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2024年03月24日 イイね!

キャリパーのお勉強(考察編)

キャリパーのお勉強(考察編)では基礎編の続き.

フロントブレーキのリフレッシュで思った程フィーリングが良くならなかったので,残るキャリパーに目を向けて,本当に効果があるのか? 効果があるならどういう方向性にしていけば良いのか?というのが前回のお話でした.

その中で「対向型」「ピストン数」といった話が出てきた訳なのですが,純正流用チューニングとしては「NSXキャリパー」が有名です(↓).


(REVSPEED 2019年12月号より)

片押しの「浮動型」でありながら2ピストンで,上に書かれている通り剛性感はかなりあるとの事で,TYPE-Rがこれを流用しているのを良く見かけたのですが,数年前,車検でブレーキのチェックが厳しくなった時期にこの「NSXキャリパー」を付けていたDC2が車検で落とされていました(デカデカと「NSX」と書かれているので社外と見なされたらしい・・・).

今もそうなのか分かりませんが,こういう話を聞くと検討書をちゃんと出してくれる社外メーカーじゃないと怖いなぁ~と思いつつ,今でも手に入りそうなものを調べてみます.なお,私のEF8は既にEK9のキャリパーに変更されているので,調査対象はEK9用です.


最初に出てきたのは,SPOON.



EK9用で調べると,282mmローター対応の「ツインブロック」と300mmローター対応の「モノコック」があるようです(共に4ポッド).何が違うんじゃ?と調べてみると(↓),



「ツインブロック」はその名の通り2分割(セパレート)されたブロックをボルトで止めて連結させたものので,「モノコック(モノブロック)」は分割せず一体で成型されたもののようです.なるほど.当然一体成型の方が剛性は高いんだろうなぁ~と思って調べてみたところ,どうもそうとも限らないらしい・・・.

これはSPOON製の話ではなく一般論としてですが,この手のキャリパーは軽量化を狙ってアルミ製で出来ているのですが,「モノブロック」という事はブロック全体がアルミとなるのに対し,「ツインブロック」はアルミとアルミの間に恐らくクロームモリブデン鋼であろう固いボルトが複数本貫通している事になります.このため,固いボルトがある分だけ「ツインブロック」の方が変形量が少ない可能性があるのではないか?との事です.

まぁ,捩じり方向で考えれば一理あるかなぁ~という気もしますが,2つのブロックが接した面を開く方向(横方向)として考えた場合は,どうかなぁ~?という気もしたのですが,もう一つ「モノブロック」の剛性が高くない理由があるそうです.それがパッドを入れる側の開口面積.


(REVSPEED 2023年1月号より)

「モノブロック」は一体成型なので,ピストンを入れるための穴は内側から治具を入れて加工する形となります.となると,必然的に開口面積は治具が入る大きさにする必要があり,分割式で正面から穴を開けられる「ツインブロック」よりも大きな開口面積となるそうです.ENDLESSの場合は,その大きな開口面積を逆手にとって分厚いパッドを入れる事で耐久性の向上に繋げていますが,剛性という意味ではやはり開口部の大きさは致命的ですね.ここまで聞くと剛性面で「モノブロック」>「ツインブロック」とは必ずしも言い切れないのかなぁ~?と思いました.

加えて,SPOON製の場合,「モノコック」を選ぼうとするとローター径を上げないといけないですし(コントロール性が落ちるのでやりたくない),大径ローター用という事で,どうやら「モノコック」の方が「ツインブロック」よりも重たいようですし,「ツインブロック」の方でも純正の5200gの半分以下となる2400gで十分軽量ですし,選ぶとすれば「ツインブロック」で十分かなぁ~?と思いました.


1個目で長くなってしまいましたが,それ以外としては先述のENDLESS.



こちらのEK9は選択肢がなく「4POT」のみ.重量は2143gでSPOON製よりも軽量ですね.SPOON製より高そうですが,良さげに思えるので調べてみると,こちらではダストブーツの話に当たりました.

ENDLESS製以外もそうだと思いますが,社外キャリパーはダストブーツがないそうです(↓).



