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OX3832のブログ一覧

2025年05月05日 イイね!

フリクションサークルの使い方(セッティング活用編)

フリクションサークルの使い方(セッティング活用編)「BICライブラリ」へ調べ物に行った際にもう1つ小ネタを仕入れられたので,こちらも纏めておきます(これでラストです).

内容は,フリクションサークルをセッティングに使う方法.「フリクションサークル」というのはタイトル画像のように加速度センサ等を用いて,走行中の前後・左右の加速度(G)を計測し,グラフで示したものです.私の場合はGPSロガーによる簡易計測なので精度的にはイマイチですが,傾向くらいは分かります.

過去フリクションサークルの使い方(分析の仕方)を纏めた事がありますが(加速領域編減速領域編),今回はセッティングを変えた際に,フリクションサークルのどこを見て,何を判断すれば良いのか?というお話になります.


まず,斜め上(ブレーキングしつつ旋回する領域)のエリアから,クルマ(or ドライバー)とタイヤのマッチングが見るとの事(↓).



例えば,仕様の異なるタイヤを比較する場合,この部分が膨らんでいればマッチングは良い(そのタイヤがクルマ or ドライバーに合っている)と判断でき,逆に凹むとマッチングが悪いと判断できるとの事.上のグラフはTC2000でA025(青)とCR-S(赤)を比較した時のものですが(↓),



右上の部分がCR-S(赤)の方が大きく膨らんでおり,当時の足回りだとCR-S(赤)の方がマッチングが良かった,という事になるようです.

また,同じタイヤを履いてセットアップを何も変更していないのに,このエリアが凹んでしまった場合は,路面コンディションが悪い(埃っぽい)といった事を読み取れたりもするそうです.滑り易くて限界が下がるからそうなるのでしょうね.



これを読んで1つ思ったのですが,「タイヤの減り(新品⇔5部山⇔終わりかけ)に対するグリップの低下具合」を,このエリアの凹み具合から導き出せないかなー? 同じタイヤでも減ればグリップが低下する訳で,摩耗が進むにつれて徐々にサークルが小さくなっていったら面白いなぁ~と思いました.


次に,左右の両端のエリア(加速も減速もせず,目一杯横Gが出ている状態)から,クルマのグリップ性能が判断出来るそうです.それも内側と外側で見る視点が異なるとの事.



例えば,車高を変えて比較する場合,車高を下げれば重心高も下がり,左右の荷重移動量が減って限界が上がるため(↓),


(VD講座:第4回 荷重移動 その3より)

内側が先程と同様に膨らむようになります.これが低速域でのメカニカルグリップに相当するとの事です.上の図だとフロントの車高が赤の方が8mm高いため,青と比べて凹んでおり,限界としては下がっている事が読み取れます.


一方,同じ端でも外側はタイヤのグリップに空力が加わるため,エアログリップが判断出来るとの事(↓).



例えば,ウイングの角度を変えて比較した場合等ですね.上の図の場合では,ウイングの角度が同一なので差がない事が読み取れます.


こんな風に,現場でセットを変更して良い方向に進んだのか? 悪い方向に進んだのか?をパッと判断するのに,フリクションサークルは有用なのだそうです.ただ,ドライバーが体感で分からない微妙な差であればあるほど,今度はセンサの精度がモノを言う事になるので,GPSロガーのような簡易計測だと,どこまで分かるのか怪しくなってしまいますが・・・.

最新のクルマだと車体制御用に加速度センサを当たり前のように搭載しているでしょうから,OBDコネクタ経由で情報を吸い出して見れると良いんですけどね.ま,ABSも付いていないEF8でそういった事を考えるのは論外ですが(苦笑).


以上,フリクションサークルをセッティングに活用する方法でした.
Posted at 2025/05/05 02:19:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(ツール) | 日記
2025年05月04日 イイね!

インリフト時の荷重変化のお勉強

インリフト時の荷重変化のお勉強先日,「BICライブラリ」へ行って一番知りたかった「アップスイープ」のお勉強をした訳なのですが,その過程でインリフトの効果に関して新しい知見が得られたので,こちらに関しても纏めておこうと思います.

「インリフト」というのは,タイトル画像の通りコーナリング中に内側(イン側)のタイヤが浮く(リフトする)現象の事です.FF車だとリアタイヤで起こる事が多いですね.


