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2020年07月28日

2018年式ソリオバンディットHV感想文

2018年式ソリオバンディットHV感想文
レビュー情報
メーカー/モデル名 スズキ / ソリオハイブリッド バンディットハイブリッド SV(AGS_1.2) (2018年)
乗車人数 4人
使用目的 その他
乗車形式 試乗
総合評価
おすすめ度
3
満足している点 1.扱い易いサイズ感
2.全車1tを切る軽量さ
3.クラス唯一のHV
4.4気筒エンジン
5.センターメーター
不満な点 1.足引き性の悪いRrシート
2.荷室の雑さ
3.あくまで軽自動車+αの商品性
4.販売サイドが萎縮し過ぎ
5.そろそろモデル末期
総評 「便利そうだからスライドドアの車が欲しい」
「大きい車は自信が無いから小さい方が良い」
「色々考えて軽はちょっと」

上記三拍子が揃った場合、日本にはソリオかデリカD:2かタンクかルーミーかトールかジャスティかポルテかスペイドしか無い。(予算に余裕があればシエンタ2列とフリード+も選択肢に入る)



数年前、新婚の公務員夫婦の始めての車選びを手伝った際、軽ハイトワゴンを探した挙句、最終的にソリオに落ち着いた経験があった。当時のN_BOXカスタムターボやウェイクを検討すると、普通車ながらソリオの絶妙のサイズ感と余裕を見せつけられて、値段が一緒ならとソリオに落ち着いたという結果だった。

今回、親戚宅の代替話にアシストをするため、ソリオバンディットのストロングハイブリッドを販売店で確認した。少なくとも4人の営業マンと会話したが二種類あるソリオのハイブリッドのうち、ストロングハイブリッドを薦めた人は居なかった。その理由は運転感覚の癖が強く万人に薦められないという理由なのだとか。

実際に試乗した結果、確かにセールスマンが心配する理由も分かった。MTをベースとしたHVのため、CVT車に慣れ切った人には違和感が出てしまったのだろう。私は車がどちらかと言うと好きな方なので、カタログで仕組みを知ると知りたくなるし、この車はどんな風に動いているのだろうとブラックボックス化されたメカニズムを想像しながら運転してしまうが自動車に興味が無く、漠然と「スライドドアで、HV、コンパクトなやつ」と言うイメージだけを持ってソリオHVに乗ると、1速から2速にシフトアップしただけで違和感を感じるだろうし、シームレスな加速も得られないし、EV走行の短さにがっかりするかもしれない。

他モデルのASG車に乗ったことがあり、競合車にも試乗したことがあるが、ソリオHVはASGのネガを必死に潰そうとした形跡があり、手持ちの技術でHVらしいEV走行や燃費も実現しようと頑張った力作だと感じられた。元々もソリオもスイフトベースゆえに、競合と較べるといい意味で自動車らしく好感が持てる。思ったよりも悪い印象は無いのに営業マンがしきりにマイルドハイブリッドに誘導しようとするのは余程世間が期待するHV像に合致していなかったのだろう。確かにCVTと組み合わせられていたら遥かに売り易い。

本来は、分かりにくいこのHVの魅力を伝える何らかのアプローチもあった様に思うが、苦労してそれをやるくらいなら価格的にも手ごろで簡単に節税効果が得られるマイルドハイブリッドに注力してしまう気持ちも理解できる。

見積もりを頂いた。ソリオを検討している方の要望に沿う形でソリオの標準顔のSZに全方位モニタをMOPで装着した。年式の割りに安全装備は充実している。旧さを感じるのはヘッドライトがLEDではなくディスチャージである事位で、デュアルカメラブレーキサポートや誤発進抑制機能、車線逸脱警報などサポカーSワイドに適合する装備が備わり、アダプティブクルーズコントロールや全方位モニターがナビ画面に映る点も、素晴らしい。一方でサイドエアバッグ、カーテンエアバッグが一部グレードでOPT設定すらされていない点は現代車としては少々恥ずかしい部分だ。

見積もり結果は以下の通り。
本体:227.3万円
値引:10万円

付属品:21.8万円
値引:4.7万円

内訳:マット、バイザー、7インチナビ、ドラレコ、ETC、コーティング

諸費用:12.3万円(自動車税)

支払合計:246.7万円

某自家用車誌に拠れば総額30万円引きが目標とあるので、支払合計220万円程度になりそうだ。

競合車のカスタムG-Tでは本体200.2万円だが、サイドエアバッグやシートバックテーブル、パノラマビューモニターを追加すると212.2万円まで価格が接近する。ターボの競合かHVのソリオか、価値観に合わせて車選びが出来る点は良い。

ソリオは「レンズ付フィルム」ならぬ「エンジン付スライドドア」である。近所のお出かけ、タマのレジャーに活躍する。スライドドアの付帯機能としての諸性能は競合と較べて決して負けておらず、積極的にソリオを選ぶ理由がある。

