バス運転業務の終了から、約10か月。
この度、ついに運転免許の最高峰である
大型自動車第二種免許を取得したので、
その報告をしたいと思います。
本当は、運転感覚を忘れないよう、業務終了後すぐにでも教習所へ通いたかったのですが、
仕事が忙しいためなかなか難しく、悶々とした日々を送っておりました。
さらに、今年度から会社の方針が変わり、トラック等の運転機会が激減したうえ、
バス運転業務が廃止となり、私自身、公私ともに方針転換を決意した訳であります。
今回は、
教育訓練給付制度というものを利用して教習所へ通いました。
これにより、教習料金の20%が給付金として支給されます。
私は、既に大型一種免許を取得しているため、教習料金 295,760円のうち、57,772円が戻ってくる計算です。
給付金が支給されたところで、非常に高額であることには変わりありませんが、
せっかくの受給対象制度なので、有り難く利用させて頂きました。
(追記 : ブログ投稿日に申請を行いましたが、2日後には口座へ振り込まれていました)
前置きが長くなりましたが、こうして約2年振りの教習生活がスタート。
今回の相棒はこちらです。
日野・ブルーリボンⅡ 教習車 (PDG-KV234N2改)
バス業務でも乗っていた、いすゞ・エルガのOEM車ですね。
一見すると、ツーステップの自家用バスのような印象ですが、
教習車として正式にラインアップされていたカタログモデルであり、
前扉が無く、その部分に助手席が設置されていたりと、かなり特殊な仕様となっております。
運転席の様子です。 (画像はネット上からお借りしました)
指導員用に設けられた補助ブレーキや計器類にも目が行きますが、
乗り込んでまず驚いたのは、シフトレバーがロッド式であるところです。
てっきり、近代的な外観からフィンガーシフトだと思っていました。
ロッド式自体は、以前乗っていた、いすゞのボンネットトラックで慣れている (5MTのシフトパターンも同じ) ので、
全く問題ありませんが、一度フィンガーシフトの操作感覚を味わってみたかったこともあり残念。
ちなみに、後の改良で、路線バス仕様と同じフィンガーシフトの6MTに変更されたそうです。
次に目が留まったのは、自動扉開閉用のトグルスイッチが無いこと。
中扉が手動式なので当たり前ですが、運転席右側にスイッチ類が一切無いのは、とても新鮮です。
運転席に座ってみた感覚としては、ノンステップとツーステップの違いはありますが、
車種が同じということもあり、思いのほか見晴らしは変わらない印象。
ただ、左サイドミラーがボディ側面の位置にあったり、アンダーミラーが
フロントガラス上部から生えたりしている点は、違和感がありました。
そして、いよいよギアをセカンドに入れて発進です。
まず、シフトフィールですが、Nレンジにおける左右の遊びが少ないため、
ニュートラル位置が確認しにくいうえ、節度感もあまりなく、
ギアが正しく入っているのか不安になることが多かったですね。
また、初めのうちは、変速時にシフトショックが出てしまうこともありましたが、
徐々に感覚を掴み、スムーズに運転できるようになりました。
バス業務で乗っていた、ドイツZF社製のトルコンAT、「ZF-ECOMAT」の強烈なシフトショックと、
低速時の強力なクリープ現象に比べたら、古典的なマニュアルシフトの方が、
格段にスムーズに運転できて好印象でしたね。
次に、アクセルですが、低速時の惰性走行から加速しようとする際、
踏み加減が難しく、急発進気味になってしまうことがありました。
ただ、そのほとんどは場内を徐行する時だったので、普通に路上を走るうえでは、特に違和感は無かったです。
また、ブレーキに関しては、意外にも扱いやすかったですね。
おかげで、今回の教習では、カックンブレーキとは無縁でした。
ただ、これにお客さんが乗った時や、雨が降った時、どのように挙動が変化するのかは気になるところです。
最後に、車体感覚についてですが、以前乗っていた車両と比べて、
ホイールベースが、L尺からN尺 (4.8m → 5.3m) へなったことに伴い、
