2015年10月12日
後輪駆動のスポーツカー
さて、NDに乗って「後輪駆動というのをどのようにしていきたいかが見えた」というのを書いたと思うんですが、こちらではそれについて。(長文です)
後輪駆動の醍醐味のひとつに「アクセル入れて曲げる」というのがある…と述べましたが、自分自身がそうだったように、言うほど簡単ではない…と思うんです。
曲げるための手段と理解はしていても、カーブで曲がるときに普通の感覚ならブレーキ踏みたいところでアクセル踏む…というのは、感覚に逆らう行為ですし、実際にやるとなると、未経験の人からすれば、勇気のいることだと思います。
ずいぶん前に、友人何人か(スポーツドライブとは縁のない)とドライブ行った時、とある山道でそういう走りを、でも普段よりかは大分押さえて走りましたが、「ブレーキ踏まずにアクセル踏むのはおかしい」と、相当怖がられた事がありました。
似たようなもので、2輪のコーナリングで、ブレーキで前加重から車体をバンク(傾ける)させ、出口が見えてきたら、アクセル開けて起こしつつ(同時にリアタイヤを滑らせながら)立ち上がる…というのがありますが、2輪乗るのは好きな自分も、あれは結局こなせませんでした。
だって、怖いんですもの!(笑)
2輪では何度も転んではいますが、転ぶリスクをわざわざ増やしにいくようなものですし、2輪のコーナリングは、ミスに対してペナルティがでかすぎます(汗)
…そんなわけで2輪でコーナリング楽しむのは諦めて、バイクのスポーツ走行は見るのを専門と割りきってますが、思えば2輪のコーナリングと、後輪駆動の曲げかたというのは、共通点が多いですね。どちらも後輪駆動ですし。
「好きな人は麻薬的に止められない」
という点でも共通しています。
2輪のコーナリングをあきらめたくらいなので、4輪でも「踏んで曲げる」と言うのを実践出来るようになったのはここ最近のことです(センスありませんからw)
鼻先入れてアクセル…まではできても、そこでヨーが発生したところで、びびって戻してお釣…というのを、私も結構やったもんです。(恥ずかしながら実際にそれで車を傷つけたことも。他人こそ巻き込まなかったですが)
経験こそあれど、慣れてない車で攻め込む…というのは、余程の熟練者でもないと自信持って出来ないですが、NDは危ない挙動が出ない、変な反応がないことで、攻め込むときでも、緊張状態にならずにリラックスして運転できたように思います。
実はND受けとるまでの間、時間が少しあったので、ヴィッツで周辺を走ってみたのですが、サーキットで限界はある程度掴めていたものの、どこまで攻め込めるかが不安で、NDほど思いきって行けなかったです。
どうしてそうなるのかは…わからないですねえ(汗)
タイヤやサス変えるとか、ポジション最適化でも改善出来るとは思うんですが、スポーツカーという点では同類のビートでも、NDほど不安なく攻め込められなかったです。
パワーないのと、ノーマル+αの足では安定性が物凄く高いので、ちょっとやそっと踏んだ程度では破綻しない安定感はありまして、その点ビートに近い感覚を感じました。
色々なインプレ記事や動画などを改めて見回してみたのですが、これまでのロードスターは、テールハッピーな傾向があって、踏むと粘る傾向はNDからそうなったようですね。
簡単に流れて遊べるほうと、安定性重視、どちらが良いかは乗り手次第だと思うのですが、個人的な意見を述べさせていただきますと、後輪駆動の味というのは
「リアの駆動を操作できること」に魅力があると思います。
いや、これだけだと「そのまんまじゃねーか!」って話ですよねw
もう少し掘り下げて言わせていただきますと…よく言われる「アクセルで曲げる」という感覚。
90年代以降のFF車も、タイヤやサスが色々進化して「アクセルで曲げる」のが実践できるFF車がたくさん現れました。
