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OX3832のブログ一覧

2025年01月26日 イイね!

所詮は付け焼刃

所詮は付け焼刃前後のキャンバー角を変更したので,その効果をテストしにTC1000へ行って来ました.

アタックシーズンの日曜という事で混み走が予想され,平日のファミ走に行けなかった事を悔いていたのですが,この日はRX-8とロードスターがTC2000で開催されるイベントの方に向かうはずなので,意外と空いているかも?と期待しながら筑波サーキットへ向かいました.


日曜の早朝のせいか? 道中は割と空いていて6時半前には到着.門前GPを5位で通過し,早々にピットを確保して準備を進めると,常連の皆さんが続々と集結.



パドックの方も時間が経つ事に台数が増え,さすがに年末の満員御礼フルコースほどではありませんが,そこそこの台数となりました.「まぁ,平均して1枠8~9台くらいかなぁ~?」と予想しつつ,前日にドリフト走行があった事(=路面が悪い)を踏まえて,今日はあまりタイムを気にしないで走ろう~と準備を進めました.


まずは1本目(T2枠/9:15~).

路面温度が7℃という事で,どうせリアタイヤのウォームアップに苦しむだろうと前後バランスはあまり気にせず,とにかくリアタイヤへの熱入れに専念.一応,事前に日向ぼっこ作戦も実行したので(↓),



5周目くらいには右リアも来るかなぁ~?と期待しましたが,そんな事はなく.いつもの通りタイヤを温めるのに8周程度を費やしました(泣).ただ,そんなウォームアップ走行の過程でも,フロントのグリップが着実に増えている事は感じ取れて,「たった30分の違いなのに,キャンバー角ってちゃんと効果が出るんだなぁ~」と思いました.ホント,「偏心ピロアッパー(↓)」様様ですね♪



「この感じなら,そこそこのタイムは出せるかな?」とそこからアタックを開始しますが,41.77,41.72,41.75と1/100秒台くらいの違いしかが出せない・・・.クルマのバランス的には特に不満はなく,グリップ不足も,パワー不足も感じないので,「やはりドリフト走行後の路面だとこんなもんかなぁ~?」と諦めかけましたが,最後の1周はフルクリアが取れそうだったので,3回のアタックで得た感触をフィードバックし,1周を纏めに行ったところ,



41.546 と0.2秒削り取る事が出来ました.走行前には「混み走だったら41.8秒くらい,フルクリアが取れて41.5秒くらいかなぁ~」と思っていたので,ほぼほぼ予想通りのタイム.ただ,走行終了後に内圧を測ったところ,想定値よりも高くなっていたので,これを修正してフロントタイヤが冷えた状態で1発を狙えば,あと0.1秒は削り取れるかな?と思いました.


という事で2本目(A7枠/11:00~).

この日のファミ走の枠は午前のみなので,これが本日のラスト.気温:9℃と1本目の倍近い値になっていましたが,路面温度も14℃と倍になっているので,「ウォームアップに必要な時間は多少縮まりそうだなぁ~」なんて思いつつアタックしてみた5周目(↓),



ヘアピンでスピン! ただ,前回の手も足も出なかったスピンと比べると,リアが滑り出した後でも多少は抗う事が出来るようになり,リアのキャンバー角を1°増やした効果はあったようです.
(もうちょっとでキレイに半周ドリフト出来たんだけどなぁ~,惜しい!)


これで多少ビビリが入ってしまい,翌周の計測では置きに行って 41.572.「イカン! 気合を入れ直さねば!!」と攻め気を取り戻して挑んだ次の周で,



41.456 をマークする事が出来ました.結局,これが当日のベストラップとなった訳なのですが,後から車載を見返してみると酷いドライビングですね・・・.こんなのが当日ベストだなんて恥ずかしいです.orz

その後もアタックは続けましたが,ヘアピンで起こるスピン挙動のせいでブレーキングを追い込めず,何度やっても41.5秒止まり.一度ピットに入ってセット変更を試みますが,それも赤旗に阻まれ,強制終了となりました(泣).


