いわゆる8ナンバー車などの特装車の特集です。8ナンバーではない架装・特装車両もこちらで紹介させていただきます。タイトルは言いたかっただけです。今回は藤沢市消防局高度救助隊救助車、首都高道路管理隊パトロールカー・黄バイ、静岡県消防防災航空隊緊急車特集です。※一部画像は瀬戸陸さんが撮影し、ご提供していただいたものです。当記事及びブログ内全ページにある画像の無断使用は一切お断りします。
まずはこちら。藤沢市消防局に配備されていたⅢ型救助工作車。平成17年度(2005年)12月に藤沢市消防局(配備当時は藤沢市消防本部)南消防署に配備され、平成21年度(2009年)に発足した高度救助隊にて運用されていました。
いすゞ4代目フォワードの7t級・4輪駆動シャーシの「FTS(型式:PJ-FTS34H4)をベースに帝国繊維が艤装したキャブバス型救助工作車です。キャブはキャブバス型及びハイルーフ化する為に、いすゞ自動車の子会社である架装メーカーの「いすゞ車体」が架装しており、一般的に販売されているフォワードの顔つきとは異なっています。
そしてこの4代目フォワードをベースにしたバス型救助工作車は令和2年度に後任車両となる救助工作車へと更新され、退役しました。
退役後はそのまま廃車になってしまったと思われていた救助工作車でしたが、2021年11月に藤沢市からいすゞ自動車の展示施設である、いすゞプラザに寄贈されました。11月10日に寄贈式がいすゞプラザで行われ、その後11月11日から同月27日の間、いすゞプラザ1階にある現行車のいすゞエルフやいすゞD-MAXが展示されている場所にて救助工作車の特別展示が行われました。
その後暫くの間、音沙汰がありませんでしたが、2022年7月21日よりいすゞプラザ館内の展示車両入れ替えという形で、自衛隊「3 1/2tトラック(いすゞSKW)」が展示されていた1階運ぶを支えるいすゞ「命を支える」コーナーにて展示が始まりました。
いすゞ車体ではキャブ部分の架装とユニッククレーン取り付けを行ない、キャブ後ろの救助資機材庫部分は帝国繊維にて架装されました。
救助工作車後部。古河ユニック製の直進式トラック搭載型クレーン(V370)を搭載しております。
SKW同様に運転席が開放されていました。
運転席。運転席廻りの内装はフォワードのものとなっています。
オドメーター(走行距離)は48,434kmでした。この救助車は約17年間使用され、東日本大地震の際には緊急消防援助隊神奈川県隊として仙台市に派遣されました。
サイレンアンプは2005年4月に発売された大阪サイレンMARK-10です。上部には集中操作スイッチSBW-100を装備します。アンプ用のマイクは外され、サイレンアンプ類に触れないようにアクリル製のカバーが取り付けられています。
集中操作スイッチがコンソールボックスに後付けしたような形状です。サイレンアンプと集中操作スイッチの間には本来無線機が取り付けられていたものと思われますが、外されて蓋がされております。コールサインは「藤沢高度救助1」。
助手席には救助服を着たマネキンが乗車しております。助手席の後ろには座席が1席設置されています。
運転席インパネと外側の朱色のパネルの間には白色のフレームが。これが本来のフォワードのフレームです。
救助工作車横で流れているスライドショーに、架装当時の写真がありました。フォワードがベースと言っても、キャビンの殆どは新規で作られていることがわかります。
昨年特別展示された際は閉められていた後部の折戸が今回は開けられていました。
扉は開けられていましたが、車内は立ち入り禁止となっており、後部座席には防火衣を着たマネキンが乗車していました。
後部座席の扉は助手席側にある折戸のみで、助手席側にはメトロ窓が取り付けられています。
車内に2個装備された室内灯は運転の支障にならないように前側にはカバーがつけられ、ヘルメットなどが当たった際に割れないように全体にプロテクターステーを装備します。
車内。助手席上部にはマッピングライトを装備していることが確認できます。
車庫証明のステッカーは助手席側の三角窓に貼られていました。
主警光灯はウィレン製のライトバーとなっており、標識灯には「高度救助」と入っています。
ちなみに藤沢救助は他の車両同様にヘッドライトやテールライト、ウインカー、フォグランプなどが点灯可能となっています。バックランプやホーンなどは作動しませんでした。
ヘッドライトはフォワード用のものではなく、角型の汎用品となっています。ポジションランプ/ウインカーは高床4駆車用のウインカーです。
以前航空自衛隊静浜基地で使用されていた業務トラック(トラック 2 1/2t 4×4 )も救助車と異なり、高床4t車のFRSがベースとなっていますが、救助車同様のヘッドライトとウインカーを採用しています。
