今回はトヨタ博物館新館2階で2021年10月30日から2022年4月17日の間行われた企画展「WRC 日本車挑戦の軌跡」の会場内の様子です。この企画展ではトヨタのラリーカー以外の国内のラリーカーを各社にお借りして展示したそうです。
会場入り口はこのようになっており、床も道路を模したものとなっています。
入ってすぐに目に付くトヨタセリカツインカムターボ(TA64)のお尻。元々はトヨタメガウェブに展示されていた車両です。メガウェブ閉館後のセリカはトヨタ博物館に収蔵されたのだろうか…?
この車両は3代目セリカをベースにした車両で1984年から1986年のサファリラリーで3制覇を達成したマシンです。市販車ではヘッドライトがライズアップ(ポップアップ)式ヘッドライトでしたが、ラリー参戦車である当車は固定式に変更されています。
こちらはトヨタセリカGT-Four ST165。こちらも元々はメガウェブに展示されていた車両です。4代目セリカをベースにした車両で1990年にサファリラリーで優勝した車両です。
トヨタカローラWR-Car(プロトタイプ)。こちらの車両もメガウェブで展示されていた車両です。そういえばトヨタ博物館では色々な車両を展示保管していますが、モータースポーツ参戦車両は大半がメガウェブで展示されていましたね。
トヨタ8代目カローラ3ドアハッチバック(AE111型)をベースにした車両で、1995年ラリーの規定違反を受け、1996年は出場停止処分となった。その期間にカローラWRCの開発が行われた。
そして1997年のテスト参戦を行い、1998年からフル参戦となった。セリカのホイールはOZのものですが、カローラWR-CarのホイールはSPEEDLINEのものを装着。
この企画展では展示車の背景が頭文字DやMFゴーストのような擬音が轟く漫画調のものになっています。角度によってはまるで3台がバトルをしているようにも見えます。そういえばスズキ4代目スイフトスポーツのCMもこんな感じでしたね。
余談ですが、最近放映されたトヨタGR86のCM、「THE FR」ではGR86(2代目86)、86(初代)、スプリンタートレノ(AE86型)の3台が富士スピードウェイでドリフト走行を行い、その光景をドローンで撮影した映像などを使用したCMとなっています。
トヨタ車コーナーの横には日産自動車コーナーがあります。こちらの展示車はどちらもサファリラリー参戦車両ということでサバンナのような背景となっています。2台共普段は座間記念庫に保管されている車両です。
ダットサン240Zサファリラリー参戦車。1973年の東アフリカサファリラリー(世界ラリー選手権サファリラリー)で総合優勝をしたマシンです。
当時の規則に合わせて2497ccまでボアアップが行われ、220馬力を発揮した。ドライバーはシェカー・メッタ。
運転席。240Z(北米仕様)なので左ハンドル車となっています。
運転席側フェンダーの損傷が特に激しく、ヘッドライトが欠落しかけています。敢えてレストアすることなく、このまま保存されているようですね。
日産バイオレットGT 第30回サファリラリー参戦車。こちらは2代目バイオレット(PA10型)をベースにした車両となっており、1979年〜1982年の4連覇を達成した。
この車両は日産名車再生クラブが2009年にレストアされており、マールボロ側の許可を得て同カラーのペイントを施しているそうです。
日産自動車コーナーの横にはマツダ、スズキ、ダイハツ車の展示コーナーが。こちらの背景は砂埃を立てているものです。
マツダSA22型RX-7(Gr.2 Class4)。Clarion RX-7とも呼ばれるRX-7、1979年のモンテカロラリーGr.2クラス4優勝車です。ヘッドライトは市販車と同じリトラクタブル式ですが、車両中央にフォグランプが装備されています。
ラリーから帰国後に行方不明となっていたようですが、横浜市にあるマツダR&Dセンターで2004年に発見されたそうです(
2004年10月21日掲載のレスポンスの記事)。マツダR&Dセンターは基本的にはマツダ車の開発研究を行う建物のようですが、1階には歴代のマツダ車も展示されているようだ(イベント時以外は一般非公開)。このマシンは普段はここに展示されているのだろう。
スズキSX4 WRC。2008年の世界ラリー選手権に参戦したSX4です。開幕戦のラリー・モンテカルロでパー・ガンナー・アンダーソンが8位入賞。
スズキ自動車の保存車展示施設といえば浜松市の本社横にあるスズキ歴史館を思い浮かべますが、そちらでは見たことがありません。ラリー参戦当時はスズキのディーラーなどで展示も行われたようですが、ラリー参戦終了後ではこのイベントで久しぶりの公開となったのではないでしょうか。
