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高丘満方@タカダケのブログ一覧

2013年07月10日 イイね!

過ごせば都。

ども,高丘です。

昨日までの記事,改めて最後までありがとうございました。

今日は通常通りです。

レモン「生活が通常通りじゃないっすねえ…」

でしたね。忘れてました。

秩父缶詰生活10日目。

もう十分飽きました。こんな暑い中,幸いにも仕事は多く…いやそれだけが唯一の救いです。じゃなきゃヒマ以外に何もないため

"ヒマだと徹底的にダメな人になる"

高丘さんにとってはありがたいことです。

レモン「学生時代の悲しい性ですね」

学生末期~専門校修了まで3年間休みなし生活を体験するとこうなりますって。ホントヒマって怖いよ?

レモン「ただそのヒマをなくす手段をなくすためのオイラ動かせませんよ?」

うむ。よくわかっているよ。よくわかっているさあ…。

レモン「ホントかなあ……」

いや,どこか行く気になってお前さんの運転台座ってオイル交換距離見ると一気に失せるんだよ。『うわ,動かしたらオイル交換距離が~…』って。

レモン「皮肉だな……」

うん。ちょっとは過走行を想定したオイルだけどあくまで緊急手段だし,そんな状況には持って行きたくないしなあ…。

※現在,少々の交換距離超過走行と高速道路の長時間無停車無給油運行(具体的には500~600キロ7~9時間)を想定し,更には若干のエンジン騒音軽減のためレモンさんにはM16SPにF2を加えた5W40~50+相当が投入されています。端的に言えば明日いきなりスーチャーポン付けしてもとりあえず大丈夫なくらいのオイルが入っています。よってレモンさんの走り出しは通常のスイスポよりよく言えばコンフォート指向,悪く言えばのったりとしています(当社比)。

レモン「次回交換エレメントも何でしょ?あとミッションオイルもそろそろやって欲しいにょろ…」

そうだよねえ。そうだよねえ…。


レモン「大丈夫。これくらい世の中不条理ですし」

やめて,そんな目でオイラを見ないで…。

ただ絶妙なタイミンで癒されることもあるのがこの世の絶妙なところ。

昨日,オイラはあの文章書き終えた後……

『もうちょうぶんかきたくないにょ。ねる』

とつぶやきました。そしたら……


『yukari_A_bot(=秋山くんのbot): @Kouichi_Takaoka 高丘光一@タカダケ殿!遅かったじゃないですか。ずっと待ってたんですよう。』

と。もうこれでいいと思う。

オイラは幸せものなはずです(感慨

そんな漢の哀愁ブログ,まだまだ続きます。

明日,秩父缶詰生活11日目…。
Posted at 2013/07/10 22:46:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2013年07月09日 イイね!

とりあえず変態。後編

ども,高丘です。

はい。本当は怖いクルマのオイルシリーズ最終回です。

まあ大体の方はお察しかと思いますが,トリはあのCVTです。

恐らく世界で唯一オイルを頼らないといけないミッション。

しかしこのあと書きますが,ステップATを絶滅させかねないほどの威力を誇るミッション界の最終兵器でもあります。

それが……


トロイダルCVT(日産:エクストロイドCVT)です。

恐らく現段階では世界で一番体感することが難しい自動車用ミッションです。しかし,どんなMT/DCT推しでも将来的に負ける可能性が高いと唯一感じるミッションです。

では,なぜそんなミッションがこんな地位にいるのか?そしてこのミッションなぜDCTに勝てる可能性があるのか?そして予想される展望まで書きます。

まずこのトロイダルCVTですが,正直なところ通常のCVTが抱える特徴を無断変速ができること以外すべて違うところに注目しなければなりません。

そもそもこのCVT,発想は極めて古くこれを金属の直接接触で成し遂げようとした記録も存在するほどです。理論上では昔から最強だったわけです。ではそれがどういうシステムなのか?ということですが,これは非常に簡単です。


