前回の信濃俣徘徊の際に眺めた仁田岳南東尾根。(8/23撮影)
信濃俣河内の河床から2500mの這松帯までウネウネと立ち上がるその悩ましい姿態を
見て「おう、そうだ。あそこも生きている内に行かなきゃ!」と徘徊熱が・・・。
で、今回のコースはこちら。
一日目9/4(赤線)は、畑薙第一ダムから信濃俣林道に入り信濃俣河内大吊橋を渡って
南東尾根で仁田岳へ。
一般道で茶臼岳に移動したら、前回同様に人影が少ない鳥小屋尾根を経由して横窪沢
小屋へ。
二日目9/5(青線)は、思いっきり朝寝して道草しながらのんびり畑薙第一ダムへ。
9/4
04:15 畑薙第一ダム出発、気温13度、街の暑さと打って変わって肌寒い。。
04:50 信濃俣河内大吊橋。東の空が赤く染まり始めた。
1485mへの急傾斜植林帯。退屈だ、一挙に汗が噴き出してくる。
06:10 1485m点は、平坦な地形。大きなヌタ場があった。
腐れかけのアカヤマドリ、やっぱり今年はこの茸は豊作だったと見える。
鬱蒼とした林の中、開きすぎたタマゴタケの朱色が一際鮮やか。
1674m付近のガレ縁。
前回登った大根沢山(1枚目写真の真逆となる)。
1876m南側のガレ縁より畑薙第一ダムを見下ろす。
コンデジの望遠を最大にしたらなんと相棒(パジェロミニ)が確認できた。
あいつも独りぼっちだな。
未明に渡った大吊橋。
07:50 1876m三角点通過。
1876mからは、このコースの難所の一つ、岩尾根の約100m急降下。
降り立った地点から難所を振り返る、樹が無かったら短い懸垂下降が入るところだ。
2010mとのコルは、それまでの険しい岩尾根の緊張をほぐすかのようなお花畑。
マルバダケブキが咲き乱れていた。
そして再び大きなガレを右手に見ながらの急登。
画面から分かり難いが、小無限山の鋸歯を髣髴とさせるような場所だ。
ガレ上部からは、右手に茶臼岳、上河内岳が見えてきた。
さらに東側は、笊ガ岳から青薙山の稜線。
08:55 2010m点到達、しばらくは広い平坦な尾根となる。
2010m先にある西側のガレ縁から「信濃俣」!
前回徘徊からまだ2週間なのにとても懐かしい気がする。
その右にイザルガ岳。
信濃俣河内からこの山頂に真っすぐに伸びる尾根も魅力的だ。
お!こんなところにホウキタケ♪
こりゃ、食べれる色だよなぁ・・食べたい・・でも山で当たったらえらい目にあうナ、我慢。
続いて、2243mピークは岩鏡が群生する山頂。
その先、ブッシュの痩せ尾根となって再び降下、ほぼ北側急斜面の獣道を拾い、中間点
で岩場に乗る。
その岩場から2243mを振り返る、この辺り効率よく進むには少々ルートファインディングに
注意が必要。
そして、これから目指す2429m方向。
シラビソ幼木のブッシュを抜けたら尾根南側に沿っての緩い登りとなる。
そして2400mを越すとさらに傾斜が落ち、下草の生える穏やかな景観に。
白い立ち枯れの目立つ林を抜けていくと、
この尾根で最も美しいと言われる草原の森に到着。♪
うぉ~!噂にたがわず天国のようなところだ。
息子達宛の遺書には、ここへ埋めてくれと書き残そうかナ・・・と思う。
う~ん、ここらにテントを張って、鹿と一緒に寝てみたいなぁ。
11:10 2429m点近くのお花畑でランチ、とっておきの稲荷寿司を頬張る(^o^
今日もここまで7時間、休みらしい休みを取っていない。
歳なんだから、もう少しのんびりと楽しんで歩けないものか?悪い癖だ。
周囲を見渡すと、ひっくり返った石がゴロゴロ?
あ!これは熊が蟻を食べた跡だ。
こうして一生懸命食べ物を探しているんだなぁ・・・。
お腹がいっぱいになって、元気が出た。
歩き出すとすぐ幹に食い込んだというか、樹に食べられかけている道標を発見。
この尾根で唯一の道標だった。
さぁ、いよいよ本日の核心部、仁田岳山頂へ向けての藪漕ぎ開始だ。
とりあえず木間越しに見えた砂礫帯へ向けて背丈ほどの這松を漕ぐ。
突破した這松帯を砂礫帯から振り返る。
ほぼ中央の凹部を辿ってきたが、もっと右寄りの方が楽だったのか?
