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TKG4410のブログ一覧

2023年03月26日 イイね!

続・2035年エンジン車販売禁止延期問題

続・2035年エンジン車販売禁止延期問題前回の続きというか補足です。前回記事を上げた後、この問題を伝える読売新聞の記事(Yahoo! ニュース)を見つけ、そこに「合成燃料」についての解説がありましたので慌てて「追記」して再アップしました。

ガソリン車販売を事実上禁止する方針だったEU、2035年以降も条件付きで容認(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/6153fb5cd42cbd665f5537c7b5c9029068361251


その追記の中で
H₂ + CO₂ → HCOOH
という反応で蟻酸を作るのか?と書きましたが、読売新聞の記事の中には具体的な物質は明記されていません。

さらに調べてみると、こんな解説記事を見つけました。

e-fuel(合成燃料)とは何か? トヨタも取り組む「CO2を排出しても脱炭素」の作り方 |ビジネス+IT
https://www.sbbit.jp/article/cont1/95962

(冒頭画像はこの記事から拝借してます)

作ろうと思えば何でも作れそうな感じですね。



どんな物質を作るにしてもCO₂を還元して燃料として使用可能な物質を製造しようと思えば、何らかのエネルギーが必要になります。

上記の蟻酸を合成する反応は、「人工光合成」と称して太陽エネルギーを使ってCO₂を還元させる研究でトヨタなどが取り組んでいる物です。

このあたりの話はこのブログでも以前書いた事があります。

全固体電池と水素エンジン、人工光合成
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/45054771/


これら「合成燃料」を燃焼させて得られるエネルギーは、これを作るのに要したエネルギーを超える事はできません。

せいぜい獲得できるエネルギーは数十%以下でしょう。

水素を作るのに水を電気分解するのであれば、それに用いる電力は原発や再エネなどのカーボンニュートラルな方法で作られなければなりません。

火力発電で作られた電力でやっていたら、化石燃料を使ったエンジン車よりもCO₂排出が多くなってしまう結果にもなりかねません。

これでは全く意味がありません。

ベース電力として原発をフル稼働させ、水力発電や「天気まかせ・風まかせ」の太陽光発電や風力発電と合わせ、その上で余剰電力を利用して水素を作らなければなりません。

そのためには日本においても現在の原発だけでは不足する事態が容易に予想されます。現状あまり現実的な政策だとは思えません。

ましてや脱原発を宣言しているドイツでこんな事が可能なのか?甚だ疑問です。

この問題でEUは今後も迷走を続けることになるでしょう。自業自得です。

本気でカーボンニュートラルを目指すとして、航空機等ではやはり燃料を燃焼させざるを得ないでしょうから、それらの需要を満たしつつ、その上で自動車需要を賄えるだけの「合成燃料」の量産が可能なのか?

2年前の上記ブログ記事では「人工光合成」に期待を寄せる旨書きましたが、商業ベースで実用化できるまではまだ何年もかかるでしょう。

電力を直接使うEV、水を電気分解して獲得する水素、その水素とCO₂を用いて作られる合成燃料…どれを使えば最も効率が良くなるかを考えるとEVという事になりそうです。



一方で原発にしても再エネにしても電力需要の時間的変化に見合ったきめ細かな発電量の調節ができませんので、余剰電力を蓄電したり、別のエネルギーという形で蓄積しておく技術が必要です。

余剰電力が発生しやすい深夜にEVの充電したり、「エコキュート」のような給湯設備や蓄熱暖房で熱エネルギーとして保存したりといった消費者側が取れる手段は既にありますが、当然これだけでは不十分です。

電力の供給側が調節可能なエネルギーの蓄積手段として、ポンプで下流域からダムまで水を汲み上げて位置エネルギーとして蓄積しておく「揚水発電」の他に、電気分解により水素を製造するという方法は今後広く普及することになるでしょう。

大型貨物や長距離バスなど、バッテリーに蓄電するEV(BEV)では充電時間の問題で運用上支障が出る用途ではまだまだエンジン車などの燃料を使用する動力が必要です。これらの用途に燃料電池車を含む水素燃料のニーズが出てくるかもしれないですし、安価に安定して「合成燃料」が供給できるのであればそれに越したことはありません。

