意外と早く日和りましたねw
このニュースです。
EUが35年以降もエンジン車販売容認、方針を転換 合成燃料利用で - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR252US0V20C23A3000000/
「朝令暮改」
という四文字熟語が
頭を過ります
これまでこのブログでは、2035年までに化石燃料車の販売禁止とか2050年までにカーボンニュートラル達成という無謀な政策について散々批判的な記事を書かせていただきました。
2035年で化石燃料車販売禁止にするとEU議会が議決したのは今年の2月の話です。
2035年、化石燃料車販売禁止
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/46755106/
真剣にカーボンニュートラルを目指すための努力目標として設定するのは良いですが、それまでにクリアしなければならない諸問題について具体的な計画が全く示されないまま掛け声だけが先行して政策が決められては混乱を招くだけです。
必死にCO₂削減に取り組んできたEUのこれまでの努力を全否定するつもりはありませんが、「持続可能な発展(SGDs)」という理念のために「実現不可能な政策」を無理強いするのはパワハラのような物です。
欧州の暴走にバイデンと日本の菅 前政権が追従し、G7諸国が足並みを揃えた結果ですが、結局日米は梯子を外された形になりました。
︙
欧州社会は「俺様ルール」を世界にゴリ押ししてきた歴史がありますが、現代においてもその本質は変わっていないように思えます。
化石燃料車、エンジン車を禁止し全面的にEVに移行させようなんて政策を突然ブチ上げ、化石燃料車の低燃費化に多大な投資をして実績を積み上げてきた世界中の自動車メーカーの努力を台無しにし、そして技術的課題の現状を無視してお花畑な政策をゴリ押しした挙げ句「やっぱ無理ポ」とか、舐めてるとしか言いようがありません。
そしてこのような政策がバイオ燃料等のカーボンニュートラルな燃料の開発への投資を滞らせ、結果的に地球温暖化問題の解決への道を遠ざけている事に気づかなければなりません。
もちろんこういう結果になる事は自明でしたので、EV全振りではなく水素燃料車やHVの製造開発を継続していく姿勢を示していたトヨタの方が正しかった事が早くも明らかになっただけの話とも言えます。
ただ黄色人種であるトヨタの社長にそれを指摘されても素直になれずに意地を張り続けた挙げ句の結果としか思えません。
日本人は今後もこのような連中の横暴と付き合っていかなければなりません。
︙
「合成燃料」使用が前提となっていますが、カーボンニュートラルなバイオ燃料を意味するのでしょうか?
2035年で化石燃料車の販売禁止という計画ではありましたが使用禁止という訳ではありません。
この場合、2034年以前に製造されたクルマに化石燃料を入れて走らせるのは合法、35年以降に製造されたクルマを化石燃料で走らせるのは違法という形になります。
もちろんその時代になっても化石燃料の方が安く供給できるでしょうから、化石燃料に税金をかけて合成燃料と価格を揃えるといった対応をしない限り古いクルマは堂々と化石燃料を入れて走らせる事になるでしょう。
化石燃料車と合成燃料車とで燃料に互換性を持たせないのであれば、それはそれで別の問題が浮上します。
合成燃料が化石燃料車でも使用できるなら、エンジン車は旧車であってもカーボンニュートラルになります。水素をガソリン車に使用するのは不可能でしょうが、化石燃料車にも使用できる合成燃料を十分量供給できるなら化石燃料車にも積極的に使ってもらえるようにした方が良いに決まっています。
一方でこれは2035年以降の「合成燃料専用車」がガソリンや軽油等の化石燃料でも使用できてしまう事を意味します。
化石燃料を使用できない合成燃料専用車…ただし合成燃料を化石燃料車には使用できる…そんな馬鹿馬鹿しい仕様にできるのであれば話は別ですがナンセンスです。
そんな馬鹿馬鹿しい事を考えるくらいならガソリンや軽油に合成燃料をブレンドさせ、徐々に化石燃料依存から離脱していく事を考えた方がまだ合理的です。
︙
EVは火力発電による電力を使用している限りカーボンニュートラルになりません。2035年までに火力発電を世界的に全廃させるのは不可能でしょうから、EVは決してゼロエミッションではありません。
もちろん2035年までにすべての自動車にカーボンニュートラルな「100%合成燃料」を供給できるようにするのも不可能でしょう。
「地球温暖化CO₂起原説」が正しいと仮定して、一刻も早くカーボンニュートラル達成を目指すためにどういう政策を取るべきなのか?
技術も知識もない政治家や官僚が知恵を絞って打ち出してくるアイデアより、世界中の人々が自由にアイデアを出して激しい競争を繰り広げた方が結果的により良い物が出来上がる、というのが自由主義に敗れた共産主義という前世紀の歴史の教訓です。
その歴史をリアルに体験してきたのが欧州の人々の筈です。旧東ドイツを含め東欧諸国の人々は骨身に染みてわかっている筈です。
︙
冒頭画像は我がトゥインゴSリミテが先日郊外路を主に走行した時に叩き出した燃費の記録です。
ドイツとフランスのメーカーが共同開発し、旧東欧諸国のスロベニアで生産された、直噴だのターボだのハイブリッドだのっていう低燃費技術をフルに導入されたわけでもない安価なベーシックカーでもこの程度の燃費を達成できます。
日本の軽自動車やHVであればもっと良好な燃費を記録できたでしょう。
プリウスが登場する以前の時代なら実燃費で10Km/L以上走れば充分に「低燃費」であると評価されたのを考えれば隔世の感があります。
EVとHVを含めた化石燃料車、そしてバイオ燃料やFCVを含めた水素燃料車…
燃料供給のためのインフラ整備を含めて何が最善なのか?
その答えは「民間に自由に競争させた結果勝ち残った物が結果的に最善だった」という話で、数十年後に明らかになります。
政治家達がパフォーマンスの為に余計な事をすれば、問題の解決が遠のくことになります。
追記
この件を報じる読売新聞の記事に「合成燃料」の解説がありました。
ガソリン車販売を事実上禁止する方針だったEU、2035年以降も条件付きで容認(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/6153fb5cd42cbd665f5537c7b5c9029068361251
H₂+CO₂→HCOOH(蟻酸)をベースに作る燃料でしょうか?
電気分解で水素を作るだけでなく蟻酸の合成にもエネルギーが必要ですし、蟻酸ではエネルギー密度が低いのではないでしょうか?
蟻酸そのものの毒性の問題もありますし、これはこれで技術的課題が残りそうです。