砂礫帯には、コケモモが一杯!♪
でも、残念ながら完熟一歩手前でまだ酸っぱかった。
続いて這松と岳樺の灌木帯に突入!
東側に見える這松帯の方が楽そうに見えて行きたい誘惑にかられるが、実際はそうでも
ないだろう。
この難所突破の目安となる大岩が見えた、きっともう少しだ。
ついに大岩の上に上がった。
振り返ると・・・あぁ、やっぱりもっと西寄りの砂礫帯を多く通ってくれば楽だったのかぁ?
ちょっと真ん中の灌木帯に入り過ぎたようだ。
目を「東南」にやると、まさしく畑薙湖から立ち上がる東南尾根が見えた。
我ながら「おぅ~、あそこからよく来たなぁ」と感嘆の声を上げてしまう。
そして仁田沢を挟んだすぐ東には下りに使う鳥小屋尾根。
畑薙山が、意外と高く立ち上がっていた。
さて、山頂方向を見ると「なんじゃ、こりゃ!」 まだまだ続く這松の海(^^;
這松の間に落っこちないように太い枝から枝へと乗り移りながら進むことしばし、ようやく
山頂が見えた。
這松の丈も膝下となり、ヤレヤレ(^^;
12:25 着いたぁ~!仁田岳山頂だ \(^o^)/
前回来た時は、まだ独身だったから、かれこれ40年ぶり。
辿ってきた尾根を振り返る、遠景はガスに包まれた信濃俣周遊路。
そしてガスに包まれた光岳へ続く尾根、中央は易老岳。
午後になって山には雲が湧き上がってきた、先を急ぐ。
ほどなく主稜線に合流という辺りで、今日初めての登山者と出会う。
前回同様、一般道を鼻歌混じりで行く。
仁田池手前の池、こちらの方が風情があるなぁ。
茶臼岳手前で一瞬、聖岳・上河内岳が見えた。
13:35茶臼岳山頂、もう聖は姿を隠してしまった。
登ってきた東南尾根も雲の中・・・目に焼き付けたかったのに残念。
予定では、ここまで12時間で茶臼小屋泊りの予定だったが、まだ9時間ちょっと。
今夜は寒そうなので、横窪沢まで高度を下げることにする。
せっかく這松を掻き分けて登ってきたが、また鳥小屋尾根の這松帯に突入だ!
前回は無かったマークが、連続して付けられている。
バリエーションルートなんだから、あんまりベタベタつけられちゃうのもなぁ・・・と思ったら
核心部入り口でパタッと無くなった。 何なんだ、いったい?
これは、西側ガレ縁の古い目印。
でも、実際はルートを外れていて間違いの元になりそうに思うが?
結局、前回と似たような東寄りのルート取りで目的の尾根に乗った。
ベニテング!
毒茸も子供だと本当に可愛いねぇ♪
さて、2250m点で鳥小屋尾根から東に折れて横窪峠への支稜へ入る。
ここから先は未知のルート、しかも下りだ。
改めて気を引き締める。
さすがに通る登山者も一段と少ないようだ、マークの類は一切見当たらない。
あったのは中間地点のこの青テープ1ケのみ、これでこそバリエーションルートだな。
1800m付近で北東から東南東へ大きく曲がるところが、マップと実際の地形に違いが
あるように思えて少し悩むが、方向を信じて下る。
と、ここでヒラタケ発見!これで夕餉が少し楽しめる♪
16:15 マップ通りに傾斜が緩むと横窪峠、一挙に緊張が解ける。
出発から丁度12時間だ。
木間越しには、横窪沢小屋の赤い屋根が見えた。
今回のホテルはツェルト。タープはもう寒いし、テントは重い。
小屋はすでに営業終了、テン場には僅か3張。
そして、背後の二人組は、これから北岳まで縦走するというオランダ人パーティ。
もう一張も国は分からないが白人。
なんと、この南アルプスの山中に外国人3人、日本人一人だけというちょっと有り得ない
シチュエーション!!
さて、ヒラタケを湯がいて虫出し。
味噌汁に放り込んで夕餉が完成、今宵の粗食もちょっと心豊かに。
今回も軽量化の為にシュラフは無しとしてシュラフカバーだけ、寒くなる前にさっさと寝る。
二日目に続く。