これらを総合して考えればEV一辺倒の欧州の政治家や活動家よりも、燃料電池車を含む水素燃料車や人工光合成の研究を続けつつHVをさらに進化させているトヨタの方が現状を正しく認識できているのがわかります。

頭の中がお花畑な政治家や環境活動家と、死活問題として地球環境問題を捉えている自動車メーカーとでは真剣味が全く違います。



地球環境問題やエネルギー政策の話は、もっと大局的な見地から議論されなければなりません。

その上で最終的に生き残った技術が結果的に「最善」だったのであり「勝者」になります。

仮にEVが最終的な「勝者」になったとして、トヨタが投資した他の技術への投資が無駄になるのかというと…そんなことはないでしょう。

トヨタは上に紹介した2年前の記事で触れている「全個体電池」の特許を数多く抑えていますし、余剰電力の活用で水素エネルギーの利用も必要です。CO₂の回収技術や「人工光合成」「合成燃料」の技術も将来必要になります。

現状EVの販売では出遅れている感があるトヨタですが隙はありません。

日本の自動車産業の未来に関して悲観的な論調が昨今目に付きますが、自分には「トヨタ凄え…!」としか思えません。

むしろ今回の件を見ても欧州ブランドの方が色々ヤバいんじゃないのか?と他人事ながら心配になります。
Posted at 2023/03/27 00:02:00 | コメント(1) | トラックバック(0)
2023年03月26日 イイね!

おい!EU!舐めてんのか?〜2035年エンジン車禁止策後退〜

おい!EU!舐めてんのか?〜2035年エンジン車禁止策後退〜
意外と早く日和りましたねw


このニュースです。

EUが35年以降もエンジン車販売容認、方針を転換 合成燃料利用で - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR252US0V20C23A3000000/


「朝令暮改」
という四文字熟語が
頭を過ります


これまでこのブログでは、2035年までに化石燃料車の販売禁止とか2050年までにカーボンニュートラル達成という無謀な政策について散々批判的な記事を書かせていただきました。

2035年で化石燃料車販売禁止にするとEU議会が議決したのは今年の2月の話です。

2035年、化石燃料車販売禁止
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/46755106/


真剣にカーボンニュートラルを目指すための努力目標として設定するのは良いですが、それまでにクリアしなければならない諸問題について具体的な計画が全く示されないまま掛け声だけが先行して政策が決められては混乱を招くだけです。

必死にCO₂削減に取り組んできたEUのこれまでの努力を全否定するつもりはありませんが、「持続可能な発展(SGDs)」という理念のために「実現不可能な政策」を無理強いするのはパワハラのような物です。

欧州の暴走にバイデンと日本の菅 前政権が追従し、G7諸国が足並みを揃えた結果ですが、結局日米は梯子を外された形になりました。



欧州社会は「俺様ルール」を世界にゴリ押ししてきた歴史がありますが、現代においてもその本質は変わっていないように思えます。

化石燃料車、エンジン車を禁止し全面的にEVに移行させようなんて政策を突然ブチ上げ、化石燃料車の低燃費化に多大な投資をして実績を積み上げてきた世界中の自動車メーカーの努力を台無しにし、そして技術的課題の現状を無視してお花畑な政策をゴリ押しした挙げ句「やっぱ無理ポ」とか、舐めてるとしか言いようがありません。

そしてこのような政策がバイオ燃料等のカーボンニュートラルな燃料の開発への投資を滞らせ、結果的に地球温暖化問題の解決への道を遠ざけている事に気づかなければなりません。

もちろんこういう結果になる事は自明でしたので、EV全振りではなく水素燃料車やHVの製造開発を継続していく姿勢を示していたトヨタの方が正しかった事が早くも明らかになっただけの話とも言えます。

ただ黄色人種であるトヨタの社長にそれを指摘されても素直になれずに意地を張り続けた挙げ句の結果としか思えません。

日本人は今後もこのような連中の横暴と付き合っていかなければなりません。



「合成燃料」使用が前提となっていますが、カーボンニュートラルなバイオ燃料を意味するのでしょうか?

