6月プロに乗って頂いてからにずっと続いているクルマを尖らせるセッティング.
取れ過ぎているバランスを意図的に崩して,クルマの向きを積極的に変えられるよう様々なアプローチを試みましたが,リアの限界を下げる方向ではタイムに繋がらず,結局「リアの限界が一番高い時が最も速い」という結論に至り,振り出しに戻ってしまいました.
リアを動かして向きが変えるのがダメなら,フロントが更に入るようにして向きを変えるしかないので,今回はフロントスプリングのバネレートを変更してみる事にしました.
現在のフロントには,私史上最も固い14キロというスプリングが入っているのですが,
投入直後から,
高荷重領域では良く曲がるようになったものの,低荷重領域では逆に曲がらない印象を受けました.最初はどうしてそう感じるのか? 理由が分からなかったのですが,色々調べていくうちにその謎が解けました.
(詳細は
コチラ)
この辺りから,自分のドライビングスタイルに対してセッティングの方向性を間違えたかな?と思い始め,まずはリアのバネレートを上げて前後差を縮める処置をしたのですが,そこから更にもう1段階差を詰めるかどうかを色んな人に聞いて考えました.結果は,プロを筆頭に皆「前後で2キロ差以上はつける」という答えが多く,「なんで2キロなんだろうなー?」とその理由を考えて,1つ仮説を思いつき,それで納得しました(詳細は
コチラ).
一度納得して以降は「やっぱり2キロ差以下にはすべきじゃないんだなぁ~」と思い,暫くバネレートに手を付けなかったのですが,その後,ふとした偶然からこんなデータ(↓)を見つけて考え直しました.
これはEK9が発売された当時の雑誌に載っていたもので,ベースモデルであるEK4に対して足回りをどう変えたのか?が数値で表されています.この表のバネレートに注目してみたところ,
EK4 ・・・ F:3.8キロ R:2.2キロ ⇒ 前後差:1.6キロ
EK9 ・・・ F:4.3キロ R:4.2キロ ⇒ 前後差:0.1キロ
なんと,EKシビックをTYPE-R化するに当たって,メーカー自らが「前後差をなくす(≒同レート)」に仕様変更しているじゃありませんか! 無論,絶対値が異なるので安直に考えるのは危険なのですが,「メーカー自らやっているのならば,前後同レートもアリなのでは??」とこれで思い直し,トライしてみる事にしました.
こうして,フロントのバネレートを14キロから2キロ落とすべく,
新しいスプリングを注文しました.
当初は,これまで使ってきたHYPERCOのまま12キロ化をしようと思っていたのですが,
諸々の事情から今回は
HAL springsに銘柄を変更する事にしました.
さて,そのHALですが,とある事情で想定よりも納期が延び,ショップに入荷したのはTC1000のファミ走前日.ショップから入荷の連絡が来るやいなや,仕事を抜け出してEF8をショップに持ち込み作業をお願いして,トンボ返りで仕事に戻るという慌ただしい状況でしたが,何とか
交換も終わり,翌日TC1000へと向かいました.
筑波へ向かう道中の感触としては,足が良く動くようになった印象で,フロントの接地感が増しました.ギャップのいなしも良く,乗り心地も向上.フロントの動きが良くなった事で逆にリアの動きの粗さが目立つようになるほどでした.この好感触が2キロのレートダウンによるものなのか? HALの中反発の特性によるものなのか?までは判別がつきませんでしたが,いずれにせよ,良い方向に進んだのは間違いなさそうです.
セッティングが良い方向に進んだ期待感が増す中,この日の筑波は気圧:1018hPa,気温:15℃とこの時期としては絶好のタイムアタックコンディション.これに新品タイヤを組み合わせれば「上手くハマれば40秒台が出せるかも!?」と意気込んで現地に着いたものの,残念ながら路面は前日の雨でビショ濡れ・・・.
低い気温に,高い湿度,おまけに曇り空で陽も射さないため,8時台はおろか,9時台でも路面は乾かず・・・.こうなると10時台・11時台はドライコンディションで走りたい人達が殺到するので,混み走は避けられず,それだと新品の最初の1発を狙うのは難しい・・・.やむなく午前中の走行は断念して,午後まで待ちました.
残念ながら,その後日射しが強くなり,気温は21℃まで上がってしまいましたが,路面温度も30℃となった事でリアタイヤのウォームアップの懸念は払拭され,出走5台のP3枠(13:40~)でコースへ.
走行開始後に,ステアリング交換以降どうも毎回しっくりこないシートポジションを,ピットに入って直すプチトラブルはありましたが(↓),
(おだてのまつさん,ご心配をお掛けしました<(_ _)>)
しっかりとスペースを確保して,新品の最初の1LAPに神経を集中!
結果は
41.142 で,残念ながら40秒台には届きませんでした・・・.
計測2は41.4秒, 計測3は41.5秒と落ちていき,新品効果が終わったようなので,ここでピットインして減衰変更.
そのまま走り続けてもタイムは落ちる一方なので,ダメ元で減衰を上げて変化をつけてみましたが,こちらの方向性ではなかったようで,その後は41.7秒とタイムは落ちてしまいました・・・.
以上,40秒台への意気込みが空振りに終わったTC1000でした.
新品タイヤの1撃を使ったとはいえ,気温20℃の午後枠で,真冬の自己ベストから0.3秒落ちですから,まぁ及第点ですかね? 前回新品の1撃を使った6月は 41.213 でしたから,そこと比べると0.07秒短縮してますし,今回のレートダウンは成功と見なして良いのかな??
ちなみに,フロントのレートダウン後の乗ったフィーリングとしては,以下のような感じ(↓)でした.
・1コーナーの動きが自然になった(フロントが入らず,リアが押し出されるようなチグハグな動きがない)
・2コーナーがアンダーステア気味になった(クルマが外に膨らみ続け,舵を戻せない)
・ヘアピン進入のブレーキングで良く止まるようになった
・フルブレーキング時に若干フロントタイヤがロック気味?(パッドが
新品のせいかも)
・インフィールドが非常に良く曲がるようになった(
例の技が久方振りに使えた)
・しかし,最終コーナーは相変わらず向きが変わらず,ここは効果なし・・・
なお,上記はあくまでフィーリングのレベルなので,実際にそうだったのかどうかは分かりません.ここは,後日ロガーデータを分析して裏取りをしたいと思います.
当日お会いした皆様,お疲れ様でした!