雑誌情報ではFMCの情報も流れ始めているが、美点が引き継がれているのか気になるところだ。現行型を購入するならしっかり試乗してフィーリングに合うか確認したうえでたっぷり値引きが欲しくなる。

採点はストロングHVで★3つ。4気筒搭載と1t切りという技術的アドバンテージを評価。後席に人を座らせないセカンドカー的使用ならマイルドHVの価格の割安さも手伝って★3.5。自動車として考えれば★2つ。

ストロングハイブリッドは9月オーダー分で生産中止になるようで欲しい方はお早めに。
項目別評価
走行性能
☆☆☆☆☆ 3
一番気になっているのが走行性能である。

ソリオのハイブリッドは二種類あり、マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドに分かれる。

前者は減速時にISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)でエネルギーを回収し、その電気を発進・加速時にエンジンの補助として使用することでエンジンを過度に酷使しないことで燃費を悪化させないのが特徴。エンジンはデュアルジェットの1.2Lで91ps/6000rpm、12.0kgm/4400pmを発揮し、モーターは3.1ps/5.1kgmという小規模なものであくまでも節税対策のHVとも言える。



後者は発進時や一定走行時にEV走行ができ、加速時にモーターのアシストが得られる分だけ一般的に私たちがイメージするHVに近い効能が得られる。エンジンは共通だがモーターが13.6ps/3.1kgmと高回転型(出力がある)のモーターが備わっており、Rrフロアのデッキ下スペースに100VのLiイオン電池が搭載されている。HVとなるとアンダーボディの作り分けを行う例があるが、電池パックをRrパン上にアドオンすることで無駄な投資(ボディを複数種類持つ)を抑えている点もスズキらしい。

ストロングハイブリッドの最大の特徴はスズキが開発した自動変速装置AGS(オート・ギア・シフト)に組み合わされた点だ。AGSは新興国向けに開発したシンプルな自動変速機で5速MTをベースにクラッチ操作と変速操作を自動化したシステムである。海外生産車にも組み込み易く、価格も安い事がメリットでATと較べれば5速であること、CVTと較べると軽量なことが優位点だ。AGS車は一般のAT車と同じような気分で乗ると、発進してから1速と2速の間の変速でショックを感じ、2速と3速の変速の空走間に違和感を持ち、3速と4速の変速の遅さにイラつき、4速と5速の変速で「もう普通のCVTでいいや」と言いたくなる独特の乗り味を持つ。MTの運転感覚のまま「中の人」が発進と変速だけを代わってくれている様なもので、私が若い頃に悪友たちと軽のMTに乗っているときに冗談で助手席の友達にクラッチとシフト操作を任せたことがあったがアレに近い運転を車がやってくれることになる。真面目に書くと、欠点は変速時のトルク切れによる空走感であり、トルコンでショックを緩和しつつ油圧で素早く変速するATや
連続的に変速するCVTと較べるとどうしても空走感が出る。変速時にアクセルを抜いてあげるなど、人と車が協調することでよりスムースに走ることが出来るが、「人が何もしないでいいのがいい車」という価値観に従えばメーカーにとっては利益があれどもユーザーには劣化版ATにしか映らない存在である。ソリオのストロングHVはモーターアシストを変速時にアシストを強めて空走感を緩和する機能を持たせている点が新しい。ホンダのIMAの様にCVTと組み合わせることも出来たのだろうが、スズキはあえてAGSのネガ潰しも担うことを考えた。



実際に運転してみると、その違和感は確かに減少している。アクセルをゆっくり踏んで発進させると1速→2速で一般的なAT車並の変速ショックが認めれられたが、特に悪口を書きたくなるようなものではなかった。むしろ市街地走行で速度を上げて行くが、意外と低いギアで引っ張るのが気になったくらいだ。

私の様に過去の4速ATやMTを経験している人は変速の際にアクセルを緩めてやる癖が付いているのでそれも相まって器用に走っていくのだが、例えばアクセル全開で名古屋的な加速をさせようとすると、CVTの様にE/G回転を瞬時に上げて駆動力を出さないのでトルクでじわりじわりと言う感触でCVT車でカーライフを始めた方には違和感として判断されうる感触は残っている。ずり下がりそうな上り坂の坂道発進はヒルスタートアシストがあるため2秒間ほどブレーキを保持してくれるのでMTベースの悪癖は気にしなくて良いし、足踏み式PKBなので比較的坂道発進は容易だが、上り坂ですばやく発信しようとアクセルを強めに踏むとクラッチからジャダーのような振動を感じた。