今自分が乗ってるヴィッツでさえも、きちんと曲がる車になっていまして、アクセル多めに入れると片輪に駆動が逃げる傾向こそありますが、この辺はサスのセットやLSDで対処は出来ると思います。
…しかしそれだけFFが進歩しても、後輪駆動で曲げる感覚とはやはり違いはあるように思います。
むしろFFがそれだけ進歩してきたタイヤやサスの技術は、そのまま後輪駆動も恩恵を受けているわけですから、後輪駆動も進歩していないとおかしい…ということ。
その後輪駆動の進歩というのは、タイヤやサスに加えて、ハイテン鋼やアルミなどの素材や、補強のノウハウの積み重ねを新車段階で取り入れられるようになったシャシー。
今はそれに加えて、危険を回避するVSCなどの各種デバイスもありますねえ。(これは装着義務化されたのもありますが)
後輪駆動の長所と、それを味わえるハードルが、これらによってグッと低くなったのは間違いない。
後輪駆動の醍醐味として、立ち上がりでアクセル入れてケツを振りだす瞬間、ここで乗り手が踏んでいけるかどうかが鍵(と私は思ってます)なので、ここのハードルが低くなった最近の後輪駆動は、ファッションや記号としての「後輪駆動のスポーツカー」ではなく、「後輪駆動のスポーツカーを運転するのが好きだ」と言えるユーザーを増やすのに一役買うんじゃないかと思ってます。
今の後輪駆動車は、「前軸後軸荷重50:50のフロントミッドシップ」「エンジンパワーよりも勝るシャシー」なんてワードがカタログに踊り、扱いやすさを前面に出されていますが、かつてのスポーツカーは曲がらない、止まらない、足やタイヤや腕で無理矢理ねじ伏せて曲げる…というのが常識だった古のFRを振り回してきた腕っこきからしてみれば、今の後輪駆動の安定性の高さは「つまらない」「乗りこなす楽しみがない」なんて話も出ます(そんな人達がD1なんかで白煙上げてケツ流してるわけですが)が、曲がらない後輪駆動を何とかするのには、素人からすれば、ハードルがあまりにも高すぎたんですよね…。
いや、そこまで古い車でなくても、後輪駆動ってだけでも素人にはハードルは高かった。(個人差はあるでしょうけど)
今の今まで、「後輪駆動のスポーツカー出せ」と市場の声が上がって、いざ発売してみても、前評判ほどには盛り上がらず、性能面や価格で有利な同級他車が現れると結局そっちへ行かれてしまい(それが後輪駆動ではなかったとしても)、最終的には尻すぼみで消滅…そんな末路を辿った「後輪駆動のスポーツカー」は数知れず。
そして、そんなサイクルが数年ごとに何度も繰り返されていたように思います。
そうなった原因のひとつに「ユーザーが後輪駆動を味わえなかった」ことが大きいんじゃないかと思ってます。
味わう上でのハードルを下げて、本当の意味での「後輪駆動愛好家」を増やす…NDロードスターの狙いのひとつは、そんなところじゃないだろうか?とふと思った次第です。
「エンジンパワー数十馬力アップ」「サーキットのタイムを旧型比数秒短縮」「各種装備充実」というのをモデルチェンジの度に繰り返し、それが販売に結び付いていた時期はあるけれど、そういう車作りはいずれどこかで行き詰まる。
例はあげませんが、そうして消えたスポーツカー、多いですよねえ。
ロードスターは、それとは違うアプローチをモデルチェンジで実践してきたが、かといって「新しくなったことをアピール」するだけでは、代替え需要は見込めても、それがせいぜい。
新規ユーザーも獲得し、マツダの顔としてのロードスターを末永く続けるにはどうするか…その回答のひとつが「誰でも踏める後輪駆動」…そんな所じゃないですかねえ?
ND運転できるチャンスに恵まれたことで色々思うところが出てきましたが、こうなると新86/BRZや、S660もどんなもんなのか…と気になってきます。
実はこれらの車、きちんと乗ったことがないのですよ…気になり出したら止まらなくなるのが僕の悪い癖…(笑)
ブログ一覧 |
ロードスター | 日記
Posted at
2015/10/12 17:26:02
タグ
今、あなたにおすすめ