夏の遠征2日目。
豊郷登校の翌日はナローゲージ探訪。
三岐鉄道北勢線と四日市あすなろう鉄道
に乗りに行って来ました。
全国でも3社4路線しかないナローゲージのうち、この2社3路線が三重県内にあります。
ナローゲージ(Narrow gauge)の名が示すようにレール間隔が狭く、JR在来線の1067mmより狭い762mm。それに合わせて走っている電車も小型で独特の雰囲気を醸し出してます。
まずは三岐鉄道北勢線から。
かつて運営していた近鉄が廃止の意向を示し、沿線自治体の支援を条件に三岐鉄道が引き継ぎました。その後は駅の再配置やパークアンドライドを推進し、多くの駅に利用者用無料駐車場が整備され、今回も終点阿下喜の駐車場を利用しました。
阿下喜駅の駐車場に併設された「軽便鉄道博物館」
今回は閉まってましたが、第1・第3日曜日に開館。
開館日にはこのターンテーブルもある線路にミニ電車が走るそうです。
冒頭の写真にも写ってる
えんじ色の電車「モニ226」は、北勢線の前身である北勢鉄道が1931年(昭和6年)に開業されたときに製造された電車で、現在は引退してここで静態保存されています。博物館の開館日には車内の見学もできるようです。
阿下喜まで来る電車は日中1時間に1本。
車内。
幅は大型バスより狭いですが、この車両は向かい合わせのロングシートになっています。
突き当りの右側にある「大きな箱」は床上式のクーラーです。
新車当時は非冷房でしたが、後年の冷房化で屋根上に余裕がなくここに設置するしかなかったようです。
【動画】北勢線 阿下喜→麻生田 クモハ271車内(吊り掛け駆動)(4m34s)
駅の再配置で途中にあった六石駅が廃止され駅間距離が2.3kmと開きぎみで、速度も遅いので1駅に4分ほどかけて走ります。
270系は近鉄時代の1977年(昭和52年)に北勢線近代化のために製造された電車で、年代的にはカルダン駆動でもおかしくないですが、ナローゲージで台車スペースの制約があり旧式でも無難な吊り掛け駆動が採用されたようです。
前回見た時は幕式だった行先表示はLED化されてました。
途中で見かけたド派手なラッピング電車。
サッカーは全く知らないですが、「ヴィアティン三重」というチーム仕様の「VEERTIEN TRAIN」だそうです。
そして起点の西桑名へ。
ホームでは、鉄道むすめの「楚原れんげ」に出迎えられました。
「楚原」は途中駅の駅名です。
・・・で、蓮花寺駅、東員駅、楚原駅3駅の駅名標が「楚原れんげ」仕様になっていました。
そして、今回の一番の目的だった三重交通色の200系に遭遇できました。
運行ダイヤが公表されているわけではないので、とりあえず全線乗ってすれ違う電車をチェックするしかありません。全線時刻表はあるのですれ違った場所と時刻が分かればその日の運行ダイヤはわかります。
途中駅の楚原行きだったのでまずは乗り込み、楚原の折り返し時間でじっくり見ることにします。
阿下喜方面では最後部となるク202の運転台。左側の片隅にまとめられています。
近鉄から三岐鉄道へ引き継がれた北勢線ですが、さらにその前は三重交通の鉄道路線でした。
このクリーム色と緑のツートンカラーは三重交通時代の塗装色をリバイバルしたものです。
西桑名寄りのこの3両が200系で、1959年(昭和34年)に当時はナローゲージだった湯の山線用に三重交通が4400形として投入した、当時最新鋭の"軽便電車"でした。
3車体4台車の連接構造で、駆動方式も吊り掛けではなく垂直カルダン方式を採用。ただ、狭い空間に機構を押し込んだうえに整備性が悪く、十数年後に電装解除されてサハ3両のただの「客車」になってしまいました。
ク202
その後、この202号の運転台は復活しましたが、ク202-サ101-サ201のモーターなし編成のままで自力では走行できず、電動車1両と組み合わされた4両編成で走ります。
サ101
連接車の中間車で独立した台車を持たず特に小ぶりです。
サ201
元はク202と同じく運転台付きの湘南顔でしたが、運転台撤去後に貫通路が設けられました。ただ、前面の傾斜はそのままなので特徴的な姿となりました。
そしてかつての乗務員扉の後には小窓が設けられています。
現在はこのように阿下喜寄りに連結されたモ277にプッシュプルされています。
モ277も200形に合わせて三重交通色に変更済み。277号は北勢線では一番新しい車両ですが、この編成は4両とも非冷房です。
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いったん阿下喜に戻って車で四日市へ移動。
次は四日市あすなろう鉄道へ。
こちらもかつては近鉄内部・八王子線でしたが、第三セクター方式で四日市あすなろう鉄道内部・八王子線になりました。
全ての車両のリニューアルが完了し"新しい電車"が走っています。ただしこちらも吊り掛け駆動です。
新造者と従来車からの改造の双方が存在しますが、双方とも新車のようになっており、車内は狭い幅に合わせてすべて前向きシートになっています。
ただ、シートの方向は変えらず固定なので、行先によっては後ろ向きになります。
北勢線と同じくクーラーは床上式を採用。車内に機器を収めた「大きな箱」があるのも同様です。
リニューアル第1編成は、ベージュと青のツートンカラーで
「なろうブルー」と名付けられています。
型式は先頭車が260系(モ260・ク260)、中間車は全て新造車でサ180となっています。
その後に塗装色が公募され、リニューアル第2編成以降はこの
「なろうグリーン」が標準となりました。
最初の「なろうブルー」は暫定カラーで、車両の定期検査時に「なろうグリーン」に塗り替えられる予定でしたが、
四日市市のホームページを見ると、「なろうブルー」を残してほしいという要望が数多く寄せられており、塗り替えをいったん延期して今後の対応を再検討するとのことでした。
日永駅ホームにある「四日市あすなろう鉄道の台車」
3種類あるレール幅のうち一番狭いのがナローゲージで762mm。
その次はJR在来線などの1067mmで、一番広いのが新幹線や一部の私鉄で採用されている1435mmになります。
並べてみると、ナローゲージがいかに狭いかがよくわかります。
日永駅での列車交換。
内部線と西日野方面の八王子線が分岐する駅でもあります。
内部線の終点内部駅。駅前は小さなロータリーが整備され、少し見ぬ間にずいぶんと綺麗になりました。
3両編成の電車はホーム長いっぱいに止まるのでこんな感じです。
以前は駅構外から眺められる場所があったのですが、今はタイヤ屋さんが建ってしまいました。
もう一方の終点、西日野。
駅名標が変わったり、ICカードのタッチ改札機が設置されたりはしてますが、この雰囲気は昔のままです。
ここにも鉄道むすめが。確実に各鉄道へ浸食してますねw
四日市駅構内の「追分あすな」。追分は途中駅の駅名から、あすなはあすなろう鉄道の"あすな"だそうです。
横の電車の絵はトリックアートで下の部分は床に描かれていて、うまい位置に立てば、電車の屋根の上に立ってるような写真が撮れるそうです。
ここに来た時は記念にいかがでしょうかw