サーキット走行を繰返していると,ダストブーツが熱でやられてボロボロになる事がよくありますが,社外キャリパーの場合,ピストンの外側ではなく,内側にダストシールという形で保護が入っているそうです.内側にあるため,熱でボロボロになる事は少ないそうですが,耐候性・耐防塵性という意味では外側にあるものよりも劣るため,ピストン部分が雨等にさらされて錆びる可能性は高まるそうです.このため,社外キャリパーはオーバーホールのサイクルが短いのだとか.なるほど,これは知らなかったなぁ~.


そんな話を聞くとダストブーツ付の社外ってあるのか?と調べてみたら,出てきたのがD2 JAPAN.
EK9用で調べてみても,なんだか凄いラインナップがあります.



ローター径を上げない前提だと一番左端なんでしょうが,「モノブロック」「スポーツホロー(2ピース?)」共にアルミ鍛造だそうなので,値段が恐ろしい事になっていそうですね・・・.ただ,「D2 Racing」は昔から刷り込まれているメーカーなので,ホンダとは全く関係ないものの,あのロゴを自分のクルマに付けてみたい憧れはありますね(笑).




以上,キャリパーのお勉強・考察編でした.

車検等も含めて考えると一番良いのはENDLESSの「4POT」なんですかね? 安い買い物ではないので,情報収集をしながらじっくり考えたいと思います・・・.
2024年03月23日 イイね!

キャリパーのお勉強(基礎編)

キャリパーのお勉強(基礎編)先月フロントのブレーキローターとパットを交換してリフレッシュしたのですが,慣らし旅の間も「新品の割にはフィーリングが良くないなぁ~」と思っていました.

「熱が入ってないからかなぁ~」とも思ったのですが,サーキット×2回+ジムカーナをこなしてもフィーリングは変わらず,ちょっと不満に思えてきました.23-24シーズンのタイムアタックではフロントのブレーキロックで何度かチャンスをフイにしましたし,次はここに手を入れてみようかな?と思い,調べ始めました.

ブレーキの「フィーリング」は,その名の通り「感触」=「触った感じ」なので,客観的に捉えるのが難しいよなぁ~と思い,まずはその辺りをADVICSの「ブレーキ雑学講座」でお勉強.


(ADVICS:ブレーキ雑学講座 86.ペダルストローク その1より)

上の図は,縦軸がペダルストローク,横軸がマスターシリンダーの液圧です.一般的には,液圧が高くなるのに従ってストローク量も増えていくのですが,この液圧-ストロークの特性の中には,「マスターシリンダーの液圧とは無関係な部分(IS)」と「マスターシリンダーの液圧と比例する部分(RS)」があるそうです.

一般的には,「無関係な部分(IS)」が短く・「比例する部分(RS)」が長いと「ブレーキフィーリングが良い」と感じるそうですが,この「無関係な部分(IS)」が短過ぎるとペダルに足を乗せたくらいの感覚でもブレーキが効いてしまうため扱いにくく,逆に長過ぎると床に当たるくらいペダルを踏んでも油圧が上がり切らず「ブレーキが効かない!」となるのだそうです.従って,この「無関係な部分(IS)」がフィーリングにとっては重要なポイントとなります.


…で,この重要な「無関係な部分(IS:Idle Stroke)」は,以下の式で表されるそうです.

  [アイドルストローク] = ([ペダル比] / [マスターシリンダー面積]) × [アイドル液量]

このうち「ペダル比」「マスターシリンダー面積」は構造的に決まった値ですので,ここでは横に置いておくとして,最後の「アイドル液量」に着目してみると,この「アイドル液量」はブレーキ部品間の「遊び」や「隙間」で決まるそうです.

「遊び」はブレーキペダルそのものの遊びで,ペダルとマスターシリンダーの接続部の摩耗等が考えられるそうですが,私のEF8の場合,この辺りはリフレッシュしたばかり(アレとかコレとか).一方,「隙間」の方はパッドとローターの隙間が挙げられるのだそうで,この両者を新品にしたのにフィーリングが良くならないとなると,残るは「隙間」を生み出している存在=「キャリパー」となりそうですね・・・.


