ども,高丘です。
えー…はい。タイトル通りです。
書くことは年に3度あるか.だけども書くと意外にご好評をいただく……
『本当は怖い最新車シリーズ』
であります。整備士ですら恐れおののくorミスるor知らない通じない方がいらっしゃるネタを……
東京某所でとあるア●ビを露出しながら歩くようなノリで
書くシリーズです。オイルネタから始まり,今回は…何度目だったかしら…?
このネタを書く場合,大体は整備の講習会に出た後というパターンが大半です。今回も例に漏れずです。
このシリーズは1回書き始めると何日か続きます。今回は2つご紹介。
・バッテリーネタ
・またもや懲りずにオイルネタ。
この2つです。
今宵はバッテリーから。つまりコレの講習会があったということで。もう何度か受けてるんですが,出てくる商品例が1回毎に違うというまあ…年月を感じる世界となります。まあそれは置いておいてバッテリーです。
恐らくクルマのありとあらゆるパーツの中で一番無念に死んでいくパーツだいたい100年連続ナンバー1(当社比)を記録し続けている全くもって不運なパーツです。
かの福野礼一郎氏ですら『不運だ』と著書で嘆いたことのあるのですよ?
彼らの過酷な労働環境を皆様はご存知でしょうか?とにかく過酷です。
本業ですら忙しいのに,妙なことでバイトという名の強制労働をさせられ,挙句の果てには『なんだよバッテリー上がってるじゃん。ふざけるなよ』と罵られて死んでいくパーツ。
人間に例えたらまあ……嫌ですよね。儲けもないし。少なくとも自分は遠慮したいところです。まず本業の時点でまず死にかねないしね。
では彼の本業は何なのかという話でも。極端に言うと……
これです。
バイクではキックスターターも愛されております。クルマでも2CVのイベントで『エンジン早駆け競争』が恒例行事だったりするらしいですが。
ただこれは人間がやればこのとおり疲れます。コツも必要です。キャブにブレーキクリーナー吹き込むやらチョークやらなんやら。そして上死点前を探しだして魂込めた会心のキック。もしくはじゃじゃ馬のごとく死に物狂いで回す。失敗すれば?構造次第では……
ケッチンで顔面or足に超高速の棒が激突。最悪死ぬ。
となります。それじゃあまりにも危険だということで,今では……

こうなりますが,
スターター(始動装置)に果てしない大電流パワーを食わせること。これがバッテリー本来の仕事です。これしかないはずなんです。基本はフォード・モデルTあたりの頃から変わっておりません。1回エンジンがかかれば発電機が後は仕事してくれる…はず…だったんですが……(後述)。
ただ…この本業,一見暇そうですが忙しそうですよね?特に最近は。
そう。これで登場するのが……
このバッテリーサイズ。見かけることが多くなりましたね。
このM-42とかQ-85とかいうサイズです。この表記のバッテリーは
アイドリングストップ用のバッテリー(以下ISS用)で凄まじく性能が高い子たちとなります。エリートです。
例えばM-42というバッテリー。正直言って自分でもこのISS用の型番はいまいちピンときません。馬力で言うkwと同じようなものです。280馬力って便利だ(ォィ。
ちなみに普通のバッテリーはこう。
で,これにISS用を当てはめるとどうなるか?