という事で簡単にテスト結果を纏めると,

  ・ピロアッパーの効果は特に感じず(むしろジャッキアップ時のガタが気になる・・・)
  ・フロントのキャンバー増し(30分)は効果アリ(グリップ向上)
  ・リアのキャンバー増し(1度)は,「スライドが始まった後のコントロール性向上」は効果アリ
  ・「ストレートスピードの向上」は効果なし
  ・「リアタイヤのウォームアップ促進」は効果なし

といった感じでした.後日ロガーデータを見返してタイムダウンの要因を分析しますが,とにかくヘアピンを攻め切れないのがストレス.走る前から分かっていた事ではありますが,所詮はキャンバー増しでの対策は付け焼刃ですね.確かに一定の効果は得られているのですが,ヘアピンのスピン挙動だけはどうやっても対処出来ない.やはり素直に「リアのリバウンドストローク対策案」を実行した方が良さそうですね.


以上,「所詮は付け焼刃」な感じのTC1000テストでした.

なお,後片付けが終わった後は,常連の皆さんと一緒に「わぎゅう食堂 くらもち」へ行って昼食.



私は「煮込みハンバーグランチ」を頂きましたが,美味しかったです~♪ 当日お会いした皆様,お疲れ様でした!
2025年01月25日 イイね!

コイルばねっとで遊ぶ

コイルばねっとで遊ぶaki@rsさんから「コイルばねっと」というばね検討ソフトを紹介頂いたので,ちょっと遊んでみようと思います.

こちらのソフトは,兵庫に工場がある「東海バネ工業」という会社が公開しているもので,こちらの会社は完全受注生産方式のバネメーカーだそうです.バネ専業なので航空宇宙を始め,様々な分野向けのバネを製造されているようで,受注生産というスタイルからワンオフものに強そうですね.

では早速,「コイルばねっと」で遊んでみます.まず最初に以下のフォーマット(↓)に入力をするようなので,各項目の意味を確認します.



①横弾性係数
棒を捩じった時のひずみ量(伸びる量)の比率.固い素材であれば値が大きく,柔らかい素材であれば値が小さくなるそうです.本ソフトでは「一般用」と「耐食用」が選べますが,自動車用として一般的に使われているのは「熱間成形ばね材料」と呼ばれるもので,SUP6(シリコン・マンガン鋼),SUP9(マンガン・クロム鋼),SUP11A(マンガン・クロム・ボロン鋼)といった辺りになるとの事.ここではSUP10(クロム・バナジウム鋼)が含まれている「一般用」を選べば良さそうです.

②材料径
バネの直径ですね.

③中心径
「内径 + 材料径」だそうです.内径は図の通りバネの内側の直径なので,ID65=65mmですね.

④自由高さ
所謂ところの「自由長」ですね.

⑤有効巻数
「総巻数 - 座巻数」だそうです.

⑥総巻数
バネの巻かれている数だそうです.厳密に言うと,1回転して同じ位置に戻った時に1巻きとなります.

⑦座巻数
バネの両端の平らになっている部分です.通常は上下合わせて「2巻」ですね.

⑧バネ定数
上記の①~⑦の計算結果がココに示されます.


各項目の意味が分かったところで,お題としてHAL springsの「12キロ(高反発)」の数値を入力してみます.



143.17 [Nm/mm] ≒ 14.6キロ という結果が得られました.バネレート(バネ定数)がカタログスペックに対して3キロ近く違いますが,材料が正確ではないのでしょうがありませんね.


では,今度は同じくHAL springsの「12キロ(中反発)」.



138.43 [Nm/mm] ≒ 14.1キロ という結果が得られました.なるほど,高反発に比べて巻き数が多いため反発力が落ち,確かに「中反発」なようです.ただ,そのままだとバネレートが落ちるため,線径を僅かに太くしてそれを補っているという感じでしょうか.面白いですね.


ならば,同じ銘柄の「14キロ(中反発)」を調べてみましょうか.



166.86 [Nm/mm] ≒ 17キロ となりました.仮に材料が同じであるとして,カタログスペック上は2キロアップのはずなのですが,2.9キロアップという結果になりました.12キロと比べると線径が太くなっており,巻き数が減っています.ここから察するに,レートは基本線径で表現していて,巻き数で帳尻を合わせている感じなのでしょうか?


こうなると「14キロ(高反発)」も確認してみたいところですが,こちらはクルマに付いていて計測出来ないので,HYPERCOの「14.3キロ」を引っぱり出してみます.