ここでもう一度,先程の図に戻ってみると,


(ADVICS:ブレーキ雑学講座 87.ペダルストローク その2より)

ブレーキペダルのストローク量から「アイドルストローク」分を引き,そこから先のマスターシリンダー液圧に対して比例関係となる線を引いた時に出来る角度「α」を「ペダルストローク剛性」と呼ぶのだそうです.この「ペダルストローク剛性」は,この剛性ほマスターシリンダー液圧に対してブレーキ部品がどの程度膨らむか?で評価されるのだそうで,膨らみが少なければ少ないほど=「α」が小さいほど「剛性が高い」となります.

また,「ペダルストローク剛性」に影響を及ぼす部品の内訳は,

  キャリパー ・・・ 40%
  パッド    ・・・ 30%
  ホース    ・・・ 10%
  その他   ・・・ 20%

となっており,やはり「キャリパー」が最も影響を及ぼす部品のようです.この「キャリパー」の剛性は,液圧を加えた時のキャリパー本体のたわみ量で評価されるそうで,キャリパーの剛性を出すための方法は色々あるようです.


まず,「浮動型」と「対向型」の話(↓).



「浮動型」というのは,キャリパーの片側だけにピストンが付いていて,ピストンがパッドをローターに押しつける力を利用して,キャリパー自体を動かし,反対側のパッドもローターに押しつける構造です(↓).



これに対し,「対向型」はその名の通り,キャリパーの両側に対向でピストンが付いていて,左右同時にパッドを押しつける方式となります.一目瞭然だとは思いますが,片側から押しつけるより両側から押しつけた方が力の伝わり方がダイレクトですし,キャリパー自体が動く「遊び」もなくなるので剛性感も増します.更に細かい事を言えば,キャリパーが動いて反対側のパッドをローターに押しつけるまでのタイムラグが,左右のキャリパーでピッタリ揃う事はないので,サーキット走行ではこれが瞬間的に片効き状態となって表れる事もあるそうで,「対向型」にすればそれもなくせます.

それだけメリットがあるなら,「対向型」にすれば良いんじゃないの?と思いたくなりますが,キャリパーに内蔵されるピストンが片側1個から左右2個に変わるため,当然キャリパー本体の横幅も大きくなる事から,ホイールとのクリアランスに頭を悩まされる事になります.加えて,横幅が大きくなるという事は単純に重量も増えるため,特にバネ下重量という意味で影響も出てきます.


次に,ピストン数.


(ADVICS:ブレーキ雑学講座 82.2ピストンキャリパと4ピストンキャリパより)

こちらはイメージするのが容易だと思いますが,1個のピストンで押すより2個で押した方が,2個で押すより4個で押した方がより力を伝え易いという話です.式で書くとこんな感じですね(↓).

  [ブレーキ力] = [係数] × [制動半径] × [ピストン面積] × [ピストン数] × [ブレーキ圧力]

「キャリパー剛性」という意味合いでも,ピストンシリンダーの直径が小さければ小さいほど,穴のサイズも小さくなって剛性が増しますし,パッドをローターに対して押しつける際,中央1点より,左右2点の方が均一に押せるというのもイメージし易いですよね.


以上,キャリパーのお勉強(基礎編)でした.

「ペダルストローク剛性」「キャリパーの寄与度」「対向型」「ピストン数」とキーワードが出揃ったので,次はこれを踏まえた考察です(続く).
2023年10月24日 イイね!

ブレーキバランサーの効果(TC1000編)

ブレーキバランサーの効果(TC1000編)先日のTC1000は,アタックに失敗した事もあって分析する価値はないと思っていたのですが,シーズンインを感じさせる気温だった事ですし,一応データを見返しておきます.

クルマの仕様は全く変わっておらず,ブレーキバランサーで前後配分を変えたくらいです.日光で大分フロントタイヤをイジめてしまったので摩耗的にはそろそろ終わりが見えてきました.



(ライフ的にはあと80kmくらい.グリップ的には喰わない領域に入ってきてますね)

続けて当日のコンディション.今回は筑波公式のデータが入手出来ない・・・と思ったのですが,s氏さんが撮ってくれていたようなので,そちらを拝借(有難う御座います!<(_ _)>).

