トーアウトをキャンバーで打消す

3月に行ったスプリング変更で，前後バランスは文句のつけようがない状態となり，あとは路面コンディションやフロントタイヤの状態に合わせて，リアタイヤの内圧で微調整してバランスを取るような感じになっています．

このバランスでプロに乗って頂きましたが，ほぼ不満が出ないレベルとなっており，ここから更に伸び代を見つけるにはリアのトーをアウトに振るしかないかなぁ～？と思って始めています．


リアのトーアウトと言えば，そういえば昔ガッツリアウトに振ったZC33Sがいたよなぁ～と思い，調べてみたところ記事が見つかりました（↓）．

Motor Fan：すごいぞ、スイフトスポーツ!! 第13回：なぜ、FF車でリヤにキャンバーを付けるのか!?


この車両は，CUSCOが2019年に行われた「筑波スーパーバトルAGAIN」に持ち込んだ車両で，リアのトーをアウト4mmまで振っています．



狙いは勿論，コーナーの進入でリアを早く外側に出し，回り込む動きを作り出すためなのですが，単純にアウトに振っただけだとピーキーな乗り味になってしまうため，それを打ち消すようにキャンバーを7°もつけているのが特徴です．


トーがアウトの場合，通常クルマは外側に向かうおうとしますが（↓），



キャンバーは付ければ付けるほど，クルマは内側に向かおうとするので（↓），



この両者の力を相殺させる事で，クルマを真っ直ぐ走らせるという考え方です．更にはキャンバーを7°もつける事で，ストレートではタイヤが内側半分だけで走っているような状態となり，接地面積が減るので面圧が上がり，その面圧の高さを使って直進安定性を作り出している，という効果もあるのだそうです．

つまり，

　　ストレート　　　 ・・・　面圧を上げて安定性を稼ぐ（トーアウトの効果はキャンバーで相殺）
　　コーナー進入　・・・　トーアウトの効果でリアの動き出しを早くする
　　コーナー中間　・・・　キャンバーによってタイヤの接地面積を増やし，グリップさせる

といった感じで，高い旋回性能と直進安定性を両立しているようです．


私のEF8はリアに調整式のアッパーアームが入っているので，キャンバーを増やす事自体は容易なのですが，どうもこのセッティングはピーキーな印象が拭えません．コース上ではともかく，一般道（特にウェット）でこれを試すのは勇気が要るかなぁ～？と思いました．



この作戦は最後の手段として取っておいて，リアが巻き込む動きを作りたいなら，リアの車高を上げるなり，リバウンドストロークを減らすなり，を先に試してみた方が良いかなぁ～？と思いました．