全長も、10.5mから11m級に大きくなりましたが、正直そこまで大きな違いは感じられませんでした。
大型一種の際も、今回と同じコースを走行していたのですが、
むしろ、12m級でダブルタイヤの大型トラックと比べて、小回りが効くため、非常に走りやすかったですね。
「S字」や「隘路」などは、指導員から特に何も指摘されることなく、スイスイ走れました。
技能教習全体を振り返ると、中型・大型一種の時と比べて、
これと言って苦労した場面は少なかったように思います。
マイカーはマニュアル車ですし、普段から大型トラックにも乗っていましたし、
そして何よりも、実際にお客さんを乗せてバスの運転もしていましたし(笑)
ただ、唯一苦手だった項目が、目標物から50cm以内の位置までバックさせる「後方間隔」ですね。
いつもギリギリを攻めすぎて、ぶつかる寸前でした。
二種免許特有の項目である「鋭角」は、目印の路肩灯が見えにくいと感じた以外、特に問題は無かったです。
ひょっとしたら、深視力を使う場面が苦手なのかもしれません。
路上教習で印象に残っているのは、これも二種免許特有の項目である「指定場所停車」です。
これは、電柱をバス停に見立てて、中扉の位置に合わせて停車させるというものですが、
この時期は、雪で路肩の状態が非常に悪く、また街路樹の枝が道路まで伸びているため、
車体はグラグラ揺れるし、枝は窓ガラスにバチバチ当たるし、とてもスリリングでしたね(笑)
また、二種免許では、技能教習以外に学科教習もあります。
一種の時のように受講人数が多くないため、担当指導員とマンツーマンでの教習になることもしばしば(笑)
第2段階には、「応急救護処置」という連続して6時間実施しなければならない項目があり、
この教習は、ある程度の参加人数が必要で、数週間おきにしか行われないため、
受講の機会を逃すと、その分卒業時期が遅れてしまうというものでした。
特に、2〜3月は高校生が殺到する繁忙期であり、指導員側としても
何とか早めに卒業して貰いたいと言う思いがあるようで、
なんと、まだ第1段階の「みきわめ」も終わっていないのに、教習だけ先行予約済み。
このように、今回の教習は、合格することを前提にどんどん予定が組まれていたので、
結果的に3週間弱という、この時期としては異例の早さで卒業することができましたね(笑)
ちなみに、学科教習の内容については、ほとんどが一種の復習であり、教習所で購入した問題集も
一種のものと全く同じ冊子で、それに加えて、二種の問題が印刷された紙切れを渡されただけでした。
実は私、学科を甘く見ていた節がありまして、二種の問題と問題集1回分だけを解いて、
卒業検定前日に効果測定を受けたところ、86/100点で見事に不合格でした。 (合格は90点以上)
すぐに2回目を受験し、ギリギリ91点で何とか卒業検定に間に合いましたが、かなり冷や汗モノでしたね。
そして、2月8日(土)、無事卒業検定に合格。
当日、大型二種の受験者は私だけで、同時に、大型・けん引・大特一種の検定が行われました。
検定中は、公正を期すため、検定員以外の者が同乗しなければならないと言う規定があり、
いつものように後部座席へ座って、誰かの運転の様子を見れると思っていたのですが、
今回は二種の受験者が1名だけだったので、私の運転に送迎バスの職員が同乗するのみでしたね。
中扉付近で、終始眠そうにしておりました(笑)
技能検定ですが、まず場内での「鋭角」、「縦列駐車」、「後方間隔」は問題なし。
路上に出てからは、途中、交差点での右折待ちの際、横断歩道を渡ろうとしていたお婆さんが
引き返すというフェイントがありましたが、特段大きなミスも無かったように思います。
ただ、検定終了後の講評では、上記とは別の交差点右折時に、
赤信号に変わる間際、対向車が近付いていたので、
停止するのを確認してから右折すべきだったとの指摘がありました。
結果的に対向車は赤信号で停止しましたが、あのタイミングで曲がったら、
バスが対向車の進路を妨害しかねかったとのことです。