見た目が派手なのでよく注目されますが,FF車は基本アンダーステア傾向なので,多少リアが浮いたところでどうという事もなく,「無視すればいい」なんて言う人もいるくらいです.実際,私のEF8みたいにリアのブレーキがロックし易いと,リフトする/しないで動きがかなり変わるので手を焼きますが,ロックしなれば気になりませんでした.



「インリフト」で良く言われるデメリットは,「タイヤ2個で支えている荷重が,リフトするとタイヤ1個に減る訳なのだから,トータルのグリップとしては落ちる(=遅い)」という説ですね.これはその通りだと思うので,私も出来る事ならインリフトはさせたくないです(特に高速コーナーでは).

その一方で,積極的にインリフトさせたい時もあります.例えば,ジムカーナでの180°ターンのように短時間で一気に向きを変えたい時(↓).



その場でクルッとクルマを回したいので,意図的にインリフトさせてリアを破綻させ,スピンモードに持ち込む事でこれを実現したりもします.こんな風に「リアの限界を下げるため」にインリフトを用いるのだと私は理解していたのですが,今回調べて知ったのは,インリフトさせる事で「フロントの限界を上げる」というお話.

どういうメカニズムか?というと,まずインリフトしていない場合,タイヤに掛かっている力(≒後軸の車重)は路面が支えており,ダンパーにも下方向に力が加わっています(↓).



ここからクルマがロールしてタイヤを持ち上げる力が働いた時,インリフトしなければ,タイヤに掛かっている力は変わらず路面が支えてくれるので,ダンパーだけが引っ張られるような形で上方向に力が生じます(↓).



この状態から更にロールして,タイヤが完全に路面から離れて宙に浮くと,タイヤ(≒後軸の車重)を支えていてくれた力がなくなるので,ダンパーに掛かる力は反転し,下方向に力が生じる事になります(↓).



そうするとどうなるか?というと,



リアのイン側はロールして伸びようとしていたものが途中で止められて,逆にロールを元に戻そうとする力が生じる事になります.すると,対角となるフロントのアウト側に掛かっている荷重が減る事になるのだそうです.つまり,コーナリング中にインリフトさせる事で,フロントの荷重が減って限界が上がる訳です.

言われてみればなるほどなぁ~と思いますが,今までインリフトは「リアの引っ掛かりをなくすもの」という認識だったので,「(テールスライドしない限り)フロントには影響しない」と思い込んでいたので目から鱗でした.
(プロが「インリフトさせてフロントの負担を減らす」と言っていた意味はこういう意味だったのか・・・)

なるほど,この理屈であれば,以前日光の6コーナーで経験した左フロントのバウンシングもそりゃ起きるよなぁ~と納得しました(↓).



  ①右のリアタイヤが浮くまでは左フロントは沈み込む
  ↓
  ②右リアが浮いた瞬間,右リアを下げる力が生じて左フロントが持ち上げられる
  ↓
  ③左フロントが持ち上げられたため,右リアが再び接地する
  ↓
  ④右リアが接地したため,再び左フロントが沈み込もうとする
  ↓
  以下繰り返し・・・

当時は左フロントが持ち上げられるのは,スプリングの反発力が強いせいだと思っていたのですが,コース形状のせいでもなく,物理的に起こるべくして起きていた現象だったのですね・・・.


話を戻して,インリフトする事で「フロントの限界が上がる」のだとすると,リバウンドストロークを増やしてインリフトを抑制すると,逆にフロントの限界が下がる事になります.このため,狙ったポイントでリフトするようにテザーを使ってリバウンドストロークを規制するクルマもあったそうです.テザーで規制するなんて聞いた事がなかったので,どういう代物なんだ?と写真を探してみたのですが,海外のレーシングカーという事もあり,残念ながら見つけられませんでした・・・.

いずれにせよ,やはりインリフトするギリギリのところを上手くコントロールして使う事が,速いコーナリングを実現する上で大事なんだなぁ~と改めて思った訳なのですが,



先述の「フロントの限界を上げる」要素として出てくる「バネ下の重さ」を見て,コレ,リアホイールの重さを変えて調整出来たりしないかな~?とも思いました.



