
7/3にJAFから「
ターマック部会検討方針について」というタイトルで資料が公開されました.
JAFから規則の公示はよく出ているのですが,規則そのものではなく規則制定の考え方を示すのは珍しいので,どれどれ~?とリンクを辿っていったところ,「JAFスピード競技ターマック部会における,国内ジムカーナ競技の持続的な発展に向けた検討方針についてお知らせいたします」と書かれています.
競技やってる人以外には関係ないと言えば関係ない話なのですが,最近Sタイヤの扱いが気になっているので,中身をじっくりと読んでみました.
中身の話に入る前に,まず「ターマック部会」というのは,JAFの「モータースポーツ専門部会」の1つです(↓).
「モータースポーツ専門部会」の役割は,専門分野についてJAFからの諮問(特定の事柄について意見を尋ね求める事)に応じ,意見の具申(事情等を詳しく申し述べる事)を行うのが役割となっています.
この中で「スピード競技ターマック部会」は,主に舗装路面を走行するスピード競技(他車と直接競うのではなく,タイムを競う競技)に関する下記の事項を行うそうです(↓).
1. 調査および研究
2.諸規則の立案および統一解釈
3.国際競技会および選手権競技会の組織許可申請の審査
4.競技会のスポーツカレンダー登録申請の審査
5.上記に関連する事項
ようは,ジムカーナのような舗装路面でタイムを競う競技において,規則を決める部会という事ですね.
その「ターマック部会」が今回何を検討したのか?というと,ジムカーナ競技の位置付けのようです(↓).
色々書いてありますが,次のページの絵の方が多分分かり易いです(↓).
1つは「ジムカーナのピラミッドをちゃんと作る」という事のようですね.私は4輪のレースからモータースポーツの知識を身につけていったので,初めて全日本ジムカーナを観に行った時はびっくりしました.「コレ,本当に全日本格式のイベントなの?」と思うくらい.それをグラスルーツ→地方選手権→カップ戦→全日本選手権という形でピラミッドを整備して,全日本にちゃんとした格式を持たせようとする感じなので,非常に良いんじゃないかと思います.
ただ,個人的には気になるのはそっちではなく,タイヤの方の話で以下の3つが出ています(↓).
①全日本選手権全クラスのタイヤ統一
②地方選手権⇔全日本選手権での規定統一
③年間タイヤ本数制限の予告
①全日本選手権全クラスのタイヤ統一
これは既に発表されている「Sタイヤ禁止」の件ですね.ジムカーナには大きく分けて市販車クラスと改造車クラスがあるのですが,市販車クラスは所謂PNタイヤ(RE-71RZ/A052/β11等)の使用が義務づけられているのですが,改造車クラスの方はSタイヤまで使用可となっています.これが2027年から改造車クラスもPNタイヤの使用が義務づけられる事になりました.
②地方選手権⇔全日本選手権での規定統一
従来,地方選手権は各地域で独自のレギュレーションを定めており,
タイヤのルールも様々でした.このため,地方選手権→全日本選手権へステップアップしようとすると,タイヤのルールが異なり,これが1つの障害となっていました.前述の通り「ターマック部会」としては,ピラミッドを整理してステップアップし易い環境を作りたいようなので,この障害を取り除く意味で「地方選手権は全日本のルールに従う」形を取らせたようです.
つまり,①で全日本レベルでSタイヤが使われなくなり,②で地方レベルでもSタイヤが使われなくなるので,2027年以降,大幅にSタイヤの需要が減るという事になります.
これを見た時に「タイヤメーカー的には嬉しくないんじゃないのかなぁ~?」と最初思ったのですが,「いや,逆か?」と考え直しました.Sタイヤは日本独自のルールで生まれたタイヤで,完全にガラパゴスな存在です(海外には「Sタイヤ」なんて定義はない).ガラパゴスなのでタイヤメーカーとしてはグローバルで売り上げが見込めず,本音としてはなくしたい.けど,競技で使うからサポート選手からは望まれる(一度G/2Sをなくしたのに,その後数量限定で復活したのもそういう流れでしょう・・・).
なくしたいから開発は全く行えないのに,Sタイヤを使うクルマはどんどん速くなっていくので,設計の古いタイヤだと信頼性の面で不安になる・・・(最近A050にA1コンパウンドが設定されたのはそのせいでしょう).挙句の果てに,Sタイヤを新規開発するメーカーなんてものが出てきて(↓),
このままだとSタイヤの開発戦争が勃発するかもしれない.それは避けるために「レギュレーションでSタイヤを禁止にして欲しい」とタイヤメーカーが望む事があるのかもしれません・・・.
ただ,過去のPNクラスがそうであったように,Sタイヤを禁止にしてもSタイヤ以上にソフトなタイヤ(=摩耗が激しいタイヤ)をタイヤメーカーが作るかもしれない.
行き過ぎたソフトコンパウンド化で,1回走ったら終わりみたいな使い捨てタイヤが氾濫したら,コストが急増してエントリーが減り,カテゴリーが破綻する.そんな事を危惧して「ターマック部会」が考えたのが③なんじゃないかと思います(↓).
③年間タイヤ本数制限の予告
モータースポーツはとにかくお金が掛かるスポーツなので,参加者は常にコストの問題に晒されます.参入障壁を下げ,参加した選手が継続的に活動を続けられるようにするために,タイヤの使用本数を制限するというのはよくある手だと思います.
ここまでが「ターマック部会検討方針」を読んで思った事なのですが,これが競技に参加していない人間にどんな影響を与えるのか?というと,
・各メーカーのSタイヤの需要が減って,製造終了になる可能性がある
⇒ タイムアタックでSタイヤが使えなくなる
・PNタイヤ(RE-71RZ/A052/β11等)が本数制限でハードコンパウンド化する可能性がある
⇒ 同じタイヤ銘柄でもタイムが出にくくなる
これってサーキット走行を楽しむ人間からしたら,あまり嬉しくない状況ですよね? だから,この方針の行く末が個人的には非常に気になっています.
以上,「ターマック部会検討方針」のお話でした.
Posted at 2026/07/07 01:57:54 | |
チューニング(タイヤ編) | 日記