西條直彦さん〈（70）死去...

マリンピア松島水族館の社長だった西條直彦さんが４日　肝臓がんで亡くなりました



謹んでご冥福をお祈りします...


西條元マリンピア社長死去…１５年閉館

◆生き物に愛情注ぐ

　東日本大震災で被災しながらも、約１か月半で再開し、２０１５年に８８年の歴史に幕を閉じたマリンピア松島水族館（松島町）の社長だった西條直彦氏が４日、肝臓がんで亡くなった。７０歳だった。告別式は８日午後１時、仙台市青葉区木町通の斎苑で開かれる。喪主は長男・博也さん。

　１９２７年に開業したマリンピアは、同じ場所で営業し続けている水族館としては国内最古だった。西條氏が大学４年の時、前身の「松島水族館」から経営を引き継いだ。マンボウの飼育日数世界一の記録を打ち立て、イロワケイルカの繁殖に日本で初めて成功するなど、新たな試みに次々と挑戦。生き物との距離が近く、遠足先や行楽地としても人気を集め、ピーク時には年８３万人が訪れた。

　震災では、館内に１・８メートルの津波が押し寄せ、人気のマンボウやビーバーなどが犠牲になったが、水槽を循環させる機器を業者に頼らず、自分たちで復旧。水没した水槽から生き物を移すなど迅速な対応で、９５％の生き物が助かった。復旧作業に尽力し、約１か月半で営業再開を果たした。

　西條氏は震災後、「海から遠のいてしまった子どもたちに、また生き物を好きになってもらいたい」を口癖に、子どもたちを呼び込むイベントを多く企画した。自ら飲食コーナーの調理場に立ち、揚げるカリカリのフライドポテトは多くの人に愛された。

　マリンピアは２０１５年５月に老朽化のため閉館し、記者会見で西條氏は「こんなちっぽけでおんぼろな水族館なのに、ここがいいと言って来てくれたお客さまに感謝の気持ちでいっぱい」と語っていた。

　ファンクラブ代表の植松純子さん（４６）は「生き物にたくさんの愛を注ぎ、温かく包み込むような人柄で従業員やファンに接してくれた。きっと天国でも、家族のような水族館をつくっていると思います」と声を詰まらせ、亡き人をしのんだ。