これですが……見た目が自転車のチェーンにそっくりです。

この絵だと自転車のチェーンの役割をしているのはパワーローラーです。スプロケットは各ディスク。ディスクに挟まれたパワーローラーはその中で転がります。その際にパワーローラーの傾きを自由自在に調整することによって無段階変速を実現します。

しかしこれだけでは金属同士の接触となり焼き付きます。しかも普通のオイルやCVTFだと入力側から出力側までしっかり動力が伝わるかどうかも怪しいところがあります。油膜入るほどの隙間があったら即刻滑ってローラーなりディスクが空転しておしまいとなりそうな感じがします。

ここをどうするのか?実現はやはり大変なものでしたが,発想はこれまたわかりやすいものです。例えばあなたの目の前に砂場があるとしましょう。しかし砂場といってもスコップで叩くとかローラーで均すとかすれば,固い地面となります。路面のアスファルトもしかりです。厳密には当然違う現象ですが,理解的にはこのような発想で十分です。

そう。ここでこのミッションで一番重要となるフルードの出番となります。このフルードの特技中の特技,唯一無二の特徴…それは…


圧力が加わると液体から固体になるというものです。

つまりパワーローラーというタイヤが走る"舗装面"をオイルで作ってしまおうという発想なのです。ギヤをタイヤに例えるなら舗装面は相手の歯車の歯です。謂わば"液状の歯車"を画像の通り,凄まじい圧力下で作ってしまうのです。もちろん圧力から開放されればこの歯車たちは掘り返された砂場のようにサラサラな姿に戻るのです。これにより金属同士の直接接触がなくとも動力を伝えられるのです。この原理はトラクションドライブと言いますが,この方法は普通のCVT最大の問題まで解決してしまいます。

そう。ベルトやチェーンのように滑らないんです。


確かにある程度のスピンは発生しますが,それでも初代エクストロニック時代でも最大93%という高い機械効率を誇りました。もちろん現段階でも普通のCVTと同等のレベルで研究開発が行われていますから,現在では97%に到達したというデータもあります。流石にMT/DCTには劣りますが,通常のCVTは愚かステップATにも勝てるほどのレベルです。特に高回転なオーバードライブ領域での効率は理論の時点で通常のCVTはこのミッションを超えることは不可能です。つまりCVTが弱いオーバードライブの問題をトロイダルCVTは最初から解決しているのです。この時点で一石二鳥です。

それだけではありません。むしろここからが一番の肝となる部分です。

このトロイダルCVT,ディスクとユニットが2つあります。実はトロイダルCVTにもハーフトロイダルとフルトロイダルの2種類があります。が,基本的にどちらも2つ搭載されます。構造上の理由ももちろんあるんですが,もっと重要な長所を得るためにも必要となってきます。




この図にその理由が書いてあります。オイルポンプの後ろにご注目。前後進切換機構とあります。こいつの正体は遊星ギヤです。どのギヤを回すか次第で変速比はもちろん回転の方向も切り替えられます。この遊星ギヤのうち,アウターギヤとプラネタリキャリアと呼ばれる部分をしかるべきディスクにつなげます。そしてローラーを互い違いに動かします。するとなんということでしょう。

ギヤードニュートラル,つまり減速比ゼロという領域を自ら作ることができるんです。


減速比ゼロとは…そう。ギヤードニュートラルの名のごとく全く動力が伝わらないということ。今までのミッションではクラッチなりトルコンなりギヤをフリーにするなどして無理やりそうしないといけませんでした。

しかしトロイダルCVTでは違います。これを自ら作り出せる上に今までのミッション以上に滑らかかつ自然に発進~低速走行を行うことができます。何せローラーを傾かせるだけなんですからもちろん理論上ならばトルコンからクラッチまでありとあらゆるスターティングデバイスが必要ありません。安全上・ドライバリティの問題からスターティングデバイスをつけても何ら問題ないんですが,それも質素な湿式多板クラッチで十分。