赤信号で止まる「だろう」運転をしていたこと、早く交差点から脱出したいという焦りの気持ちがあったこと、
そして、バスは車体が長いため、右折に時間が掛かるということを、再認識しないといけないですね。
他に、細かな指摘点として、クラッチ操作後はフットレストを使用するように、といったことがありました。
これは、完全にマイカー運転の癖です。
ワークスには、フットレストが無いので、ついクラッチペダルの手前に足を持ってきてしまうんですよね。
この癖を直すのは難しいかもしれません…
そして2月10日(月)、札幌運転免許試験場での学科試験です。
朝6時起きで、久々に高速道路を利用したのですが、路面は圧雪アイスバーンでツルツル。
(当日は、冬道も安心・快適な、妻のデミオ i-ACTIV AWDをお借りしました)
さらに、手稲ICを降りてからの大渋滞。
何とか、9時受付終了の20分前に、試験場へ到着しました。
やはりこの時期は、一種受験の学生がほとんどです。
二種受験者は、10名程でしたね。
前日は日曜日だったため、ひたすら一種の問題集を解いていたのですが、
どうしても、90点台前半から抜け出せませんでした。
一抹の不安が残る中、いよいよ学科試験開始です。
「あれ?…意外と簡単だぞ」
1問だけ、どうしても「全力を傾ける」という言葉の解釈が分からず、
正誤不明の問題がありましたが、それ以外は確信を持って解答できました。
試験終了から、50分程で合格発表です。
1階ロビーのモニターに、一斉に番号が映し出されます。
「あれ?…ない」
自分を含めた前後3人の番号が抜けています。
「そんな馬鹿な…」
と思いながら、3つ隣のモニターに目をやると、「普通二種」、「大型二種」の文字が。
そちらに、きちんと番号はありました。
紛らわしい表示に一瞬ドキッとしましたが、取り敢えずこれで一安心です。
この日は、普通二種2名、大型二種2名、計4名の合格でした。
1時間の昼休憩を挟み、合格手続き後は、一種は新免講習、二種は交付待ちということで、
窓口付近で座る場所もなく、ずっと待っていたのですが、一向に呼ばれる気配はなく、
結局1時間程待たされました。
現行の免許証と引き換えに、ようやく新免許証の交付です。
免許の種類の欄に、「大二」が加わり、今回も無事ゴールド免許となりました。
前回のけん引免許取得時には、免許の条件等の欄に、「準中型で運転できる準中型車は準中型(5t)に限る」
との記述があったのですが、今回の大型二種免許取得で、その条件は解除されたようです。
よって今後、深視力検査に不合格だった場合は、現行の普通免許と同じ条件、
すなわち、2トン車も運転できないということになってしまいます。
まあ、何はともあれ、無事に免許証が交付されてホッとしました。
帰りに、近くのキーパーラボで、デミオをピカピカにして貰い、長い一日が終わりました。
2010年3月 「
普通自動車第一種」
2016年9月 「
中型自動車第一種」
2016年10月 「
大型自動車第一種」
2017年11月 「
けん引自動車第一種」
2020年2月 「
大型自動車第二種」
運転免許取得歴を振り返ると、最初に普通免許を取得してから、今年で10年になるんですね。
その節目の年に、運転免許の最高峰である大型二種免許を取得したのも、何かの運命なのかもしれません。
そして、ここ数年続いた新規運転免許取得ラッシュも、今回の大型二種免許取得をもって最後となります。
この10年間、様々なクルマを運転し、総走行距離は20万キロを超えますが、
未だ無事故が続いているのは、運が良いだけと言わざるを得ません。
学科教習の映像内において、各項目の終わりには、必ず次のメッセージが流れていました。
「旅客自動車の運転者は、利用客の安全を第一に考え、社会から信頼される
プロドライバーとして、自身の運転に責任と誇りを持ちましょう」
まさにその通りだと思います。
今後、大型二種免許を必要とする機会が訪れるかどうかは分かりませんが、
二種免許というプロドライバーの免許を持っている以上、
普段から、他のドライバーの模範となる運転を心掛けていきたいと思います。