しかし,以前調べた「非駆動輪を軽くしても無意味?」のブログを見返して,即座に「意味ないな・・・」と撤回しました(笑).ダンパーを自重で引っ張るためには数kg単位で重くしないとダメで,仮に重くする事でジャイロ効果が得られるとしても,キロ単位となるとデメリットの方が大きくなりそうです・・・.


以上,インリフト時の荷重変化のお勉強でした.
2025年05月03日 イイね!

アップスイープのお勉強

アップスイープのお勉強先月末,食事会のついでに「BICライブラリ」へ行って調べ物をしたのですが,一番知りたかった情報を得られなかったので,今度は国分寺市にある「東京マガジンバンク」へ行って来ました.

「東京マガジンバンク」への訪問は,昨年に続いてこれで2回目.前回訪問時のブログに丁寧に本の借り方を残しておいたおかげで,今回はスムースに借りる事が出来ました(1年前の自分に感謝・・・笑).


という事で,その一番知りたかった情報である,フロントアンダーパネルの「アップスイープ」に関して今回調べた結果を纏めておこうと思います.

まず,事の発端は先月「日産ヘリテージコレクション」に行った時に見学したBTCC仕様の「プリメーラGT」(↓).



このクルマの特徴の1つが「アップスイープ」で,「アップスイープ」とはフロントバンパー下面に設けられたアンダーパネルの後端の部分の形状の事を指しており,バンパー下までフラットだったものが,フロントタイヤの直前でリアのディフューザーのように角度を付けて持ち上げているのが特徴です(↓).



この「アップスイープ」の最適な角度は8~10°だそうで,それ以上角度を付けると加速時の水平姿勢の時はダウンフォース量が大きくなるが,減速時に前傾姿勢となった際,角度がつき過ぎて気流がストールし,ダウンフォースを失うのだそうです.そういった特性は前回訪問時の調査で理解したのですが,では,この「アップスイープ」でダウンフォースを得るためには,アンダーパネルをどれくらい地面に近づければ良いのか?という点が気になっていました.


以前調べた文献では(↓),


(Aerodynamic Effects of Indy Car Componentsより)

「車高を10mm以下に下げないと,アンダーパネルでダウンフォースは得られない」というデータが示されており,これを見て「車検対応の90mm車高では全くダウンフォースが得られない」という事を知りました.このため,EF8にアンダーパネルを装着した後,リアの安定感が増したように感じたのは,



アンダーパネルによってダウンフォースが出ていたためではなく,単に重量物がボディ下面に付いて重心が下がったためなんだろうなぁ~と思っていました.


しかし,実際にこの「アップスイープ」を備えたフロントバンパーの実物を見てみると(↓),



低い事は低いですが,さすがに10mmという事はなさそうだなぁ~と思いました.

じゃあ,一体,このクルマの最低地上高はいくつなんだ?と調べてみたところ,45mm である事が分かりました.実際は車速が上がれば上がるほどダウンフォースが掛かって車高が下がるため,走行中の実車高はもっと低いそうなのですが,それでも「車高45mm以下であればアンダーパネルでダウンフォースが発生する」という情報を得る事が出来ました.10mmに比べれば45mmというのは大分現実的な数字なので,少し期待感が増してきたのですが,ここで1つ気になる事が.

「車高45mmでダウンフォースを発生させるために必要な車速はいくつなのか?」

2L NAとはいえ,この世代のツーリングカーの出力は300PSを超えています.それなりにかなり高い車速なんじゃないか?と思い,JTCCのツーリングカーの最高速がどれくらいだったのか?を調べてみたところ,こんなデータが(↓).



富士スピードウェイのホームストレートが約1.5kmですから,最高速で240km/hレベルという事ですね・・・.やっぱりレーシングカーだなぁ~と思いつつ,中間加速が知りたいな~と更に調べてみると,こんなデータを見つけました(↓).



TC2000の計測点で196km/hだそうです(ちなみにタイムは57.08).やっぱり化物だな・・・と思いつつ,これくらいの車速であれば,車高45mmでもダウンフォースは出るという事のようです.ちなみに,私のEF8は150km/h台ですから,45mmでは到底足りず,もっと車高を下げないと効果は得られないのでしょうね.


なお,先述の「プリメーラGT」で車高が45mmなのはフロントバンパーの部分だけで,サイド~リア部分はもっと高いです(↓).