2035年で化石燃料車の販売禁止という計画ではありましたが使用禁止という訳ではありません。

この場合、2034年以前に製造されたクルマに化石燃料を入れて走らせるのは合法、35年以降に製造されたクルマを化石燃料で走らせるのは違法という形になります。

もちろんその時代になっても化石燃料の方が安く供給できるでしょうから、化石燃料に税金をかけて合成燃料と価格を揃えるといった対応をしない限り古いクルマは堂々と化石燃料を入れて走らせる事になるでしょう。

化石燃料車と合成燃料車とで燃料に互換性を持たせないのであれば、それはそれで別の問題が浮上します。

合成燃料が化石燃料車でも使用できるなら、エンジン車は旧車であってもカーボンニュートラルになります。水素をガソリン車に使用するのは不可能でしょうが、化石燃料車にも使用できる合成燃料を十分量供給できるなら化石燃料車にも積極的に使ってもらえるようにした方が良いに決まっています。

一方でこれは2035年以降の「合成燃料専用車」がガソリンや軽油等の化石燃料でも使用できてしまう事を意味します。

化石燃料を使用できない合成燃料専用車…ただし合成燃料を化石燃料車には使用できる…そんな馬鹿馬鹿しい仕様にできるのであれば話は別ですがナンセンスです。

そんな馬鹿馬鹿しい事を考えるくらいならガソリンや軽油に合成燃料をブレンドさせ、徐々に化石燃料依存から離脱していく事を考えた方がまだ合理的です。



EVは火力発電による電力を使用している限りカーボンニュートラルになりません。2035年までに火力発電を世界的に全廃させるのは不可能でしょうから、EVは決してゼロエミッションではありません。

もちろん2035年までにすべての自動車にカーボンニュートラルな「100%合成燃料」を供給できるようにするのも不可能でしょう。

「地球温暖化CO₂起原説」が正しいと仮定して、一刻も早くカーボンニュートラル達成を目指すためにどういう政策を取るべきなのか?

技術も知識もない政治家や官僚が知恵を絞って打ち出してくるアイデアより、世界中の人々が自由にアイデアを出して激しい競争を繰り広げた方が結果的により良い物が出来上がる、というのが自由主義に敗れた共産主義という前世紀の歴史の教訓です。

その歴史をリアルに体験してきたのが欧州の人々の筈です。旧東ドイツを含め東欧諸国の人々は骨身に染みてわかっている筈です。



冒頭画像は我がトゥインゴSリミテが先日郊外路を主に走行した時に叩き出した燃費の記録です。

ドイツとフランスのメーカーが共同開発し、旧東欧諸国のスロベニアで生産された、直噴だのターボだのハイブリッドだのっていう低燃費技術をフルに導入されたわけでもない安価なベーシックカーでもこの程度の燃費を達成できます。

日本の軽自動車やHVであればもっと良好な燃費を記録できたでしょう。

プリウスが登場する以前の時代なら実燃費で10Km/L以上走れば充分に「低燃費」であると評価されたのを考えれば隔世の感があります。

EVとHVを含めた化石燃料車、そしてバイオ燃料やFCVを含めた水素燃料車…

燃料供給のためのインフラ整備を含めて何が最善なのか?

その答えは「民間に自由に競争させた結果勝ち残った物が結果的に最善だった」という話で、数十年後に明らかになります。

政治家達がパフォーマンスの為に余計な事をすれば、問題の解決が遠のくことになります。

追記
この件を報じる読売新聞の記事に「合成燃料」の解説がありました。

ガソリン車販売を事実上禁止する方針だったEU、2035年以降も条件付きで容認(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/6153fb5cd42cbd665f5537c7b5c9029068361251

H₂+CO₂→HCOOH(蟻酸)をベースに作る燃料でしょうか?
電気分解で水素を作るだけでなく蟻酸の合成にもエネルギーが必要ですし、蟻酸ではエネルギー密度が低いのではないでしょうか?

蟻酸そのものの毒性の問題もありますし、これはこれで技術的課題が残りそうです。
Posted at 2023/03/26 08:40:37 | コメント(0) | トラックバック(0)
2023年03月23日 イイね!

