ども,高丘です。
さて,昨日はアルト話にお付き合いいただきましてありがとうございました。
今宵はあえて昨日の続きを書きたいなあと。
まあ簡単に言いますと……

じゃあこの子たち一体何だったの?というお話です。
もちろんちゃんとした存在意義があります。今回の新型はスズキ流の意欲的が光る作品です。スズキって日本メーカーの中でも特に保守的なところ。キープコンセプトなんてスイフトやワゴンRでどんばかやっています。更に今回の新型アルトでは
『やる気満々フルスロットルで原点回帰』という凄まじいことをやっています。
となると先代と先々代はやはりなんぞやとなります。この子たちは新型アルトとはまた違うものを背負っていた世代です。
彼らはどちらも量産型テストヘッドというスズキの保守哲学を『変える』宿命を背負っていました。
先代のアルトエコはまさにその典型例でしょう。
トヨタあたりから見ればローテクにしか見えない技術を駆使して燃費を限界まで攻めるという大実験。そのモルモットがアルトエコでした。
アルトエコじゃない先代アルトも最初から『背負って』います。
・副変速機CVTにAT車全4速化&大胆なロックアップ拡大
・VVTなどのリベンジ搭載
・専用デザインインパネデッキ
・K6Aインテーク最終形態の初搭載機
・その他いろいろ…。
元々アルトというクルマは比較的年齢層が高い方にも売れる車。その場合,
雑な使用(畑仕事のお供など)をされたり,酷な環境(オイル交換すらされることなく乗り潰されるなど)におかれたりなど散々な扱いをされがち。
裏を返せば,
その過酷な使用環境は新機構の耐久試験に持ってこいでした。特にCVTの煮詰めには本当に持ってこいだったはずです。パレットに搭載された新進気鋭のミッションを煮詰めに煮詰めまくったクルマと言えます。
なおインパネデザインも後々のワゴンRなどに成果が生かされたところが見受けられるなど,中身も外見もテストヘッド一色だったのです。
そして先々代です。一見すると5代目より装備面で安っぽく映ると思います。VVTもなければオートエアコンもない。触媒のせいとはいえリーンバーンもない。一見すると何もいいことはなさそうに見える世代。
ただこの先々代はある意味,先代以上の仕事をしています。先々代で試されていたこと。それは……
・車体デザインの大幅革新
・電子スロットルの本格的
・無塗装バンパー採用などの新コストカット方の検討
個人的に印象深いのは電子スロットルです。
スズキ横置きエンジンの軽はインテークのデザインを簡単に世代分けすることが出来ます。ワゴンRもkeiもMRワゴンもラパンも,そしてアルトも世代分けできます。
ただし…先々代である6代目を除いては…。
この6代目アルトのインテークデザインは
他のどんな車種にも構造が合致しない個性的なデザインをとっています。

これですね。
本当にこの6代目アルトしか採用していないデザインとなっています。そう考えるとめちゃくちゃ贅沢に見えてきます。他にここまで専用専用していたのは一部のターボ搭載グレードを除いてそうありません。NAでは特に。
これを生んだのが電子スロットルなのかなあと。
電子スロットルはワイヤーが必要無くなります。5代目の時点で採用されていたモデルがありましたが,本格採用ではなく,かなりの希少車となります。これが
6代目ではVVTやリーンバーンを取り払った上で専用インテーク込みで全面採用されています。1代でイケるところまでとことん進化した=コストの高かった5代目を整理する意味合いもあったんでしょうが,
電子スロットルのことを考えるとやはりテストという意味合いが大いにあったんじゃないかと思います。
ちなみにこの次の世代のインテークがこちら…。

K6A最終形態としてR06A前夜のワゴンRやラパンに採用された巨大箱型インテークです。
そして5代目は皆さんおなじみの……

このデザインとなります。アルトのみならず横置きK6Aを使うほぼすべての車種で使用された最も有名な世代です。やっぱり6代目だけなんです。あのデザイン。
ちなみに言うと6代目のスロットルはバッテリー近くに搭載されていました。5代目他のそれはブレーキマスター真横です。そして先代の7代目アルト他のデザインではなぜか5代目の位置へ戻っています。やっぱり6代目だけ…。何があったのかはわかりませんが,とにかく何か意図があったことはたしかでしょう。じゃなきゃ保守的なスズキさんがたった1代限りの冒険をするはずがありませんから…。
量産型テストヘッドという宿命を背負って走り続けた先代及び先々代アルト。正統派ではなかったけれども,保守的なスズキを変える何かを背負って最前線を闘いぬいた革命児であることは間違いありません。
では1曲。そう言えばクリスマスイブですね。ただ今宵は孤独な戦いを続けたクルマの話でした。ならば飛び切り孤独なクリスマスソングを掛けて締めましょう。今思えば,キリンジというバンドとのファーストコンタクトもこの曲でしたなあ…。
キリンジで千年紀末に降る雪は
Posted at 2014/12/24 21:04:00 | |
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