188.41 [Nm/mm] ≒ 19.2キロ となりました.スペック上のレートが0.3キロ高いとはいえ,HAL springsの中反発と比べると大幅に高いですね.仮に14キロの高反発が+0.5キロ程度だったとしても 17.5キロ.HYPERCOのバネ定数はそれより更に1.7キロ高い訳ですから「HALの高反発はHYPERCOよりも低反発」という話は信憑性が出てきますね.

ただ,これはあくまでHYPERCOとHALのスプリングが同じ素材だった場合の話ですから,実際はそんな事があるはずないですし,私自身は自分の感覚(HALの高反発はHYPERCOよりも高反発)を信じようと思っています.


さて,色々遊んで理解が進んだので,最後にこの間の「自由長を短くすると高反発になる」という話を調べてみましょう.仮にHAL springsの「14キロ(中反発)」の5インチ版(127mm)が,線径は同じ・有効巻き数が3.5巻だったとすると,



202.61 [Nm/mm] ≒ 20.6キロ となりました.7インチと比べると+3.6キロも上がってますね.
では仮に,ここから7インチと同等のバネ係数まで落とすには,線径をいくつにすれば良いのか?と求めてみると,



材料径:13.05mmとなりました.すなわち,7インチ版に対して材料径が0.75mm細ければ同等という事になるのですが,これくらいなら十分有り得そうですね.


以上,コイルばねっとで遊んでみた結果でした.

今回遊んでみて,「バネレートを上げる時は線径を測定しろ!」と仰る言葉の意味がよく分かりました.ただ,僅かコンマ数mmで結構大きな違いを生む一方,外見からこのコンマ数mmを識別するのは難しく(ノギス使わないと無理),手っ取り早く反発力を判断するには,やはり巻き数なのかなぁ~と思いました.また,その巻き数も意外と正確に測らないとダメで,単純な1巻,2巻・・・といった単位ではなく,2巻+最後の1/4巻,1/8巻といったところまで測らないと結構な差が生まれる事も理解出来ました.

反発力に関しては,まぁそもそも,開発者自ら「バネ業界に"反発"なんて用語はない」と仰っている通り,反発力は外から見て分かる代物でもない訳なのですが,設計者側で線径と巻き数でバランスさせて「自由長は違えどバネレートは同じ」になるようにしてくれているのであれば,自由長の違いを正直あまり気にする必要はないのかもなぁ~と思いました.
2025年01月22日 イイね!

リアのリバウンドストローク対策案

リアのリバウンドストローク対策案フロントスプリングをHAL springsの中反発→低反発に変更した事によって発生したナックルアームとの干渉問題は,キャンバー角を30分起こす形で暫定対策を行ったものの,これだとやはりタイヤのショルダー摩耗が進んでしまいました.

このため,恒久対策としてASLANの「偏心ピロアッパー」を手配し,キャンバー角も無事元の数値に戻ったので,早速TC1000でテスト~と有休を取ろうとしたら,ファミ走の日に会議を入れられてしまい行く事が出来ませんでした・・・.

前回のテスト結果から,リアのグリップをかなり引き上げないとバランスが取れなそうな事が見えてきたので,リアのキャンバー角を1°増やし(↓),



その効果を早く確認したかったのですが,次回に先送りですね(泣).


ちなみに,今回のリアキャンバー増し作戦は,昨年の夏頃からリアタイヤの摩耗状態を見て,「少しキャンバー角を増やした方が良いかな??」と思っていた事がきっかけでもあるのですが,それに加えていくつか追加の効果が期待出来そうというのが選んだ理由でもあります.

1つ目はスライドが始まった後のコントロール性の向上.現状,リアのリバウンドストロークが決定的に足りないため(↓),



ブレーキングで追い込んでいくと左右両輪共に浮いた状態となり,最早ステアリングを切らずともスピンモードに入ってしまう事から(↓),



滑らさないように走らせるのではなく,滑った後でもコントロールして走らせる(=スピン挙動を穏やかにする)意味合いでキャンバー角を増やしてみました.同じ効果を得る方法としてリアタイヤの内圧を下げる方法も思い浮かんだのですが,そちらはウォームアップの妨げになるのと,少しでも「EF9の動き(↓)」に近づけるため,今回はキャンバー増しの方を選択してみました(内圧下げだと腰砕けになって,クルマが前に進まない可能性がある・・・).




2つ目は,昨年夏に調べ物をした時に知った効果(↓)があったので,それを確認してみようかと.



来月TC2000を走る機会がありそうなので,あの長いストレートで検証してみようかなぁ~と思っています.