ホントにデフレは終わったのか?

ホントにデフレは終わったのか?10年間日銀総裁を努めた黒田東彦氏が間もなく退任し、植田和男新総裁が就任します。

長期に渡ったデフレ経済から「異次元の」金融緩和政策を続けることになった黒田日銀でしたが、それでも当初目標とした「2%のインフレターゲット達成」「デフレ脱却」は道半ばでの退任となりました。

直近のインフレ率が4%を超えているとはいえ、エネルギー資源や食料品の世界的な価格上昇に引っ張られた「コストプッシュインフレ」であり、国内の基調的なインフレ率は未だ目標とする水準に達していない、というのが現在の日銀の立場ですし、私個人的にもそのように理解しています。

一方で春闘での賃上げ率が3.8%(速報値)に達したとも伝えられ、日本もようやくデフレ脱却、インフレに転化するのではとも言われております。

いわゆる「リフレ派」と呼ばれる経済評論家の上念司氏は、既に日本経済もインフレに転化し植田日銀が「出口政策」を始めることになるので、デフレ時代のポートフォリオや思考から転換するように推奨されています。

また同じくリフレ派のエコノミストである村上尚己氏も近いうちにYCCの撤廃があるのでは?というお話をされていました(先日来の欧米銀行危機で多少先送りされるだろう旨のお話もありました)。

私のような素人の肌感覚より各種指標を定量的に分析して情報発信されている専門の方々のお話の方が正確性の高い話なんだと思いますが…

それでも日本のデフレ脱却への道はまだまだ険しいのでは?というのが個人的見解です。



このブログと連携している@tkg4410というツイッターアカウントの他に@mxf01300というアカウントでもツイッターをやっているのですが、実はそちらのアカウントで私は3年前のコロナ禍が始まった時に、インフレを懸念したツイートをしていました(冒頭画像)。

パンデミックによるロックダウンで工場の操業停止などによる供給不足が予想される中で、世界各国が経済への悪影響を懸念し大規模な金融緩和政策や財政政策を打ち出して資金を供給し始めていたことから、素朴な疑問として「こんな事していたらインフレにならないのか?」って思っただけの話です。

結局は「感染力は強いけど弱毒化した」オミクロン株の広がりやワクチンの普及で世界的な集団免疫獲得が進み、「withコロナ」から「ポストコロナ」へと経済再起動が進んだ一方で、ウクライナ紛争の勃発による食料品とエネルギー資源価格の高騰という予見できなかった要因が最終的な引き金となって発生した世界的なインフレでしたので、「予想・予言が当たった」などとドヤ顔で自慢気に語るような話でもないのですが、世界的には自分が懸念していた事態に発展してしまった結果になりました。



さてこれが日本で今後も継続していくのかっていう話ですが、どうでしょう?





このグラフは日本の消費支出の推移グラフです。
Japan Consumer Spending
https://tradingeconomics.com/japan/consumer-spending


日本の消費支出はコロナ禍以前の水準に戻っていないように見えます。しかしよく見るとコロナ禍が始まる前から日本の消費支出は大きく落ち込んでいます。
アベノミクスが始まっていた2014年にも大きな落ち込みが見られます。

1980年からの推移を見てみます。





リーマン・ショックがあった2008-9年や東日本大震災があった2011年の他に、1997年にも消費支出の落ち込みが見られます。

1997年と2014年、2019年に何があったか…?というと…

消費税増税です


増税前の駆け込み需要の後、消費支出が落ち込んでしまっているのが見て取れます。消費税増税が如何に人々の消費意欲の足を引っ張ってきたか、よくわかります。



消費税増税にしろ今の「コストプッシュインフレ」にしろ、需要が旺盛になって物価が上がっている訳ではありません。日本人はむしろその分消費を控えています。

賃上げの動きが見られても、将来の増税がアナウンスされれば人々の需要は盛り上がって来ません。

年末に自民党内で「防衛増税」が議論され、本来なら今の国会でその事が議論されなければならなかったのですが、予算委員会などでは総務省の「行政文書」問題というくだらない話に終始してまともな議論が行なわれていません。

