2023年02月26日
テスラには偏見を持っていて、電気モーターによる加速性能を売りにした新興企業で、クルマとしての走りは大分劣るだろうと思い込んでいた。例のCEOの言動も疑問符が付くことばかりで印象が悪かったこともある。
モデル3の日本での発売から数年経ち、いろいろと情報を目にする機会も増え、さすがにどの程度のものか確認しようという気になった。自宅から30分もかからない所に、テスラセンターが完成し、試乗もできるようになっているので、モデル3のロングレンジをネット経由で予約して試乗した。
予定が合わず一度延期したのだが、いきなり携帯電話にかけてきて試乗を催促してきた。これはどうかとも思ったが、それが唯一の営業のようで他には全く鬱陶しいコンタクトは無い。
予め情報は得ていたので驚くことは無かったが、ほとんど全てがセンターのモニターで設定する。ハンドルのチルトやテレスコピック、サイドミラーの調整ですらモニターで操作してからハンドルについているスクロールボタンで調整する。もちろんアクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ウィンカーレバー、バックミラーは付いているが、それ以外に何もない。ON/OFFボタンも無い。内装も質感がさほど高いわけではないが、全体的にミニマリズムのコンセプトが根底にあると解釈すれば気にならない。いずれも運転するのには何ら支障はないので、これはこれで良いと思った。
走らせ始めてまず驚いたのが、クルマから感じられる異常な堅牢性だ。ハンドル操作から伝わってくるボディ強度は、しなりすら感じないほどの堅さで、剛性というより堅牢という言葉の方が当てはまる。今まで乗った車の中では一番強度があるように感じた。もうこの時点で驚愕だ。
大通りに出て軽く加速してみて感じるのはやはりEVとしてのレスポンスの良さだ。他のEVに比較してもトルクが大幅に厚い感触だ。空いた通りに入り、チルからスポーツに変えて、アクセルを軽く踏み込んでみるが、一瞬で必要十分な加速をするので、すぐにアクセルを戻すしかなかった。公道の一般道じゃ深く踏み込むことは無理だ。
後で確認してみると、ロングレンジモデルは、なんと1,850kgに前後輪単純合計で498ps/590Nm(システム総合出力は324kW(440ps)/493Nmの模様)だった。E53よりも軽いし、出力も上回っている。EVの場合、表示上のスペックよりも遥かに実用性能は上と感じる傾向があるので、もはやこの性能はかなり過剰だろう。長い航続距離やAWDが必要で無ければRWDグレードで十分だ。RWDの方が若干電費が良いし。
市街地一周のちょい乗りの試乗なので、大雑把な印象でしかないが、ステアリングを切っていった時も、重めだがスッキリとした、精度の高さが感じられるものだった。ホイールは標準の18インチではなくオプションの19インチだったが、乗り心地は悪くなく、フラットライドではないもののスポーティなセダンとしては十分納得のいく乗り味だった。
恐ろしく強固なボディ、十分以上の加速性能、搭載バッテリー容量に比して抑えられている重量、正確なハンドリング等々、ハンドルの太さも相まって、意外にも男っぽいスポーツセダンという印象だった。世界で売れているわけが分かった。
他の同クラスの高価格帯のクルマと比べて、豪華できらびやかな装備はなく、ブランド性や高級感の演出もないが、基本性能は極めて高い。実用車として考えるのなら、余分なものは無いが、基本がしっかりとした、シンプルな車の方が自分としては好ましい。
現在日本で販売しているEVや導入されるかもしれないモデルを適当にピックアップして比較表を作ってみたが、自分が重視する項目で一番ポイントを稼いでいるのがモデル3 ロングレンジだった。
この件の詳細はまたいずれ。
モデル3は今年大幅な変更があるようなので、それを見極める必要がある。変更が十分納得のいく改善となるのであれば、購入して10年超20万キロ目指そうかと思い始めている。
しかしまあ、このレベルのEVが本国では2016年から発売されていたんだから、日本のメーカーは相当危機感を持つべきだったと思うが、7年近く経った2023年の現時点で日産以外は目立った成果が出ていない。EV推進!と形だけ大見得を切った大メーカーから出てきたEVは全く競争力が無いようだ。まったくもって残念だ。
Posted at 2023/02/26 20:53:17 |
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2023年02月18日
2月初め、近所のディーラーにも実車が配備され始めたので新型プリウスを見てみた。近くのネッツトヨタに行ってみたら試乗車は1.8のみだったので2.0のZを見るだけにした。
遠目に一瞥した時点で、なかなかカッコいいのではないか?
展示車に近づいて、外観はまあまあ、こんなものかな?
中に乗り込んで、前モデルのプリウスの内装よりはいいかな?
しばらく車室内を見ていて、かなり内装のコストは抑えてるな!
