近頃寒くなり、そろそろ布団から出るのが億劫な季節になりました。
こうなると、布団に潜ったままTVやPCの操作や音楽を聴くことができたらなぁと思ってしまいます。
未だ、自宅に籠っている時間が多い昨今、音楽を聴いている時間が以前に比べて格段に長くなっているのが実態です。
近頃はイヤホンをDAPに繋いで使用するのが殆どでした。
良い音で音楽を聴けるのは良いのですが、耳の中にイヤホンを長時間入れたままにしておくと、痛くならずとも痒くなったりして、不快に感じる事も度々でした。
ヘッドホンも長時間の使用で耳が痛くなるのは同様です。
そのような中、久しぶりにスピーカーで聴くのはなんと快適な事かと感じてしまいました。
それ以来、スピーカーで聴くことが格段に増えました。
1)
いわゆる椅子に座してスピーカーと向かい合って聴くオーディオシステムは別室にありますが、一日の多くを過ごす寝室兼作業部屋の自室に置いてあるのは、木製ラックに詰め込まれた小さなスピーカーと取り外したカーナビをアンプとした簡易オーディオシステムです
この、ベッドと1m程の間隔を空けて置かれた木製ラックにあるスピーカーは、小型で、しかもかなり高い位置に置いてあるので、それからは乏しい低音しか聴こえない超寂しいものでした。
先日友人から、使用していたカロッツェリアのサブウーファーTS-WX130DAが故障して音が出なくなったので、最新の助手席に設置する超小型タイプに変更するという事を聞きました。TS-WX130DAは廃棄するということなので、タダで譲り受けました。
これを使ってサブウーファーシステムを今の小型スピーカーオーディオに追加することにしました。
そして、これらを基に、布団に入ったまま音楽やTV、PCを視聴・操作できる”ぐうたらPCオーディオシステム”を構築することにしました。
2)
現行のスピーカーは10年以上前に購入したJBL4312Mというコンパクトモニタースピーカーです。これを購入する少し前、部屋の配置換えの関係で、メインオーディオシステムスのピーカーを少し小型にする必要があり、それまで使用していたJBL4312をLBL4307に替えました。4312をとても気に入っていたので、そのオマージュということもあり、ミニ版の4312Mを購入して自室で使っていたのです。
いかんせんウーファーが13cmでは全くの低音不足。良い音で聴きたい時はヘッドホンやイヤホンを使ってきました。
今回、サブウーファーを手に入れたこともあり、システムを刷新することにしました。
3)
アンプとして利用していたカーナビの使用を止めました。
4)
音楽の再生は主にDAPもしくはPCでのアマゾンミュージックHD利用で対応しています。
5)
アンプとしては新たにTEACのAI-301DAを購入。
AI-301DAは2系統のアナログLINE入力の他、複数のデジタル入力と1系統のステレオスピーカー出力の他サブウーファー用のラインアウトを備えているので、構想中のシステムの中核を担うのに適しています。
6)
サブウーファー駆動用にAIYIMAという知らない中国メーカーの廉価品を購入しました。
7)
アンプがデジタル入力も備えているので、PCのダイレクト接続による音声再生可が能なため、これ等を統合してPCオーディオシステムとすることになりました。
8)
そして今回の主たる検討事項。これは壊れたサブウーファーを如何にして調整してオーディオシステムに取り入れるかということです。そもそも、カーオーディオ用のサブウーファーが家庭オーディオ用として十分に性能発揮できるのかもわかりません。
9)
壊れて音が出ないという事なので、回路修理かダメなら予め買っておいたサブウーファー用のアンプを用いてどのようにシステムに取り入れるかを現物で検証しつつ取り込みたいと思いました。
裏ブタを開けるとチップ部品搭載の基板が出現。これでは顕微鏡を見ながらでないと作業できないので、即廃棄が決定。20年程前、仕事で高周波のパーツ開発をしていた時も双眼顕微鏡を見ながらはんだ付け作業をしていたので、老眼の進んだ今となっては裸眼での作業は不可能です。
10)
スピーカーとエンクロージャーのみを使用することにしましたが、ここで嫌な予感・・・・。
特殊構造でない、ただの密閉型エンクロージャーにハイコンプライアンス型のスピーカーが取り付けられているのに全く吸音材が使用されていない。
ロードノイズやエンジン音で低音部が強力なマスク効果を受ける事を是定としたカーオーディオ用途向けハイコストパフォーマンス設計なのかもしれませんが、家庭用オーディオでは問題となるかもしれません。