3つ目は,リアタイヤのウォームアップ促進.こちらは単純に接地面積が減った分だけ面圧が上がるので,「その分だけ温度上昇も早いでしょう~」という安直なアイデア.さすがに7°もついてないので,直進安定性の向上効果まで得られないと思っていますが,はてさて違いは出るのか?


・・・とそんな感じで色々画策して今回はリアのキャンバー増しを施してみた訳なのですが,根本的な問題は「リアのリバウンドストローク不足」なので,所詮は付け焼刃に過ぎません.本質的な対策として最も期待出来るのは2wayダンパーの投入(↓)になると思っているのですが,



かなり高額になるのと,年末に新たなイグニッションコイルの発売を知ってしまったので(↓),



どちらかというと,資金はそちらに回したいなぁ~という気持ちが湧いて,先送りする気満々(笑).


・・・という事で,現状のダンパーのままスプリングで何とか対処出来ないかなぁ~?と考えていたのですが,やはり定番のヘルパースプリング(↓)が頭を過ぎりました.



ただ,今使っている7インチスプリングだとダンパーの調整代は使い切っているため,ヘルパースプリングが入る余地はなく,メインスプリングを短くする(6インチ化)しかありません.

そう思った時に「6インチ化して本当にヘルパーが入るのか・・・?」と疑問に思ったので,スプリングを引っぱり出して並べてみると(↓),


(左が7インチ,右が6インチ+スペーサー+ヘルパースプリング)

6インチ化しても,ほとんどリバウンドストロークは増えないのでは・・・? (-_-;)

使おうと思っているヘルパースプリングがレート:0.2キロとほぼ無視出来る代物なので,同レート(14キロ)で6インチ化した場合,メインスプリングの縮み代(以前行った皮算用から14.8mm)は,7インチと同等と見なして良いはず.そうなると,メインスプリングが短くなった分=1インチ(25.4mm)だけヘルパースプリングが入る事になるのですが,スペーサーの厚みが約9mm,ヘルパースプリングの密着高が11.18mmという情報を踏まえると,一応ヘルパーが入る事は入りますが,ほとんど動かないスペーサー状態になりそうな気が・・・(汗).


そもそも,リバウンドストロークはいくつ必要なんだっけ?と以前画像から導き出したものを引っぱり出して確認してみたところ,



約38mm(≒1.5インチ)でした.やはりメインスプリングを1インチ短くするだけでは不十分,2インチ短くしないとダメそうとなると,

5インチか・・・.(;-ω-) ウーン

HAL springsの14キロ・高反発は,許容ストローク:62mmなので,軸重の小さいリアで使う分には問題なさそう(線径密着しなさそう)ですが,ヘルパーを入れるとはいえ5インチかぁ~.オレさまが5インチを毛嫌いしていたから,ちょっと引っ掛かるんだよなぁ・・・.


そもそも,同レートでスプリングの長さ(自由長)を短くするとどういう違いが出るんだっけ?と調べてみると,



  ・自由長が変わろうが,レートが同じであればスプリングの縮み代は同じ
  ・縮み代が同じなので,コーナリング中のロール量は変わらない
  ・変わるのは乗り心地
  ・自由長を長くすると動きがマイルドになり,短くするとシャープになる
  ・この違いは,スプリングのたわみ量に起因している

  ・自由長の違い=スプリングの巻き数の違いと言える
  ・例えば,ここに巻き数が違う2種類のスプリングがあったとする(長い方が20巻,短い方が10巻)
  ・両者共にレートが10キロだった場合,100kgの荷重を受けると10mm縮む事は変わらない
  ・但し, 長い方のスプリングは,10mm / 20巻き ⇒ 1巻当たり0.5mm縮む
  ・一方,短い方のスプリングは,10mm / 10巻き ⇒ 1巻当たり1.0mm縮む
  ・つまり,自由長が短い方が,1巻き当たりのたわみ量は多くなる

  ・たわみ量が多いと,スプリングの元に戻ろうとする力(反発力)は強くなる
  ・従って,乗り心地の違いは反発力の違いとも言える


なるほど! そういう事なのか.リアのスプリングを7インチ→5インチ化すると,高反発なスプリングが更に高反発になるって事かぁ~.