結論。
トヨタのスタンスとしては、
プリウスユーザーにはこの程度の質感の内装でOK
ぱっと見でまあまあに見えれば十分
自社には極めて低コストで最低限の見栄えを実現する技術は
ふんだんにあるのでそれをフル活用すべし
それ以上コストかけると利益率が下がるから一切やる必要なし
と言われているように感じた。この時点で試乗する気はなくなった。
お目当てのPHEVの実車もないし。
帰ろうとしたら、e-208のセンターの操作画面の外枠部分が反応しないことに気が付いた。これじゃ暖房かけられない。寒い。幸い近くまで来ていたので、プジョーのディーラーに駆け込んだ。最初に駐車場に出てきて対応した営業マン、対応最悪で、予約取らないと不具合の状況を見ることさえできないと言う。一切苦情は受け付けませんっ!という感じ。担当営業のSさんに代わってもらいサービスに確認してもらい、ボタンをOFFにして5分以上経ってからONにしてみてくださいとのことで、しばらく待って祈りつつONにしたところ、無事復旧。電源が落ちてから5分経たないと車載コンピューターがリセットされないのだとか。最初からこういう対応をしてくれればいいのだよ。最初の営業君。
せっかく来たので、308の試乗をさせてもらうことにした。残念ながらモデルは308 GT BlueHDiしかなかった。PHEVがあれば良かったのだが、乗り味だけでも確認しておこうと思い、試乗コースに向かった。スペックは下記の通り。
4420×1850×1475mm
ホイールベース:2680mm
車重:1420kg
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:130PS(96kW)/3750rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1750rpm
普段EVに乗っていると4気筒のディーゼルエンジンは心に響くものがまるで無い。
レスポンス、音、パワー感、すべてが物足りない、あるいは愉快ではない。ディーゼルモデルのパワーパックを除いた乗り味や乗り心地を一応確認したにとどまった。
ただし、外装、内装!プリウスよりも全然良いではないですか!
価格差はほぼなく、一方は国内生産車で、もう一方は余分にコストのかかる輸入車でこの差ですか!
写真で見比べると大差ないように見えるのだが、いざ実車に乗ってみると、細部を見ても、全体から受ける印象もかなり差がある。プリウスはとにかく「ペライ」、薄っぺらい。家具で言うなら308が突板なら、プリウスはプリント合板という感じ。
プリウスの購買層は舐められたものだなあ。言い方は悪いがこれが率直な感想だ。トヨタは企業としては優れているが、経験上、多少のこだわりを持って車選びをする時には残念な思いをすることが多い。
その後に乗ったテスラモデル3とBMW iX1はまた別の機会に。
Posted at 2023/02/18 23:35:33 |
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2023年02月04日
かなり気になっていたシビック e:HEVモデルを見て、試乗してみた。
まずサイズは、現在e-208と停めているスペースにはちょっと大きめとなる。
全長 4,550mm
全高 1,415mm
全幅 1,800mm
ホイールベース 2,735mm
車両重量 1,460kg
実車を見て乗り込むと、低い!というのが第一印象。ルーフは低いが、頭上はそれほど閉塞感もなく、前席後席とも前後左右方向の余裕が感じられる。ゴルフや308に比べても全長が長い分、後席や荷室の余裕がある。
エクステリアのデザインは悪くない、まあまあかな。昔のシビックに乗っていた身としては、立派になったなと思う。インテリアも悪くはないが、自分の感覚からするともう一歩というところ。
走らせてみての第一印象は、軽い! 走り味、エンジンの回り方すべてが軽い! 車重は1,460kgあるので、軽くはないのだが乗り味全般が、ホンダならではの軽いフィーリングにしつらえてある。自分の好みはもう少し重厚感が欲しいとは思う。
この車の最大の売りはパワートレインだろう。エンジンは新開発の2.0リッター直噴ガソリンで、最高出力104kW(141ps)/6000rpm、最大トルク182Nm/4500rpmの出力となるが、実際の走行は、高速のエンジン直結時以外は、135kW(184ps)/315Nmのモーターが受け持つ。
普段乗る車が、EVだったり比較的ハイパワーな車だったりするので、驚くほどのパワーは感じないが、NORMALモードでも何の不足も感じずに加速する。面白いのがEVのe-208よりも軽い感じで加速することだ。NORMALモードでは、モーター走行後にエンジンがかかっても、さほど目立たず、上質なハイブリッド走行となる。
そして何と言っても魅力的なのはSPORTモードだ。モーター駆動のため変速は不要なのだが、強めの加速をするときは、あえてエンジン制御により回転数を巧みに上下させ、シフトアップしているかのような自然な演出をしてくれる。その時の4気筒のエンジン音はアクティブサウンドコントロールで補正された、ホンダならではの極めて軽快で気持ちの良いもので、まるで高性能VTECエンジンをテンポよくシフトアップしていってるような気分になる。これなら燃費優先の面白味のないハイブリッドよりも遥かに価値がある。
燃費も普通に走っても余裕で20km/Lを超えるようで、丁寧に走ればWLTCモード24.2km/Lを超すことも可能な気がする。そうなるとプリウスとそう変わらないことになり、運転の面白味も併せ考えるとシビック e:HEVに軍配が上がりそうだ。
残念なのは、価格で、昔から知っているシビックという車名からイメージされる車格感と実際の価格394万円とが、自分の中ではななか釣り合いが取れないことだ。内容からするとゴルフや308に対して割高感があるわけでもなく、性能や燃費を加味するとむしろ優位に立っていると思うのだが、車名で損をしていると思う。初代アコードに乗っていた自分の感覚からすれば、アコードと言ってもいいくらいだ。
SPORTモードでミッション車のシフトアップの感覚を演出しているが、そこまでするのだったら、SPORTモード時にはパドルをシフトダウン・アップとして機能させて、自在にエンジンの回転をコントロールできるようにして欲しかった。実際のところはこのパドルはSPORTモード時でも回生力のコントロールにしかならない。ここが最大の残念なポイントだ。もしこれが可能であったらシビックが最有力となっていたかもしれない。
ということで、試乗しに行った時の購買意欲は若干冷めて、現時点ではe-208の乗り換え候補としては3番目くらいのポジションとなった。
Posted at 2023/02/04 17:20:07 |
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