これはレギュレーション上の制約から落とせないという事もあるのですが,フロントバンパーで圧縮した空気を素早く抜くためには,むしろサイドの車高が高い方が好都合だったそうです.


そんな感じで定量的なデータが得られたので,「アップスイープ」に興味が湧いてきたのですが,先日,首都高で緑甲羅をぶつけられてアンダーパネルを破損したので(↓),



いっそ,アップスイープ付きのアンダーパネルに変更するか?とか考えていたのですが,調べてみたら汎用品でも結構良い金額でした・・・.となるとワンオフで作ってもらうしかないか?と更に調べてみたところ,こんな製品を見つけました(↓).


(CF Lab:アップスイープ Type1 STD FRP製より)

  A:320mm  B1:295mm  B2:185mm  C:115mm  D:50mm

こんな感じで後付け出来る「アップスイープ」のようです(↓).


(CF Lab:アップスイープ Type1 STD FRP製より)

価格もそこまで高くなさそうなので面白そうだなぁ~と思ったのですが,果たして私のEF8に取り付けられるスペースがあるのか??





ちょっと厳しいかな・・・.ちなみに「アップスイープ」を付ける場合はストレーキ(↓)は撤去となりますね.




最後に,JTCC車両だと「アップスイープ」ではなく,こういった排出口をバンパー横に設けているケースもありますが(↓),



コレ,ダウンフォースを稼ぐという意味合いではなく,あくまでクーリングのために設けていたそうです.

バンパー横というのは負圧域なのだそうで,ここに開口部を設けると空気がよく抜けるのだそうです.その反面,ドラッグは増えるそうで,「前面投影面積を増やすようなもの」と表現されていました.冷却性能を取る場合は開口部を開け,最高速を延ばしたい場合は開口部を塞ぐ,といった切替をレースでは行っていたそうです.なので出来れば,ここはシャッター式が望ましいそうですが,実際のレースでは簡単なのでテーピングで済ませていたようですね.

こういうのを知ると,「日産ヘリテージコレクション」で観たGT-RのR33にはあって(↓),



R34にはなかった(↓),



・・・のは,そういう理由だったからかぁ~と理解が深まりました.


以上,アップスイープのお勉強でした.
Posted at 2025/05/03 00:57:17 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(空力) | 日記
2025年05月02日 イイね!

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~

Heritage Collection ~GT-R SUPER GT仕様編~「日産ヘリテージコレクション」見学のラスト.GT500仕様のスカイラインGT-RフェアレディZと来て,再びGT-Rに戻ります.

こちらも同様に詳しく観たいところなのですが,タイトル画像の車両達は一番近い位置に置かれた2008年仕様以外は仮置き(展示準備中?)といった感じで,車両の概要を示すプレートもなく,詳細が分かりませんでした.また,2010年代の車両は形状が複雑過ぎて素人には識別も難しいため,今回はサクサク進めようと思います.

まずは,2008年の「XANAVI NISMO GT-R」.



GT-R復帰初年度のモデルですが,正面から観るとボンネットが本当に低く,ヘッドライトの外側も少し盛り上がった形状をしているのが分かります(↓).



ミラーも空力を意識しつつ比較的前後方向に大きな形状(↓).



リアフェンダー周りも比較的シンプルな印象を受けました(↓).




お次は,別の場所に置かれていた2013年の「NISMO MOTUL AUTECH GT-R」.



先程の最初期のGT-Rから5年が経過しているのですが,正面から観るとそれほど違いはない・・・かと思ったのですが,実はボンネット中央部の膨らみがなくなっているとの事(↓).

【2008年仕様】


【2013年仕様】


2008年仕様で膨らんでいたのは,エンジンのエアボックスが巨大でエンジンルームの中に収め切られなかったためだそうで(↓).



翌2009年仕様で何とか収めて,ボンネット中央部の盛り上がりがなくなったそうです.
フロントのフェンダー周りは空力の進歩によって,さすがに複雑度が増しており(↓),



ミラーもより前後方向に大型化した印象(↓).



リアフェンダーも細かな工夫が見て取れます(↓).



リアウインドウ周辺は,ここまで観て来たGT-RやZと比べると大幅にシンプルですね(↓).



フロントはR35なので独特ですが,リア周りはここまで観て来た歴代のスカイラインGT-RとフェアレディZを混ぜたような感じ(↓).