  前回 ・・・ 気温:25.2℃  路温:35.7℃  気圧:1014.2hPa
  今回 ・・・ 気温:18.3℃  路温:22.7℃  気圧:1008.0hPa

気圧は6hPa低いものの,気温は7℃低く,エンジンパワー的にはプラスの方向ですね.それよりも路面温度が13℃も低かったとは! そりゃ先月と同じつもりで走ったらリアタイヤは温まらないよなぁ・・・.


そして,ロガーデータ(前回:緑 今回:青).



今回(青)の方が車速が満遍なく伸びてますね.概ね+1km/hといった感じでしょうか.ボトムはほとんど変わりませんが,減速の波形的にはU字→V字寄りになっているので,ブレーキバランサーによってコントロールの精度が上がっているのは間違いなさそうです.

前回(緑)が計測1でベストを出しているのに対し,今回(青)は計測4がベスト.当然フロントタイヤはタレている訳なのですが,それでもインフィールド進入までに0.08秒上回っているんですから,やっぱりパワーが全てを解決しますね(苦笑).



残念だったのは,その0.08秒の貯金を全てインフィールドの立ち上がりで吐き出してしまっている点.インフィールド進入で5km/h以上車速が高かった事もあり(左側の赤丸),今回(青)はライン取りを立ち上がり重視のものに戻したのですが,ボトムが低過ぎて(中央の赤丸),バックストレッチで車速は伸びてはいるものの(右側の赤丸),ボトムでの遅れを取り返すほどではありませんでした・・・.ここら辺はちゃんとタイヤの温度を前後揃えた状態でどっちが速いのか?を試してみないとダメですね.


最後,気になったのが最終コーナーの立ち上がりで失速している部分(↓).



フロントタイヤがタレているのでアンダーステアが出るのは仕方がないのですが,その直前の荷重移動は上手くいっているようにも見えるので,立ち上がりのアクセルワークをミスったのかな? 「コレはどこら辺だ~?」と思い,車載を見返してみると,



最終コーナーのIN側の縁石にのっかる直前.確かに乗ってる時はココのアンダーは強かった印象なので,やっぱりタイヤがタレていたんですかね??


以上,ブレーキバランサーのチェック,TC1000編でした.

全体的に見ると,やはりリアの効きを下げた方が荷重コントロールの精度は上がるようです.ただ,絶対的なタイムに寄与するほどではなく,この間のスピンみたく「大きく挙動を乱すリスクが減った」くらいの感じでしょうか.

なお,乗っている時に気になったのがブレーキングで少しジャダーが出ていた点.それもアタック時ではなく,クーリング時に出ていたのが気になりました.ブレーキバランサーでジャダーが出るとは考えにくいので,走行後にフロントタイヤの内圧を計ってみたところ,左右で10kPaほどズレていました.多分コレのせいかなぁ~?とも思いつつ,こちらに関しては引続きチェックしていこうと思います.
2023年10月16日 イイね!

ブレーキバランサーの効果(日光編)

ブレーキバランサーの効果(日光編)まだまだ続く日光ネタ.今回とあともう1つネタやって終わりになると思いますので,もう少しだけお付き合いを(笑).

先日の日光では,当初の予定通り3本目までは真面目に走り,最後の1本(4本目)はタイム狙いは諦めてテストに専念するつもりだったのですが,その直前にBB6にベストを更新されたのが気になって,結局なんだかんだで必死に走ってしまいました・・・.
(それでコチラは更新出来ないんだから世話ない)

さて,そのテストメニューが何か?というと,コレです(↓).



まぁ,コレだけ見ても分からないと思いますが,2年前に取り付けた「プロポーショニングバルブ」です.純正のバルブがダメになって社外のバルブを付ける事となり,「だったらブレーキバランサーの機能も付けちゃえ!」って事で,調整式のバルブにしてもらいました.

このバルブはリアの油圧を下げる(=リアのブレーキの効きを弱める)方向にしか調整出来ないのですが,当時は「フロントの効きを上げたい!」と思っていたので,実はこの2年間全く触っていませんでした・・・(汗).