ダイハツ初代シャレード(G10型)。1982年のサファリラリー参戦車両です。全部で3台で参戦し全車両完走、クラス優勝を果たしたそうです。
こちらの車両はダイハツ東京ショールームやダイハツ工業本社内にあるヒューモビリティワールドの企画展などで展示されたようですが、普段はどこに展示されているか不明です。
そしてマツダ・スズキ・ダイハツの横(日産の向かい)には三菱車のコーナーが。2台並んでの写真は撮影し忘れました。こちらは三菱コルトランサー1600GSR。三菱初代ランサーの4ドア車がベースとなっています。
1974年の東アフリカサファリラリーの優勝車です。普段は愛知県岡崎市にある三菱オートギャラリーに展示されているようです。
三菱ランサーエボリューションⅥ(レプリカ)。WRC2001年シーズン中に第1戦ラリー・モンテカルロ、第3戦ラリー・ポルトガル、第8戦サファリラリーで優勝したマシン。
看板にレプリカとあることから実際にラリー参戦したマシンではなく、参戦マシンを再現した車両だと思われる。
コルトランサー同様にこちらの車両も普段は三菱オートギャラリーに展示されているようです。
ウイングにはマールボロと入っています。
左ハンドル車となっています。
三菱自動車のコーナー横には三菱の永遠のライバルとも言えるスバル車のコーナーとなっています。こちらのパネルも峠道を模したものになっています。
スバル初代レガシィRS。1990年からWRCに参戦してきたスバルが1993年にニュージーランドラリーで優勝したマシンです。スバル車初のWRC優勝で尚且つレガシィとしては最初で最後のWRC優勝となりました。
こちらも左ハンドル車となっています。
普段は東京三鷹市にあるSTI Gallery MITAKAに展示されているようです。
スバル初代インプレッサ555。1995年シーズンと1996年シーズンのマニュファクチャラーズタイトルを2年連続で獲得
555とは当時のスポンサーであるArdath Tobacco Company社から販売されていたタバコの銘柄である「ステートエクスプレス555」からきています。この車両も普段はSTI Gallery MITAKAに展示されているようです。
以上が企画展の展示車両です。
動画も撮影しております。
今回の企画展では国内主要メーカーのラリー車展示という企画なのに、ホンダは展示車なしでしたね。以前トヨタメガウェブに展示されていたホンダ初代シビック1200RSを展示できなかったのは大人の事情なんでしょうかね?
またこの企画展の連動企画として文化館(新館)1階のエントランスホール(売店前)にも色々なラリーカーが展示されていました。2021年10月26日から同年12月23日の間に第一弾連動企画としてスバルWRX-STI(CBA-VAB型)とトヨタセリカGT-FOUR(ST185型)のトオーストラリアラリー参戦車とトヨタMR-2(222D)グループS試作車が展示されました。
そして2022年1月12日から同年2月6日の間は第二弾として今回紹介する車両らが3台展示されていました。画像は第一弾と第二弾で展示されていたトヨタMR-2(222D)グループS試作車。元々はメガウェブに展示されていた車両です。
この222Dは初代MR-2(AW11型)をベースにグループB参戦用の為に制作されたマシンではありますが、市販のMR-2とは別物となっている。グループB先鋭化のグループSの立ち上げにより、222Dの参戦をグループSに変更されたが、残念ながら実戦投入前にグループSが廃止になったので実戦参戦はない試作車となっている。
トヨタヤリスWRC(2017参戦車レプリカ)。現在もWRCに参戦しているTOYOTA GAZOO Racingのマシン。ヤリスの名前こそ入っていますが、市販のヤリスとは異なる競技専用車となっている。
フロントのトヨタエンブレム周りは吸気口となっている。グリルに「YARiS」の表記が入っています。残念ながら置き場所の関係で車体後部は建物外からしか観れませんでした。
ホイールはOZ Racing製。ヤリスWRCのホイールといえば白色のイメージですが、展示車は黒色のものを装着しています。
ドアミラー。市販車とは全く異なる流線型のものです。
トヨタGRヤリス GR4 Rally(2021年全日本ラリー参戦車)。こちらの車両は先ほどのヤリスWRCと異なり、全日本ラリー選手権は国内最高峰のラリー選手権で市販車に近いナンバー付きラリー車で参戦します。この車両も見た目はほぼ市販車のGRヤリスです。