イイじゃねぇか!(笑) ( ¯꒳¯ )b✧

反発力が上がると,縮み側は街乗りでの突き上げ感は増えて苦になるかもしれませんが,伸び側はリバウンドスピードが上がるのでリアの接地性が上がるはず.ヘルパースプリングによるストローク稼ぎと合わせて狙っている効果がより得られるかもしれませんね.


以上,リアのリバウンドストローク対策案でした.

ヘルパースプリング作戦がダメだった場合,バネレートを下げてリバウンドストロークを増やし,バンプラバーで縮み側を規制して辻褄を合わせる方法を考えないといけないかと思っていたのですが,思いの外5インチ化はメリットが有りそうですね.唯一心配なのは,ヘルパースプリングを入れるとはいえ,5インチスプリングでダンパー長が足りるかどうか(ダンパー側が長過ぎて天井突き当てにならないか?).



7インチ→5インチで-51mmだから多分大丈夫な気がしますけど,もしかしたらバンプラバーをカットする必要は出てくるかもしれませんね.
2025年01月18日 イイね!

RA621H再見学

RA621H再見学EF8が入院中で今週末はする事がなく「暇だなぁ~」とSNSを眺めていたら,ホンダのウェルカムプラザ青山で「Encore! TOKYO AUTO SALON 2025」と銘打って,先週幕張メッセで展示されたものの一部が再展示されるとの事で行って来ました.

オートサロン時にHRCは「RA621Hを初公開!」と言っていたのですが,RA621Hなんて既にアチコチで展示してないか・・・?と意味が分からず,アレコレ考えてみた結果,どうやら「This is Motor racingした時の現物を初公開!」という事だったようですね.

「RA621H」は2022年にも同じくここウェルカムプラザ青山で見ているのですが,今回はガラスケースもなく,かなり近い距離で見学出来るとの事で期待しながら向かいました.


ウェルカムプラザに到着して早速見に行くと,



ワァ~オ! 本当に真近で見れる.オートサロンの時はステージの横で「ちょっと遠い」という不満もあったようですが,こちらは本当に近い! これならジロジロとたっぷり見れる(笑)とスマホ片手に写真をパシャパシャ撮り始めました.


最初に目につくのは,やはり大きな「ES(Energy Storage)」ですが(↓),



アンチEVな私は興味がないのでスルーして(笑),「ICE(Internal Combustion Engine)」の方へ向かい,最初に目に付いたのは「IGV(Intake Guide Vane)」.



「TC(Turbo Charger)」のコンプレッサー側に付いている可変式のベーン(羽)です.この「RA621H」には一般的なバタフライ式のスロットルが付いていないので,この「IGV」をスロットルの代わりと言う人もいるようですが,ホンダ自身が「トルク制御は燃料噴射量によって行っている」と言っている通り,もはや現代のレーシングエンジンはディーゼルエンジンにコンセプトが近く(副室燃焼やら,市販車の3倍近い高Pmaxからもそれが窺える),スロットルレスといった方が正しいんじゃないかなぁ~と思っています.

じゃあ,この「IGV」は何なの?と調べてみると,空気量を制御しているというより,コンプレッサーの仕事量を制御するために付いているようで,どちらかと言えば「VNT(Variable Nozzle Turbo)」に近い考え方なんじゃないのかなぁ~と思っています(「VNT」はコンプレッサー側ではなく,タービン側ですけど).ホンダのF1エンジンはアノ手コノ手でエネルギーマネジメントをしているので,「IGV」もその一環で付いていると理解した方がスッキリする気がしました.


いきなり3文字略語のオンパレードで興味ない人をブッチぎってますが(笑),「RA621H」の情報なんて既に世の中に出回っているので,今回はとことんマニアックに行きます.お次はブロックサイド(↓).



フォーミュラ用のエンジンなので,エンジン本体もストレスメンバーとなっており,2本の補強バーがヘッド上面に付いている訳なのですが,従来のエンジンが上下2本太い棒が付いていたのに対し,この「RA621H」では下側の方のバーがなくなっています.これは車体側のカウル形状の自由度を増やすためだったそうなのですが,「だったら,先端(図の左側)の突起状のところもなくしちゃえばいいんじゃね?」と思って後で調べてみたら,レギュレーションで車体側の取付ポイントが指定されているそうで,この突起は削れなかったようですね.


