前回挙げた動画を見ての通り、エコラン競技では下り坂ではエンジンをかけません。
下り坂では位置エネルギーが運動エネルギーに変換される事で、エンジンの力を使わずとも加速出来るからです。
自転車の運転を思い出せば納得出来ますね。
これを車の運転に置き換えるとどうなるか?
私の車はMT車なので、クラッチを切ってしまえば良いのです。
そうすれば、車は加速していくものの、エンジンはアイドル相当の回転に留まります。
えっ、エンブレ状態なら燃料カットが働くからクラッチ繋いだままの方が良いんじゃないの?と言われそうですが、設け代はあるのです。
1.水温が低い状態では、燃料カットが働かない。
(マイクラの場合85℃付近が敷居値らしい)
2.下り坂で加速すれば、その後も滑走をしばらく続ける事が出来る。
(正に自転車的な走行)
実際にやってみました。
通勤路は出勤時が全般的に登り勾配になるのですが、途中で一箇所丘状の起伏を超える場所があります。
丘を超えた先は下り勾配になるので、丘の頂上付近でクラッチを切ってみます。
こちらは通常走行例。
赤枠で囲んだ辺りが丘越えの所になります。
水温が上がりきっていないので燃料カットが働かず、瞬間燃費が跳ね上がっていません。
拡大したものです。
アクセルオフで瞬間燃費値は40km/L程度になり、その後も30km/L程度の定常走行をしている事が判ります。
※その後の速度低下は、信号に引っかかったが故です。
こちらはクラッチ切り例。
グラフのスケールや赤枠の大きさは同じです。
拡大版。
瞬間燃費値が速度と同レベルで推移しており、前出の通常走行例よりも燃費が良くなっている事が判ります。
マイクラの場合、クラッチ切りした時の瞬間燃費値は、概ね速度と同一になる様です。
赤枠の右端で瞬間燃費が落ちているのは、クラッチを繋いだ為です。
この走法を今年の1月から継続してみました。
出勤時の燃費値推移をみると、若干良化している事が判ります。
余談ですが、DIREZZAってスタッドレスよりも燃費が悪いのがはっきり出ていますね。
こちらは帰宅時の燃費値推移。
帰宅時は全般的に下り勾配になるので、元々出勤時よりも値が良いのは当然の事。
全体的な良化だけでなく、何故か日々のばらつきが小さくなっています。
全体としては、19.05→19.83km/Lと約4%の改善となりました。
出勤時に4箇所で約2.5分、帰宅時は3箇所で約2.8分程度の事ですが、予想以上の効果です。
クラッチの磨耗影響が少し気になりますが、まぁ、何とかなるかと。
MTはクラッチを切れば良いですが、一般的なAT/CVTにはクラッチペダルがありません。
似たような事をやるとなれば、セレクタをNにする案があります。
これ、あんまりお勧めできないんですよね。
MTは、ミッションオイルを潤滑だけに使用しています。
出力軸(様はタイヤ)の回転でミッション内のオイルを掻き揚げる事で潤滑しているので、クラッチを切っても潤滑の度合いは変わりません。
一方のAT/CVTは、ミッションオイル(ATF)を潤滑だけでなく変速の動力源としても使用しています。
オイルポンプはエンジンからの入力軸に取り付けられています。
走行時にNレンジにする事でエンジンの回転数が下がると、オイルポンプからの吐出も減って潤滑が不足。
特にCVTはプーリに油圧をかけてベルトを保持する構造の為、最悪はベルトが滑ってCVTがオシャカになります。
やられる方は、その辺りを覚悟の上でお願いします。
画像は
こちらから拝借しました。
プリウス等のハイブリッドになると、やり方が変わってきます。
通常、下り坂でアクセルオフした場合には回生ブレーキ作用で発電され、バッテリに蓄電されます。
平坦路や上り坂では、先に蓄電された電力を使ってモータを回すという事が行われるので、通常の車よりも燃費が良いという事になるのです。
画像は
こちらから拝借
ここからの更なる取り代として『滑空』と呼ばれる走法があります。
位置エネルギーを電力に変換し、それでモーターを回すとなるとどうしても変換ロスが生じます。
またバッテリーが満充電状態では、回生自体が出来ません。
そこで、位置エネルギーを直接加速に使う為に回生に因る充電もモータやエンジンも駆動させない状態を作る事で、いわばグライダーが滑空する様な状況を作るという訳です。
通常はアクセル操作で滑空状態としますが、容易に滑空状態を作る専用コントローラもある様です。
詳しくは、
こちら を参照下さい。
(コントローラ作ってる会社って、先日事業停止の報道がありましたね・・・)
今回は位置エネルギーの有効活用方に触れてみました。
次回は、アクセル操作に触れたいと思います。
※'19.02.12 一部加筆修正