ヤリスWRCと異なりこちらのマシンは後ろ側も見ることができます。
運転席。ロールバーが追加されたりステアリングなどが変更されていますが、車内も市販車に近い形状かと思われます。
ちなみに以前メガウェブで撮影したGRヤリス(市販車)の運転席。参戦車(競技用グレードのRC)は中央にあるディスプレイオーディオ(ナビ)が非装備のものとなっています。
ちなみに第三弾の連動企画ではマツダRX-7グループB(1985年アクロポリスラリークラス順位3位入賞車)、ダイハツシャレードGT-Ti(1993年サファリラリー総合7位クラス1位入賞車)、スズキスイフトJWRCスーパー1600(2007年JWRC参戦車両)の3台が2022年2月8日から同年4月17日に展示されました。
オマケ
ここからは新規でトヨタ博物館に寄贈・展示された車両などを紹介していきます。
まずは俳優の唐沢寿明さんに寄贈されたトヨタ2000GT Roadstarです。
前期型2000GTをベースに製作されたロードスター仕様です。
2000GT Roadstarの運転席。ロードスター仕様といえば007は二度死ぬの劇用車として製作されたボンドカーが有名ですが、こちらの車両のように量産型をベースに個人でロードスター仕様に改造された車両もあるようです。
こちらの車両は2021年10月26日から2022年4月3日の間、トヨタ博物館クルマ館1階エントランスに展示されていました。
ちなみにこちらが以前トヨタ博物館の企画展、バックヤード収蔵車展「お客様が選んだ裏 BEST10」で展示されたトヨタ2000GTボンドカー。企画展中にトヨタ博物館へ行っていたのですが、ブログ記事にはしていませんでした。なぜか
動画はアップしていました。
しかもリアの画像も撮り忘れていました。不覚。
2022年1月5日よりトヨタ博物館クルマ館2階のZONE5というエリアの展示車両が入れ替えられました。「日本における自動車量産の幕開け1920-1940s」というテーマだそうです。
その展示車のうち1台のトヨタKC型トラック。「KB型」の戦時型トラックで、1943年11月から1947年3月まで生産されていた。最大積載量は4000キロだと思われます。
クルマ館3階に展示されたメルセデスベンツ560SEL W126型。メルセデスベンツのフラグシップモデルのSクラス、展示車は1990年式の左ハンドル車です。
エアバッグや3点式シートベルトなどの安全装備を備える4ドアセダンです。展示開始時期などは不明です。
メルセデスベンツ190E W201型。新規寄贈車として2020年10月13日から11月1日の間文化館1階エントランスにフィアットパンダと共に展示された190E。展示終了後にクルマ館3階に展示移行されたようです。
日本国内ではメルセデスベンツ初の5ナンバーサイズ車として販売された車両になります。先ほどの560SELよりも一年早い1989年式ですが、ひと回りコンパクトなボディなのがわかります…とはいってもそれでも大きいと思いますが…(汗)。こちらの車両は右ハンドル車です。
日産スカイラインGT-R(BNR32型)。16年ぶりに販売された3代目GT-R、現在でもファンが多い1台だが、この車は2021年4月から新規展示されている。
トヨタ博物館所蔵車としては唯一所有するGT-Rだと思われます。メガウェブヒストリーガレージにはハコスカが展示されていましたが、どうなりましたかね?
運転席。純正ステアリングがある意味珍しい…?
ホンダ初代NSX(NA1型)。新規収蔵車でトヨタセリカGT-FOUR(ST205)と共に2021年7月6日から同月15日まで文化館エントランスに展示されました。
その後10月12日よりクルマ館3階にて新たに展示されたようです。トミカやTLVなどでもお馴染みのフォーミュラレッド/ブラックのツートンカラーとなっています。
反射して上手く撮影できませんでしたが、運転席。是非いつぞやのトヨタセラの展示のようにドアやエンジンフードを開いた状態で展示してほしいものです。
テスラ ロードスタースポーツ。R32GT-R同様に2021年4月に展示開始されました。
アメリカのテスラモーターズが2008年に市場投入した電気自動車。トヨタ博物館では唯一所蔵するテスラ車です。
今回は以上です。
参考文献
Response クラリオン/マツダ RX-7、25年ぶりの発見&復活(2004年10月21日16時35分)
トヨタ博物館車両データーベース
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