助手席側のドアも通常のトラックのものとは異なるドアハンドルとなっています。
現役時代に撮影した際は、ドアハンドル下部に錆が浮いてしまっていましたが、寄贈の際に修理されたようです。
昨年展示された際に2階から撮影した画像。救助工作車の対空表記は藤沢救助となっています。
車体後部に装備されている三連梯子基台。本来は三連梯子を装備していますが、寄贈の際にこういった資機材は外されてしまったようです。
キャブ後ろに装備されている湘南工作所製の昇降式照明装置。
フロントバンパー内にはモーターサイレンが取り付けられています。
救助工作車の資機材庫。この部分に関しては他の救助工作車と大差はないと思われます。
こちらの車両は動画でも紹介しています。
現在、藤沢市消防局南消防署高度救助隊で使用されているⅢ型救助工作車です。
新車両はいすゞ5代目中期型フォワードをベースに帝国繊維が艤装したHX型という救助工作車です。
HX型はニッポンの歴代レスキュー車BEST100(芸文社著)にて第三のバス型として紹介されている救助車の形態で、ワイドシングルハイルーフキャブをベースに、ボデー前に隊員席を設けた新方式のハイルーフキャビン車両です。
テイセンHX型は殆どが日野自動車製の車両をベースにしたものが多いので、いすゞ車ベースは珍しい気がします。また先代車両同様に運転席側の後部座席用乗降ドアは非装備となっています。
テールランプは小糸製作所製トラック用オールLEDリアコンビネーションランプ3連タイプのクリアVer.を採用しています。ウインチはロッツラー社トライマチックウインチです。
こちらは先代バス型救助工作車同様にいすゞ4代目フォワードの7t級高床四駆車であるFTSをベースにした藤沢市消防局の支援車Ⅰ型。ヨコハマモーターセールスが艤装し、平成16年度に配備された車両です。
先述のバス型救助工作車と異なり、ヘッドライトはフォワードの純正品のヘッドライトですが、ウインカーは先述のものです。
本来ヘッドライトやグリルが取り付けられている部分は埋められ、フロントパネルには「FUJISAWA」という表記が入っています。この表記は右上にある「FORWARD」のロゴフォントに合わせてあるのが面白いです。モーターサイレンはバンパー内に取り付けられています。
主警光灯はウィレン製のライトバーを採用。補助赤色灯も同社製。
この支援車はFRP製のボディでウォークスルー構造になっていますが、キャブチルト可能となっており、整備性が考慮されています。支援車Ⅰ型は拡幅型の車両が多いですが、こちらの車両は拡幅構造にはありません。
後部にはパワーゲートを装備しており、資機材を積んだ籠車の積載を容易にしています。ちなみにこの支援車には10名の乗車が可能となっています。
続いて横浜市西区みなとみらいにある首都高速道路株式会社の広報施設、首都高MMパークです。この展示施設は2021年にオープンした新しい施設で、2台の働く車が展示されています。
展示されている車両1台目は、道路管理隊で使用されていた道路パトロールカーです。
この道路パトカーはトヨタ200系中期型ランドクルーザーをベースにした車両で、落下物や交通事故などの首都高本線上でのあらゆる事態に対応する車両です。
首都高道路管理隊道路パトカーの特徴として、車体後部に牽引フックが取り付けられている車両が存在します。これを使用して故障した4tトラックを道路上から排除することも可能です。
前面赤色灯としてバンパーにパトライト製のバンパー取付けLED補助警告灯LABが2個取り付けられております。
車体後部の屋根には森尾電機製の可倒式誘導標識を装備しています。誘導標識を起立させなくても後続車にメッセージを表示できるよう、LED式の電光掲示板も装備しています。またLED電光掲示板には補助赤色灯としてパトライト製LED補助警告灯(LP3)が取り付けられています。
MMパークは2階からも入れる構造ですので、誘導標識も上から観察可能です。見学した際は誘導標識が格納された状態ですが、パンフレットには起立した状態の写真が掲載されていますので動かすことが可能なのかもしれませんね。
主警光灯はパトライト製エアロソニック(AJS-HMBT)の赤/黄色回転灯。ドライバーユニット(スピーカー)を2個搭載し、回転ユニットが4個あるバー型のランプです。
道路パトカー車内。フロントガラスには助手席隊員用に後付けのルームミラーが取り付けられています。
助手席グローブボックス位置には誘導標識の操作コントローラーが。コントローラーは流線型電光式誘導標識のものと共通だと思われます。