確認のため、仮組して、所有している6弦ベースのLowB弦やE弦で音を出してみました。”ブッ、ブッ、ブッ”と弾いたつもりが”ブン、ブン、ブン”とリリース部分が伸びてしまっています。AIYIMAアンプの駆動力不足もあるかもしれませんが、ハイコンプライアンスのスピーカーに対してエンクロージャー内の空気量多くバネになり、スピーカー振動板の制動の妨げになっている可能性があります。また、定在波が立てば、振動板がその影響をうけて、より濁った低音になりかねません。
11)
そこで定石通り吸音材を詰めることにしました。Amazonで購入しても良いのですが、到着まで時間が掛かるので、手近で使えそうなものを探していると、以前フォードジャパンのディーラーで貰った超小型クッションの中身の手触りがポリエステル綿そのもの。開けて見ると正にポリエステル綿でした。
12)
これを吸音材として使用することにしました。使用量は実際にベースを弾いて音を確認しながら決定しました。
スピーカーの出音の音量は下がりましたが、音はかなりタイトで歯切れよくなりました。
13)
部材が揃ったので、いよいよメインスピーカーとサブウーファーの音のつながり調整を行います。
今回購入したアンプにはグラフィックイコライザーが付いていないので、調整は低音部、つまりサブウーファー部のみになります。先ずはDAPに格納した20Hz~20kHzのスイープ信号を予めエンドレス再生して、この音を空気録音すれば周波数特性が測定可能だし、音楽データを再生して空気録音すれば曲の再生音確認ができます。
14)
今回のスピーカーの再生周波数特性の測定・調整のため、ZooMのハンディーレコーダーH5を購入してみました。それは、以前使っていたSONYのPCM-D1の内蔵マイクの周波数特性が今回の測定では性能的に使用できないので、本体だけで直接空気録音が出来る新たな機器があれば便利だからです。
15)
結果から言うと内蔵マイクは同様役不足で使用できませんでした。しかし、H5にはバランス型の外部マイク入力端子と48Vのファンタム電源が用意されているため、オーディオインターフェースを用意することなく、本体とマイクのみで、スピーカーの再生周波数測定が可能です。
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測定用マイクとしてBehringer ECM8000をリスニングポイントであるベッド上で肩肘付いて寝転がった時の頭(両耳)の位置付近にセットしました。
続いてスピーカーからの再生音をステレオ空気録音しました。
試しに同じ位置にH5を置いて本体でテスト録音しましたが、マイクの周波数帯域が狭く、この用途での本体のみでの録音使用はPCM-D1同様無理でした。
17)
ECM8000で音楽録音した場合、音質は良いのですが、”サー”というノイズがとても大きいので、このマイクは自身をメインとした音楽録音用に向いていません。このことは、少し前にXBEEで同様に再生周波数特性を測っときに分かっていたので、今回はラージマイクユニットを搭載したローノイズの音楽録音用マイクを探し、結果的に同一メーカーのB1というマイクを購入しました。
同様にセッティングしてスピーカーからの再生音を空気録音してみたところ、B1は流石にローノイズで、今回の再生音確認用録音に対しては十分機能してくれました。
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H5の内蔵マイクでも試してみましたがECM8000程では無いもののノイズが大きいのと、何より録音された音と生音の差が大きいので、こちらの用途にも役不足でした。
B1で録音した音はある程度高域の強調感が感じられるものの、帯域が広く伸びやかで解像感の高い自然なものでした。
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スピーカーからの再生音を空気録音したものでPCにインストール済みのフリーソフトWaveSpectraを使用して解析、プロットしてみました。
サブウーファーOFF時は約150Hzから出力が低下し始め、125Hzで一旦平坦にはなるものの、さらに低下して行きます。聴感上は低音の無い寂しい音に聞こえてしまいます。
一方ウーファーをONにすると、約90Hzを最大にして低下して行きますが150Hzを基準の時約35Hzで-10dbと、かなり改善されているのが判ります。低音が出過ぎているという感じは無く、適度な量感を感じられます。
約125Hにあるディップは定在波の影響のようで、サブウーファーの位相選定やカットオフ周波数と出力レベルの調整では、取り切れませんでした。
1kHz付近を境にして中高域の出力レベルが低いのは、スコーカーとトゥイーターの位置がリスニングポジションに対して高すぎる事の影響が大と考えられます。
リスニングポジションが床から約900mmなのに対してスピーカーを逆置きにしてしてはいるものの、スコーカーとトゥイーターの中心位置が約1250mmになっています。