統一地方選前ですし、防衛増税に反対していた高市早苗氏を陥れ増税の問題をステルス化させるために与野党と政府がグルになって茶番を繰り広げているようにしか見えません。



安定した物価と経済成長、そして雇用の最大化のために設定された2%というインフレ・ターゲットですが、去年より今年、今年より来年と物価が2%上昇していくという状況を日本人が受け入れられる状況には未だ到達していないように思います。

黒田日銀の10年間の成果で雇用は確実に改善しましたが、出口を探るにはまだ時期尚早、下手に出口を探れば増税をきっかけにデフレに逆戻りしかねないのが日本経済の現状と考えます。

こんな素人の予想なんかハズレてしまう方が望ましい話なんですけどね(´・ω・`)
Posted at 2023/03/23 22:59:45 | コメント(1) | トラックバック(0)
2023年03月18日 イイね!

シリコンバレー銀行破綻とイールドカーブ

シリコンバレー銀行破綻とイールドカーブ先日、米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻が伝えられ、世界経済の雲行きが怪しくなってきました。

米国の1地方銀行の特異な例のようですが、疑心暗鬼になった人々が銀行預金引き出しに走ったりした影響で、米シグネイチャー銀行の破綻やクレディスイスの経営危機なども伝えられています。



シリコンバレーといえばカリフォルニアのハイテク企業のメッカです。

自動車用の半導体は相変わらず供給不足が続いているようで、わがルノー・トゥインゴも年明けまで日本国内の受注が中断されていましたし、国産車などでも新車の納期遅れなどの混乱は現在続いてるようです。

一方でDRAM等の半導体は在庫がダブつき、半導体産業は今冬の時代を迎えているようです。

そんな半導体市況の不調に加えて昨年来からのFRBの利上げで、長期債を中心に運用していたSVBの資産価値が目減りし一気に経営不安が広がり、結果取り付け騒ぎになって破綻を迎えたようです。

長期国債や「モーゲージ・ローン」と呼ばれる住宅ローンを証券化した金融商品は、満期まで保有していれば額面通りの資金が手に入りますが、昨今の金利上昇で市場での売買価格は値下がりしていました。

債券は「〇〇年後に△△ドル受け取れる権利」という感じの商品ですので、金利上昇=債券価格下落です。

折からの半導体不況で預金者の資金不足から預金が引き出されていた状況もあり、運転資金が不足したSVBは、値下がりした債券を売って運転資金を確保しても損失、債券を担保に資金調達を試みても短期金利上昇の影響でやっぱり損失を計上することとなり債務超過に陥り破綻の憂き目に会いました。

FRB等の米金融当局による特別融資により流動性(運転資金)を確保して預金者の預金は保護されることとなりました。

日本のように日銀による「イールドカーブコントロール(YCC)」で、短期債より長期債の金利が高くなるようにガッチリと金利がコントロールされていれば良かったのですが、米国は短期的にはインフレ、長期的にはインフレが鎮静化する見通しから短期金利が長期金利を上回る「逆イールド」になっています(冒頭画像)。

SVBの破綻の原因は経営陣の経営の失敗に求められますが、ある意味利上げや逆イールドの「副作用」による破綻とも言えます。

日銀の緩和政策やYCCの「副作用」を盛んに問題視していた日本のメディアは、今回のSVBの破綻の背景について気付かないふりをしているのか、本当に気付いてないのか知りませんが、世界的な「金融不安」を煽るような報道でも他人事のように伝えています。

ついでに言えば、この件があってから日本の長期金利は低下し、金利水準は昨年12月に日銀が実施した「金利変動許容幅の拡大」以前の水準に近付きました。



今月の日銀の金融政策決定会合では「YCCの維持、継続」が決められましたが、このタイミングなら「YCCの撤廃」を何の混乱もなく実施できたのでは?という事にツッコミを入れるメディアや「有識者」もいないようです。



クレディスイスの経営危機も伝えられ世界的な金融危機のリスクも懸念されていますが、欧州中央銀行(ECB)はそれでも0.5%の利上げを決めました。

金融不安のリスクよりもインフレ対応を優先した政策ですが、個人的にはこれが正しい対応だと思います。

来週は米国が連邦公開市場委員会(FOMC)ですが、一連の銀行破綻があったとはいえ、利上げを中断することなく断行すべきだと考えます。

利上げ継続となれば…為替はまた円安に、日本の長期金利もまた上昇するんでしょうか?