そこから時は流れ,先日TC1000を走った際にこんなスピン(↓)をやらかしてしまったのですが,



この原因を調べていったところ,どうやら3→2速へのダウンシフトでヒール&トゥ時のアクセル煽り量が足りず,シフトロック状態となってスピンしてしまった事が分かりました.


まぁ,シフトロック自体は「下手くそ!」の一言で済む話なんですが(汗),その一方で「いやいや以前はここまでシビアじゃなかったでしょ~」「多少回転合わせをミスったって,これまではスピンまではしなかったよ~」とも思い,何かクルマ側にも原因があるんじゃないか?と考え始めました.

そうしたら,ブレーキブースターを変更してからオーバーステア挙動が出るようになった事を思い出し,



Σ( ゚д゚) ハッ!

「もしかして,ブレーキブースターの変更で前後バランスが変わってる!?」

と思い,「シフトロックという事はバランスがリア寄りになっているのでは?」という考えに至り,前述の「プロポーショニングバルブ」の登場となりました.


前フリが大分長くなりましたが,そういう訳でテスト結果です.
今回は前後バランスを何も変えなかったノーマルの2本目と,リアの効きを最も下げた4本目で比較してみます.

  ノーマル ・・・ 41.242 (S1:9.613 S2:18.075 S3:13.554)
  リア下げ ・・・ 41.288 (S1:9.600 S2:18.130 S3:13.558)


まず,乗った時の印象ですが,



「リア下げ」の方が,僅かながらブレーキング時のコントロールがし易かったです.ブレーキの効き方自体(=減速度)は特に変わった印象はなく,「クルマが止まらなくなった!」みたいな事もありません.ただ,ブレーキを一度踏んで,抜いていくような領域で,クルマの挙動変化が穏やかになったため,より繊細にコントロールが出来るようになりました.

「あとちょっとだけノーズを入れたい!」「あとちょっとだけリアを流したい!」と思った時に,ノーマル状態だとクルマが大きく動いて,ステアリングでカウンターを当てにいかないとダメだったのが,狙い通りにクルマが反応してくれるので修正舵も最小限で済む・・・といった感じですね.


「えっ!? ホントにそんなに変わる??」と思われる方もいると思うので,ロガーデータで見てみましょうか.
(緑:ノーマル 青:リア下げ)



注目して頂きたいのは,減速が終わる部分(赤丸の部分)の波形です.「ノーマル(緑)」の方は段付きになっていたり,速度が一定になるような領域があったりして,U字状のボトムになっていると思います.それに対し,「リア下げ(青)」の方はキレイなV字を描いています.

U字になっている方は,「ここまでブレーキを残したい!」と思った時にリアが暴れだしたり,逆に「ここでアクセルを開けたい!」と思った時にフロントの荷重が足りなくてタイヤが横滑りしたり・・・といった感じで,タイヤの限界にクルマの姿勢をピッタリと合わせ切れず,狙いからズレた分がU字状の停滞領域となって現れているのだと思います.



これに対し,「リア下げ」の方は「ここまでブレーキを残したい!」と思った時にリアが暴れないので前傾姿勢を維持出来ますし,「ここでアクセルを開けたい!」と思った時にフロントの荷重が狙い通り乗っかっているので,アクセルを開けてもフロントが逃げず,一直線に立ち上がれているのだと思います.

残念ながら「リア下げ」は,気温・路面温度共に上がった4本目にやったので,フロントタイヤは既にタレており,2本目のタイムを上回る事は出来ませんでしたが,同じコンディションであれば「リア下げ」の方が速かったんじゃないかと思います.


以上,ブレーキバランサーの効果でした.

今回のテスト結果から,ブレーキブースター変更後に起きているオーバーステア挙動の原因は,ブレーキの前後バランスが変わったためと思われます.恐らくフロント側のアシスト量が減って,相対的にリアの効きが強くなり,ロックし易くなったのでしょう(恐らくペダル踏力の絶対値は上がっているのでしょうね).