センターコンソールには「側面点滅灯」と書かれた赤色灯用プルスイッチと作動用ランプが取り付けられています。その後ろには1〜10の数字が書かれたスイッチがあります。このスイッチは後部の電光掲示板に表示する定形メッセージ用の物だと思われます。その後ろにある金属の蓋部分には元々無線機が取り付けられていたようです。
サイレンアンプはパトライト製SAP-500。道路パトカー用のR(赤)/Y(黄)の分割回転スイッチを装備しているモデルです。4秒/8秒周期自動サイレンボタンや手動サイレンボタン、サイレン停止ボタンには触らないようにテプラが貼られています。
道路パトカー側面。前後のバンパーは反射式の紅白バンパー、車体ドア部には青色反射文字で首都高速道路PATROLと入っています。
同じく首都高MMパークに展示されている首都高バイク隊のパトロールバイク(通称:黄バイ)。この車両は首都高独自の車両です。長いトンネル区間を有する中央環状線山手トンネルを管轄する基地に配備されている車両で、トンネル内でもいち早く到着が可能です。首都高バイク隊は2007年に発足。
ベースになっている車両はホンダCB400スーパーボルドールです。大阪府警察スカイブルー隊にて同型の緊急走行可能なバイクが使用されています。
基本的な装備はホンダCB1300Pに準じていますが、細部が異なる架装となっています。
車体後部に取り付けられた無線機ボックス。白バイのものより何回りか大きいボックスとなっています。
速度取締は行わないのでメーターは純正のアナログメーターとなっています。
ハンドル右側にあるスイッチ類。赤色灯やサイレンのスイッチは白バイのものと同型ですが、リアパトの切り替えスイッチはCB1300Pの形状と異なり、ハンドルステーに取り付けられています。
パトライト製の赤色灯及びスピーカーは白バイ用の物と基本的に同じですが、バイクの車体色に合わせて黄色く塗装されています。またスピーカーには首都高パトロール隊のエンブレムステッカーが貼られています。
リアパトも同様に白バイ用を黄色くしたものが取り付けられています。リアパトは伸ばされた状態で展示されていました。
黄バイのサイドボックス(パニアケース)も白バイと同型です。中には発炎筒などの資機材が積まれています。
白バイと異なり、黄バイには左のサイドボックス下にクラリオン製のスピーカーを装備しています。
ちなみに現在の黄バイのマイクはBluetoothによる無線式となっており、広報用スピーカーやバイク間無線、業務用無線、携帯電話の4系統が集約されています。
首都高MMパークは動画でも紹介しております。
静岡県消防防災航空隊の緊急車両。防災ヘリコプターの運用の後方支援を行う車両で、三菱後期型デリカD:5をベースにした車両。ボディカラーは市販車の有料色であるホワイトダイヤモンドです。
車体サイドに静岡県消防防災航空隊の表記が入っています。ルーフには数本のアンテナが確認できます。赤色灯はパトライト製エアロブーメラン(AXSシリーズ)、サイレンアンプは同社製SAP-520シリーズを搭載。
更新前の静岡県消防防災航空隊の水防機関用車両。市販ボディカラーのシルバーマイカメタリックのトヨタ200系前期型レジアスエースバンをベースにしている。
主警光灯は大阪サイレン製スーパーネオフラッシュ(NFシリーズ)をルーフ上に装備しており、緊急走行が可能と思われますがナンバープレートは8ナンバーではなく、1ナンバーで登録されています。フロントパネルとリアドアには「SHIZUOKA AIR RESCUE」の表記が入っていました。
車体サイドには静岡県防災ヘリコプターのオレンジアロー(川崎BK117C-1)の写真がラッピングされています。
とある町で使われている三菱2代目パジェロをベースにした水防車。純正カラーでの採用となっています。
緊急走行が可能となっており、赤色灯はパトライト製エアロソニック(AJS-HM)です。サイドステッカーに「INTERCOOLER TURBO 2800」とあることから2.8L 直列4気筒SOHCICターボディーゼルを搭載していると思われます。
今回は以上です。
【参考文献】
ニッポンの歴代レスキュー車BEST100(芸文社2018年7月1日発行)
藤沢市消防局市内に配置されている消防車の紹介
いすゞプラザ公式HP
帝国繊維 救助工作車(防災事業のご案内)
ヨコハマモーターセールス FRP製 支援車(高床型)※pdfファイル
首都高NEWS乗り物プロファイル
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首都高バイク隊
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