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2021年11月05日 イイね!

菊竹清訓氏の処女作品は、本当に(先々代)国鉄久留米駅舎なのかもしれない、という私的検証


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 「お友達限定記事」に先日報告させて頂いた、myメガーヌの交換用Fスピーカーが届くまで、あるいはコロナ「第6波」再襲来までのつかの間の気分転換に、久々の公開記事として鉄道/建築関係の話を少しだけ書かせて頂こうと思います・・・m(_ _)m 。





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 さて、郷土が生んだ建築界の鬼才・菊竹清訓氏。早いもので間もなく没後10年だそうです。
(なお菊竹氏をご存じでない方は wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E7%AB%B9%E6%B8%85%E8%A8%93 をご参照下さいませ)




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 菊竹氏の処女作品は、建築作品集などの年表によれば1954年の井上・伊知地両邸とされており、その他、



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 1956年の石橋文化センターや、


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 久留米医大基礎学教室(現存せず)、あるいは最近知られるようになった梅林寺ティーハウスなどが久留米における初期作品として知られております。



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 また先代の国鉄/JR久留米駅舎も菊竹氏の作品として知られていますが・・・
 (写真はwikipediaより拝借しました)


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 いくつかの出版物(や、おそらくそれを孫引きしたwikipedia )には、その1代前、昭和23-42年にかけ使用された先々代の駅舎が菊竹作品であるとか、その駅舎の設計コンペで入賞したとかいう、真偽のはっきりしない情報がみられます。

 それが本当に事実だとすれば、この駅舎こそ菊竹建築の処女作品ということになりましょうが、現代人の感覚で「ふつうに」考えれば、1928年生まれ=昭和23年にはまだ弱冠20歳・早稲田の建築学科の学生でしかないような人物が、当時の国鉄=バリバリの「官」の主要駅舎の設計を担当するなど、どこの与太・法螺話かと一笑に付されるのがオチでありましょう。ところが・・・・




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 とある機会に目にしたこの本には・・・




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 たしかに、そう書かれてありました!
 1989年に出版されたこの書籍、市の教育委員会みたいなところが発刊しており、かつ当時の菊竹氏は60歳を過ぎたばかり&既に建築界の大御所&地元出身の著名人。本人や関係者が見てすぐバレるようなガセネタを書いたようには思えませんし、何よりこの駅舎、むしろその後継の先代久留米駅舎(1967-2010)よりずっと「モダニズム建築」しているように思われます!


 本作が「コンペ」で選ばれた結果実現したものか(昭和20~22年頃の「敗戦直後・占領下」の世相を考えると、その可能性は低いと個人的には思っておりますが)、あるいは本人~関係者を通じた「デザイン売り込み/プロポーザル」が奏効したのか(菊竹氏は地元の名士の子息~そこから「あの当時」東京の有名大学に進学したという、当時の地元の若手のホープのような存在であり、地元つながりで政・官のお偉いさんとの交流も可能であった事でしょうから、私見ではこちらの流れを考えます)、今となっては定かではありませんが、こんな斬新なデザインの駅舎を郷土にぜひ!と建築模型でも見せられてアピールされたら、確かに即決採択されそうなデザインだと思います。



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 戦災で消失した明治建築の木造駅舎の跡、周囲は焼け野原とバラックとゴム工場しかなかったであろうこの地に、戦後3年目にして忽然と現れたこの白亜の駅舎、さぞかし人目を惹いたことでありましょう・・・






 しかしながら、ここからはわたしの拙い推測でしかありませんが、この素敵な駅舎が築20年も経ずして取り壊されたという事実こそ、本作品を「菊竹建築の処女作品」と公言するのに憚られる背景であったのかもしれません。



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 写真は亡父のアルバムより見つけた駅舎の写真(昭和36年頃)。築10年を経てだいぶ煤けた外観になってしまっております。当時の九州の国鉄はほぼSLとディーゼルカーでしたし、駅舎周囲もゴム工場ばかりとあっては、白壁がねずみ色に煤けてしまうのもまた、早かったことでしょう。


 また10代の学生時代に設計した建築作品とあっては、当時の資材難・施工人材難も絡んで、雨水の処理や間取りや細部施工、あるいは換気通風などのディティールが万全であったとは考えがたく、使用者より使い勝手などに関する不評、あるいは雨漏りなど建物そのものの劣化を問題視されるなどして早期の建て替えを余儀なくされた・・・という可能性も高いのではないかと思います。そのあたりのいざこざ?も含めた背景が、本作品が「菊竹建築の処女作品」と喧伝されなかった理由なのかもしれません。全ては憶測の域を出ませんが。



 この素晴らしくも短命であった建築作品、まだ当時を知る関係者がどなたかご存命である可能性もなくはありませんので、ぜひ建築史家の方に事実関係を明らかにして頂きたいと、切に願ってやみません・・・ではでは。




 2023年追記;
https://togetter.com/li/1886804
でも、議論を膨らませて下さった方々がおられたようです。「久留米市史」か、そこは情報源として盲点だったな・・・しかし小輩の推察、まあまあ良い線をついていたようで良かったです。


 さらに追記;BS関連の菊竹初期建築については、
https://minkara.carview.co.jp/userid/549571/blog/46854729/

https://minkara.carview.co.jp/userid/549571/blog/46863548/

https://minkara.carview.co.jp/userid/549571/blog/46863577/

https://minkara.carview.co.jp/userid/549571/blog/46874336/

にも記載しましたので、興味ある方はご覧下されば幸いですm(_ _)m。

Posted at 2021/11/06 00:33:05 | | 日記

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