![[試乗インプレッション]フィアット・500 1.2 SPORT(5MT) [試乗インプレッション]フィアット・500 1.2 SPORT(5MT)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/020/302/788/20302788/p1m.jpg?ct=63d269122b84)
以前から乗りたいと思っていたフィアット500の5MTモデル「1.2 SPORT」に短時間だが試乗することが出来た。フィアット500はキャンバストップの「500C」や色々な限定車がリリースされているが、いずれもATモード付5速シーケンシャルトランスミッション(デュアロジック)との組み合わせだった。正直、デュアロジックの散漫な動作は私の許容範囲を超えておりずっと選考外としている。「MTモデルのフィアット500」が輸入されればなぁ...と思っていたから私には待望のモデル。しかし、毛嫌いせずデュアロジックのモデルも機会があればじっくりと乗り直してみたい。
「1.2 SPORT」の価格は208万円とまあリーズナブルと言える範囲だろう。1.2Lのエンジンは69ps/5500rpm 10.4kg-m/3000rpm と控えめなアウトプットだが、990kgのボディと5MTの組み合わせでどこまで楽しく走れるのか。小さなボディに反比例して期待は膨らんでいた。久し振りに対面したフィアット500はやはりコンパクト。サイズは全長3545mm全幅1625mm全高1515mmホイルベース2300mm。新型スイフトのサイズが全長3850mm全幅1695mm全高1510mmホイルベース2430mmと言えばそのコンパクトさが判るだろう。
まるでドイツ車のようなカチッとした重厚感のあるドアを開けるだけで、日本メーカーが製造する安物コンパクトカーとは世界が違う。その中で新型スイフトはかなり頑張っているが、品質・高級感と言う意味ではVWポロやフィアット500・BMW・MINIのライバルとは言えない。価格の差をストレートに感じる部分だろう。排気量が小さい=安物と言う20世紀的な価値観はとっくに崩壊しているはずだが、日本メーカーは未だにその世界から脱却出来ないのは嘆かわしい事だ。
ウズウズしてきたので結論を書いてしまうが、やはり「1.2 SPORT」は想像したとおり。もしくはそれ以上に楽しいクルマだった。欧州のコンパクトカーはMTで駆るのが一番というセオリーは健在だった。990kgという軽量なボディでも、僅か69ps/5500rpm 10.4kg-m/3000rpmの1.2Lエンジンではアンダーパワーかな...と不安視していたが、低回転域から実用的なトルクが沸いてくるタイプのエンジンだから、MTで引張り気味に走っていれば充分以上の加速を披露する。シフトレバーもいわゆる「インパネシフト」のタイプでフロアよりもドライバーに近く、ストロークも短いからコクンコクンと決まり、走りのリズムが掴みやすい。もちろん、スポーツカーのような加速をするはずも無い訳だが、全てのリソースを使い切って走る事は何物にも変えがたい爽快感・充実感を味わえる。おそらく、耳障りの良いエンジンサウンドもそれを助長するのだろう。リヤのサスがトーションビームでブレーキがドラムだとかステアリングにテレスコが無いとか.....。普段の私であればネガティブに感じてしまうポイントも、このクルマの場合は「まぁ大した問題じゃない」と大らかに受け入れてしまう。陽気なイタリア車が発するオーラが原因だろうか。「○○は七難隠す」と言うが、正にそんなクルマ。20分程度の試乗だったが、もっと走りたい。これじゃ走り足りないぞと思わせるクルマだった。このクルマを試乗する事は全国的に見てもかなり難しいと思うが、遠方へ足を運ぶ価値のあるクルマと思う。
なんでも「1.2 SPORT」はカタログモデルでは有るが、フィアット・ジャパンはビクビクしながらの試験輸入だった模様。初期ロットは台数も少なく、あっという間にほぼ完売の状態らしい。次回は来年の3月頃に陸揚げの予定だとか。日本人のAT好きは今更どうしようも無いし、AT限定免許の方にはそもそも乗る事が出来ないMT車。しかし、理屈抜きにクルマとの一体感という意味で未だコレを上回るものは無い。改めてMT車の楽しさや魅力を再確認した。
さて、改めて「1.2 SPORT」を見ていくとガチガチに気合の入ったスポーツモデルではなく、素のベースモデルにMT車という組み合わせは日本市場で買えるクルマの中で結構珍しくなっている。特に、横滑り防止装置や6個以上のエアバッグ等の安全装備を兼ね備えたモデルとなると壊滅的。ルノーの「ルーテシア」(1.6L/5MT)が209.8万円で設定されているから、これも機会があれば試して見たいクルマである。本当は日本のメーカーからこういうクルマが有ると良いのに。新型スイフトの「XS」に5MTがあれば既にオーダーしていただろう。
なんかインプレッションもラテン的に大らかになっているが、このクルマに細々とした検証は不要だろう。「買う」ではなく「飼う」クルマですからね。
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フィアット500c | クルマ
Posted at
2010/11/06 22:07:09