そもそもトルコンというロスが大きい上にデカくて重い物を投げ捨てることができるんです。これはとても偉大なことです。


そもそもそんなトルコンどうこうの前に構造的に単純なトロイダルCVTは最初からコンパクトで軽量。しかもフルードを高圧に持って行かないといけない都合上,各部は最初から頑丈です。滑りも最小ですみます。よって通常のCVTよりも高出力に対応しやすいというメリットがあります。もちろん変速比(レシオガバレッジ)は通常のCVTと差はゼロだし,先ほどのギヤードニュートラルというチートまで可能です。


まとめると軽量コンパクトでどんなエンジンでもパーフェクトに扱えちゃう最強の天才ロリータミッションというわけです。

謂わば自動車ミッション界のアロエたんか麻子です。しかし……


このトロイダルCVT,全てがベアリングというほど高精度な加工が必要です。

このパワーローラーやディスクをひとまとめにしたものをバリエーターというんですが,これだけをNSKこと日本精工(ご存知日本最大手のベアリングメーカー)が作らないといけないほどでした。ですが,その他の部分はジヤトコが作ります。つまり部品に関わる大手メーカーが最低2社ある上にそもそもの製造コストが高いという問題が発生。

もちろんそれは車両価格に回ってきて通常モデルとの差が50万円超という事態となります。当然売れるわけなく一時撤退となり世間からは『失敗作』の烙印を推されるハメになってしまったのです。

しかし先程も言いました。研究開発は普通のCVTと変わらないくらいのレベルで進んでいると。そう。まだ彼女たちは虎視眈々と復権及び世界一のミッションの座を狙っています。しかもこのシリーズではおなじみの某石油メーカーI社開発者いわく『もう次は明日にでも市販できる』程度まで商品力を高めています。

孤高から孤独へ,しかし今度は誰もが認める頂点へ。
彼女たちがまず見つめるはステップATとの総力戦です…。



というわけでいかがでしたでしょうか?最後の方はオマケでしたが,今の自動車油脂類のシビアぶりをとくとご覧頂きました。

もう一度言いますが,皆様も混乱されるでしょうが我々整備士も皆様と同じくらい混乱しながら毎日を過ごしています。しかしこうして自動車の文化は回るもの。結果はどうであれこれが原動力です。とにかくここと各記事のキモは覚えていただければ幸いであります。

長い時間お読みいただきありがとうございました。明日から通常モードでお送りします。今宵も1曲お送りしてお別れしましょう。

この日記シリーズ中,ずっとこの曲を作業用で流していました。何ら脈絡はありませんが,ドライブソングとしていかがでしょう…?

advantage LucyでSolaris
Posted at 2013/07/09 22:35:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2013年07月08日 イイね!

とりあえず変態。前編

ども,高丘です。

mixiの方では今日2発目の記事となります。

こちらが本編ですのでwwwはいwww

とりあえずオイル交換マジコワイシリーズ最終回その2です。

こっからはオマケです。重要なこと書いてありますがオマケです。理由は簡単。

これから紹介するCVTはどちらも変態だからです。合計2種類。どちらもやはり話が長くなるので,前後編に分けてお送りいたしましょう。つまり最終回その3が明日あるわけですwww当日記の自動車コラム史上最長のシリーズとなってしまっていますが,もうしばらくご辛抱くださいまし。

皆様予習は大丈夫でございましょうか?大丈夫ならいざ参りましょう。

まず最初にご紹介する変態CVTはこちら。


ホンダ・マルチマチックCVT(通称HMM)です。

現在,ホンダのCVTは全て自家製で3種類存在します。そのうち,一番歴史が長い上にとにかく独特なのがコイツです。

昔から自家製でミッション創るの大好き…というよりエンジンの都合上そうするしかなかったホンダ。スターレンジなんてあったでしょう?その変態ぶりの最新鋭,それがこのマルチマチックCVTなのです。まず最初から異様なお話をしましょう。実はこのマルチマチックCVT,最初は

ATFフルードとほぼ同じCVTFを使用していました。


昨日の話をしっかり覚えている敬虔な方なら『おい!!』とおもわれるかもしれません。しかし本当です。とあるとてつもない理由によってATFに極めて近いものを使っていたんです。