そんな単純な相場にはならないような気もしますが…
Posted at 2023/03/18 21:31:17 | コメント(0) | トラックバック(0)
2023年03月13日 イイね!

イランとサウジ国交正常化

イランとサウジ国交正常化少し前のニュースですがビッグニュースが入って来ました。

イランとサウジ、外交関係の正常化で合意 中国が仲介
https://www.cnn.co.jp/world/35201166.html


冒頭画像は下記記事から拝借してます。
サウジ・イラン正常化合意、どうなる中東 米国の存在感低下も影響か:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASR3C6SFBR3CUHBI01B.html


イランとサウジといえばペルシャ湾を挟んでペルシャ人vsアラブ人とかシーア派vsスンナ派といった対立軸で敵対してきた中東の大国同士です。

イエメンの内戦などはイランとサウジの代理戦争みたいなものですし、それ以外もこれまでことごとく対立してきた間柄です。



昨年自分はこんなブログ記事を上げました。

サウジアラビアのあぶない外交〜舐められるバイデン
https://minkara.carview.co.jp/userid/3311343/blog/46580546/


トランプ政権時代から米国はアフガンやシリア等の中東の紛争から手を引こうと機会を伺っていました。

気候変動問題を重視するバイデン・民主党政権に変わって石油関連の利権への米国の興味が低下し「中東軽視」とも感じられる外交が繰り広げられる中、米国は人権問題を抱えるサウジとの関係が冷え込み、イランとの核合意問題解決にも消極的な姿勢を見せ続けてきました。

インフレ等の経済状況の悪化に苦しむイランが核合意問題解決に動き出すという目論見もあったのでしょうが、イランのライーシ政権は核合意交渉を棚上げする選択をしました。

オバマ政権時代に結ばれた「核合意」はトランプ政権でちゃぶ台返しにされましたので、米国が共和党政権になったら復活させられません。来年の米大統領選がどうなるのかは今からは予見できませんが、復活させるなら今のバイデン政権の任期中しかありません。

イランでは経済の悪化や宗教警察などに対する国民の不満が高まってデモや暴動が繰り返されてきましたが、ある程度この問題を制御できてきたのでしょうか?

イランはドローン等の兵器をロシアに援助したり、ウラン濃縮を兵器級レベルの一歩手前の84%まで進めるなどの政策を実施しました。

イラン、ウラン濃縮度84%に IAEAが確認=外交筋 | Reuters
https://jp.reuters.com/article/iran-nuclear-iaea-idJPKBN2UU0JQ


一方でサウジも中国に接近するなどの動きが見られていたのは上に紹介した昨年のブログ記事でも既に書いた通りです。

米国外交の中東軽視を見た中国がこの地域でのプレゼンスを増そうとしているのは明らかです。

もしも本当に今後脱炭素への動きが加速するなら日本も中東軽視の外交に追従して行っても良いでしょうが、どうでしょう?

イランは核開発を進めつつ中露に接近する素振りを見せながら米国や西欧諸国を牽制しています。

サウジも米中を天秤にかけながらの外交スタンスでバイデン政権を揺さぶっています。

イランにしても中国にしても、ついでに北朝鮮にしても、ロシアを支援するなどの行動で西側諸国を牽制しています。



昨年から始まったウクライナ紛争がきっかけとなって世界大戦へと発展するリスクが懸念されてます。

そのトリガーとなりうるのが台湾海峡やイラン問題です。

イランとサウジの接近・対立融和というのは一見望ましいことのようにも見えますが、中東を巡る米中の対立・覇権争いという視点に立てば微妙です。

中間選挙によりレームダック化したバイデン政権を嘲笑うかのように中国が外交戦を仕掛けてきました。

バイデン政権による中東軽視外交の結果と言えますが、将来大きなツケとなってしまいそうで心配です。
Posted at 2023/03/13 11:35:25 | コメント(0) | トラックバック(0)

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