そのまま後方に回ってみると,



タービン後ろのテールパイプとは別に,もう1つパイプがあるのが見えます.なんだこりゃ?と思って調べてみたら,どうやら「WGV(Waste Gate Valve)」の出口のようです.「ああ,そうか~」と思って眺めていたらビックリ.今時のエンジンは「WGV」が2個付いているんですね!



これは知らなかった・・・.「WGV」を1個にするか2個にするかはチーム側に選択権があるそうなのですが,どういう考え方で決めるんだろ?


そのタービンの下にはクランクの出力軸が(↓).



棒状のものがいっぱい突き出てますが,あまり他では見ない代物ですね.


エキマニの形状が左右で違うのは2年前にも確認した通り(↓).






そして,個人的にこの「RA621H」の最大の特徴ではないかと思っているプレナムチャンバー(↓).



この中には「Quad VIS(Variable Intake System)」というものが搭載されているそうです.
内部のシステムなので外から見ても分かるはずもなく,autosport webの画像をお借りするとこんな感じ(↓).


(autosport web:F1の頂点を極めたホンダPUを世界初公開の写真とともに完全解明より)

所謂ところの「可変吸気管長システム」というヤツで,一般的に高回転域は大量に空気を吸い込みたいので,吸気管の長さは短ければ短いほど良いのですが(剥き出しの4連スロットルとかがそれですね),低回転側は吸い込む力が弱いため,空気の流れの慣性を使ってアシストしてやる必要があり,吸気管はなるべく長い方が良いと言われています.この矛盾を成り立たせるために吸気管そのものの長さを回転数に応じて可変にしてしまおう!というのが「可変吸気管長システム」になります.

「RA621H」の場合は,上の画像の通り,プレナムチャンバー内のファンネル(白い筒状のもの)が伸びたり・縮んだりしてこれを実現しています.最初「Quad(4つ)」の由来は,ファンネルが4段式だからなのか?と思っていたのですがどうやらそうではなく,プレナムチャンバーの入口(↓),



車体側の「CAC(Charge Air Cooler)」に繋がる部分の配管(この画像だと蓋がされている部分)が,4つ又になっている(内部で管が4つに分かれている)ためのようです.可変モードはざっくり「SUPER LONG」「LONG」「SHORT」の3段階あるそうで,「SUPER LONG」は8000rpm以下の低回転でのみ使われるそうですが(2021年のF1エンジンの最高回転数は15,000rpmなので約半分),「SUPER LONG」になった時のみ,通常集合管→各気筒に分岐しているものが,気筒毎に管を直結されるようになっているそうです.



「プレナムチャンバー」と聞くと,吸気脈動を利用した吸気管くらいのイメージしかなかったのですが,現代ではこんな風に進化していたんですね.大変勉強になりました.


あ,ちなみにその「プレナムチャンバー」ですが,表面に温度シールが貼られていました(↓).



RACETECHという会社の「Temperature Indicator Strips」という製品のようです.機能的にはブレーキキャリパーに貼って温度を見るヤツと同じものだと思われます.貼られているシールの変色している位置を確認すると大体99℃くらい.インタークーラーで冷却されているとはいえ,ここまで温度が上がるって事ですね・・・.


こんなのが貼られたままというのは,まさしく実戦で使われた代物感がありますね.そう思ってよーく見ていくと(↓),



あ,管理番号のシールが貼られてる! おっ? 益々実戦っぽいと思ってアチコチ調べてみると,







FIAの公認番号だったり,油圧システムの校正日だったり,子部品の管理番号だったりと色々見つけられました.この中で一番印象深かったのが管理番号全てにQRコードが付いている点.1個1個の部品の使用履歴をこれで全て電子データで管理しているんだろうなぁ~と思いました.F1レベルであれば当たり前の事ではあるのですが,こんなの実物を見ないと気づけませんよね.


一度こんなのを見つけてしまうと,つい調子にのってしまい(笑),更にジロジロと眺めてみると,



「IGN 5」と貼られたケーブルを発見.多分「Ignition 5(5気筒用の点火信号)」ですね.



こちらセンサの集合部かな? 「KNOCK L」は左バンク用のノックセンサの信号,「PEX L」は左バンクの排気圧センサ,「TEX L」は同じく左バンクの排気温センサでしょうかね.「XWG L」の"X"は意味が分からないですけど,付いているデバイスからすると左側のウェイストゲートの駆動信号かな?



