久しぶりに更新します。
以下の車種は取り上げるつもりでしたが、あと回し(NNEに出てないので…)
vol.2 ミニカ〔H42V〕
vol.3 ミラ〔L700V〕
vol.4 ビート〔PP1〕
vol.5 エッセ〔L235S〕
第1段のHA23Vに続く第2段は、
JA4型トゥデイを取り上げます。
vol.6 トゥデイ〔JA4〕
メーカー:ホンダ
年式:1993~1997
規格:旧規格(660cc)
エンジン:E07A(MTREC)
馬力:58
車重:680kg
メジャータイヤサイズ:165/55R14
軽NAのレース用マシンとして大人気のトゥデイ
軽NA界では圧倒的な戦闘力を発揮します。
トゥデイの戦闘力について、
①圧倒的パワー
②軽量ボディ
③低重心
の3項目で記載します。
①圧倒的パワー
軽NAとしては、驚異のパワーを発揮するMTRECエンジン。
トゥデイ用は58馬力ですが、ビート用では64馬力まで引き上げられており、MTRECは軽NA界では無敵の速さを誇ります。
☆エンジン
E07A
ボア×ストローク66×64
SOHC
圧縮比9.8
馬力58
トルク6.1
(参考)K6A
ボア×ストローク68×60.4
DOHC VVTなし
圧縮比10.5
馬力54
トルク6.2
スペックだけで見れば、
K6Aのほうが、
ビッグボアショートストローク
DOHC
圧縮比も高い
と性能は高そうに見えますが、
MTREC最大のポイントは、言うまでもなく3連スロットルですよね。
国産市販車では、
RB26DETT(代表搭載車種:BNR32~34)
4A-GE(AE101/111)
などでも多連スロットルは使用されていますが、
軽自動車では、ビートとトゥデイのみ。
トゥデイの戦闘力を支えている大きな要因は、3連スロットルを備えたこのMTRECエンジンでしょう
バブリーですね。
参考に
ギヤ比は、〔記載はJA4(HA23V)〕
2速:2.5(2.055)
3速:1.64(1.28)
4速:1.172(0.892)
ファイナル:4.866(5.941)
8,000rpmのときの速度は、165/55R14タイヤ装着で、
2速:66.9km/h(66.7)
3速:102.0km/h(107.0)
8,000rpmシフトでのギヤのつながりは、
2→3:5,248rpm(4,982rpm)
3→4:5,717rpm(5,575rpm)
似たようなものですが、少しトゥデイのほうが良さそうではありますね。
とはいえ、スパ西のホームストレートではあっさりトゥデイに抜かれます。
投影面積は全高が10センチ低く、全幅が8センチ小さいので、空気抵抗はトゥデイが少ない。(CD値の差なんて、微々たるもの)
4速×ファイナルの実ギヤ比は、5.70(5.3)と2速、3速は同じレベルだったのに、1割近くトゥデイのギヤ比が低いです。
さすがに4速の速度域じゃ、HA23Vの軽さも武器としては役立たず。
パワーに加えて、4速のギヤ比がこれだけ違うと、1コーナー進入までに簡単に並ばれてしまいます。
やはりトゥデイですね~
②軽量ボディ
MTRECエンジンがそんなに凄いのなら、
軽NA界最速の座はビートになってもいいのでは?と思うところですが、
トゥデイのほうが速い場合が多いです。
なぜなら、車重が違います。
トゥデイは680kg
ビートは760kg
ビートはパワーが58→64に上がっているとはいえ、車重80kgアップは軽自動車にとっては1割以上
リヤシートなど軽量化できる部分があるトゥデイと比較し、
ビートは軽量化できる部分は少なく、サーキットを走るなら、ロールバーの装着が必要となるなど、重量増となります。
ビートに比べてトゥデイが軽耐久で人気な訳は、重量の軽さがポイントだと推測します。
※駆動方式の違いもあります。
個人的には耐久レースなら、FFが楽で速いので向いていると思います。
雨になると、後輪駆動はやはり難しいと思われます。
(ビートは運転したことないので推測です)
③低重心
トゥデイの特出した部分として、重心の低さもポイントです。
まずは全高
セダン系軽自動車のHA23Vアルトバンは
1,450mm
それに対しJA4は1,350mmと10センチも低いのです!
