「常識的に考えてあり得ない」と思われたロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまいました。首都キエフは陥落寸前のようです。
第三次世界大戦や核戦争になりかねないとまで書いてロシアの侵攻の可能性を否定的に考えていた自分ですが、何が間違っていたのか?
とりあえず言えることは、
米軍やNATOの軍事介入は100%ない
とプーチンが確信していたらしいということです。
オバマ政権時代の軍縮で、現在の米軍は世界の2箇所以上に空母打撃群を派遣して戦争をすることができなくなってしまったと言われています。
そうなると、1箇所に派遣してしまうと他の地域で紛争が発生しても米軍は対処できないことになりますので、事実上余程のことがないと米軍は戦争を始められない、ということになります。
トランプ政権時代に米国は一度も新たな軍事行動を起こさなかったと言われますが、実際には「出来なかった」というのが本当のところのようです。
中共の脅威を前にし「インド太平洋戦略」にシフトせざるを得ない現状、米軍が欧州で本格的に戦争に参加するのが困難なのは確かでしょう。
トランプ政権時代からアフガニスタンからの撤退は決定事項でしたし、トランプはシリアからも撤退したがっていました。また、NATOには軍事支出の拡大を求め、当然日本にも同様の態度を示してきました。
ですので、同盟国でもNATO加盟国でもないウクライナのために、世界大戦や核戦争のリスクを冒してまでロシアと戦争するつもりは最初からなかったという話です。
このことは冷戦終結後、湾岸戦争の頃から続いてきた米国一強支配による世界秩序や平和の維持であった「パックスアメリカーナ」の終焉を意味します。
実際に米国はポーランドなどの東欧のNATO加盟国に少数の部隊を送るにとどめ、ウクライナに対しては武器の支援や情報提供する程度の支援しかしてません。
前回の記事で
核戦争覚悟で軍事介入するか
軍事介入しないでウクライナを見殺しにするか
の二択だと書きましたが、どうやら後者のようです。
軍事的にウクライナ単独ではロシアに対して勝ち目はありませんので、ゼレンスキー政権はこれで終わりです。
ロシアがウクライナを併合してしまうのか併合せずに傀儡政権を作るのかわかりませんが、「常識的には(苦笑)」後者でしょう。
もしもロシアがウクライナ全土を平定し併合してしまえば、ロシアはバルト三国やポーランド、ルーマニア、スロバキア、ハンガリーといったNATO加盟国と国境を接してしまう事になります。
これではロシアとNATO加盟国との緩衝地帯はベラルーシとモルドバだけになってしまいます。これでは第二次世界大戦勃発直後のナチスドイツとの「ポーランド分割」の時と同じ状況です。
「NATOの東方拡大の阻止」というロシアの戦争目的は達せられても「NATOとの緩衝地帯確保」という意味ではむしろ状況は悪化してしまいます。
ただ、プーチンがボケたとか狂ったとも評される今回の事態だけに今後の展開は全く見通せません。
ウクライナの愛国者達は地下に潜ってテロなどで抵抗を続けるかもしれません。
国連の動きが遅く、また仲介者として期待される中国は今のところややロシア側の立場に立ちつつ静観しています。停戦や和平に向けた動きは見られません。
中共としては米国の「インド太平洋戦略」の足を引っ張る今回の事態を好感してるようにも見えます。
そうなると今この戦争を止められる国や組織、人物が見当たりません。
強いて挙げればトルコのエルドアンでしょうが、トルコ共和国もNATO加盟国ですし力不足の感が否めません。
ロシアとしては中共への配慮もあって北京パラリンピック開幕までに戦闘を終えたいでしょうが、状況によっては市街戦が泥沼化し、死体の山が築かれることになります。
ヤバいですね…いやマジで
Posted at 2022/02/26 02:11:21 | |
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