
ひとまずNDを運転した感想ですが…まずこの車、恐ろしく取っつきやすいです。
スポーツドライブを多少なりともかじった方なら、NDとすぐに打ち解けあえるはずです。
秩父から、R299で一旦東へ向かい、正丸トンネルの手前で名栗方面へ抜けていきましたが、その途中の下りコーナー2つであっという間に馴染みました(汗)
サスのロールは大きく、オープンボディだからなのか、ボディ全体が微妙な振動をする感覚があって、乗り出した直後は「オープンカーだしなあ」とか「ロールは確かに大きいなあ」と不安を感じてましたが、いざ攻め込んでみると、これがヤバい。
確かにサスのロールは大きいけれど、どんな姿勢になっても四輪がしっかり路面をとらえているので、例えば不意に現れた段差や路面の凹凸で足をとられても、それでも路面をとらえてくれるので、不安はあっという間になくなる。
最近、S2000で街中すっ飛ばしてたら、路面の凹凸でたちまち姿勢乱れてクラッシュ…なんて動画がアップされてましたが、あれはサスがデタラメに弄られていたのが大きいように思いました。
ひとまずNDの標準足は、ああいうことになる心配はないと思いますが、でも街中ぶっとばしちゃダメですよw
個人的にはもうちょっとだけ車高下げたいけど、ボディや駆動系のたわみなんかも加味して足がセットされているように感じたので、これは足いじるのに勇気要りますね。
標準足でも、相当レベル高いと思います。
運転を覚えたい方でしたら、足を弄るのはすすめません。
スキルのあるショップでアライメントをきっちり出して、タイヤやブレーキのメンテを必要最低限でも行えば、過不足ないでしょう。
変なサス入れてお金をドブに捨てる(それはそれで勉強代にはなるでしょうけど)くらいなら、並みの車よりもヘタリの早いゴムブッシュの交換費用に充てた方が賢い。
それでも足を弄りたければ、ウ○シマ院長あたりにセッティング頼む方が良いでしょう。
この車の足いじるのなら、コスト掛かることは覚悟しておくこと。
操縦性に話を戻して…動き出した瞬間は不安に感じていたボディのたわみや足のロールが、コーナーではうまく作用しているようで、最初のコーナーでのブレーキングで、不安なく前輪に加重がかかりました。
慣れてない車のブレーキですから、相当余裕を持ってブレーキしたのですが、緩めに感じたボディからは一変して、前2輪へ綺麗に加重が乗っかる感じ。
きっちり加重が掛かったことが体感的にも確認ができるので、たとえば前加重が乗りにくいMR車で、フルブレーキングで片輪がロック、そういう不安にかられながら、神経質にブレーキングする…なんて心配は全く無用。
ABSももちろん付いていますので、サーキットなど、攻め込む上でリスクの少ないステージならば、安心してガッツリ踏み込んでいけると思います。
フットレストでブレーキのGに抗いながら、ブレーキリリースし、そこからアクセル入れて向きを変える…という一連の操作が、ペダルやフットレストの配置のお陰でやり易い。
フットレストは、きちんとドラポジが取れていれば、レストに足乗っけたまま、そのまま膝に力を入れれば、Gへの備えは整います。
車によっては、足首にも力を入れて、足の裏全体をレストに接地させる必要もあったりしますが、ロードスターはその点の配慮は必要ありません。(少し前に乗った初期型NCでも、フットレストのこの点はすでに完成されていました)
アクセルも、最近のマツダ車のアクセルペダルは全てオルガンペダル(アクセラハイブリのみ通常の吊り下げ型)ですが、吊り下げ型だと、ペダルが奥へいくにしたがって、靴の裏とペダルが接触する点が滑っていくため、アクセル踏み込むと、アクセルそのものの抵抗に靴とペダルの滑りの抵抗も加わりますが、オルガンだと靴との接触点の滑りがなくなります。
攻め込むときに、この僅かな抵抗がないことが結構大きくて、多めに踏みたくないときや、微妙に抜きたい時などに、意思をダイレクトに伝えられる感覚。