このマルチマチックCVT,初期型は6代目シビックに搭載されたものでした。なぜホンダがこんなCVTを作ったのかはこの先代である5代目シビックにさかのぼります。

この5代目シビック,セダン版のフェリオにてものすごくハイレシオ,つまりものすごく高速燃費を意識した5速MTを設定していました。効率面では最強なものの,乗り手には極めて不評だったこのMTをどうにか"乗れる"ものにしたい。そこでホンダはこれをCVTで再現してしまおうと考えました。結果,マルチマチックCVTは生まれたのですが,このCVTは思いもよらぬ不評を買います。

まず出てきたのはラバーフィールといわれる加速の鈍さ。エンジンの回転数が一気に上昇した後,のっそりと加速しだす独特過ぎるフィーリング。トルコンATでもありえないものでした。これは『あくまでも効率重視!!前例ないからおもいっきりやるべ!!』という開発陣営の失敗によるもの。これは制御の変更などで改良が施されていきました。

しかしもうひとつ,制御では到底直せない構造的弱点をこのミッションは抱えていたのです。それは…先ほどの図にしっかり書いてあります。

湿式多板発進クラッチと。

そうです。所謂スターティングデバイスが通常のトルコンでもECVTの電磁クラッチでもなく湿式他板クラッチが使われていたのです。しかも駆動軸(ドリブン)側,変速した後の部分に!!これはCVTではよくあった急停止時のプーリーロックを恐れての仕組み。実際,例えば車検時のスピードメーターテストで『測った時,ローラの上で急停止すんな!!プーリー壊れるから!!』というのがそれです。今では制御の進化により起こることはほぼなくなりましたが,何せ初のCVT。またこの方式のほうがコンパクトに仕上がる利点もあったのです。

しかし困った問題がひとつ。湿式多板クラッチです。ATの各クラッチやバイクのクラッチとやはりほぼ同じもの。つまり滑らないといけないのです。はい,ここでまたひとつ変な矛盾が生まれてしまいました。

レモン「滑っちゃダメなCVTに滑らないといけないクラッチってなんぞ」

もうこの時点で何がなんだかよくわかりませんが,そういうことです。極めて相反する変速機構なのに更に相反する物体という組み合わせ。滑るとCVTとしてしっかり変速できない,滑らないと今度はクラッチにとっては過酷で最悪の場合発進時のジャダーが出てしまいます。


フィット・モビリオ・ドマーニ「それがもしかして走りすぎたオイラたちが発進時にガタガタする原因ですか?」

そのとおりです。この発進クラッチこそ全ての原因です。ホンダ車で『車検で発進時の悩み言ったらサジ投げられた…』という方がいるかと思います。恐らくこの発進クラッチの劣化が原因かもしれません…。もしも出た場合は純正フルード交換で様子見,最悪このクラッチもしくはミッション交換となります。

さて本線に戻しましょう。こんなミッションです。CVTかクラッチか……開発陣はクラッチを優先する決断を下します。結果こうなりました。

・ATFに近いフルードでクラッチ最優先!!
・ベルトの滑りは油圧を限界まで高くして力づくで抑えこむ!!


結果,どうにかマルチマチックCVTは実用化されたのです。

そしてこのマルチマチックCVTは……

遂にはATFを捨て,専用純正HMMフルード(HMMF)の力で更に更に高い油圧を使えるように改良が施され,ホンダIMAハイブリッド用として今でも現役バリバリで使用されています。

続く。

Posted at 2013/07/08 23:07:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2013年07月07日 イイね!

とりあえずさわらないでおこう。

ども,高丘です。

秩父缶詰生活7日目。

もうかなり消耗しているのは皆様ご承知の通り。

しかしその中休み1の予定だった15日大洗行きがつぶやきの通り…潰えました。

レモン「仕方ないさ…。こんなものなんだよ」

そうか。やっぱりあんこう祭りに行く運命なんだなオイラは!!

レモン「オイラは留守番だがな。VFRの出番だにょ」

よっしゃあ。ならば…


い~い!?あんこう祭りまでにVFRを完璧なミホーシャ状態にするのよ!!

