
先日の走行会で
プロに乗って頂き,「フロントキャンバーが足りない」とご指摘を頂いたのですが,私のEF8は「
アジャスタブルボールジョイント」を通常とは逆向きに使う事で,既に「4'30」までキャンバーを付けてあり,これ以上のキャンバーとなるとナックル曲げでもするしかありません.
さすがにそれはちょっと・・・というのと,これ以上キャンバーを付けるとブレーキング時に更にフロントタイヤがロックし易くなりますし,個人的にはむしろキャンバーは起こしたいくらいです.
・・・となると,他の手段でこれを補うしかなく,「キャンバー不足を解消するには,ロール量を減らすしかない」訳なのですが,そのための策はいくつか考えられます.
①バネレートを上げる
②ストローク量を規制する
③ロールセンターを上げる
④スタビライザーを固める
①のバネレートに関してはロール方向だけでなく,ピッチ方向にも影響が出てしまうので変更は避けたいところ.単純にレートを上げるとまたフロントの突っ張り感が戻ってきますし,反発力を上げるやり方だとノーズダイブのコントロールが難しくなるのは確認済みです.
②のストローク量に関しては,プリロードをかけたり,バンプラバーを入れたりして対策する方法が思いつきますが,そもそもグリップ不足でキャンバーを増やしたいのに,ストローク量を規制したら悪化する方向にしか行かないと思われるので,これもパス.
③ロールセンターを変更する手法としては,トレッド幅の拡大(ホイールINSETの変更)が思い浮かびます.コレは良いアイデアかなぁ~?と思ったのですが,先日改めて
205/50R15のA052のサイドウォール形状を確認してみたところ,リム幅はやはり「7.5」がベストっぽく,そうなるとホイールの選択肢が限られてきます.今使っているホイールのINSETより小さい物となるとFR用の「+25」とかになっちゃいますね・・・.リム幅「8.0」であれば,最近発表されたEG/EKシビック用の「TE37 SAGA S-plus(↓)」とかあるんですが,「7.5」って少ないんですよねぇ~.
という事で,残るは④の「スタビライザーを固める」となるのですが,EF用の強化スタビなんか出てくるはずもなく,スタビ本体以外で強化するとなると「スタビリンクかぁ~?」と思い調べてみたところ,ZEROFIGHTERから出てました(↓).

(ZEROFIGHTER:
EFフロントスタビライザーリンクより)
「前回スタビのブッシュを替えたのはいつだぁ~?」と履歴を追ってみたところ,なんと2004年・・・(汗).
20年近く前なのでとっくに劣化しているでしょうから,単純にリフレッシュするだけでも効果はありそうです.
となると,前後バランスを変えたくないので,リアもセットでやらないとダメだよなぁ~?と調べてみたら,こちらもZEROFIGHTERから出てました(↓).

(ZEROFIGHTER:
EF9/EF8リアスタビライザーリンクより)
「ふむ・・・次の一手はコレかな?」と思いつつ,他にもどっか出してるかなー?と調べてみたところ,「ショートスタビライザーリンク」なるものを見つけました(↓).

(ナギサオート:
汎用極短ショートスタビライザーリンクより)
「ショート? スタビリンクを短くするとどんな効果が得られるんだ??」と調べてみると,まず「スタビライザーリンク」というのは,「スタビライザー(下図の青い棒)」とサスペンションを「繋げる」=「リンクする」ための部品です(下図の黄色い部分).
この図を使って説明すると,クルマがロールしてサスペンションが縮もうとすると,図の左側のサスペンションに下方向の力が加わります.下方向に力が加わると「スタビライザーリンク(黄色の部品)」を介して「スタビライザー(青い棒)」には捩じる力が加わるのですが,この「スタビライザー」は反対側(右側)のサスペンションに繋がっているので,この捩じりを抑え込もうとする力が働きます.結果,縮もうとしたサスペンションに対して,それを邪魔しようとする力が働くので,ロール量が減る・・・というのがスタビライザーの原理です.
「スタビライザーリンク」は,この「スタビライザー」と「サスペンション」を繋ぐだけの部品なので,これの長さが変わったところで力の掛かり方は変わらないのでは?と思ってしまうのですが,車高が変わるとこの力の掛かり方も変わるのだそうです.
標準車高時の「アーム(サスペンション)」「スタビライザー」「スタビライザーリンク」の関係性を真横から見ると,こんなイメージ(↓)です.
「アーム」と「スタビライザー」は並行関係なので,「スタビライザーリンク」も垂直に立っています.この状態でサスペンションが縮むと(ストロークすると),「アーム」が上に持ち上がり,「スタビライザーリンク」も真っ直ぐ上方向に力が加わって「スタビライザー」が捻られます.原理通りですね.
では次に,車高を下げるとどうなるか?というと(↓),
最初からサスペンションがストロークしているような状態になるので,「スタビライザー」は最初から少し捻られた状態になってしまいます.つまり,通常車高時であれば「スタビライザー」が機能していないはずの領域でも,「スタビライザー」にテンションが掛かってしまう=初期の動きが鈍いという事になりますね.
加えて,「スタビライザー」はブラケットを介して車体側に固定されているため横方向にスライドする事が出来ず,長さも変わらないため,「アーム」との縮まった距離は「スタビライザーリンク」が斜めになる事で吸収する形となります.これだと,サスペンションがストロークしたら「スタビライザーリンク」に掛かる力は真っ直ぐ上方向ではなく,少し斜め方向に働く事になるので,横方向に力が逃げて「スタビライザー」に加わる力は若干小さくなります(20°くらい傾くと,約6%力が減る計算になるのだそうです).
この問題を解消するのが「ショートスタビライザーリンク」なのだそうです.
車高を下げた事で縮まった「アーム」と「スタビライザー」の距離を,「スタビライザーリンク」が斜めになる事で吸収するのではなく,自身の長さを短くする事で吸収します.これにより,標準車高時と同じように余計なテンションを掛けず,「アーム」に加わった力は真っ直ぐそのまま「スタビライザー」に加えられるようになる,という事のようです.
つまり,「ショートスタビライザーリンク」の効果は,
・「スタビライザー」の初期の動きがスムースになる
・「スタビライザー」に加わる力が増える
・・・という事のようです.ただ,これだけ読むと性能が上がる部品かのような印象を受けますが,正確には「車高を下げて低下した性能が元に戻っただけ」の事だと思います.マイナスを±ゼロにするだけですね.
以上,「スタビライザーリンク」のお勉強でした.
「スタビライザー」本体を変えずに性能を変えられるのであれば,「スタビライザーリンク」のショート化は試してみる価値はありそうです.そうなると次に気になるのが「どれくらいショート化すればいいの?」という点で,早速,私のEF8を確認してみたのですが,
結構,「リンク」が斜めになっていますね・・・(汗).
斜めになっているという事は「改善効果が期待出来る」という事でもあるのですが,この位置関係で「リンク」を短くしたら,「スタビライザー」本体が立つ形になるので,「アーム」に接近して当たりそうな気が・・・.
コレ,ショート化するんじゃなくて,オフセットさせる形(↓)じゃないと付かないんじゃないのかなぁ~?
Σ(*゚ロ゚) ハッ!!
だから,先人達は単なる棒状の「ショートスタビライザーリンク」ではなく,コレ(↓)を使っているのか!?

(ナギサオート:
汎用スーパーショートスタビライザーリンクより)
でも,この製品だとオフセット量が少な過ぎるような? コレ,本当に付くのか?? う~む・・・.