時速80km/h以下で下り坂を走るとE/Gが停止する機能があり、このときばかりはEVランプが誇らしげに点灯している。エンブレを効かせようとパドルシフトを操作したが回転合わせは完璧。ショックも出さずスズキのチューニングに感心できた。ECOボタンを押すと、加速性能が緩慢になるだけでなくモーターアシストが強めになる。クリープをモーターで行ったり、定常走行時のEV走行頻度が上がる。近郊主体のソリオのような使い方なら普段使いでもECOボタンで走れるかも知れない。青信号で発進する際に、アクセルをじわーっと踏んでやればモーター走行で発進もできるのだが、30km/h程度でE/Gが起動する。営業マン曰く発進でグーッと早めに加速してアクセルを抜いた方がEV走行が楽しめるという。EV走行時に「おおっ」という類の感動があるが、それも束の間ですぐにE/Gがかかってしまう。長時間のEV走行が出来るほどバッテリーの容量が無いのである。

この感触はホンダのIMAに似ていた。2代目フィットに追加され大ヒットしたハイブリッド。当時、親のステップWGNの点検時に試乗させてもらったが電気でアシストされている感覚を味わいながら、平坦路ではモーター単体の走行を楽しんで「凄い!EVだ!」なとど喜んでいたものだ。IMAはCVTと組み合わせられていたので一般受けし易い。スズキのストロングハイブリッドは、AGSがメリットを与えてくれる一方でデメリットも決して無視できない点が泣き所だ。良さが理解でき、悪さと共存できる方には相応しいが、そもそもソリオは万人向けの乗り物である。「慣れると面白いですよ」という枕詞が必要な機構は万人向けとは言えず、親しみ易さも求められるソリオには少々エキセントリックに過ぎるパワーソースであることは確かだ。(ただ、選択肢として存在してくれるのは大いにアリ)
乗り心地
☆☆☆☆☆ 3
試乗コースを運転席に座っている分にはまぁこんなもの?という感じだったが後席の妻からはデミオの後席より突き上げがきついと言っていた。

後席の位置が後ろ過ぎるこの手のハイトワゴンは後輪からの衝撃をまともに受ける位置関係のため止むを得ない部分もある。今回は前席主体の使い方を想定している為、問題は無さそうだが基本的にはスイフトベースと言えど、走りの質感はスイフトより一段落ちているような気がするのは、スライドドアを備えて全高も高くなったことで素性の悪さが出てしまっているのかもしれない。

路面の段差を通過した際の当たりのマイルドさは競合に分があるが全体的な「自動車感」はソリオの方が圧倒的に上であり、少しでも車が好きな人はこちらの方が向いているだろう。
積載性
☆☆☆☆☆ 2
この手のハイトワゴンは「セダンとは比較にならない広い室内長」を謳う為だけにRrシートが後にありすぎてラゲージが割を食っている。お世辞にも積めるという雰囲気が無いが、カタログを彩る積載イメージはRrシートなら自転車も積めるが、床はフラットでは無いし、ローディングハイトも高めだ。

競合はローディングハイトが低いことをアピールしているが、ボディ剛性低下を嫌ったのか間口が狭い。荷室の洗練度合いは競合も似たような程度なのでソリオだけ悪く言えないが、ラゲージも穴だらけでちょっとした小物が隙間からフロアに落下してしまうような雑な作りなのであまり荷物を載せたくないラゲージだ。むしろ、スライドドアを開けて後席床に荷物を置くような使い方が似合う。(そうであればN_BOXのチップアップできる後席が魅力的だ)



ついでに居住性に触れると、この手のハイト系ワゴン共通の不満点として後席の座面形状の悪さがソリオにもある。座面が長すぎる(図中黄色)ので私のような短足にはふくらはぎが当たってくつろげない。これは企画段階で前後乗員間距離を1080mm確保する為に、後席のヒップポイントが決まる(図中赤色)。後席にマネキンを配置し、足が来る位置(図中青色)をフロアの段差前の平坦面に配置したい。ただし、フロアの段差は燃料タンクを配置するプラットフォーム部品の為、仕方なく段差の開始場所であるフロア継ぎ目(図中緑線)と、ヒップポイントを結んだだけのRrシート座面だ。

本来は座面長を適度に設定して脚引き性も考慮すべきだが、カタログ上の数値で競合に負けられないのでエンジニアたちはしょうもない数字に縛られている。この手の車はヒールヒップ段差を十分確保した上でアップライトに座らせることが必要だ。ところが、スーパーハイト系ワゴンのほとんどは燃料タンクのキックアップの課題を解決せずに安易に数字を追いかけてしまう。結果的に投げ出すようにしか座れないこの手のモデルのパッケージングは後席乗員にとって決して快適なものでは無い。(前席乗員も極力Frタイヤに近づけられる為、足元スペースも余裕は無い)

この寛げないRrシートは褒められたものでは無いが、ユーザーの使用状況が後席を子供専用でチャイルドシート取付け前提であったり、人をほとんど乗せないと言うのなら許容できる人もいるだろう。
ブログ一覧 | クルマレビュー
Posted at 2020/07/29 00:19:02

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