先日のTC1000の走行会 は合計5本走る事が出来るので,今後の足回りの方向性を決めるためのテストのつもりでエントリーしました.
残念ながら1本目は濃霧に阻まれたため,2~5本目で減衰設定を変えて方向性を探る形となりましたが,
先月の雨のTC1000 ,
車速域の高いTC2000 ,逆に
車速域の低いナリモ とテストして,現状の足回りの問題点がどこら辺にあるのか?が大体見えてきたので,最後の念押し確認という感じです.
いつもの通りロガーデータを中心に情報を整理していくのですが,今回は最高速もチェックしたいので,基準タイムは当日最も高かったセカンドベストを採用する事にします(↓).
【基準セット(41.731)】
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ここからまずは,フロントの減衰を1段下げ.
【フロント1段下げ(41.812)】
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当日はフロントが全然入らずアンダーステアに苦しんだので,フロントの減衰を1段落としてタイヤを潰し易くしてやろうという試みです.これでターンイン時のフロントの入りは良くなると思いますが,立ち上がりではフロント荷重が抜け易く,アンダーステアが強まる可能性があります.果たして結果はどうだったのか?というと・・・,
1コーナーの立ち上がり(1個目の緑丸),インフィールド立ち上がり(3個目の緑丸)で,案の定アンダーステアが強まり失速しました.一方,ヘアピンの進入(2個目の緑丸),最終複合(最後の緑丸)ではフロントに荷重をのせ易くなったので,思った通りに曲げる事が出来ています.この両者を差し引くとトータル0.08秒遅くなりました.
乗っていた時の感触としては,フロントタイヤに素直に荷重をのせられるので,ステアリングレスポンスが良く,速度をキャリーする感じであまり減速させずにコーナーに飛び込んでいける感触がありました.ただ,最大ロールに達して以降の加速領域ではフロントの手応えが薄く,アクセルを開けていってもクルマが前に進まない(=アンダーステアが強い)印象を受けました.
フロントの減衰だけ下げるとフィーリングが良くなかったので,今度は逆に前後共に1段上げた状態を試してみます(フロントとしては2段上げ).
【前後1段上げ(41.924)】
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フロントの減衰を上げた事で,掛けられる荷重が小さい低速コーナーではフロントの入りが悪くなる可能性がありますが,高速コーナーでは一度掛けた荷重が抜けづらくなるので立ち上がりのアンダーステアを消せるかなぁ~?という予想.一方,リアの減衰は先日の雨練の結果から,ここまで上げるとインリフトが大き過ぎて接地感がかなり薄くなる懸念があります.では,実際どうだったのか?というと・・・,
1コーナー(1つ目の緑丸),ヘアピン(2つ目の緑丸),最終複合(最後の緑丸)とやはりフロントの入りが悪く,ボトムスピードを下げて曲げざるを得ませんでした.一方,立ち上がりに関しては予想通りフロント荷重が抜けづらくなったので,基準タイムよりも良い加速を示していますが,ボトムを下げて失った分を取り戻せるほどではなく,差し引き0.2秒の遅れとなりました.
乗っていた時の感触としては,フロント荷重をキープし易いので狙ったラインにのせ易く,特に1~2コーナー間でアンダーステアが出ないので,個人的にはこちらの方が好みでした(乗ってて楽しい♪).
ただ,ヘアピンではブレーキング完了→ターンインするタイミングで「シャー!」とタイヤが滑るような音がしており,滑っているのがフロントなのか? リアなのか?までは分からなかったのですが,タイヤがグリップしていない事は間違いなさそうです.
という事で,滑っているのがフロント or リアのどちらかなのか切り分けるために,フロントの減衰はそのままで,リアの減衰だけ1段下げ.
【リア1段下げ(42.006)】
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雨練の時の経験から恐らく滑っているのはリアじゃないか?と思い,だったらリアの減衰を落とせば安定するだろうという予想.フロントの減衰はそのままなので好みのハンドリングを維持したまま,ネガティブな部分だけ取り除けるかな~?と思ったのですが・・・,
先程のヘアピン(2個目の緑丸)で起きていた「シャー!」と滑っているかのような音は出なくなりました.やはり滑っていたのはリアだったようです.これでネガが消えたのでタイムは上がるかなぁ~?と思いたいところだったのですが,1コーナー(1個目の緑丸)ではリアの動きが大きくなったため,待ちの時間が増えてアクセルを踏めず.インフィールド(3個目の緑丸)も前後バランス的にはアンダーステア方向となったためフロントが入らず失速.唯一最終複合(最後の緑丸)だけはバランスが取れたようでマズマズの走りとなりました.
