![[ファーストインプレッション]ダイハツ・コペンセロ(FF/CVT) [ファーストインプレッション]ダイハツ・コペンセロ(FF/CVT)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/049/225/732/49225732/p1m.jpg?ct=c49884641761)
41台目のマイカーとしてダイハツ「コペンセロ」が納車されて1ヵ月。走行距離は1,200kmを超えて最近のマイカーとしては異例のハイペースである。
「コペンセロ」は仕事を終えた後「少し乗ってこようかな」と深夜に札幌市内を20〜30分程度走ったりもしている自分に驚く。
ドライブとなれば、人気の少ない山道で右や左へコーナリングを楽しんでこそと思っていたが、コペンは札幌市内の幹線道路をまったりと走るだけでも妙に楽しい。なんというか、ドライブと言うより愛犬と散歩に出かけるような気分である。
ロードスターは、天気が良く時間も十分にあってと、ドライブと撮影に最高の環境が整ったときだけガレージから出てくるので、まぁ「箱入り娘」状態になっているのは否めない。
一方コペンは、多少曇っていても、ちょっとした空き時間があれば、近所をひと回り...と気軽に乗っている。コンパクトなボディと手頃な価格。ラクチンな2ペダル(CVT)だから混雑する街中も嫌にならない。思っていた以上に、ロードスターとコペンの使い分けは出来ていると思う。
「コペンセロ」で1,200km走った印象を"一言"でまとめるなら「おもちゃっぽくて楽しい」。もちろん玩具=安っぽい(チープ)という意味ではない。軽規格のコンパクトサイズのボディに660ccターボエンジンを積み、そこへ電動開閉式ルーフまで押し込んだ。すべてがミニマムで、限られたリソースを総動員して成立している箱庭的な感じが、ラジコンのようで面白い。
コペンで山道を走ると、ターボエンジンが頑張って加速し、少し勇ましいマフラー音が響いてくる。当然パワーやタイヤのグリップは限られるから、荷重移動を意識し、トルクバンドを外さないように走らせる。これが楽しい。性能を使い切る。私はやはり、こういうミニマムなスポーツモデルが大好きですね。
以前乗っていた初代コペン(L880K)と比べると、2代目はボディのしっかり感や全体の品質は確実に熟成した。一方、初代が搭載していた4気筒エンジンの滑らかな回転フィールやサウンドは軽自動車離れしたものがあった。3気筒になった現行型はその点で明らかに劣る部分があるが、低回転域から太いトルクが立ち上がってくるのは設計の新しいパワーユニットらしいところ。
燃費も悪くない。平均燃費は17.78km/L(CVT)。淡々とロングドライブしていると20km/Lを簡単に超えてくる経済性は大したもの。但し、Sモードを使って山道を楽しめば13〜14km/L程度まで落ちる。それでもターボ車でレギュラーガソリン仕様だと思えば納得の範疇だろう。ちなみに初代コペン(L880K)は平均16.58km/L(5MT)だった。
「コペン」と「ロードスター」を冷静に工業製品として比べれば、ロードスターの方が圧倒的に完成度は高い。
特に完璧なドライビングポジションに加え、エンジンやシフトのフィーリング、脚周りのしなやかさ。これらによるコーナリングでの自然な身のこなし。マツダが言う「人馬一体」は伊達ではなく、すべてが丁度良くハイレベルにまとまっている。もしロードスターとコペンのどちらか一台だけを選ぶなら...と聞かれれば、コストパフォーマンスも含め私は迷わず「ロードスター」を勧める。