レモン「資金的に無理ゲーじゃ…」

うるさい!!タカチューシャのミホーシャ愛は完璧だわ!!(コラァ

レモン「どこまでできるんやら…」

※資金的には……まあ皆様の予想通りです。

さて予告の本題へ。

先日からエンジンオイル,ATFと『オイル怖い,メッチャ怖い』という話をしてきました。今宵はラスボスです。


CVTFです。

世界で一番未熟なミッションのひとつ。故にその要求と進化が恐ろしい方向に進みがちなミッション。またそれ故にメンテナンスの周知が極めて進んでいないミッションでもあります。

例えば……

・CVTF=ATF
・CVTFは黄色い

というイメージお持ちの方は間違いなく昔ながらの敬虔なスバリストに違いありません。これらは基本スバルECVTなどが該当するからです。高丘さんとオイシイお酒が飲めそうな方なんですが……


残念ながらこんな頃のミッションです。今のものがぜんぜん違うのは言うまでもありません。電磁クラッチというところで全然違います。

まあこれとEN07がREXに載っているとハイブリッドさんが土下座しないといけないほどの超絶好燃費を叩きだすんですがね。しかも現行NA軽自動車をミサイルより早く駆逐するほどの山の神という……。軽いは正義。もちろんジャスティも忘れてはいけません。そもそも世界初の量産自動車用CVTは彼らです。そこを忘れている人民が極めて多すぎる…。悲しや悲しや…。

さて,じゃあなんでCVTF=ATFじゃなくなったのか?これが今回の話の肝となります。今宵はここを骨の髄まで覚えてお帰りになっていただきたい。じゃあ早速真相から参りましょう。

Q:CVTって何で変速しますか?

はい。一番単純ですが一番重要なことです。ATでは?無論……


ギヤですね。遊星ギヤです。ギヤはとてもいいものです。ギヤを超える機械効率と信頼性,精度を持った伝達機構を未だ神は創造していません。理論上99%。ATの場合はMT以上にオイル浸しでなおかつ理論上とてつもなく伝達効率の悪いトルコンを使うためその伝達効率は70~90%に落ちます。

さて,じゃあCVTは?


これです。金属ベルトです。


レモン「え?これじゃないの?」

うん。それもそう。


シャロン「これじゃなくて?」

それもそうですね。

まあ全部お話する予定ですが,どちらにしろ感じることは……

レモン「メッチャ滑りそう。金属だし」
シャロン「ギヤより不安を覚えますわね」


そのとおり。金属は滑るんです。つまり…

CVTFは滑っちゃいけないんです。そしてそもそも滑るものを矛盾を抱えたオイルに浸して使っているから効率がメッチャクチャ悪いんです。


はーい。ここ重要です。テストに出ます。

MTのギヤオイルは潤滑と油膜を追いかければ物になります。ATFはギヤもあればコントロールバルブがありますからこれまた潤滑と油膜,更に流動性が必要。

しかしCVTFは金属間の摩擦というとてつもなくヘビーな要求が求められます。焼き付いてはいけない,けどもグリップしないといけない。しかもややこしいことにCVTはATとは違ってメーカー間でシステムの統一感が一切ない無法地帯と化しています。先ほどレモンさんたちが何個か写真込みで例を示してくれましたが,やはりあの3種類でオイルは全く違うものになります。

レモン「あ!なるほどATF使えないわけだwww」

そうです。要求が天と地ほどに違いすぎるんです。未だもってそれを理解してない人間が整備士含めて多すぎるんです。整備士ですら……

「AT・CVT兼用がないかなあ…」といっている阿呆が未だに存在します。

なんと情けない。じゃなければここまで情熱的に書きませんって。

じゃあまずは……



一般的な金属ベルトから参りましょう。

これはいろんなメーカーで採用されております。ホンダとスバルを除く各社が使用しているタイプです。現在の自動車界ではベルトCVTといった場合はこちらを指します。

このタイプの場合はある程度,ATFのように”なんでも対応”のCVTFが登場し始めていますが,少なくとも高丘さんは純正を入れるという選択をするでしょう。というよりこれから話すすべてのオイルは何が何でも純正のほうがいいです。

