千葉県いすみ市にある「ポッポの丘」
銚子電鉄で引退したデハ701と702がここで保存されているのは知ってましたが、聞くところによれば、保存車両の数は増え続けているとのこと。
普通の公園でもなさそうですし、最近はニュースやテレビ番組でも紹介されることがあるようで、どんな場所なのか一度行ってみることにしました。
9/12、アクアラインを通って房総半島へ。
圏央道の市原鶴舞インターからナビに入力した住所を頼りに15分ほど走ると、鉄道車両が並ぶ小高い丘が見えて来ました。
丘をのぼると真っ先に見えて来る赤い電車
営団丸ノ内線走っていた454号です。
長らく目黒区内の幼稚園で利用されていましたが、同幼稚園の改装を機にここに移設されたそうです。
園内の案内看板
もとは養鶏場だった場所で、今は農産物の直売所となっています。
少し上から園内を眺めるとこんな感じ。
全国から集められた車両が所狭しと並んでいました。
冒頭の丸ノ内線454号が置かれた区画は、駐車場を挟んだ反対側に。
万葉線(旧加越能鉄道)のデ7052
富山県高岡市からやってきた路面電車。同型車の何両かは未だ現役で活躍してます。
デ7052の車内は卵の直売所として利用。
「鶏卵牧場の庭先たまご」と名づけられたその卵は、かつてよく見られた農家の庭先で飼われていた鶏が産んだ卵の味を再現すべく、昼間は牧草地で放し飼いにした鶏が産んだものだそうです。
銚子電鉄デハ701
この赤黒塗装は引退当時の銚子電鉄標準色。
その傍らには、ポッポの丘マスコットキャラクター「下総おうみ」のパネル。
そしてデハ701と並ぶデハ702
青とグレーのツートンカラーは1960年代ごろの銚電標準色で、引退間際に復刻塗装されたもの。
デハ701、デハ702とも引退後は笠上黒生駅の側線に留置されていましたが、両車とも解体を免れポッポの丘へやってきました。
左から、いすみ鉄道いすみ204号、北陸鉄道モハ3752、そして先ほどの銚子電鉄デハ702。
左端にあるパネルは、いすみ鉄道の公式キャラクター「上総いすみ」。
2009年8月、まだ北陸鉄道にいた当時のモハ3752。
東急から7000系が投入された後も石川線で予備車として残っていましたが、この時はすでに引退し鶴来駅構内に留置されていました。
千葉都市モノレール1000形
モノレール開業当時に投入された1003+1004編成。
懸垂式モノレールなので、地面に置かれると少し不思議な感じがします。
1000形はまだ千葉モノレールの主力ですが、新型アーバンフライヤー0形の増備とともに順次置き換えられていくのでしょう。
JR久留里線を走っていたキハ38
白地に青と緑の「久留里線色」も相まってそれほど古い車両ではない印象でしたが、これも旧国鉄時代の車両。
キハ35の部品を流用して製造されたそうです。
こちらは車掌車の4両連結
ヨ8008、ヨ14157、ヨ14202、ヨ13959
貨物列車全盛の頃、文字通り車掌が乗務するため編成最後尾に連結されていたもので、当時でも車掌車だけの編成などそうそうお目にかかれなかったはず。
ヨ5000形ヨ14157号の車内
車掌1人での乗務なら、そこそこ快適そうにも見えるスペース。
ただ2軸車なので乗り心地はあまりよくなさそうです。
夏は暑そうですが、燃焼式ストーブ完備で冬は暖かく過ごせたことでしょう。
この車掌車の編成はディーゼル機関車と連結され、敷地内に敷設された線路を走行できるようになっています。
そのディーゼル機関車は協三工業製の10t級機関車。
1982年製でポッポの丘の中では新しめの車両。
敦賀港の北陸本線貨物支線で、貨車の入れ換えを行うスイッチャーとして使われていたものだそうです。
機関車の次位に連結されたヨ8008から撮影した走行風景<動画>。
50mほどの距離をゆっくりと走行します。
いすみ鉄道いすみ204号
1988年に富士重工で製造されたLEカーと呼ばれるレールバス。
鉄道車両としては新しめですが、文字通りエンジンと車体ともにバスの工法で作られているため、寿命もバスに準じるようです。
その車内は「カフェT.K.G」の食事スペースに。
T.K.G…すなわち「たまごかけご飯」
自慢の庭先たまごは黄身の色が鮮やかで味も濃厚。
この卵が持つ素材の味を堪能するには、シンプルな「たまごかけご飯」が一番いいかもしれません。
園内の敷地は広く、丘のさらに上の方にも展示車両があります。
坂の斜面に置かれた大山ケーブルカー「たんざわ号」。車内は修繕工事中でした。
さらに坂を上っていくと…
183系2両と113系2両
旧国鉄型電車4両が並んでいました。
左端の183系以外は、長野県上田市内の民宿から移設された前頭部のカットボディ。いずれも元は千葉で活躍していた電車です。
DE10ディーゼル機関車と24系客車2両
DE10は船の科学館の羊蹄丸船内に保存されていたものだそうですが、同館の休館によりポッポの丘へ移送。
オハネフ24 2とオロネ24 2
一時は大ブームとなったブルートレインも過去帳入りに。
24系客車は、昔「富士」で広島まで行く時に一度乗ったきりですね。
なお、DE10ディーゼル機関車、24系客車ともに普段は車内見学できません。
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さて、時間に少し余裕があったので、近くを走る「いすみ鉄道」の方にも行ってみました。
とは言えとくに下調べもしておらず、とりあえずはパーク&ライド駐車場がある国吉駅へ。
時刻表を見ると、ちょうど旧国鉄型気動車を使用した「急行」が来る時間だったので、この機会に乗ってみることに。
急行 夷隅
北陸からやってきた急行形キハ28と、大糸線で活躍していたキハ52の2両編成。
キハ28のボックス席は指定席、その他は自由席になっています。
いすみ鉄道、今はなぜかムーミン一押し。
国吉から終点の大原までの途中、"ムーミン谷"まであるという力の入れよう。
終点の大原で、新型気動車いすみ350形(右)との並び。
いすみ350形は、旧国鉄型と並んでも映えるようにと、"キハ20"似の顔つきとしたこだわりのスタイルが特徴。
キハ52の車内
大原から折返しの「急行」に乗って再び国吉へ。
日も暮れてきて、この日はこれで帰路につきました。
今度は、いすみ鉄道もゆっくりと堪能しに行きたいと思っています。