサスやギアボックスやブレーキや冷却系のメカがギッシリ詰まった状態がキマリでした。
KE007独特なディティールも何か所かあります。
フロントサスのアップライトですが

アッパーアームがアップライトの上端でなく、箱型形状の内部に取りつく形式になっています。
アームの高さを低くしてモノコック自体も低く薄くする目的だったのでしょう。
アームとスプリングの配置も

上からだと通常のロッキングアームに見えますが
こうして後方から見ると

スプリング・ショックアブソーバーのユニットはフルフローティングマウントです。
上部はアッパーロッキングアーム、下部はロワアームに取りつけられ、低い全高かつ限られたホイールストローク中で、スプリングとショックのストロークを有効に使うことができます。ショックアブソーバーはカヤバ製ですが、ガス室分離式になっています。バネ下重量の軽減とショックアブソーバーの性能安定化が図れる形式です。

後に廻ると見慣れた(見慣れてない?爆)コスワースのDFVが載っています。キースダックワースによる珠玉の作品です。ギアボックスはよく見えませんが、ヒューランドのFG400という5速です。これも70年代F1の定番。
リアサス周りはこんな感じで

ワンオフ削り出しのパーツがそこここにあって、華麗な仕上がりです。
左右のスプリングを結ぶクロスメンバーにはKEの浮き文字が配置されています。
リアのアンチロールバーにはロッド締結用のホールが5か所あって、ロール剛性の調整代になっています。これも美しい仕上がりですね。
センターカウルにある

307というステッカーは2004年のグッドウッドフェスティバルに招待され出走した記念のナンバーなのだそうです。
コクピットのメーターをズームレンズで覗いてみました。

真ん中のタコメーターは常用回転域がハンドルに隠れない角度になっています。多分DFVのレブリミットは10500rpm位です。6000以下では使えるトルクが無かったようですね。

左側の上が油圧計、下が油温計

右側の上が燃圧計、右下が水温計のようです。

上から見るとウィランズの3インチフルハーネスが見えます。ここに長谷見昌弘選手が座ってスリーペダルで5速ノンシンクロHパターンのギアボックスを操作してFISCOを疾駆したわけです。

黒い仕上げのカウルはカーボンファイバーだったそうですが、今で言うウェットカーボンで、大して軽くなかったようです。
1976年10月のレースで金曜日予選の2回目にクラッシュしてしまい、大御神の近藤レーシングガレージにレース村の住人が大集合して1日半でモノコックを作り、決勝レースに出走した件は昨年のレーシングオン特集号にも詳しく載っています。
私が初めて実際に走るF1を見たのは、1976年の8月、FiSCOで行われた星野選手と長谷見選手のデモランでした。DFVの高回転サウンドに興奮した日を忘れられません。
当然、今日再びKE007を目の前にして、感無量なのですね(笑)
Posted at 2014/01/31 21:53:05 | |
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