今回はブレーキバランサーを使ってリアの効きを下げてバランスが取りましたが,純粋な制動力を考えた場合は,逆にフロントの効きを強める方が良いのでしょうね.パッと思いつくのは,ブレーキパッドを以前使った事があるProjectμの「RACING-N+」に変更する事ですが(↓),



コレ,効きが強過ぎてコントロールの幅が狭いんですよね.微妙だなぁ~.

まぁ,しょせんはアシスト量(ブースト量)の問題なので,ドライバー側が足りない分だけブレーキを強く踏めば同じ制動力は出せますし,アシスト量が少ないという事はそれだけ「ドライバー側でコントロール出来る幅が増える」という事で,レーシングカーなんかはそもそもノーアシスト(ブースターなんか付いてない)ですし,「ブレーキの踏む量が増える=ヒール&トゥがやり易くなる」という事もあるし,このままでも良いのかなぁ~?

う~ん・・・.ホームコースであるTC1000で確認してから判断ですかね??
2023年07月17日 イイね!

これがタンデムブースターの特性?

これがタンデムブースターの特性?先日,「ブレーキペダルが奥にスコッ!と入る」症状の対策として,NA1用マスターシリンダー&マスターバックに交換しました.

何らかの性能向上を狙ってNA1用を選んだ訳ではなく,単純にEF8用が手に入らないからNA1用を選んだだけなのですが,マスターバックの仕様自体がEF8用と異なるので,これがどうフィーリング面で変わるのか気になったため,灼熱のTC1000でテストしてきました.


まず,仕様のおさらいですが,EF8用は9インチの"シングル"ブレーキブースターであるのに対し(↓),


(出典:全国自動車整備専門学校著 山海堂発行,自動車教科書「シャシ構造 2-3訂」より)

NA1用は7インチ+8インチの"タンデム"ブレーキブースターとなります(↓).


(出典:全国自動車整備専門学校著 山海堂発行,自動車教科書「シャシ構造 2-3訂」より)

ここで言う"シングル"・"タンデム"とは,ブレーキ油圧をブーストする(上げる)ダイアフラムの数の事で,"タンデム"はその名の通りダイアフラムが直列に2個並んだ形となります.1個よりも2個の方がブースト量が多くなりそうなのは何となく想像出来るかと思いますが,2個並べるに当たってダイアフラム1個当たりの大きさは,9インチ→8インチへと小さくなっているため,直径で1インチ小さい分のブースト量を,更に2インチ小さい(7インチの)ダイアフラムを追加する事で補えるのか?というところがポイントです.

事前にこの辺りの情報を調べてみたのですが,「マスターシリンダー」が"タンデム"になっている話はよく目にするものの,「マスターバック」が"タンデム"になっている話はほとんど見当たらず,実際にどんな違いを生むのか分からないままテストに臨む事となりました.


一応机上で試算してみると,外径が1インチ小さい場合の面積は(↓),



9 [inch] = 228.6 [mm],8 [inch] = 203.2 [mm]なので,

  9インチ ・・・ 228.6 × 228.6 × π ≒ 164090 [mm2]
  8インチ ・・・ 203.2 × 203.2 × π ≒ 129651 [mm2]

  9インチ - 8インチ = 164090 - 129651 = 34439 [mm2]

9インチを基準に考えると,

  34439 / 164090 ≒ 0.21 = 21 [%]

となり,ようは面積にして約20%小さくなる試算でした.ブレーキ油圧のブーストに使っているのはエンジンの負圧(単位:N/mm2)なので,面積の低下=力の低下となりますから,こんな感じ(↓)になりそうです.



ただ,これは"シングル"で比較した場合の話で,"タンデム"の場合はこれにプラスして,7インチ(177.8mm)分の変化が加わりますから,

  7インチ ・・・ 177.8 × 177.8 × π ≒ 99264 [mm2]

こんな感じでしょうか?(↓)

  7インチ + 8インチ = 99264 + 129651 = 228915 [mm2]

9インチを基準に考えると,

  228915 / 164090 ≒ 1.40 = 140 [%]



という感じでしょうか.なんだか非常に強力そうですが,「圧力を利用しているのに,特性がこんな一次線形になるか?」という疑問もあるので,実際はこんな感じ(↓)の二次線形になるんじゃないのかなぁ~?と予想していました.