60B24以上の性能となります。
軽用サイズでレモンさんの標準である38B24を超越する性能を誇ります。更に違うのは充電特性の良さ。簡単に言うと…
ISS用バッテリーは大食いも,それ以上に早食いも得意なんです。ギャル曽根なんです。
というのも,アイドルストップなんてやっている都合上,充電している時にしっかり食べないと保たないんです。
更に厄介なのはより最近の子は走っている途中,例えばエネチャージなら13キロ以下からエンジン止まります。当然そこから先は充電されません。
そして最後に疲れている状態でエンジン掛けさせられます。疲れるでしょう?簡単に言うと42.195キロ走りきった人に『さて,ここから走ってスタートまで帰ろうね』言っているような世界です。これを1日中何度もやらされると。
ではアイドルストップなしだと平和か?いや,平和じゃない。これもISS用よりは性能低いですが,今までのに比べたらいいバッテリーを使わなければなりません。
・44B24
・60B24
こんなサイズが書いてあってその直後に
『充電制御対応』
なんて書かれている子たちです。更に日産車のカタログを見ると……
『回生ブレーキ』
なんて書いてある。その車の事で日産からバッテリー取り寄せると,そいつにはでかでかと
『Z』
と書いてあったりする。これなんぞやと?
簡単に言うと
『エンジンは止めないけど,オルタネーターはストップするよ』というシステムが充電制御です。
スズキ車だとプラス電極にでかい箱が取り付けていたりします。ドノーマルだと38B19Lなんて書いてあります。とかいってここにただの40B19Lをハメると2年後にそのバッテリーは大体の場合は瀕死です。
というのもISS用も充電制御用もそうなんですが,通常のとは構造が違います。
これがバッテリーの中身です。実はコヤツの構造自体も100年前と基本は変わっておりません。ただ違うのは『極板』というパーツ。
ISS用・充電制御用ではこの極板というパーツの量や質が違うんです。
更には一部トラック用だと電解液の中身まで違ったりします。通常のバッテリーとはぜんぜん違うんです。実際,同じサイズだと重さが違うということも多かったりします。
つまりだいたいの場合,
ISS用バッテリーは充電制御用の上位互換ということでもあります。悩んだら一番高いISS用!!とおぼえておくといいかもしれません。
んで
更に回生ブレーキ。こちらは鉄道ファンならおなじみですね。
ブレーキをかけるとブレーキはクルマの運動エネルギーを熱エネルギーに変えます。自転車のブレーキをかけるとリムが熱くなったり,最悪ゴムが溶けたりします。アレです。
クルマのブレーキ1回あたりに変換される熱エネルギーの量は風呂を一杯沸かす程度の威力を誇ります。これを捨てるのは勿体ない。ならどうすべきか?
『オルタネーターをオーバードライブさせて超ハイパワーの電気無理矢理作ってバッテリーにぶち込めばいいんじゃね?』
うんこれがやりたかっただけだ(コラァ。
これです。ドSの所業です。電車の場合ならその電力を架線に入れて他車に使ってもらえばいいのですが,クルマはそうともいきません。こんなハードなSMプレイを通常のバッテリーにしたら即死です。先ほど言った極板がボッコボコにされます。使用状況次第では1年保たないケースすらあります。
ちなみにこの回生ブレーキ対応のバッテリーはつまるところISS用・充電制御用を意味します。つまり言うと現代のバッテリーは……
ギャル曽根よりも早く多く食う必要がある上に人類の範疇を超えた意識高すぎるドMの変態じゃなきゃいけないのです。
これです。更に現代の電装品が欲しがる電力量はオルタネーターでもまかないきれないケースが純正の時点で存在したりします。その足りない分もバッテリーが補佐しないといけないのです。本当にハードです。同情を禁じ得ない。いやし切れないくらい彼らは頑張っているのです。
というわけでバッテリーを擬人化したいと思ったあなた。いい考えです。もう一度いいましょう。現代のバッテリーは……
ギャル曽根よりも早く多く食う必要がある上に人類の範疇を超えた意識高すぎるドMの変態じゃなきゃいけないのです。
そういうことです。他にもトヨタ製ハイブリッド用という話もあったりしますが,まあそれは今度ということにしましょう。
明日は懲りずに帰ってきた本当は怖いCVTオイル。
「素人なのにCVTとATの区別なんてつかないよ!!」
そんなことはありません。サービスマニュアルがなくてもわかるかもしれないイージーな見分け方をあなたに…。