![[売却・引渡し完了]トヨタ GRカローラ "RZ“(6MT/AWD) [売却・引渡し完了]トヨタ GRカローラ "RZ“(6MT/AWD)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/049/154/736/49154736/p1m.jpg?ct=03704cf75913)
GRカローラを売却した。
50歳になったらトヨタ・クラウンを買ってみようと密かに長年考えていたが、いざ50歳になって、40台目の愛車として迎えたのはクラウンでは無く、GRカローラ。
人生の節目で手に入れたクルマとして、当然大きな期待を寄せていたクルマでもあった。なので、今回の売却は随分と悩みました。クルマそのものに致命的な欠点があったわけではない。むしろ、GRカローラというクルマはハイパフォーマンスカーとして非常に懐の広い完成度の高いクルマだと今でも高く評価している。
GRカローラは2022年の登場時より、ずっと買いたいと思っていた。2022年12月に500台の抽選販売、続く2023年9月も550台の抽選販売。いずれも落選となったが、いずれは自分のガレージに迎えたいと思っていた。
2025年2月4日に進化型「GRカローラ(25式前期)」が発表された際、今回は抽選では無く販売会社ごとの台数割り当てというスタイルとなり、以前から購入希望を伝えていた札幌のトヨタ販売店から声を掛けていただき契約となった。
ちょうどその頃、前年(2024年)オーダーしていたGRヤリスの納車が間近に迫っていた最悪のタイミングであり、GRカローラ契約=GRヤリスの短期売却が確定してしまうことでもあって一晩悩んだが、「本当に乗りたかったのはGRカローラ」だとの決断に至った。まぁ今でもGRヤリスには申し訳なかったと思う。金銭的にも結構な負担となったが、自分のわがままを通した勉強代として受け入れるしかない。
↓2025年4月納車~7月売却。わずか3カ月の売却は想定外。
そんな紆余曲折があって2025年7月にGRカローラはメデタク納車。ボディ色は不人気エモーショナルレッドⅡ。メーカーOPはシートヒーターとステアリングヒーターを装着し、乗出し価格はおよそ620万円だった。
まず、デザインは非常に気に入っている。ベースとなった現行カローラシリーズは、もともとスタイリッシュなデザインだと思う。そこにGRらしい力強さ、少しガンダム的とも言える演出をこれでもかと足し算したGRカローラは、見た目として非常に面白いクルマだった。特に3本出しのマフラーは、このクルマの大きなアイコンだと思う。しかも見た目だけではなく、音も良い。トヨタの市販車としては、かなり思い切った音量と迫力がある。ドライブモードをスポーツにすると排気バルブが開き、さらに野太い音になる。そうした演出や洒落が利いていて、GRヤリスよりも遊び心を感じる部分だった。
走りについても、ハイパフォーマンスカーとして文句のない実力を持っている。1.6リッター3気筒ターボから最高出力304ps/6,500rpm 最大トルク 40.8kg-m/3,250~4,600rpm を発揮。2500rpmを超えてターボが効き始め、このエンジンが本領を発揮した時の加速は強烈の一言。凄いを通り越し、怖いと思うほどのパワーが炸裂する。これに乗って「パワーが足りない」と感じる人はまずいないだろう。
それでいて、過去に人気を博したインプレッサWRXやランサーエボリューションのような荒々しさとは無縁。私は1998年式の
インプレッサWRX Type R STi Version IVを所有していたことがある。記憶の中にあるインプレッサは、壊滅的に低回転域のトルクが薄く、坂道発進に気を遣うところがあった。その代わり、ターボが効き始めた後の「ドッカーン」と来る加速の段差はなかなか強烈だった。
それに比べ、GRカローラははるかに扱いやすい。MT免許を取ったばかりの方が恐る恐る乗っても普通に運転出来るシロモノ。最新世代のハイパフォーマンスカーらしく、非常に懐が深く、誰にでも扱える民主的なスポーツモデルになっている。
一方で、私にとって気になる点もあった。
ひとつは、エンジンブレーキ。GRカローラのエンジンは、ボディサイズに対して排気量が小さい1.6L。小排気量エンジンにターボを組み合わせたダウンサイジングターボ的な要素があり、シフトダウン時に期待したほどのエンジンブレーキが効かない印象がある。トヨタのiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)は綺麗に回転合わせをしてくれるので、シフトダウンそのものは何の苦も無くスパっと決まる。しかし、そこで得られる減速感が自分の期待より薄い。山道を走っていると、GRカローラでは運転のリズムが取りづらいと感じていた。
強力なブレーキと有り余る大パワーが有るのだから、チマチマとエンジンブレーキなんて使わずに、パワーで全てを塗りつぶせるクルマなのは理解しているが、個人的には好きになれない部分だった。
もうひとつは、シフトフィールと着座位置。
高出力を受け止めるマニュアルトランスミッションは、どうしてもシフトフィールはイマイチになる傾向だが、GRカローラのシフトフィールも絶品と評価するには至らない印象。渋くてシフトが入らないなんてことは無いが、私が過去経験してきたS2000やロードスターのように「シフト操作そのものが快楽」と思えるような質感は無かった。ちょっと事務的という表現が相応しい様に思う。
また、ロードスターやS2000のような2シーターのスポーツカーは、人間が車両の中央且つ低い位置に座り、足を前方へ投げ出すような姿勢で運転する。当然クルマを自ら操っている感覚が強い。