・・・で,実際に試してみた結果なのですが,こんな感じとなりました(↓).



ペダルの踏み始め,最初の5~10%くらいは全然制動力が立ち上がらず,「アレッ?」と思って踏み増すと,途中からEF8仕様と同じフィーリングになります.「同じなんだなぁ~」と思ってそこから更に踏み込んでいくと,今度は途中で制動力が抜ける(ペダルを踏み増しているのに制動力がリニアに立ち上がらない)ようなフィーリングとなりました.これでは想定よりも制動力が出ていない事になるので,「おっと,マズイ!」と思い踏み足していくと,再びEF8仕様と同じフィーリングに戻るのですが,今度は踏み代の80%を超えたような辺りでEF8仕様よりも前傾姿勢が強まる(=制動力が増す)印象でした.最後90%以上の領域はABSがないのでロックするのですが,このロックのタイミング自体はEF8仕様と大して変わらなかった気がします.

つまり,EF8仕様に比べて,タンデムブースターとなったNA1仕様はリニアに制動力が立ち上がらず,「癖のあるフィーリング!」という事になるのですが,ドライビング面でもう少し補足するなら,ブレーキがロックするポイント自体はさほど変わらないので強めのブレーキング(TC1000で言うと1コーナー)は特に問題がないのものの,ブレーキを抜いてコントロールする領域(TC1000で言うとヘアピン)は,ペダルの抜き具合に対してリニアに制動力が落ちないため,違和感がありまくりでした.



まぁ,「効き方がリニアじゃない!」と文句を言ったところで,元に戻せる訳でもなく,このフィーリングに慣れるしかないのですが,難易度が上がる方向なのは少し残念な感じですね.


一応,ロガーデータでも確認してみると(↓).



上が車速,下が縦G,青線がEF8仕様,赤線がNA1仕様です.

ちょうどヘアピンにアプローチする部分の切り抜きなのですが,ブレーキングの最初の方(ペダルの踏み込み量が多い領域)は,EF8仕様(青)・NA1仕様(赤)ともに減速の傾きに大きな違いはないのですが,80km/hを下回った辺りでEF8仕様(青)の方は減速Gが徐々に小さくなっている(≒踏力を抜けている)のに対し,NA1仕様(赤)の方は同じ減速Gのままである(≒踏力を抜けない)事が分かります.

乗っている側としては,ココで「アレッ? 止まんない」と感じて,踏力を抜くのではなく,むしろ踏み足している(≒減速Gが更に大きくなっている)んでしょうね.ただ,絶対値で見ると一定の減速Gは出ているので制動力が出ていない訳でもない.単純に自分のイメージと減速Gの出方が合わない,という事なんでしょうね(慣れの問題?).


以上,これがタンデムブースターの特性?でした.

実際に走ってみて,全体的に想定していたよりもEF8仕様に近いフィーリングだった点は安心しました.過剰なロックに苦しむ事もなく,反対にロックさせらない事もなく,大枠で見れば大してフィーリングは変わりませんでした.ただ,微妙なコントロールの領域に入ると違和感は結構あって,ペダル踏み始めの板踏み感は街乗りレベルでも割と困りますし,ペダルコントロールの途中で「アレッ? 止まらない」と感じるのは合わせづらくて,ちょっと嫌ですね.

どうしてこういうフィーリングになるのか? これが"タンデム"のせいなのか?は正直分かりませんが,勝手な想像をすると,タンデムになっているダイアフラムは2個同時に動くのではなく,初め1個・途中から2個動くような感じなのかなぁ~?と思いました.また1個1個のダイアフラムのサイズはEF8仕様よりNA1仕様の方が小さいので,動き始めのレスポンスも若干弱く,それが板踏み感や途中の違和感を生んでいる・・・という事なんじゃないかと.

ま,アレコレ言ってもどうしようもないので(多分ビート用の6インチよりはマシなはずなので),この特性に早く慣れて,使いこなしていくしかないですね.

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「ReSpec 性能レポートの熟読 その② http://cvw.jp/b/1684331/48621262/
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