リアタイヤ後方に大きな開口部があるのは歴代と変わりませんが,フェンスが貼ってあるのはこれが初なような?(↓)



また,トランク上部のこの黒い部分(↓)はスリットでした.



なお,レーシングカーで時折見るパイプ(?)もありました(↓).




再び場所を戻って,次は恐らく2015年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」.



DTMとのレギュレーション統合を推し進めた年代なので,共通部品の導入等でアチコチ微妙に異なっています.



フロントフェンダー周りを先述の2008年仕様と見比べると,これだけ違います(↓).



これは,空力の可能開発エリアというのが定められたためでしょうね(↓).


(HONDA:ダウンフォースにこだわった空力開発 SUPER GT 2014年〜2019年より)

ミラーも凄くシンプルですね(↓).



リアフェンダー周りにギザギザが付いており,近代のエアロだなぁ~という感じです(↓).






最後は,こちらも恐らくですが2018年仕様の「CALSONIC IMPUL GT-R」.



フロントウインドウの全面に黒いフィルムが貼られているので,もしかしたらショーカー(モックアップ)かもしれません.ちなみにその奥に置かれているのは,同じ2018年仕様の「MOTUL AUTECH GT-R」に見えますが,こちらはウインドウにフィルムが貼られていないので本物のようですね.


以上,Heritage CollectionのGT-R SUPER GT仕様編でした.

まだこれ以外にも多数のクルマを写真に収めたのですが,キリがないので今回のシリーズとしてはここで終わりにします.とにかく「日産ヘリテージコレクション」は展示の台数が多く,時間制限こそありますが見学の満足度としては非常に高いです.市販車/レーシングカーを問わず,日産車に興味のある方は,何とか予約を成功させて1度訪れてみては如何でしょうか.
Posted at 2025/05/01 18:57:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記
2025年05月01日 イイね!

Heritage Collection ~Z GT仕様編~

Heritage Collection ~Z GT仕様編~GT-Rの次はZという事で,JGTC/SUPER GTのGT500仕様のフェアレディZです.

観ていた時はGT-R多いなぁ~と思っていましたが,撮影した写真を見返してみると,Zも負けず劣らず結構な台数でした.日産のワークスと言えばGT-R or Zとなるので当たり前と言えば当たり前なのですが,こうなると相対的にシルビアが少なく感じ,非ワークスのプライベーターに愛されたクルマという事なのでしょうね.

最初は2004年仕様の「XANAVI NISMO Z」.当時のチャンピオンマシンですね.



販売が終了し,プロモーション意義を失ったGT-Rからバトンタッチされる形で作られたクルマですね.各種コンポーネントをGT-Rから引き継いでいるため,エンジンもV6のVQ30DETTとなっています.

ベースとなるZ33型は前後のオーバーハングを切り詰めたデザインとなっており,この点がGT-Rと比べると空力的に不利になるため,わざわざベース車にロングノーズバンパー(前方+180mm),ロングテールバンパー(後方+135mm),サイドフィニッシャー(サイド+25mm)を装着し,オーディオレスにした「TYPE E(↓)」という期間限定車を販売し,これをGT車両のベースとして申告したそうです.



ちなみに,「サイドフィニッシャー」とはリアフェンダー前のルーバー状の部品の事を指すそうなのですが,完全に横幅を稼ぐためだけに付けた後付けパーツなのだそうで,実物の中身はくり抜かれていないし,GT車両ではそもそもこのパーツが付いていないそうです(割り切ってますね・・・).また,リアの「ロングテールバンパー」は斜めに持ち上がった形をしていますが,これはGT車両で下にディフューザーを装着する事を想定して,ディフューザーの延長線上に切り上げたバンパーが繋がるようにして,実質的にディフューザーの長さを稼ぐ狙いがあったとの事です.今回の展示ではリア周りが全く見えず,この辺りを確認出来ないのが残念でした・・・.

なお,拡大させたオーバーハングに注目して観てみると,アンダーパネルの突き出し量が結構多いのが印象的でした(↓).