それに対して、GRカローラはやはり乗用車ベース。後席があり、5ドアで、実用性もある。その反面、運転姿勢はどうしても「椅子に腰掛けている」感覚になる。絶対的な速さやサーキットでの性能ではGRカローラが圧倒的に有利なのだろうが、「人馬一体」と言うべきクルマとのシンクロ感は物足りないイメージが有る。
思えば、インプレッサWRXに乗っていた時も同じことを感じ、スズキ・カプチーノを初のセカンドカーとして所有した際、「あれほど馬力のあるインプレッサより、こんな小さな軽スポーツの方が面白いじゃないか」と感じた経験があり、それ以降、乗用車ベースのハイパフォーマンスモデルから離れていた。
GRカローラに乗って、私の根本的な好み(嗜好)は変わっていなかったと痛感した。「同じ轍を踏む」とはこのことか....。
さらに、愛着が深まらなかった理由として、販売や改良のタイミングに対する違和感も大きかった。
私がオーダーした進化型GRカローラ(25式前期)は2025年2月に発表され、7月に納車されたが、納車直後の
2025年9月に再度改良が実施され、25式後期と呼ばれることとなった。GRカローラの様なハイパフォーマンスモデルが絶えず進化していくこと自体は、正しいと思う。ただ、今回はタイミングがあまりにも早く、内容にも驚いた。特に致命的だったのが、ボディ剛性アップの為に構造用接着剤の塗布を+13.9mも延長したこと。3ドアで専用に設計されたGRヤリスからGRカローラに乗り換えると、やはり乗用車由来と言うべきボディ剛性の緩さは感じていたので、改良メニューとしては必然だと思うが、それなら進化型GRカローラのタイミングで盛り込んで欲しかった。(ボディ剛性アップはレトロフィットできないから)更に言えば、何故か価格も据え置きだったのがキツイ。改良を施したコストは適切に付加していくべきだと思うが、この状態では、まるで自分のクルマが“忘れ物をした状態”のように感じてしまう。
クルマはスペックとコスパだけで所有するものではない。長く付き合うには、マインドやストーリーが必要だ。今回GRカローラでは納車早々に、その気持ちを保てなくなってしまった。
ちょっとネガティブな話題が多くなったが、GRカローラを否定するつもりはない。
5ドアボディの5人乗り。荷物も積める。リアワイパーも付く。なんなら普通の実用車としても使える。それでいて、ひとたびアクセルを踏み込めば圧倒的なパフォーマンスを発揮する。GRヤリスのような息苦しさもなく、日常の使いやすさは明らかにGRカローラが上だった。
ライバルとしてはフォルクスワーゲン・ゴルフRが思い浮かぶが、GRカローラはゴルフRよりもレーシングでスパルタン寄りだと思う。ゴルフRには、ゴルフの最上級モデルとしての上質感を表現したい意図がある。一方、GRカローラに「カローラの最上級モデル」としての色気のようなものはあまり感じない。サーキットやレースフィールドで速く走るためのクルマに徹している。
日本市場はGRヤリスとGRカローラの両方が選べる。GRヤリスは勝つためのレーシングモデル、GRカローラはトヨタの中核たるカローラの最上級スポーツモデルとして、もう少し上質感や所有する喜びに振った仕様があっても面白かったのではないかと思う。もしそういうパッケージやグレードがあれば、私はそちらを選んでいたかもしれない。(まぁそれを体現したのがレクサス・LBXモリゾウRRなのか...)
今回、GRカローラを所有し得た最大の結論は、自分にとってロードスターの代わりになるクルマはなかったということだ。
私は冬になるとロードスターをガレージ内で冬眠させている。毎年11月中旬から3月いっぱいまで、およそ4か月半は乗れない。だから、通年で乗れるAWDのスポーツモデルがあれば、ロードスター後継になるのではないかと期待し、GRヤリス/GRカローラを購入してみた。
しかし答えは明確で、自分にとってロードスターは別格。ロードスターの後継を探すのではなく、今のロードスターをいかに長く乗るかを考えるべきなのだと腹に落ちた。皮肉な結果ではあるが、GRカローラを所有したことで、そのことがはっきり確認できた。
GRカローラで最後のドライブをしながら、改めてGRカローラは面白いクルマだと思った。足回りは締め上げられ、段差を越えた時のショックも割とハッキリ伝わる。マフラーからは野太い音が響く。単なる実用車ではないことは、常に感じさせられるが、それでいて街乗りで特に苦労することもなく、なんなら通勤にも普通に使える。本当に万能なスポーツモデルだった。
ただ、私がスポーティーなクルマに求めるものは、絶対的な速さではなく、シフト操作を駆使し、エンジンブレーキを使い、減速しながらコーナーへ入っていく。そういう面倒くさい操作を楽しむことこそ、クルマ好きの醍醐味だと改めて認識した。GRカローラは私が求める楽しさとは少し違っていた。ずっと判っていたと思うが、やはり買ってみないと判らないというのもクルマ趣味の面白いところ。
なんとかして欲しい・買いたいと思い続けていたクルマだったから、GRカローラを所有できて良かった。モリゾウさんが孤軍奮闘して国産スポーツモデルを守っている事にも身銭を切って3票(GR86/GRヤリス/GRカローラ)投じたことに後悔はない。
私のマイカー遍歴の中で、GRカローラは間違いなくひとつのピークになると思う。価格、性能、存在感。そのすべてにおいて、40台目の愛車にふさわしい特別な一台になったと思う。
GRカローラの売却で近年続いていたトヨタ車の購入は一旦打ち止め。当面トヨタ車に乗る予定は無い。さて。次はどうしますかね~