乗っていた時の感触としては「可もなく不可もなく」といった感じ.前後バランス的には取れている印象を受けますが,どちらかといえば全体的に弱アンダーで速くはないだろうなぁ~と思ったら,41秒台にすら入れられず,0.27秒後れとなりました・・・.
以上を纏めると,まずタイムとしては落ちる一方でしたが(↓),
②基準設定 ・・・ 41.731
③フロント下げ ・・・ 41.812 (+0.081)
④基準+1段上げ ・・・ 41.924 (+0.193)
⑤リア下げ ・・・ 42.006 (+0.275)
走れば走るほどコンディションは悪化していく方向だったので,タイムの絶対値としては参考程度.乗った時のフィーリングやロガーデータから判断すると,
②基準設定 ・・・ やはりこれがベスト(スィートスポットが広い)
③フロント下げ ・・・ 悪くはないがコントロールが難しい(スィートスポットに入れるのが大変)
④基準+1段上げ ・・・ コントロールは楽だがクルマとしては遅い(スィートスポットから外れている)
⑤リア下げ ・・・ クルマが遅い状態でバランスをとっただけ(スィートスポットから外れている)
といった感じ.基準設定がやはりベストである事が確認出来たので,減衰のセッティングはこれ以上詰めようがないかなぁ~と思いました.ダンパーではなく,スプリング変更で対策を練るとするならフロントのバネレートを2キロ下げれば良い感じになりそう.ただそうなると,リアのレートを維持する意味もなくなるので(インリフトを助長するだけなので),フロントに合わせてリアも2キロ下げ・・・,
(・・。)…ン?
それってレートアップ前のセットがやっぱりベストだったという事?? う,う~ん・・・(汗).
そうなるとこの半年,乗り心地の悪化に耐えて何やってたんだ?となるので考え方を変えよう.
スプリングではなく,ダンパーの仕様変更で対処出来ないか?と考えると,
フロント(縮み側) ・・・ 減衰力は弱めて,荷重をのせ易くしたい
フロント(伸び側) ・・・ 減衰力は強めて,荷重を抜けにくくしたい
リア (縮み側) ・・・ 減衰力を強めて,リアのロール量を抑えたい
リア (伸び側) ・・・ 減衰力を弱めて,リアのインリフトを抑えたい
う~む,これを実現するとなると,やっぱり2wayダンパー(↓)が必要なのか・・・?
(;-ω-) ウーン…
ああ,そうだ.最高速の話もあったので,そちらも見てみましょう.
②基準設定 ・・・ 132.83km/h
③フロント下げ ・・・ 130.99km/h (-1.84km/h)
④基準+1段上げ ・・・ 128.73km/h (-4.10km/h)
⑤リア下げ ・・・ 128.14km/h (-4.69km/h)
こちらも順当に走れば走るほど落ちていますが,③→④での落ち幅が大きいですね・・・.
コンディション変化の影響もあるので,そちらの値も確認してみると,
②基準設定 ・・・ 気圧:1012.7hPa 気温:12.3℃
③フロント下げ ・・・ 気圧:1011.4hPa 気温:16.8℃
④基準+1段上げ ・・・ 気圧:1009.3hPa 気温:18.5℃
⑤リア下げ ・・・ 気圧:1008.3hPa 気温:18.0℃
確かに気圧・気温共に悪化傾向ですが,③→④で極端に悪くなっている訳ではなさそう.
過去実績ベースで気圧・気温の影響を調べてみると(↓),
気圧は4hPa変化して落ち幅は1km/h未満.気温は5℃変化して落ち幅がちょうど1km/h程度なので,やはり③→④での悪化代が大き過ぎ.これはコンディション以外に要因がありそうですね.
コンディション以外の③→④の変化点というと,フロントの減衰を基準値から1段上げた事・・・.
Σ( ゚д゚)ハッ!
リアがあれだけインリフトするくらいだから,もしかしてここまで減衰を上げると,フル加速時に実はフロントが浮いたりしてる?!
だとすると,
TC2000で最高速が伸び悩んだ 原因は,コレ(フロントのトラクション不足)か?!
う~ん・・・.やはり足の仕様を変更しないと解決策を見い出せないのか??