トヨタとは不思議なメーカーだなぁといつも思っている。今や世界一の生産台数を誇る大メーカーであるにも関わらず、記憶に残るクルマやいわゆる名車と呼ばれるクルマを生み出す能力はかなり低い。80点主義なんて言う言葉もあるが、意図的に「名車」にならないように作ってます~なんて言うことはないでしょうから、それがトヨタの社風なんでしょう。しかし、トヨタは別の角度から見ると凄いメーカーだなと驚くことも多い。一例ではハイエースやプロボックスなど商用車を作らせれば天才。そして、今回取り上げる「ラウム」。こんなクルマはトヨタ以外からは絶対に出てこないでしょう。何故なら、トヨタは販売系列が未だに「トヨタ店」「トヨペット店」「カローラ店」「ネッツ店」そして「レクサス」と5系列もっている。お陰でプラットホームを共有した「兄弟車種」が多く誕生する背景がある。他社ならトライできないような実験的な車種を送り出す余裕があるんでしょう。「ラウム」の他に「ポルテ」なんかもそんな匂いがしますね。2代目となる現行「ラウム」は2003年05月に登場。「クルマづくりにおけるユニバーサルデザインの追究」を開発テーマに掲げ、すべての人にやさしく、使いやすいことに徹底的にこだわり、新たに策定したユニバーサルデザイン評価指標を用いた開発手法によりそれを具現化。21世紀のクルマの新しい価値観を反映した「人と地球にやさしく、使って楽しい、次世代ビークル」として、今後のトヨタのクルマづくりの方向を示唆するものとかなり意気込んで開発されたクルマである。「ユニバーサルデザイン」という言葉も私はこのラウムで初めて認識したように思う。まぁ難しい言葉は抜きにしても、走りの性能ではなく「すべての人にやさしく、使いやすいことに徹底的にこだわったクルマ」という開発コンセプトって実はもの凄くトヨタっぽいなと思ってます。クルマの本質(走る曲がる止まる)とは別次元のベクトルを追求しているメーカーと言うのはまだそんなに多くはない気がしてます。ほぼ同時期の2003年09月に発売された現行「プリウス」にも似たエッセンスを感じる(ステアリングは共通か?)が、高齢化社会や自動車に対する価値観の変化を考えた一つの回答として「ラウム」は個人的に評価している。運転席に乗り込んでみると毎回驚かされるが、前後左右の見切りが良い。最近、ミニバン的にAピラーが前進しボンネットからワンモーションフォルムで構成されるデザインが流行(我が家のR2もその1台)だが、案外斜め前方の視界を遮られる事が多い。また、インパネもボタンが大きく操作しやすい(汎用タイプの純正ナビは除外)。最近タント等も採用し、珍しく無くなって来たが「パノラマオープンドア(助手席側センターピラー内蔵ドア)」とパワースライドドア(助手席側)の採用はお年寄りやチャイルドシートを必要とする乳幼児だけのものにしておくのは勿体無い。クルマに趣味性を求めず、ただひたすらに使いやすさを求めるならば「ラウム」はもう少し評価されても良かったクルマではないか。まぁ過去に試乗した記憶を辿れば走りに関しては驚くほど本当に普通(笑)。退屈な運転フィールがユニバーサルデザインの具現化ではないと思うのだが。また、トヨタの一番の悪い癖は「熟成」が出来ない事。仏作って魂入れず。ラウムは2003年の発売以来、これまで5年以上大きなマイナーチェンジを受けていない。(一部改良は05/06年に2度実施)エンジンは1.5L(NA)の1NZ-FE型/直4気筒DOHCで最高出力109ps/6,000rpm 最大トルク14.4kg-m/4,200rpm。車重は1,150kg(全て2WD/Gパッケージ)パワーウエイトレシオは10.6kg/ps。ミッションは未だに4速AT。このエンジンはトヨタの主力エンジンであり、カローラアクシオなどは既にSuper CVT-iが採用されている。また、売りであるはずの「パノラマオープンドア」がネックになりサイド/カーテンエアバッグが設定されていないが、同じトヨタで「パノラマオープンドア」を採用する「アイシス」にはSRSサイド+カーテンエアバッグ(フロント・セカンドシート)が+6.3万円で設定されている。(アイシスはラウムより1年後の04年9月発売)これらは本当に惜しい。皮肉にも「21世紀のクルマの新しい価値観を反映した」クルマであったはずが、燃費対策や安全装備の装着が遅れている現状を放置している。ラウムに次期モデルがあるという噂は今のところ聞かないが、願わくばトヨタはラウムのようなクルマ作りを続けて欲しい。




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急転のクルマ選び〈続編〉 カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/09/02 07:53:25 |
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