しかしながら、実際に聴いていて中高音が極端に出ていないとは感じられないし、寝転がって聴くのが最優先事項なのでこのまま使用することにしました。
また、各帯域で定在波の影響によると思われる凸凹が見られることから、室内のコーナーなどに吸音材を配置するなどの対策が必要かと思われますが、これも当面このままで使用することにしました。
20)
測定した結果として低音域調整後はまだ中高音域で補正処理が必要と思われますが、グラフィックイコライザーなどを導入する程大きな対応はしたくないし、実際にベッドに寝転がって聴いた音はそれ程不自然には感じられないので、使い勝手優先で進めることにします。
調整の為に、普段聞いている曲を中心に、スピーカーからの実音を聞きながら低音域を調整しました。ほぼ決まってきたら、モニターヘッドホンSONY MDR M1STを中心にイヤホンMDR EX800ST、IER-M7で確認・再調整しました。
補助確認としてSONY MDR-CD900STも使用しましたが、元々低音不足気味で高音域が強く感じられるので参考程度の使用にとどめました。そのほか、AKG K702、FOSTEX T60RPなど音の傾向が違う手持ちの色々なヘッドホンでバランが悪く無いかを確認後、動画用のBGMとして使用する音声トラック用の空気録音をしました。
動画)
それでは実際のスピーカー再生音を、空気録音したものを使って動画を作成したのでこれを聞いてください。
ヘッドホンで聞いていただくのが一番良いです。
YouTubeでは多くの曲が著作権料無しで使用できますが、完全フリーという訳ではなく、作曲者や音源製作者から予め使用許諾を得る必要があるので、これが面倒です。
YouTube スタジオにはこの許諾も不要な音源のストックが用意されているので、この中から適当に選んだものを使用してスピーカーで再生した時の音の実例として動画に使用させて頂きました。
これらの音源はHR対応ではありませんが15kHz程度の高域までは出ているので、ウーファーを追加した時の低域と曲全体のバランスを見るには十分です。
実際にダウンロードした元データをDAP格納し、これをスピーカーで再生した生音を空気録音したのが本動画のBGMです。音の補正は一切していません。
空気録音は96kHz/24bitのwavファイルで保存しました。全体で45分程の長さになっていたので、動画作成時にソフトで切り詰め加工し、動画として纏めたものをYouTubeにアップしました。
オリジナル音源に対する音質変化(劣化)は、スピーカーからの再生時が一番大きく、更に空気録音でもある程度追加され、そして動画作成過程、アップされたYouTube動画でも少々更に追加されるが確認できました。
ただ、オーバーオールの変化でも低音のバランス判断が出来なくなるほどではないので聞いてみてください。
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この他アンプのLINE2入力にはアナログMIXERを介してTV音声、PC音声が接続されます。
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また、MIXERにはベース練習用のエフェクターボードからの出力も入力されているので、このシステムでベースの音を聞きながらの練習も可能です(寝転がって弾くという事は無いけど、ベッドに座って弾くことはあるな)。
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TVには、HDMI切り替え器経由でPCの画面(仮想キーボードを使用することで布団に寝たままPCの操作も可能)です。
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また、Blue-lay プレーヤーでDVDやBlue-layの動画ソフトも見られます。
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そして、今まで乗って来た車達の走行動画を見る為の動画再生システムも接続されているので、TVの画面上でこれらを見ることが可能です。
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枕元に各種リモコンと、マウスとマウスパッドを置けば、目指していたぐうたらPCオーディオシステムが、ほぼ完成です。
PCの電源ON、Blue-lay プレーヤーへのDISKの出し入れ、DAPの最初の操作の為には一度布団から出る必要がありますが、寒い日に布団に潜ったまま音楽聴いたり、動画を見たりできるシステムがなんとか纏まりました。
こんな怠惰な生活を送るもの作って良いのだろうか・・・・でも、温いのは大好き。