それでは午後編です(午前編は
コチラ).
午前中でセットアップの方向性も分かり,分切りまであと0.2秒というところまで来ました.結局,ジムカーナなので30km/h台の低速コーナーが多く,サーキット用のスプリングではフロントタイヤを潰し切れず,グリップを引き出せない事がアンダーステアの主原因でした,このため,減衰をひたすら弱める方向に進めて,20段階の車高調のうち,その半分となる10段戻しであと0.2秒となりました.
このまま弱め続ければ低速コーナーは良くなりそうですが,高速コーナーでは荷重が乗り過ぎて若干アンダーステアが出始めており,同様にブレーキングでも荷重が乗り過ぎてロック気味となってきました.ここから先は両者のバランスがとれたオイシイポイントを探らないとダメですね.
・・・なので,クルマにばっかり依存する訳にもいかず,お昼休みの間にコースを歩いてドライバー側で改善点を探しました.
まずは1コーナー.
ここは走行前にコース図を見てイメージトレーニングをしていたところ,最初のセクションが何だか日光の1~4コーナーに似ているなぁ~と思いました.
左がナリモ,右が日光なのですが,なんとなくイメージが似ていませんか? コースの幅や長さが異なるので完全に同じアプローチは出来ませんが,最初のコーナーをなるべく高い速度でキャリーして,次のコーナーでブレーキング,フロント荷重を立ち上げつつ,その先のS字を真っ直ぐに立ち上がる・・・というイメージはまさに日光そのものです.なので,「ナリモも同じ感じで攻略が出来ればなぁ~」と走行前は思っていました.
しかし,実際に走ってみるとこの1コーナーの圧迫感が凄い.アクセルOFFだけで進入したい!と思っても,「それは無理だ.止めとけ!」という警鐘が頭の中で鳴り響きます.
実際問題,この1コーナーで万が一止まり切れないと(↓),
その先に待っているのはガケ!(↓)
ここに落ちたら,確実にクルマはひっくり返えって廃車コースですね・・・.
そんなビビリ要素もあるので,ここは日光と同じく1コーナーでチョンブレを踏んで,フロント荷重を一度確保した後,アクセルを開けて再加速→ブレーキングというアプローチの仕方をする事にしました.
そうすると困ってくるのが続くS字のセクション(↓).
S字の1個目の進入角度が浅く,どうしても立ち上がりでOUT側に膨らんでしまうため,S字の2個目がタイトなアプローチとなってアクセルを踏めません(仮に踏めても,その先でドアンダーを出してコースアウトする・・・).
「一体,ココはどういうラインが一番良いんんだ?」とS字の辺りを行ったり・来たりしながら考えていると,「このライン(↓)ならS字を真っ直ぐ立ち上がれそうだな・・・」と思い,
ここから逆算してS字の1個目のクリップを考えると・・・コッチ(↓)だ!
今までは,この赤丸を付けたものより1つ手前のパイロンをクリップとして考えていたのですが,これは間違いだったんですね・・・.パイロンに騙されました.実際のクリップはこんなに奥だったとは!
このカラクリに気づけたので,今度はS字2個目のクリップも見てみると(↓),
ここもコーナーの頂点に位置するパイロンではなく,やはりその1個先のパイロンをクリップにしないとダメですね.そうすれば,OUT側に位置するパイロンに向かって余裕のある角度で立ち上がれる事に気づきました(↓).
そうか! だからOUT側のパイロンはこの位置にあったのか!!
ちゃんとレコードラインのヒントはあったんですね.走っている時はこれに全く気づいていませんでした.orz
「なるほど,このコースの癖が分かってきたぞ!」と思い,そのまま先へ進み,どうしてもステアリング操作が苦しくなる7R~8Rの攻略法を考えます(↓).
「ここもクリップを奥にとって,立ち上がり重視のラインを描いた方が良いのか・・・?」と考えてみましたが,外側のタイヤが乗る辺りの路面がボコボコに荒れている事に気づきました(↓),
ここにタイヤを乗せたらトラクションは掛かんないですね.このコーナーは立ち上がり重視ではなく,インベタのラインでこの荒れた路面を避けた方が良さそうです.
そうすると,もう1箇所苦しいポイントであるココ(↓)はどうなんだ?と見てみると,
15Rを抜けた先が右側に寄っているので,実は単なる「180°ターン」ではなく,「180°以上のターン」である事に気づきました.「そうか,だから立ち上がりでコース幅が足りなくなったのか!」と今更ながら気づき,ここはパイロンよりも更に奥にクリップを取らないといけない事(↓)が分かりました.
これで走っている時に苦しかったポイントの対策が纏まりました.あとはこれをコース上で実践するだけです!
そうして午後の走行がスタート.
計測6回目は修正したライン取りで合っているかどうかを走って確認(1'00.98).合っている事が分かったので,もう少し車速をのせてタイヤの限界点の見極め(1'00.48).全て準備が整ったところで計測8回目で全開アタック!
結果は,ここまでのベストとなる 1'00.12.午前中よりはるかにスムースなラインで車速も乗って手応えがあるのに,タイムに繋がらない・・・.orz
この頃には路面温度も35℃近辺まで上がり,右フロントも熱ダレを起こしていたので,これはインターバルの間にタイヤを冷やして1発勝負に出るしかないな・・・と思い,合わせてフロントの減衰も最弱にして,打てる手は全部投入.
あとは自分のドライビング次第!と覚悟を決めてアタックした結果が・・・,
59.47.ギリギリの分切りどころか,0.5秒も上回る事が出来ました.
ただ,このラップも2箇所ミスしていて(↓),
1つはバックストレートの終わり,左に折れる8Rのブレーキング.もう1つは最終コーナー手前の8Rで,外側に膨らみ過ぎてコース外に右リアを落とし,トラクションを掛けるのを一瞬躊躇してしまいました.この2箇所のミスをなくせれば,もう少しだけ上げれる!と通算10回目の計測にチャレンジしてみたのですが,公式の計時は0.02秒ダウン・・・(59.49).
「おかしいなぁ~? 絶対こっちの方が速いはずなのに・・・」と思い,GPSロガーのデータをチェックしてみたところ,やっぱり10回目の計測の方が0.4秒速い.「でも,光電管の計測が狂うはずないよなぁ~?」と思い,計測9回目(59.47)と10回目(59.49)の車載を並べて比較してみると,
アレッ? やっぱり計測10回目(59.49)の方が速くないか?? う~ん・・・なんなんでしょうね.コレ?
以上,分切り編でした.
ま,結果がどうであれ,ナリモ(の左周り)の攻略法は掴めましたし,1周をしっかり纏める事も出来ましたし,壁と言われた1分切りも果たせましたし,初走行としては十分な成果だったと満足しています.
あとはアレですね.フロントの減衰を全抜きした状態が一番グリップするとなると,やっぱりフロントの限界が圧倒的に足りてないんだなーと思いました.何とかしてフロントのメカニカルグリップを引き上げる策を考えないと,ナリモ以外のコースでもタイムは頭打ちしそうですね・・・.