このお隣には,2006年仕様の「MOTUL AUTECH Z 」が展示されていたので(↓),



そことの対比で観てみると,レギュレーションの変更でオーバーハングの自由度が増したせいか,アンダーパネルの突き出し量はグッと減っているのは分かりましたが(↓),



それ以外の部分は目立った違いがなく(↓),



改良は外部ではなく,内部に対して重点的に行われたんだろうなぁ~と思いました.後で調べてみたところ,GT-Rと比べてダウンフォースは増えたが,実は全面投影面積がGT-Rより4%広いのだそうで,ルーフが高い分だけドラッグも大きく,これを補うためのエンジンパワーの向上に力を割いたそうです.


「GT-Rと比べるとZは変化代が少なくてツマらんなぁ~」なんて思いながら次に観たZは,2007年仕様の「XANAVI NISMO Z」.



こちらは先述のパワー不足を補うために,エンジンを4.5L V8のVK45DEに変更.ボディワークも観ただけで分かるくらい大きく変化していました.

アンダーパネルの突き出しも形状が異なりますし(↓),



カナードも割と高めの位置に変更(↓).



フロント・リア共にフェンダー後方が後ろへ伸びる近代のデザインに近い形となっています(↓).





後ろから観るとゴテゴテ感も凄く(↓),



素人には何がどうなっているのか分からん形状にまで進化しています(↓).



リアウインドウの上部には開口部があり(↓),



また何かの取り込み口か?と思ったのですが,これ透明な板で蓋をしているだけで実際は吸気口ではなく,排出口っぽいですね.

リアゲート部分にはお約束の取り込み口があり(↓),



後ろからみるとスリットが見えたので,ここから抜いているようです(↓).



ちなみに,ルーフにはベンチレーション用なのか? 薄いインレットがありました(↓).



GT500仕様としてはこの2007年モデルが最後で,翌年から再びGT-R(R35型)に戻って行きます.


最後にGT300仕様のZも.



こちらは2010年のチャンピオンカーである「HASEMI SPORT TOMICA Z」.最初観た時は「(3年後なので)GT500仕様をデチューンしてGT300用にしたのかな?」と思いましたが,こちらはGT500仕様をベースとしたものではなく,2002年のALMS(American Le Mans Series) GTクラス(GT3みたいなもの)向けに開発した車両をGT300クラス向けに転用したものなのだそうで,全く独自の進化を果たした別のZなのだそうです(ベースが北米向けなので左ハンドルとなっている).

そうしてみると,フロント周りはGT500仕様と比べて随分と大人しい感じもしますが(↓),





フロントフェンダーは年代相応に派手な形状だなぁ~と思ったら(↓),



こちらはクルマを受領後に,チーム(ハセミモータースポーツ)側で独自に改良したものなのだそうです.
リアフェンダーも同じような佇まいですが(↓),



先程のGT500仕様ほどの過激さはないですね.
ミラーに追加ステーを付けて補強しているのはカスタマーレーシングっぽいですし(↓),



GT500仕様だとフロントフェンダー直後から飛び出ているマフラーも,このGT300仕様では,ドアの後ろまで引っ張る形(↓).



GT500とは異なり,ボディワークではなくウインドウ側にインレットがありますし(↓),



設計思想が異なるのが見て取れて面白かったです.あと,面白いと言えばウイングの固定部位(↓).



リアゲートではなく,フレームに直接付けているのは理解するのですが,このスリットの跡からすると,当初は内側の2つを使った幅の狭いステーだったのでしょうね.それが後に幅の広いステーに変わって穴が増えた様子が窺えます.こういう想像が掻き立てれる痕跡って面白いですね.

ちなみに,これは後日調べている時に知ったのですが,このクルマには「インナーホイールカバー」というものが付いているのだそうで(↓),


(AUTOSPORT No.1283より)

ホイールハウス内の整流が目的だそうなのですが,ブレーキダクトとの位置関係等,実車でどんな構造・クリアランスだったのか確認したかったなぁ~と後悔しました・・・.orz


以上,Heritage CollectionのZ GT仕様編でした.
Posted at 2025/04/30 21:06:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | 博物館見学 | 日記

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「体感フェス in 池袋見学(R5編) http://cvw.jp/b/1684331/48552608/
何シテル?   07/20 20:34
GPSロガーを使ってクルマとドライビングを改善しながら,B18C搭載のCR-XにB16AのCR-Xで挑んでいます. TC2000 1'07.4/TC1000 ...
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