年内の走行は終了し,年明けのファミ走までもうやれる事がないので,過去の車載を見返しながら反省会をやっています.
この際,やっぱり参考になるのはプロの走らせ方.GPSロガーと車載である程度は比較・分析が出来るのですが,時折,理解不能な動きをしている時があり,「これがプロの技か・・・」と感心するのですが,感心するだけで終わると今後に繫がらないので,何とかそれを解き明かそうと,あ~でもない,こ~でもないと理屈を持ち出して考え込んでます.
今回は,その理解不能な動きを,Link ECUのスロットル・ブレーキのデータから解析してみたいと思います.題材に選んだのは日光サーキット.LAP+で比較するとこんな感じ(↓)の時のデータです(緑:プロ 青:私).
1~2コーナー
図は上から,車速,回転数,スロットル開度,ブレーキのON/OFF.赤線がプロ,黒線が私です.1コーナーの進入時,私(黒)は進入と同時にスロットルを全閉してブレーキングするのに対し,プロはスロットルをいきなり全閉するのではなく,少しずつゆっくりと閉じているのが分かります.その瞬間の車載を見ると(↓),
まだストレートで,音だけ聞いているとスロットルは全開のようにしか思えないです.以前,車載だけ見て判断していた時は,ストレートなのにステアリングを一瞬スパッと切るので,これは「パキ切りの動作だろう・・・」とは思っていました.
「パキ切り」というのは,コーナー進入前にフロントタイヤを一瞬で潰す技だと理解していたので,フロントタイヤに荷重をかけるためにスロットルは全閉なのかな・・・?と思っていたのですが,プロ(赤)は,ほんの少しだけスロットルを戻した状態でやるんですね.このくらいの戻し量では,クルマはステアリング操作に対して全く反応しないでしょうから(≒アンダー状態),敢えてそういう状態にして,「パキ切り」の操作に対してクルマが反応しないようにしているのでしょうか?
一方,ブレーキング開始後は,早めに3→2速に落して回転を維持する私(黒)に対し,3速のまま徐々に車速を落とすプロ(赤).この際,プロ(赤)は2コーナーまでアクセルを1度も踏んでないのだろう・・・(ブレーキ踏力だけでコントロールしているのだろう)と思っていたのですが,実際は一瞬だけアクセルを踏み足しているようです.これは恐らくロール量過多から来るオーバーステアを打ち消すためで,一瞬アクセルを踏んでリアを接地させているか,またはLSDを効かせて,車体を安定させているのでしょう.
こういった微妙な荷重コントロールを随所に入れる事で,自分が欲しい姿勢を作りつつ,同時に安定した前後バランスを得るという,高度な技が繰り出されているようです(さすがプロ!).
2~7コーナー
プロ(赤)は2コーナーで一気に一気に車速を落ちていますが,このポイントの車載を確認してみると(↓),
フットブレーキに加えて,ステアリングブレーキも併用しているようです.そうする事で,ちょうど2コーナーのエイペックスで最もスピードが落ちるように調整しているようです.
そして,そこからプロ(赤)は一気にスロットルを開けていく・・・と思いきや,実は4コーナーの進入に向けて一旦全開にしたスロットルを少しずつ戻しています! 恐らく,これによって縁石に弾かれるのを防ぎつつ,続く5コーナーでアンダーを誘発しないようにしているのではないでしょうか? 確かにこうすれば,タイヤのグリップには余力が残るので,こんな舵角(↓)がついていても,
全く失速せず,アクセルを全開でクリア出来るはずです.
ちなみに,私(黒)の方は4コーナーをスロットル全開でクリアし(↓),続く5コーナーではタイヤと相談しながらスロットルを戻す形となっています.
1つ先のコーナーを見越して,手前のコーナーでは頑張らず,次のコーナーを全開でクリア出来るような操作をするプロ(赤)に対し,手前のコーナーを全開で抜け,そこから先でタイヤがギブアップしたら,スロットルを戻してタイヤと相談しながらコントロールする私(黒).そのどちらが良いのか?と言えば,当然,プロ(赤)の方でしょう(車速の伸びを見れば一目瞭然).日光は元ホームコースなので,コース攻略は完璧と思いきや,まだまだ初心者の走らせ方・組み立て方だったという事ですね.反省です・・・.
8~10コーナー
ここは8コーナー入口のスロットルワークに注目.私(黒)は相変わらず,スパッとスロットルを閉じているのに対し,プロ(赤)はゆっくりジワジワとスロットルを閉じています.これによって車速の変化も緩やかです(=荷重変動が少ない).そして,8コーナー出口では私(黒)がアクセルを踏み足したり,戻したりといった操作をしているのに対し,プロ(赤)は1度踏んだら,そのまま踏み続けています.
この「行っては戻し~」のデータを見て,
クラゴン部屋の稽古を思い出しました.あの時も「アクセルを踏んで→戻してが癖になってる.それを一定に出来ると,コーナリングで出来る事が増える」と指摘され,土壇場で1発で限界に合わせるアクセルワークをモノにしましたが,あの技はこういうシーンで使う代物だったのですね・・・.半年前の鍛錬が全く活きていない,身についていない事に気づいて情けない気持ちになってきました(泣).
なお,次の9コーナーに関しては,プロ(赤)が時折スロットルを戻しているのに対し,私(黒)は全開状態を維持出来ています.この結果がバックストレートエンドでの車速差として出ており,これは私がEF8をちゃんと乗りこなせている証拠なので,ちょっと嬉しいですね.最も如何にプロと言えど,今回初めて乗った借り物のクルマですし,マージンを取るとは思いますが.
11~12コーナー
10コーナーでのブレーキングを早めに終わらせ,スロットルを開けながら11コーナーに進入する私(黒)と,10コーナーから大分長い間,ブレーキングを続けるプロ(赤).ここでも私の方が荷重変動が大きい走りとなっていますね・・・.
ちなみに,12コーナー立ち上がりでプロ(赤)のスロットル開度の開きが遅いのは,別にトラクションを気にしているとかではなく,単純に前走車に引っ掛かっただけです(↓).
以上,ペダルワークに着目した解析でした.
再三出てきている通り,プロに比べて私のスロットル操作はかなり粗いようですね.グリップの限界に対して,行ったり来たりする"探るドライビング(荷重変動の大きいドライビング)"となっているようで,プロのように1発で限界点に合わせ込むドライビングが出来ていなかったようです.折角,夏にトレーニングしたのに,それをすっかり忘れてしまっていた点は大いに反省しなければなりません・・・.また,タイヤのグリップの限界をどこに合わせ込むか?というライン取りとはまた違った意味のコース攻略に関しても意識が足りなかったようです.
これらの点を反省し,来年はこの問題点を改善した走りが出来るよう,引続き鍛錬を積んで行きたいと思います.
【プロ】
【私】
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日光サーキット | 日記
Posted at
2019/12/30 01:05:55