なぜこんなことが可能なのか…
ボクの推測のひとつは、
アルト/ミラ/ミニカ/ヴィヴィオはいずれも商用車のラインナップをリリースしています。
荷物が運べてナンボです。
しかし、トゥデイは商用版のトゥデイハミングは先代の継続とし、乗用系のみフルモデルチェンジしてJA4型は生まれました。
JA4型はハッチバックではなく、セミノッチバックとして登場!
荷物を運ぶことなど、考えていません。
考えてるらしいですが…
こうした背景もあってか、背の低い軽自動車が登場しました。
(初代から1,350mmなので、あまり関係ないかもしれませんが…)
商用とは関係なくフルモデルチェンジしたという以外に、全高を低く抑えられた背景として、
低いボンネットが挙げられます。
低いボンネットを可能としているのは、エンジンのヘッド位置が低いからなのですが、その背景はエンジンが前のめりに傾斜しているから…
↑この図はビートみたいだけど…
エンジンが斜めに搭載され、重心が低い上に、
ボンネット、ドライバー、ルーフも低いので、重心はとても低いです。
スズキのK6Aや、
ダイハツのKF-VEなどが、
DOHCなのに対して、
MTRECはSOHC
エンジンを斜めに搭載するだけではなく、エンジンヘッドそのものも軽い‼
トゥデイのコーナリング性能の高さは、軽さに加えて、重心の低さが効いているんですね。
ちなみにホンダの軽エンジンがDOHCになるのは、Nシリーズが出るまで待つことになります。
SOHCでも、スズキやダイハツと同等の走行性能と燃費を出すことができたホンダ。
さすがエンジンのホンダだと感心する部分ではありますが、
逆に言うとホンダのDOHCエンジンをスズキやダイハツと同じ土俵(価格)で売るのは難しかったんだろうと思います。
◇トゥデイ〔MTREC搭載車〕のネガティブな点
トゥデイの戦闘力は文句なしに速いのですが、軽耐久のベース車両として残念な点もいくつかあります。
まず第一に価格
新車価格の時点で
HA23V:582,750円
JA4:953,000円
1.5倍以上の価格差があります。
(トゥデイは旧規格なので、たいした快適装備はありません。パワステ、前席パワーウインドーとかです。)
ところが、
普通の商用バンと
ビート譲りの高性能NAエンジンを搭載した3ドアハッチ
中古車となると、
タマ数が圧倒的に違います。
アルトバン
ミラバン
エッセ
などは、どの仕様でも基本的にエンジンの仕様は1仕様ですが、
トゥデイはMTREC搭載車は1グレードのみ
中古車の数が少ない
中古車が高い
さらに、ホンダの古い車は純正部品が出てこない部品も多いです。
タマ数の少なさは、純正部品のオークション出品数や価格にも影響してくるので、
壊れたときがつらいです。
レギュレーションで純正部品のみしか使用が許されてないのに、純正部品の新品はメーカーで取り扱いなし
ヤフオクでも出品が少ない。あっても高い。
そうなると、軽耐久やっていくにはつらいですね。
現行N-BOXから、ホンダは軽自動車にもVTECを使ってきました。
S660とN-VANに6MTも持っています。
N-ONEは、N-WGNと同じワゴンタイプのため、販売数は低迷中
次期N-ONEは、全高をぐっと低くして、カムプロフィールを変えたVTECを搭載して出してきてくれませんかねぇ~
ホンダの軽のプラットフォームはセンタータンクレイアウトありきなので、運転席下げられないし、
エンジン前傾も難しいよな…
電動化の時代が来ても、フロア下にバッテリーを置くはずですので、
きっと全高1,350mmのFF軽自動車をホンダが出すことは、二度とないことでしょう。
今が軽NA界でぶっちぎりの速さと人気を誇る
ホンダ トゥデイに乗れる最後のチャンスかもしれませんね。