また各社全てミッションごとにオイルの入れ方も量の味方も全部違います。実際に……

『MTミッション見たく入れたら入れすぎて壊れた』

という事故も発生しています。つまり全ての正式な手段を網羅できる整備工場でないとまず作業なんて不可能です。そうじゃない場合,抜いた量を正確に計測して入れないといけません。しかもメーカーではそれすらオススメしていません。ATFとは段違いの難しさです。

しかも入れすぎへの過敏さは凄まじいものです。これは構造に起因する弱点をCVTF自らが生み出してしまうことがあるからです。それが…


泡です。

実はCVTのオイル量はこの泡ができない,だけどもしっかり機能する絶妙な設定をされています。これを守らなかった場合はベルトがCVTFを撹拌してしまい泡ができてしまいます。いくらCVTFでも泡になってしまっては意味がありません。泡によって油膜に隙間ができてしまい機能不全が発生,ベルトが焼き付いて派手に壊れます。つまりミッション積み替えです。

これはどんなベルト・チェーンCVTでも起こる問題です。しかも…


スバル・リニアトロニックのようなチェーン式はベルト式以上に金属接触が少なく,より泡に弱い特性を持つため,専用の純正CVTF一択となります。

ここ要注意です。何せ今のスバルは売れています。リニアトロニックも売れてます。売れているから注意しないといけないんです。まあつまるところCVTFは必要ない限り交換しない・触らないほうが絶対にいいということです。ここをご理解いただきたい。

これだけじゃ話がつまらんので,あともう2つ変な子をご紹介しましょう。

1曲はさみましょう。

じゃあ例のECVTのCMで使われていたこの曲を。

ジョージ・マイケルでFaith
Posted at 2013/07/07 22:58:07 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2013年07月05日 イイね!

とりあえず出し入れするのやめよう。

ども,高丘です。

昨日の続きです。

「ホントどんだけ今の自動車ヤバイんだよwww」と言われそうです。

そもそも当日記で散々そんなこと書いてます。

ただここだけは整備士も一般人も感じることは同じでして,我々だって面倒くさいです。それ覚えるだけでも,機材揃えるだけでも,そもそもそのためのお客さんを集めるのも(コラァとてつもなく大変です。

しかも最後まで残っていた比較的古いエンジンも代替が進んでいます。

スバルではEJ,三菱では3G8,ホンダではE07とかでしょうかね。スズキだとK6A は風前の灯だし,現在考えうるスズキエンジンで最も信頼性の高い心強きM型ですら淘汰されかけています。

となるといきなり難しい話題ばかりが出てくるんです。スズキの場合は前お話したとおり日産では少々年月の経ったシステムが流れてくる傾向がありますが,それでも十分手に汗握るネタばかりですwwwあえてお話はしませんし,一部できないんですが(←申し訳ない程度の社外秘)。もちろんスイスポなどチューニングパーツを開発する面で味方になることもあれば超大型巨人級の敵とも成り得ます。振り回されてるんです。どこも。

簡単に申し上げれば,こんな日記を読んでもらっても誰も恨まないで欲しいということです。そんなことばかりなんですクルマって。例えば新車へ組み付けられるショックの単価はたしかにタバコ1~2箱分以下,だけど整備しようと部品取るとウン千~ウン万円とかね(←需要供給と輸送コストの差が段違い)。

前置きが長くなりました。

最近,多いんですが『セルフで何か言われて何か交換されちゃったんだけど……』というご相談を頂きます。大体の場合,LLC(しかもご丁寧にラジエタキャップ新品)とかブレーキフルードとか(車検時ほぼ全て交換するのに…)です。その中でも一番戦慄が漂う項目があります。

それがATF・CVTFです。特にCVTF。

いや~,ヒヤヒヤしますよ。CVTなのにATF入れられちゃったというケースも考えられますからねえ。ATFも決して油断はできませんし。

ではまずATFのほうから。

こちらは交換方法が既に定着しておりますね。実際にはオイルの種類は八百万神くらいあるんですが,基本的に統一されています(もちろん理想は指定された純正グレードですがね)。CVTFはやはり手を出しづらいのか,ATFを交換するセルフが多くなっているようです。