普段のりに、着座位置が高くて、ペダルもやや上から踏みつける傾向になるヴィッツに乗っているからか、足首の捻りだけでアクセルが操作でき、アクセル操作のフリクションも、純粋にアクセルだけなので、並みのアクセルペダルよりも抵抗感を感じない・・・ということに、地味に感動しました。
オルガンペダルのメリットは、スポーツ走行でより恩恵を感じられると思います。
操作しやすいペダルに感動しながらアクセルを入れていきますが、ここからがNDの真骨頂。
アクセルONでの反応は鈍すぎず敏感すぎず。
シャシーがエンジンパワーよりも勝っているのと、VSCが効いているのもあって、コーナーの数をこなすごとに、アクセルの踏み込み量も増えていきましたが、基本は安定方向なので、踏んでも程ほどにヨーが発生して、最後はきちんと収束します。
エンジンパワーがそこそこで、ギア比も高めなので、立ち上がりで横向けながら…というのは、かなり速度レンジ上げないと起こらなさそう。
VSCも、場所によってはカットして試しましたが、やはり安定方向のようで、安全第一でマージンとった上での走りであらば、適度に刺激を味わえて、ヤバい破綻はしない感じ。
速度コントロールをきちんと守った上での話ですが…
同じロードスターで言えば、過去にNB(まっさらのノーマル初期型)をやはり山の中で走らせたことがあるのですが、「これ以上踏むとケツが出る」と言うのがわかりやすかった。
ただし、出たあとでどうなるかが怖くて、当時の俺ではそれ以上踏めなかったのですが、今NBに乗ったとしても、アクセル入れた場合にどんな挙動が出るかどうか・・・という不安は付きまとうと思います。
NDは、各種安全装置の恩恵もあるけど、踏んでからの安定性が高く、アクセルを踏むか踏まないかの意思に忠実で、サスのピッチングなんかで、意図せずアクセルが入ってしまって暴発…というのもほとんど無かったので、終止危なっかしい印象がない。
そしてエンジン。
エンジン自体の反応は、3000以下だと鈍いけれど、そこから上へ回すと、一気にスポーツエンジンに化ける感じ。
下でアクセルの反応が鈍いのは、直噴なので、その領域では希薄燃焼だからではないかと。
昔の三菱GDIエンジンみたいだ。
あれも、希薄燃焼域だと燃費は良くなるけど、3000くらいまでが反応かったるく、そこから上へ回すと通常エンジン並みの反応になるけど燃費は・・・というものだったが、NDのエンジンもそれとよく似た傾向を感じた。
どういうわけか、メーカーオフィシャルのページでは、ロードスターのエンジン性能曲線がなかったので、同型エンジンのアクセラ1500のものを見てみたが、2500のあたりでトルクの出方がガラッと変わっている。
他のND乗りは、みんな口をそろえて、普段乗りで15km/L以上・・・と、NDの燃費の優秀さを語っているが、昨日自分が乗ったときは、燃費計でも返却前のガススタで燃料入れたときに満タン法で確認しても、12kmがやっとだったので、燃費のいいND乗りの方は、希薄燃焼域をうまく使ってドライブしているのでしょう。
スポーツカーのエンジンとしては、音もいいし、7000まで綺麗に回るけれど、上でのトルクは排気量相応といった印象。
エンジンよりもシャシーが勝っているので、D1のような豪快なドリフトは無理ですが、玄人でも「にやり」としそうな味付けがされているので、これは誰が乗っても楽しめると思います。
個人的には、もう少しアクセルできっかけ作りやすいと好みなので、ファイナルをローギアード化…までやらなくても、タイヤサイズを標準の195-50(600mm)から195-45(580mm)に変えるのも手かも。
確か、S660のリア標準サイズって195-45-16でしたよね…?(しかもネオバだし)
スピードメーター狂うでしょうけどね…
山の中を丸一日走り回ったおかげで、NDの操縦性と、そのようにした側の狙うところ、このNDがFRという駆動方式の車にどのような影響を与えることになるのか云々…そんなことまでに思いを馳せることになりました。
気分転換にふらっと行ける距離に山道やサーキットがあるような環境だったら、多分毎日ロードスターで走りに行っちゃうだろうなあ…。