定番のEVネタですが…今回はこの記事から…
ガソリン車、35年に禁止へ EVシフト加速―欧州議会が採決:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021400657
ウクライナ紛争でエネルギー資源価格が高騰、欧米各国がインフレに悩まされるという状況でも、「地球環境の方が大切」だと考えるのは正しいことなのかもしれません。
それでも各国のEVシフトの流れはあまりにも拙速ではないか?というのが私の個人的見解です。
先日もこんなニュースが流れました。
EV車で帰省して「充電」困難 中国の旧正月で話題に(CNS(China News Service)) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/9fa222b582cf9cd7fecd3aa963abda3b23eeeda4
こういうニュースも風物詩のように定期的に流されるのでしょうか?
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EVの航続距離と充電時間の問題は今に始まった話ではなく、何十年も前からの課題です。
解決策としては急速充電設備等のインフラ整備とバッテリー性能の向上が挙げられます。
最新のEVでは満充電からの航続可能距離がカタログ数値で400kmを超える物も増え、「既に実用性充分」と考えている人々も増えてきているようです。
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化石燃料車の販売を中止してEVだけにするとなれば、集合住宅を含めて自宅駐車場に充電設備が必要になりますが、今後10年くらいかけてこれを整備させることは可能でしょう。
ただ、出先で充電するための急速充電設備を広く設置できるか?というとちょっと疑問符が付きます。
もちろん長距離ドライブが前提となる高速道路では相当数の急速充電設備が必要になるのは間違いありません。高速道路の急速充電設備の整備は急務です。
しかし、現在公共施設や大型商業施設などに設置されている急速充電設備の需要が今後急速に増大していくか?といわれるとちょっと疑問です。
EVは自宅で満充電できてしまいますので、出先で充電が必要になるのはそれなりに遠出する場合に限られます。
勤務地が自宅から遠いとか営業車のように一日の走行距離が多くなってしまうならともかく、毎日何百kmも走る人というのは稀でしょう。
買い物等の近隣での使用が主になるクルマでは、一日の走行距離が50km以下というのも珍しくありません。
個人所有のマイカーで長距離ドライブする機会というのは週末や連休、特にGWとかお盆、年末年始に集中しますが、その時期に不足しない分だけ充電設備を整備しても日常的に収益が上げられるレベルの需要があるのか?ちょっと疑問です。
そうなるとどうしても繁盛期には充電設備不足による渋滞や混乱が避けられないのではないでしょうか?
一般の化石燃料車では満タンから無給油で500km以上は走れるのが普通だと思います。
今時の低燃費車なら東京〜大阪間を無給油で走破できるのが標準仕様です。
EVではエアコン、特に冬季の暖房もバッテリーに依存しますので、カタログ上の航続距離が600km程度では東京〜大阪間の移動でもどうしても途中充電が必要になるでしょう。
「急速」充電と言っても30分程度の時間を要します。
食事休憩中に充電するとなると、今度は1時間以上充電設備を専有したまま戻ってこない人も出てくるでしょう。
利用者のモラルの問題ですが、こうなると益々充電に要する時間が増えることになります。インフラ整備も必要ですが利用者へのマナーの啓蒙も必要です。
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2035年といえばあと12年です。残された時間はあまり多くありません。
それまでにどこかの国が音を上げて化石燃料車廃止を先送りし始めるのではないかという懸念があれば、既存の自動車メーカーもおいそれとEVに全振りできません。
各メーカー莫大な投資をして全力で技術開発を進めるでしょうが、あと12年で蓄電・充電技術に大きなイノベーションが起こるとは思えません。
少なくともイノベーションを期待して制度設計するのは無謀です。
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ウクライナ紛争の余波でこの冬の電力危機が懸念された欧州でしたが、記録的な暖冬が幸いし電力需要は抑えられ天然ガスの在庫がダブついた結果価格が急落、この冬の電力危機は杞憂に終わりそうな状況となっています(冒頭画像)。
気候変動・地球温暖化の恩恵なのか天の恵みなのかわかりませんが、これはただの幸運だっただけの話です。
脱原発に向かってしまったドイツをはじめ、欧州の電力インフラも決して強靭とは言えません。水力を含めた再エネだけでは不足する分を現在は天然ガス火力発電で賄っていますが、脱炭素するなら天然ガス火力発電だって近い将来禁止しなければなりません。
現実問題としてそんなことが可能なのか?火力発電への依存度が高い日本だって状況は深刻です。
G7の先進諸国でもそうなのにましてや途上国の事情は言うに及ばずです。
ウクライナ紛争に始まったエネ資源価格の高騰や電力危機はこの問題に対する警告でした。
こんな事は自分のみならずホントは皆わかっている話だと思います。
脱炭素・EVシフトへの課題が山積しているのに「ブーム」「流行」だけで前のめりになっている現状に警鐘を鳴らす議論を避けている、あるいは意図的に封印しているのでは?と疑わせる状況は一体何なんでしょうか?
脱炭素がホントに必要だとしても、今のままでは近い将来大きな壁にブチ当たるのが目に見えています。
Posted at 2023/02/19 09:54:21 | |
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