![[試乗インプレッション]マツダ・デミオ 13-SKYACTIV 夢の30.0km/L [試乗インプレッション]マツダ・デミオ 13-SKYACTIV 夢の30.0km/L](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/023/000/451/23000451/p1m.jpg?ct=0b4d82b1f331)
期待のSKYACTIVエンジンを搭載したMC後のデミオに乗ってきた。発売開始直後と言う事もあり、試乗には順番待ちが発生するほどの人気ぶり。それ故、テストコースは混雑した都市部を20分程走った程度。今回はファーストインプレッションと言う事で。後日じっくりとテストする機会を作りたいと思う。
マツダの次世代技術の総称である「SKYACTIV」は、その中核となるエンジン・トランスミッション・ボディ・シャシー技術で構成されている。今回のデミオは「SKYACTIV」テクノロジーを搭載した商品の第一弾として、世界初の高圧縮比(14.0)の実現により燃焼効率を大幅に高めた次世代直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」を搭載し、電気モーターによるアシストが無くとも30km/L(10・15モード値)の低燃費を実現させた。私も「SKYACTIV-G」を搭載した「デミオ」に早く乗ってみたくてウズウズしていた。最近は出張や旅行等で
レンタカーを借りる際に可能な限り「デミオ」を指定している。既に幾度も長距離を共にしており、「デミオ」の走りには充分満足している。出来の良いシャシーに燃費の良い新パワートレーンが搭載されるのだから、個人的な期待感はフィアットの2気筒エンジン「TwinAir」やVWの「TSIエンジン」の登場時よりも大きい。
想像していたよりも静粛性が高い。これが第一印象。もっと直噴特有のチリチリとした高周波のエンジン音が聞こえてくるのかと思っていたが、デミオの車格を考えれば贅沢とも言えるレベルだろう。
「SKYACTIV-G 1.3」は1.3Lクラスでは控えめな 84ps/5400rpm 11.4kg-m/4000rpmを発揮。ボア:71.0mm×ストローク:82.0mmのロングストローク型直噴エンジン。車重は1010kgだからパワーウエイトレシオは12.0kg/ps。組み合わされるCVTは変速比幅が5.6で、「ミラーサイクルエンジン」を搭載する「13C-V」でも搭載しているCVTと基本的に同じユニット。
「デミオ 13-SKYACTIV」で走り出すと、控えめなスペックから想像されるよりもずっと頼もしい走りに感心する事になる。一時期のマツダ車は"ZoomZoom"の具体的表現方法として発進加速を意図的に強く演出するような味付けを好んで採用していたが、燃費を重要視するこのクルマにそんな演出は無い。爽やかなエンジンサウンドやしなやかなアシ裁き等もマッチしており、MC前のモデルがドイツ風ならば、MC後はフランス風だろう。シートもサポート性が良く、ざっくりとした座り心地はトヨタ車では絶対に味わえないもの。注文を付けるとすれば、ステアリングにテレスコ機能が無い事だ。
最近色々なクルマに搭載され、ブームの兆しがある「アイドリングストップ機能(i-stop)」はこれまでのアクセラ等とは随分と印象が変わり、積極的にエンジンが停止するようになった。テスト時は外気温が32度(車載温度計の数値)のかなり暑い時間帯であり、当然エアコンのONの状態であったが、短時間の信号待ちでも確実にエンジンが停止していた。エンジンが停止するとエアコンも停止し、送風のみになるのだが、不快に思うほどの温度変化は無かった。また、エンジン再始動時の振動もアクセラに比べると随分軽減された。アクセラよりも排気量が小さいから物理的な問題もあるかもしれない。アクセラの場合スイッチ操作によりアイドリングストップ動作を「OFF」にしたくなる事が有ったが、デミオは全域で積極的に活用したいと思った。MC前のデミオはメーターパネルが安っぽく、室内全体の質感を落とす要因でもあったが、新型のメーターパネルはグンと品質感がアップ。インテリジェント・ドライブ・マスターと言う燃費の良い走り方をアドバイスする機能もあるのだが、今回それを試すチャンスは無かった。
少し強めにアクセルを踏み、全開に近い加速を試してみるとCVT特有のスリップ感(エンジン音と加速のズレ)を感じるのは惜しいところ。アイシン製のユニットだが、MC前の13C-Vにも感じていた現象だ。先代スイフトも同じCVTユニットを採用していたが、新型はジャトコ製の副変速機構付きCVTへ換装。フィーリングも随分と良くなった。デミオも今回のタイミングでジャトコに切り替えれば良かったのにネェ....。まぁ次期型は理想の変速機を追求した、高効率オートマチックトランスミッション 「SKYACTIV-Drive」を採用するのだろうから、そちらに期待。
そろそろ総括を。「デミオ 13-SKYACTIV」は140万円と言うリーズナブルな価格を考えれば、とてもお買い得なクルマに仕上がっている。正直、トヨタ・ヴィッツなんて買う理由が全く思い浮かばない位に良いクルマ。モーターやバッテリー等の外部機器に頼らず、内燃機関の可能性を追求する事で30km/L(10・15モード値)の低燃費を実現させた事は「ロータリーエンジン」の開発を世界で唯一成し遂げたマツダだからこその快挙と言えるだろう。残念ながら、今回のテストでは燃費と同じくこだわったと言う「走りの楽しさ」を実感するに至らなかった。逆に言えば、低燃費スペシャルモデル的な線の細さや物足りなさを感じる事は無い。次回は山道や高速道路などのステージにこのクルマを持ち込んでじっくりとテストしたい。
私が「デミオ 13-SKYACTIV」を買うならば、設定されている3つのメーカーOPは全て注文することになるだろう。3名分のリヤシートヘッドレストや3点式シートベルトの他、LEDドアミラーウインカー等の「パッケージ1」。革巻きステアリング・イモビライザー・アドバンストキーレス等の「パッケージ2」(共に5.0万円)と「SRSサイド+カーテンエアバッグ」(68,250円)を加えても156.8万円。ライバルのスズキ・スイフト「XS」が147.5万円と9.3万円安いが、燃費・装備の差を勘案すると絶妙な価格差だと思う。「デミオ 13-SKYACTIV」の実効燃費が明らかになる頃に結論を出したいと思う。
まぁ本音を言えば、ベースグレードの「13C」もしくは「15C」の5MT車に横滑り防止装置(DSC)とSRSサイド+カーテンエアバッグがメーカーOPで設定されていれば「今すぐにでも注文」なんだけどね。実際はどちらも装着不可能。「SPORT」にも設定が無いのはガッカリ。
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試乗インプレッション | クルマ
Posted at
2011/07/02 21:38:46