しかしATFも怖いものです。まずは交換する距離。一般的なラインは5万キロまでに1回でも交換したことがあるかです。ない場合はまずしてはなりません。壊れるまでそのままです。まあそもそもぶっ壊れないのが普通なんですがね。実際,ゲージが存在しないATなんて山ほどありますし……。

その理由はATの構造を理解するのが一番手っ取り早いです。ATというのは単純にいうと…


・遊星ギヤ(まあ歯車と思ってくださいな)
・おびただしい量のクラッチとワンウェイクラッチ,ブレーキ(フォワードクラッチ・オーバーランクラッチ・ローリバースブレーキ・ハイクラッチ・バッククラッチ・ブレーキバンド・ローワンウェイクラッチ・フォワードワンウェイクラッチなど)
・コントロールバルブ
・パーキングギヤ
・トルコン
・オイルポンプなどなど…。

全く単純じゃない?いや,これ4速です。一番単純です。

しかしこのATF交換で一番厄介事を生む子がいます。それが…


このコントロールバルブ(のASSYユニット)です。

これはATの神経に当たるパーツです。なんか迷路状の物体がありますが,この迷路には油圧が掛けられ,その先にあるコントロールバルブが動くことに各クラッチが制御され変速が行われます。

※↑2013/7/7:書き方が間違っていたため修正しました。

このコントロールバルブは超絶的な精度が必要です。そもそもバルブにはシールなんていうモノがないんですが,そんなものなくてもバルブの隙間が狭すぎて油圧保てちゃうくらいの精度があります。その隙間わずか10ミクロン。ダニの糞より小さいといわれるくらいの隙間です。そんな隙間ですからわずかにゴミが入っただけで壊れてしまいます。もちろんそれを防ぐためにフィルターなどは存在します。

しかし,使うオイルはATFだけ。ギヤ潤滑もクラッチも浸っているATFをこんな超絶空間でも使用します。クラッチは湿式多板=バイクのクラッチの高性能版程度なのでもちろんダストは出るし,ギヤ使うので金属粉も出ます。

もしも5万キロまで無交換だった場合にATFを交換するとどうなるのか?

簡単に言うとこの溜まったゴミたちが盛大に民族大移動してしまいます。すると…

・フィルターが詰まって油圧が行き届かなくなる。
・バルブと離れていたゴミがバルブに急接近して10ミクロン空間を占領してバルブがスティックして固着。
・つまりどっちにしろコントロールバルブが死ぬ。
・それに起因した各部故障も発生する。

という事態になります。こうなったらどうするのか?AT交換です。ウン十万円飛びます。

そしてもうひとつ,CVTほどではないにしろ量を気にします。あまりに入れすぎてしまった場合は撹拌抵抗が高すぎてクラッチをダメにしてしまうケースがありえるんですね。もちろんこれもAT交換とかという事故となりえます。

なのでむしろ交換する気無いんだったら交換しないほうがまず間違いない手という考え方もあります。変速ショックや燃費悪化より故障のほうが痛手と考える整備士さんも多いです。しかしATFを入れる機会は残念ながらあります(特にドラシャブーツ交換)。なので予防という観点で一概に交換しないのも正しくないとも言えます。ここは整備士さんの経験と個性に委ねられます……。高丘さんも正解は知りません。どちらにしろ言えることは……

・無交換
・多走行

2つは気をつけないと死ぬよということです。

現在のクルマに安易な交換は存在しません。お気をつけの程を…。

しかし!やはりATFもまだ序の口です。歴史・経験の長さはこれらの事故を回避しカバーするのには十分です。それがない上に神経質なオイルが存在します。

CVTF,これには何人足りとも決して手を触れるべからず……(もちろん出来る限り整備士も)。

明日オイルシリーズ最終回。身近なものは一番衝撃的なものでして…。
Posted at 2013/07/05 22:11:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記 | 日記

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