もう1つ別の箇所には「TCOMPOUT R」."T"は多分温度(Temperature)の"T"だろうから,右側の何らかのコンポーネント部品の温度センサかな? その下に"P"と"T"で始まるものは配線が繋がっていないので,最初見た時は何かしらのダイヤル調整機構か?と思ったのですが,改めて画像を見返すと歯車状の目クラが付いているだけですね・・・.

その他にも,車体との締結部位にこんなセンサが付いていたり(↓),



まさしく実戦仕様って感じだなぁ~と思いました.
(最初,温度センサかと思いましたが,位置的に多分振動センサでしょうね)


あとは,浮かして展示されていたので,エンジン底面を覗き見してみたり(↓),






この伸びてるパイプ(↓の左側)は何の配管だろう?と思って家に帰ってから調べたら,



実は燃料配管で,その先に50MPaの高圧燃料ポンプ(↑の右側)があった事を後で知ったり,



配管の先を追い掛ければ,その先にある燃料リストリクターを見れたかもしれない事を知って後悔したりしてました.
(やっぱ先にちゃんと調べてから行かないとダメですね・・・)


以上,RA621H再見学でした.
やっぱりこれだけ近くで見れると色々気づけて面白いですね.2度目でしたがわざわざ見に行って良かったです♪
Posted at 2025/01/18 21:51:33 | コメント(1) | イベント見学 | 日記
2025年01月12日 イイね!

リアトレッド拡大の効果

リアトレッド拡大の効果リアのグリップ不足の対策として,先日のTC1000ではリアに5mmのホイールスペーサーを追加して左右トータル10mmのトレッド拡大を図ってみました.

たかが10mm,されど10mmで,何かしらの違いは出るだろうと思っていましたが,結果は新品タイヤの僅か0.034秒落ちとなかなかの好タイムを記録する事が出来ました.ただ,このタイムも一か八かの一発勝負で出したもので,絶対値的には自己ベストの0.5秒落ちというのを踏まえると,まだまだ先は遠いですね・・・.




という事で,いつものようにロガーデータを使った反省会(回)です.まずはサンプルデータから.

【新品使用時(41.306)】


  気圧:1016.8hPa  気温:7.6℃  路面温度:9.3℃

【今回(41.340)】


  気圧:1020.2hPa  気温:11.2℃  路面温度:15.9℃

コンディション的には,今回の方が気圧が高いのですが,午後の走行なので気温も高く,絶対値的に見ると両者で帳消し,もしくは今回の方が若干不利といった感じです.


続けてロガーデータ.今回はなぜだかデジスパイスのデータがぶっ飛んでいたので,LAP+で補正したデータで比較します(赤:新品時 青:今回).

ホームストレートエンド



今回(青)の方が新品時(赤)と比べて,112km/hを超えた辺りで一伸びしており,エンジンパワーが回復しているのが分かります.ただ,今回(青)のラップはアタックラインの使い方が足りず,若干初速が足りなかった事もあり,終端速度的には新品時(赤)と違いはありませんでした.他のラップを見ると133km台をマークしていたりもするので,確実に良くなってはいるのですがそれを結果に繋げられていないですね・・・.


1コーナー



リアのトレッド拡大の効果が早速出ています.新品時(赤)と比べて今回(青)の方がボトムが4km/h上がっており,トレッド拡大によりリアの支えが増えたおかげで,ブレーキ→アクセルに踏み替えた直後の不安定な"待ち"の時間が減って,ロスが減ったという事なんだと思われます.加えて興味深い事に,通常リアのグリップが増えたらアンダーステア方向になるはずなのですが,ライン取りを比較すると,今回(青)の方が新品時(赤)よりもIN側に切り込めているのが分かります(↓).



これは左リアの支えが増えたおかげで,対角線上の右フロントの荷重抜けも減り,フロントのトータルグリップが増えてより小回りが出来たという事なんだと思われます.


ヘアピン



過去のデータと見比べても新品時(赤)のブレーキングの遅らせ方は頭1つ抜けているのでこれは例外と見なすとして,今回(青)のブレーキング開始のポイントもそれほど悪くはありません.これ以上ブレーキングを遅らせるとリアのフラフラを抑え切れず,こういう目(↓)に遭うので,今の状態ではこれが限界ですかね.



従って,ヘアピンで改善出来るとすれば,ブレーキングの開始ではなく終了の方(↓).