勘違いして欲しくないのは、だからと言って「コペン」が駄目とは全く思わないという事。クルマの価値判断と言うか、評価は必ずしも「完成度が高いこと」だけで決まるものでは無い。
「コペン」はFFベースのオープンボディで後輪はドラムブレーキ。最新の安全装備も備わらない。理詰めに評価すると厳しいが、運転席に座って走り出せば、そうした細かい欠点はどうでもよくなる。気軽さや愛嬌に加えて、全てが手の内に収まる感覚。コペンにしか出せない味があるのも確か。
過去2台所有したホンダ「S660」と比べても、キャラクターの違いは明確。「S660」はミッドシップらしい鋭いコーナリングと独特のトラクション感があり、より走りに没頭したくなるオタク要素が強いスポーツカーだった。惜しいのは折角ミッドシップに搭載したエンジンのサウンドが事務的なことと、ロールトップ(屋根)の取外し/取付が面倒で億劫な事か。
「コペン」はそれよりすべてがマイルドだが、ステアリングフィールは十分スポーティーだし、ブレーキも不満がない。所謂トヨタ的な初期制動が強いタイプではなく、踏み増すほど素直に制動力が立ち上がるタイプ。私はこういうリニアな味付けの方が好み。「S660」とは比べ物にならないトランク容量や実用性。そして何よりロックを2ヵ所外してボタン操作だけで電動開閉する「アクティブトップ」が備わる。潔くガチのスポーツカー路線へ振った「S660」と、実用性を持ったオープンカーを目指した「コペン」。似ている様で全く違うキャラクターなのは興味深い。
「コペン」の購入時には、GR SPORTのマニュアルか、セロのCVTかでかなり迷った。趣味車として考えればMTに気持ちが傾くのは当然だが、最終的にCVTを選んだ。今のところ、その選択は自分の使い方に合っていたと思う。
今回「コペン」に求めたのは、シフトフィールやクラッチのフィールを吟味しながら山道を走る事ではない。それはロードスターに任せればよい。
特にあても無く札幌の街を流し、多少混んでいても気にならず、空いた時間をドライブに変えること。32年前に免許を取得した頃、夜な夜な札幌の街を走り回っては運転の練習をしていた記憶が蘇った。
クルマが変われば、行く場所だけでなく、クルマとの付き合い方も変わる。コペンはとっくに忘れかけていた「ただ近所を走るだけでも楽しい」という感覚を思い出させてくれた様に思う。
「コペン」にはもちろん気になる点もある。
まず、ルーフを閉じているときのギシギシ、ガタガタという異音。初代コペンから続く特徴で、屋根を開けると大抵は止まるから、ボディではなくルーフから鳴っているのだろう。新車時から既に鳴っているので、もう少し改善してほしかった。
次に、水温計がないこと。実用上は困らないが、スポーツカーを名乗るなら欲しかった装備。また、スマートフォンや飲み物の置き場所も今ひとつ。カップホルダーは有るが、場所が悪く使いやすいとは言い難い。毎回触れる本革ステアリングも、ゴワゴワしていてもう少ししっとり滑らかな革なら嬉しかった。
不思議なもので、それらの不満も「まぁ欠点もあるがそんなものかなぁ..」と笑い飛ばせる程度。社外パーツで改善できるものもあるし、200万円台前半の車両価格で電動アクティブトップまで仕込まれていると思えば大したものだろう。
実は「コペン」納車の数日前に、大阪のダイハツ本社にある"コペンファクトリー"を見学させて頂いた。過去色々な自動車工場を見学してきたが、最もコンパクトな規模で、熟練のスタッフが一台ずつ丁寧に組み立てていた。一般的な大量生産ラインとは違い、1日僅か40台。実際にその現場を目の当たりにして、こんな手間と時間のかかる生産方式を採用したクルマをこの価格帯で販売していること自体奇跡だと思えた。残念ながら2代目コペンは今月末で生産を終了するのが惜しい。
次期コペンがどんなクルマになるのかまだ分からない。ダイハツは次期コペンをFR駆動にしたいようだ。そうなれば価格もかなり上昇するだろう。ロードスターとの価格差が縮まると、コペンの販売は苦労するかもしれない。当然、FRのコペンにも期待したいが、個人的にはFFのまま、低価格なエントリーオープンカーを追求する路線もあるのではないかと思うのだが。
「コペン」にはスタッドレスタイヤを用意している。道路が圧雪アイスバーン状態になって凸凹してしまう時期はガレージで冬眠して貰う予定だが、それまではコペンを楽しみたい。例年なら年内いっぱいくらいは大丈夫だと思う。

↓ダイハツ本社工場(池田)のコペンファクトリーを納車直前に訪問

↓大阪駅に展示されていたダイハツの軽トラ(旧モデル)

Posted at 2026/08/19 00:23:27 | |
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