前回に続き今回(青)もボトムスピードが高いのですが,今回走らせて分かったのは,この高い進入速度の原因がリアのインリフトによるものである事.ヘアピンの進入で,止めるブレーキを終えてステアを切り込んだ際に,インリフトして想定以上にクルマがIN側に切り込んでいくため,それを打ち消すために早めにブレーキをリリースしてフロントの荷重を抜いている事が分かりました.



この結果,狙いよりも高い速度でターンインしてしまい,ブレーキを完全にリリースしてしまっている事もあって,エイペックス付近でフロントの荷重が足りず,そこからアクセルを開け始めても(↓),



フロントの荷重不足でタイヤが横に滑ってクルマを前に進められない,というのが一連のカラクリのようです.LSDのイニシャルトルクを下げたおかげでオーバースピード気味に突っ込んでも強烈なアンダーステアが出るような事はなく,それなりに曲がろうとはしてくれるため,ドライバーがアンダーステアに気づきにくい事も遠因となっているようですが,これの根本的な原因は進入時のインリフトにある訳で,やはりココを何とかしないとタイムは詰められそうにないですね・・・.


インフィールド



ヘアピンの立ち上がりで失速しているので,インフィールドの進入速度は今回(青)の方が低め(左側の緑丸).そこからブレーキング→ターンインとなるのですが,2段ブレーキの1個目で今回(青)は少しブレーキロックしています.新品時(赤)に比べればタイヤの絶対的なグリップが低いので,同じような突っ込み方をしたら今回(青)の方がその負荷に耐えられないのは当然なのですが,もう1つ別の要因として,フロントの減衰を上げたせいで若干突っ張り気味になっている事もあるように感じました.インフィールドくらいの負荷領域だとこの減衰は固過ぎなんでしょうね.ロール方向に合わせるとピッチ方向が合わず,ピッチ方向に合わせるとロール方向が合わない.ホント,ダンパーって難しい・・・(泣).

なお,そんな失敗をしたインフィールドですが,今回(青)の方が立ち上がりはスムースです(右側の緑丸).バックストレッチでの車速の伸びも今回(青)の方が良いですし,リアのグリップを上げてトラクションを稼ぐ効果はここでも確実に得られているようです.


最終複合



バックストレッチで車速が伸びたおかげで,洗濯板の進入速度は今回(青)の方が2km/hアップ(左側の緑丸).ただ,乗っている時はそこから先がひたすらアンダーステアで「曲がらないなぁ~」という印象でした.車速のプロフィールを見るとそこまでアンダーな雰囲気はしないのですが,ライン取りの方を見てみると(↓),



今回(青)の方がメッチャ遠回り・・・.やはりアンダーステアは出ていたようですね.ここは1本目でオーバーステア気味だったのを抑制する意味合いで減衰を上げたのですが,この上げた状態だと今度は一転してアンダーステア.アチラを立てればコチラが立たず,前後バランスの取り方がホント難しい(泣).

なお,最終コーナー(右側の緑丸)を見ると,ここも若干アンダーステアを出して失速しているので,フロントの減衰を下げてもう少し手前で向きが変わるようにしつつ,リアのグリップを上げてオーバーステアになり過ぎないようにバランスを取らないとダメですかね.


以上,リアトレッド拡大の効果でした.

トレッド拡大の狙い通り,リアのグリップが増強されてトラクションがしっかりと掛かるようになりました.ただ,それによる想定外の効果として今まで抜けていたフロント内輪側のグリップが増え,「アクセルONでオーバーステア」というFFらしからぬ挙動が顔を出すようにもなりました.一か八かの綱渡りドライビングで,このオーバーステアを捻じ伏せて走れば新品タイヤと同等のタイムを刻む事も出来るのですが,スィートスポットが狭いので,ミスれば即スピンとピーキーですね.

前後の減衰を上げてそのピーキーさを消そうとすると,ロール方向は狙い通り安定するのですが,ピッチ方向はよりコントロールが難しくなり,リアはリバウンドストローク不足から過剰なインリフトが起きますし,フロントは突っ張って低・中速域で曲がらないという,アチラを立てればコチラが立たずな状態.前回よりは高い妥協点のセットになったとは思いますが,自己ベストの0.5秒落ちという惨状を踏まえるとまだまだ低い妥協点ですね.引続きリアのグリップの増強を図りつつ,ピーキーな挙動を打ち消す策も並行して考えたいと思います.

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何シテル?   10/31 21:14
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